低学年の保護者の方から、作文がマンネリ化しているという相談を受けることがあります。低学年のうちは、毎回「きょうのこと」という題名で、毎回、朝ごはんのメニューを書き、同じようなたとえを使い……というようなことはあると思います。でも、それをマンネリ化と呼ぶのは少し違うのではないかと思います。
低学年のうちは特に習慣を作ることが大切です。その時期に、毎週、たとえ字数は短くてもきちんと作文を書いているということは、作文を書く習慣がしっかりできているということです。保護者の方は、まずそのことを認識することです。作文を書く習慣が身に付いたということは、非常に大きな収穫なのです。
親が子供の作文にマンネリ化を感じたら要注意です。親が抱くマイナスの感情は子供に伝わるからです。たとえ心の中ではそう思っていたとしても、「いつも同じ作文で代わり映えしない」などという気持ちを決して顔に出してはいけません。せっかく軌道に乗ってきた作文の勉強がまた一からやり直しになってしまうからです。
漢字を繰り返し書く勉強をマンネリ化と呼ぶ人はいません。計算も同じです。作文は、もちろん、創造的な要素があるので、漢字や計算の勉強と同じではありませんが、繰り返しが大切という点では同じです。繰り返し、つまり継続のないところには、変化も成長も生じないのです。
種から芽が出るまでに、種の中でどんな変化が起きているのか肉眼で見ることはできません。しかし、種の中では、何かが刻々と変化しているのです。変化を確認しようとして種を開けてしまったら元も子もありません。芽が出るまで気長に見守ることが大切です。
作文の勉強もそれと同じです。作文の勉強には長い時間を要します。マンネリ化しているように見えたとしても、見えないところで何かが変化しているはずです。その証拠に、いつまで経っても一年生のときのままの作文を書く生徒は一人もいません。種の中で何かが変化しているように、子供の内側では何かが少しずつ変わっているのです。
作文にマンネリ化はありません。マンネリ化を感じるくらい作文を書いているのだとしたら、むしろ喜ぶべきです。お母さん、お父さんは、目に見えない変化を心で感じ、子供の成長をじっと見守ってあげる必要があります。マンネリ化と言う前に、継続力とまだ目には見えていない成長を多いにほめてあげてください。
ローマは一日にしてならず。即効性のある美容法やダイエット法が危険なように、作文の勉強に即効性を求めるべきではありません。大きな花を咲かせるために、まず必要なことは、途中で芽を摘まないことです(笑)。作文の勉強は先を急ぐものではなく、じっくり育んでいくものなのです。
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慶応義塾大学文学部 A.O.さん
(保護者様より)
小さい頃から褒めて伸ばして頂いたおかげで娘は文章を書くことに抵抗がありません。これは一生の宝だと感じています。
今回の結果は小学生の頃からの言葉の森での土台があったお陰です。本当に感謝しております。ありがとうございました。
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東京薬科大学 薬学部 総合型選抜 Y.O.さん
<担当講師より>
化学の試験と、小論文と、面接による選考だったそうです。
私は、中高からの担当ですが、12年間言葉の森の課題をすべて履修されました。高校生、受験期になっても毎回の課題文を読み込みテーマについて話してきました。おめでとうございます。
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https://youtu.be/YWuCSr3MHfw
コロナ後のこれから起きる大きな変化は、私たちにとって本質的なものだけが回るようになる社会です。
本質的なものとは、人生にとって本当に必要なものであり、それはやがては豊かな文化を生み出すようになるでしょう。
その最先端にいるのが日本であり、日本の社会のこれからの変化が世界の変化の先駆けになります。
大事なことは、今から、その本質的なものに関わる準備をしておくことです。

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今大事なのは、これからの世の中の大きな流れを考えておくことです。
その上で、今何ができるかを準備しておくことです。
これから来るのは、本質的なものだけが回る社会です。
しかし、その本質とは、実は限りなく豊かな内容を含んでいるのです。
