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日本発の未来の教育――オンエア特別講座、寺子屋オンエア、オンライン作文、森林プロジェクト(7) as/2546.html
森川林 2016/03/12 13:06 


 寺子屋学習がオンエアでできるように、作文もオンエアで学習できます。(ここで言う「オンエア」というのは、ウェブ会議のようなシステムで先生と数人の生徒が自学自習形式のグループ学習をする仕組みのことです)

 オンエア作文の利点は、先生と生徒が電話だけでなく画面を通して対話できることです。また、その担当の先生が教えているほかの生徒とも、画面の上では一緒に勉強できるので、家庭での学習ではあっても孤独感がありません。
 更に、書いている途中で質問があったり、相談があったりした場合は、質問コーナーなどの別のオンエアに入り直して、そこで質問や相談をすることができます。

 オンエア作文は、パソコンの方が画面が大きく見られるので便利ですが、スマホでも十分に対応できます(ただし機種によっては、イヤホン付きマイクを使った方が音声が聞き取りやすくなるものもあります)。

 パソコンでオンエア作文の授業を受ける場合は、パソコンで画面を見ながら電話やskypeで先生の指導を受けるという形になります。どうして電話やskypeを使うかというと、ほかの生徒の勉強の勉強の邪魔にならないように、生徒と先生が一対一で話す必要があるからです。
 パソコンの故障で画面が見られないことがあっても、勉強自体には特に支障はありません。通常どおりの電話指導だけできれば、作文の勉強の方はこれまでと同じようにできるからです。
 作文を書いている間は、カメラは机上の方に向けておくので、先生は、それぞれの生徒がどういう感じで書いているか見ることができます。

 言葉の森の通信指導は、休んだときも別の日や別の時間にふりかえ指導が受けられることが特徴です。これは、オンエア作文でも同じです。どうしてほかの通信教育では、電話指導やオンエア指導がしにくいのかというと、このふりかえ指導に対応することが難しいからです。

 通信教育の弱点は、通学のリアルな教室に比べて強制力がないことだと言われています。しかし、言葉の森の電話指導による通信教育は、小学生から高校生までの全学年平均で月4回の提出率が94パーセント以上となっています。
 オンエア指導は、電話指導よりも更に深く先生と生徒とのコミュニケーションが取れるので、提出率は通学教室と変わらないかそれ以上になると思います。

 通学教室の弱点は、わざわざ通わなければならないので時間の負担が大きいことです。オンエアによる通信教育は、家庭からインターネットで参加できるので、通う負担はありません。
 また、言葉の森のオンエア指導は、ビデオ授業のような全員一律のものではなく、それぞれの生徒の自学自習を生かした個別対応による指導ですから、出席率が高いだけでなく中身のある勉強になっているのです。

 さて、個性を育てる「オンエア特別講座」、全教科のバランスのよい学力をつける「寺子屋オンエア」、勉強の集大成でありかつ創造性を育てる「オンエア作文」が、これからの子供の教育の重要な柱になるとして話を進めてきました。
 では、その教育を進めていく主体はどういうものになるのでしょうか。(つづく)

※次は、「森林プロジェクト」についてです。

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日本発の未来の教育――オンエア特別講座、寺子屋オンエア、オンライン作文、森林プロジェクト(6) as/2545.html
森川林 2016/03/11 19:55 


 作文は、書いたものが作品としてのひとつのまとまりを持っています。個性を伸ばすことや学力をつけることは、その過程が重要なので、結果は必ずしも作品という形にはなりません。それに対して、作文は、書く過程も考えを深める過程としてもちろん重要ですが、それ以上にその書いた結果が作品として形のあるものが残るということも重要なのです。

 結果が作品として残るということは、その結果を互いに発表し合い共有し合うことができるということです。この発表を、文章の上だけでなくビジュアルな形で発表するようにしたものが、プレゼン作文発表会です。

 このプレゼン作文発表会も、オンエア特別講座の読書感想クラブと同じように、発表する生徒がその作文に関連する絵や写真や音楽や動画などを用意してyoutubeにアップロードしておきます。それを少人数のグループで互いに発表し合い、質問や感想を交わし合います。

 これまで学校などで行われてきた作文の発表の機会というものは、ほとんどの場合、最も優れたものが選ばれ発表されるだけで、その他大勢のものは、ほかの人に見てもらう機会がありませんでした。
 しかし、すべての人が主人公として活躍するこれからの社会では、全員が互いの作文を見ることができるようになる必要があります。そのためには、少人数のグループでの作文の共有が行われる必要があります。それが、少人数のネットを使ったプレゼン作文発表会なのです。

 プレゼン作文発表会は、小中学生の段階では、読む力・書く力・経験・知識などの集大成というそれ自体が勉強のひとつという位置づけになります。
 しかし、高校生、大学生になると、勉強の集大成以上の意味を持つようになります。それは、例えば、高校生や大学生が書く作文は、その社会(地域社会から国際社会まで含むさまざまなレベルの社会)に対する提言にもなるからです。

 すると、プレゼン作文発表は、作文のプレゼンテーションであるよりも、提言のプレゼンテーションになります。
 ここで重要になるのは、文章が上手かどうかということではありません。その文章に盛り込まれている内容がどれだけ創造的であるかということです。

 作文が創造性を育てるという目的を持つのは、このような意味においてです。そして、これからの人間社会で、どんな時代でも価値あるものとして残るのは、ゴールドでもマネーでも土地でも資源でも知識でもなく、その人の持つ創造性なのです。
 創造性以外のものは、買うか、借りるか、外注するか、コピーするかができます。しかし、創造性は、それぞれの人が自分のものだけしか持つことができません。
 そして、人間の社会を豊かにしてきたものは、単に汗水たらして働くことではなく、誰かの創造性に他の誰かの創造性が積み重なってできた創造性の連鎖なのです。

 植物は、世界の酸素と炭素化合物を大量に供給しています。しかし、その植物の最初の出発点は、光合成の発明というたったひとつの創造で、あとはその創造を大量にコピーしているだけです。
 しかし、そのコピーの仕方にもいくつもの小さな創造があり、ある植物は砂漠でも生き延びる仕組みを創造し、ある植物は極寒の地でも生き延びる仕組みを創造しました。それらの小さな創造の積み重ねが、現在までの地球の豊かさを作り上げてきました。

 人間の役割も同様です。すべての人が自分の今いる場所で小さな創造を行うことによって、世界の豊かさは加速していきます。その創造のためのひとつのツールが作文で、作文によって創造を共有する場がプレゼン作文発表会なのです。(つづく)

※次は、「オンライン作文について」です。

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日本発の未来の教育――オンエア特別講座、寺子屋オンエア、オンライン作文、森林プロジェクト(5) as/2544.html
森川林 2016/03/10 19:18 


 寺子屋オンエアでは、子供は、家庭で自分の決めた時間に勉強に取りかかります。その際に、その日に何の勉強をどこまでするかという目標を先生に連絡します。
 勉強の開始時刻に寺子屋オンエアの画面に入ると、既に先生がいて、同じ時間帯で勉強しているほかの生徒もいます。生徒の場合は、カメラが机上に向いているので、見ようと思えばほかの生徒がどんな勉強をしているのか見ることができます。しかし、実際には、そういう他人のことは誰も特に関心は持たず、自分の決めた勉強に取り組みます。
 寺子屋オンエアではない場合の家庭学習の弱点は、孤独な勉強が長続きしにくいことにあります。しかし、寺子屋オンエアの場合は、先生もいるし、一緒の時間に勉強している生徒もいます。しかも、自分が勉強する内容をあらかじめ先生に連絡しているので、勉強が終われば先生にその日の勉強の内容を説明することになります。だから、ひとりでも集中して勉強することができるのです。