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micro:bitの第二弾の動画です。
JavaScriptとPythonのテキストも紹介しています。
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国際基督教大学 K.T.さん
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https://youtu.be/eWPTtnukzR8
勉強は、長く退屈な手順があって、そのあとにやっと出した答えも、結局みんなと同じものでしかないというのがほとんどです。
遊びは、簡単な手順のあとに、自分で自由な展開を工夫できます。
この自由度の高さが遊びの面白さと言えるでしょう。
プログラミングは、遊びに似ていて、ちょっと手順を覚えると、その範囲で自分で自由に工夫できる世界が広がっています。
だから、勉強の方法も、正解を早く出すことよりも、自分らしい工夫をすることが重要になるのです。

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スクラッチ、micro:bit、JavaScript、HTML、CSS、Pythonなど広く勉強できる言葉の森のやり方はすごくいいと思います。入り口さえやっておけばあとで必要になったときに独学で勉強できますね。うちの子も参加させたいと思っています。よろしくお願いします。
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・学力とは何か。
昔は、知識>思考。
今は、知識<思考。
特にAI化の進展で、知識の重要性は低下し、思考の重要性が増している。
・思考とは何か。
日本人は日本語の力。
日本語の力は、普段の日常会話ではわからないが、抽象的な話題になると大きな差が出る。
(例)小6や中1で、理由を考えようとしても、実例しか出てこない子が多い。
身近な生活作文は上手に書けるが、意見文になると途端に書けなくなる。
易しい文章の読解の点数はよいが、難しい文章になると読解の点数が下がる。
・対策は何か。
難しい本や文章を読むこと。
小学生の場合は、説明文、ノンフィクション、又は、親の読書と共有。
中高生は、ちくまプリマ―新書、岩波ジュニア新書などが手に入れやすい。
ただし、易しい楽しい本の多読も並行することが大事。多読ができなくなったら本末転倒。
本当は、高3の18歳から20歳ぐらいまでが最も思考力が伸びる時期。
そのために、中学生、高校生の間も読書の習慣を続ける。
そのために、小学校高学年で、受験生の間も細々とでも読書の習慣を続ける。
・現実に。
小中学生は、勉強の時間を増やすよりも、読書の時間を増やす方が、勉強の成績が上がるという調査がある。(東北大の川嶋教授の大規模な調査)
受験生で、今さら読書などという場合は、問題集読書で1冊を5回繰り返すことを目標に。
記述の対策も、解答を繰り返し読むという「読む勉強法」で。なぜなら、解く勉強法は5倍から10倍の時間がかかるので密度が薄くなる。
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国語力を上げるには、ということで、いつも同じようなことを書いていますが、「なるほど」と思うだけで実行できていない人がほとんどだと思います。
特に、読書は毎日の習慣化が大事ですが、習慣というものは6か月継続しないと定着しません。
2、3日の集中学習で成果を上げようとしても、そういうわけには行かないのです。
読解の解き方のコツを説明すると、高校生の場合はほぼ100%その日のうちに国語の成績が上がります。
中学生の場合は100%とは行きませんが、それでもほとんどの人の成績が上がります。
小学生の場合は、人によってですが、それでも多くの人の成績が上がります。
なぜこのような差があるかというと、読書量という基礎の力が不足していることが、小中学生の場合はあるからです。
国語は、他の教科と同じような「勉強」と考えるのではなく、「語彙力を高める生活習慣力」と考えることが大事です。
小学校高学年から読書しなくなった高校生。どんなアプローチで読書に取り組ませるといいでしょうか?
国語力なく、難しい文章は投げ出しがちです。成績も国語が足を引っ張ってるので「なんとかしたい」と本人から初めて言いましたが、どこから手をつけたらいいのか、
本も果たして自分で上手く選べるのか…?読ませても、字面だけ追ってるかもしれません。
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