 しかし、もちろん中には、わからないところを適当に飛ばして勉強してしまう子もいます。ここで大事になるが親の役割です。
 寺子屋オンエアでは、先生がその子の勉強の概要を把握しチェックするだけでは不十分なところもあります。そこで、親がその時間にその場にいない場合は、帰宅後でいいので、子供に、その日の勉強でわかったこととわからなかったことを説明してもらうのです。
 子供が熱心に説明すれば、それはよく理解できていたということです。その反対に、子供がよくわからないと言うところがあれば、親が一緒に考えてあげます。
 小中学生の勉強は、親の助けで解決するものがほとんどです。解説の詳しい参考書的な問題集であれば、その解説に沿って説明すればいいのですからそれほど苦労することはありません。しかし、中には親では説明しにくいものもあるかもしれません。その場合は、親が先生に質問して確認しておけばいいのです。

 小中学生の勉強で大事なことは、能率よく教えてもらうことではありません。もともと義務教育のレベルの勉強は、誰がやってもできるようになるものです。
 大事なことは、自分で勉強する習慣をつけること、その勉強の中身を親が把握していること、必要に応じて相談できる先生がいることです。
 この中で特に大事なのが、自分で勉強する姿勢を子供のうちから作っておくことで、この姿勢は、塾や予備校に通うとか、ノルマを課されるとか、賞や罰や競争で意欲づけされるとかいう形ではかえって育ちません。
 本当の勉強は、高校生や大学生になってから始まります。そのときに自分の意志で進んで勉強するようになるために、小中学生時代のうちに、自分で勉強する習慣をつけておく必要があるのです。

 さて、オンエア特別講座の読書感想クラブで個性を伸ばし、寺子屋オンエアで全教科のバランスのよい学力をつけたあとに、もうひとつ大切な勉強があります。それは作文です。

 勉強に限らずどの分野でも、最後に必要になるのは読む力と書く力です。
 外国語の学習でも、ヒアリングとスピーキングは、身近なコミュニケーションのためには必要ですが、それだけではその外国語で学問や仕事をする段階にまで行きません。聞くこと話すことに比べて、読むこと書くことは質の違う難しさがあるのです。

 これは、日本人における日本語の場合も同様です。上手に喋る人はたくさんいますが、上手に文章を書く人はずっと少なくなります。
 文章を書くということは、勉強や仕事の集大成という面があります。それ以外にも、考えを深めるために文章を書くという面もありますが、他人に見せてわかるように書くということは、作文の勉強の第一の目標で、それはそれまでの勉強全体のまとめという意味を持っているのです。(つづく)

※次は、「作文を書くこと――プレゼン作文発表とオンライン作文指導について」です。

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日本発の未来の教育――オンエア特別講座、寺子屋オンエア、オンライン作文、森林プロジェクト(4) as/2543.html
森川林 2016/03/09 20:40 


 今の受験中心の勉強の弊害は、よくできる子にも、普通の子にも、よくできない子にも表れています。
 よくできる子は、自分のペースで先の学習まで進んだり、より難しい問題に取り組んだりしていけばいいのです。それは、受験の勉強を先取りするということではありません。受験勉強の先取りは、かえって頭を悪くします。
 受験的な勉強は、受験の最後の1年間でやればいいと考えて、それまでは本当の学力をつけるための教科書レベルの勉強を先取りし、自分の興味に応じてより高度な勉強も追加していけばいいのです。

 自分のペースでする勉強の方法が、家庭での自学自習です。
 ただし、子供が自分の力で自然に自学自習するということはまずありませんから、大人が、自学自習しやすい体制を作り、それを運営していく必要がります。
 しかし、それは、大人(親や先生)が子供に一方的に教えこむような従来のスタイルの勉強ではありません。大人は、体制を作り、子供の自学自習がスムーズに行くようにやり方をチェックし、必要に応じて子供の質問に答えるという役割に留まります。
 大人がリーダーとなって引っ張っていくのではなく、子供が自主的にやることを、大人がサポートしていくという役割です。この大人とは、親と先生ですが、特に小学生までは親の役割が重要になります。

 例えば、子供が算数の勉強をしていてわからない問題にぶつかった場合、解説を読んでもわからないとき、子供は普通、身近な人である親にまず聞きます。そのことによって、親は子供の学習レベルがわかり、子供の理解度に応じた説明をすることができます。
 そして、親が説明をしても子供がよく理解できない場合は、今度は親が先生に説明の仕方を質問するという形に進みます。そして、その結果をやはり親が子供に伝えなおしていくのです。

 中学生の義務教育までの勉強では、子供の質問はすべて親が最初に対応するつもりで臨んでいくことです。そのことによって子供の勉強の実態がわかり、早めに的確なアドバイスができるようになるからです。

 自学自習のもとでは、親子の勉強はそれほど多くの親の時間を取るものではありません。
 親が子供に教え込む形の勉強では、子供の勉強時間と同じ時間だけ親がつきっきりでいなくてはなりません。しかし、自学自習の勉強の体制ができれば、子供は勉強時間のほとんどを自分の力でやっていきます。
 親は、勉強の結果を子供に聞き、子供にわかったこととわからなかったことを説明してもらえばいいのです。子供が、わかららないところをは手を抜いてやっているのではないかという不安がある場合は、いくつかポイントを絞って質問し、子供に答えてもらえばわかります。
 そして、親は子供が自分の力ではわからなかったところだけ一緒に考えて説明してあげればいいのです。その上で、親にも説明しにくいところがあれば、親が先生に質問し、それをまた次の日に親が子供に説明していきます。これが、家庭における自学自習のスタイルです。

 ところで、今の教育方法の多くは、こういう自学自習の形ではありません。
 低中学年の早い時期から勉強を外部の機関(塾や通信教育)に任せると、親が子供の勉強の実態が把握できなくなります。親が見ることのできるのは点数という結果だけで、勉強の中身はブラックボックスになっていきます。すると、親がアドバイスできるのは、子供の勉強の取り組み方という外見だけになり、「遊んでいる暇があったら勉強しなさい」などという外側からの強制しかできなくなってきます。
 こうなると、子供はポーズとして勉強するようになります。ポーズの勉強とは、簡単にできる問題を手を動かして長時間解くような勉強です。
 時間をかけているわりに成績が上がらないというのは、勉強をポーズとしてやっているからであることが多いのです。

 勉強を外部の機関に丸投げすれば、それがどんなによい塾や学校や通信教育であっても、同じように親の関与は外面からだけのものになります。
 子供の勉強は、いずれ親の手から離れるとしても、少なくとも小学校時代、できれば中学校時代までは、親が子供の勉強の中身にも関与できるようにしておく必要があります。それが家庭における自学自習の体制の土台になります。

 このような家庭での自学自習を実現するために、言葉の森が今行っているのが寺子屋オンエアです。(つづく)

※次は、「寺子屋オンエアでの勉強の仕方について」です。

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日本発の未来の教育――オンエア特別講座、寺子屋オンエア、オンライン作文、森林プロジェクト(3) as/2542.html
森川林 2016/03/08 19:38 


 次は、バランスのよい学力を育てることについてです。
 今、学校や塾で行われている勉強の多くは、受験を目的としています。受験が勉強の目的にならざるを得ないのは、合格者の人数に制限があるからです。なぜ合格者の人数に制限があるかというと、教える先生の数が限られていて、教室の机の数が限られているからです。だから、試験をして、その学校の定員の中に入れる人を選ぶ必要があるのです。

 しかし、このごく当然のように見える前提が大きく崩れつつあります。そのひとつはMOOCなどに見られるようなネットを利用した教育によってです。近い将来、受験はもっと緩やかなものになり、誰でも好きなところに入れるが、そこで勉強して卒業するにはそれなりの努力が必要になるという形に変わるでしょう。そうなると、勉強は受験に勝つためのものではなく、実力をつけるためのものになっていきます。
 受験の価値が薄くなるもうひとつの理由は、少子化による大学の経営難の結果、安易な推薦入試が増え学歴と実力が相関しない例が増えているからです。また、受験のテクニックが高度化した結果、実力がなくても点数は高いというケースも増えてきたからです。
 読書や思索や幅広い経験の時間を持たずに、ただ素直に勉強だけしてきた生徒の点数がいくら高くても、その点数が実力だとは言えません。そういう、まるで科挙の時代の末期のような、受験勉強の末期状態が今生まれつつあります。

 現在のような受験が目的となる勉強のもとでは、勉強の重点は、人生や社会に役立つ大事なことにではなく、受験で差がつきやすいところで点数を取るということに置かれます。
 昔は、受験勉強は、実力を伸ばすひとつのきっかけとして有用なものでした。今でも、もちろんそういう面はあります。だから、受験の1年間で学力が飛躍的に伸びるのも事実です。しかし、その受験勉強が先取りによって行き過ぎたものになると、逆に受験のための勉強に特化することによって、かえって学力が低下していくのです。点数は上がるが、本当の学力は低下するというのが、今の受験勉強が持っているマイナスの一面です。

 受験勉強の弊害は、二つの面で出ています。ひとつは、受験勉強の先取りのし過ぎです。例えば、ある作者とその作者が書いた作品を結びつけるという国語の問題があった場合、本当の実力とは、その作者の書いたその作品を読んでいて自然にわかるというものです。しかし、その作者と作品をただ知識として記憶しただけの子も、同じ点数が取れます。そして、多くの本を読んで自然に身につけている実力のある子よりも、本を読む時間を省略してただ多くの作者と作品の結びつきを覚えた生徒の方が一般に点数はよいのです。
 もちろん、こういう一夜漬けに近い勉強が必要な場面は、社会生活でもあるので、決して無駄ではありません。しかし、それはせいぜい受験の最後の半年か一年で集中してやればよいことです。何年も前からそういう条件反射的な勉強の仕方をすることは、かえってその子の学力を低下させることになるのです。

 受験勉強のもうひとつの弊害は、勉強の苦手な子を多数生み出していることです。人生に役立つ本当の学力をつけることを目的にした勉強であれば、誰もが満点を取れることが目標になります。江戸時代の寺子屋で行われていた読み書き算盤は、そういう勉強でした。寺子屋で学ぶ子供たちの中には,よくできる子も、あまりできない子もいたでしょう。しかし、誰もが自分のペースで必要なことを学んでいきました。この誰もが満点を取れるようになるというのが、教育の本来の目標なのです。

 しかし、受験が目的になっている勉強のもとでは、教える先生は、受験で差がつきやすい難しいところでいかに得点するかということに勉強の重点を置きがちです。解き方を訓練していないと時間内には解けない算数数学の問題、合っているものを選ぶのではなく、間違ったものを選ばないという国語の問題は、こういう事情で生まれてきています。そして、受験勉強の重点が点数の差のつきやすいものに置かれると、それに対抗するかのように受験問題は新たに点数の差のつきやすいものに進化(というか退化)していきます。このようにして、重箱の隅をつつき合うような受験勉強と受験問題の結果、多くの子が落ちこぼれていくのです。その落ちこぼれを救う方法は、差のつきやすい難問の解き方をていねいに教えることではありません。本当に必要な勉強を教えることなのです。そして、その本当に必要な勉強を学ぶことであれば、それは教科書レベルの教材と、自学自習の仕組みと、質問に答えられる体制さえあれば十分なのです。(今の教科書は解説があまり詳しくないので、教科書レベルの教材に詳しい解説が加わった市販の参考書や問題集の方がいいのですが。)(つづく)

※次回は、「自学自習の仕方について」です。


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●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
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●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
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