小学1、2年生の作文は、自由な題名の課題です。
この時期の子供たちは、書くこと自体が好きですから、何でも書きます。
朝起きてから、学校に行って、勉強して遊んで、家に帰って夜寝るまで書くような作文です。
このころの子供たちは、また、お喋りが好きです。
どうでもいいようなことを延々と話します。
作文も、そうです。
どうでもいいことを延々と書くような作文が多いのです。
そこで大事なことは、題材作りです。
自由な題名ということで子供に任せておくと、いつも、学校でどんなことをしたとか、学童でこんなことをしたとかいう作文になることが多くなります。
もちろん、それはそれでいいのです。
しかし、ここで、親が工夫できることがあります。
それが、題材作りです。
「今度、お母さんと一緒に、春の球根を買ってきて、植えてみようか」
とか、
「お父さんが休みの日に、一緒にカレーライスを作ってみようか」
とか、
「ベランダに、ミカンを置いて、どんな鳥が来るか見てみようか」
とか、ちょっとしたイベントを工夫するのです。
そして、作文の授業のある日に、「今日、どんなこと書くの。この間のあのことを書いてもいいんじゃない」と水を向ければ、子供は喜んでその話を書きます。
ここで大事なことは、書く内容に注文をつけないことです。
子供は、往々にして、肝心なことを書く前の、どこに行ったというような準備のところを書くだけでくたびれて書き終えてしまうことがあります。
しかし、親子で行ったイベントは、子供の心の中にしっかり残っています。
だから、作文には、肝心なことが書かれていなくてもいいのです。
この題材作りは、いくらでも工夫できます。
わざわざどこかに出かけたり、お金をかけて工夫したりすることはありません。
日常生活の延長で、ちょっとしたことをすればいいのです。
子供は、親子の対話の中で、語彙力を増やします。
親子で共通の話題を作り、話す機会を増やすと、子供の感想が長く書けるようになることが多いのです。
よく、作文の結びを、「とてもたのしかったです。またやってみたいとおもいます。」というようなまとめ方で書く子がいますが、それは感想を書くための語彙が少ないからです。
子供が自分らしい感想を書けるのは、親子の対話によって考える力がつくからです。
小学1、2年生の時期は、あっという間に過ぎます。
この時期を生かして、子供との対話の機会を増やすようにしていってください。
そのための参考になる本が、今はいくつも出ています。
アマゾンで、「子供 自然 図鑑」などと検索すると、親子で遊べる自然の本がいろいろ見つかります。
子供にとって大事なことは、実際の経験と対話を通して学ぶことです。
「語彙力図鑑」のような知識偏重の本を読むことで、語彙力が身につくわけではありません。
実物を通して親子が対話をすることが大事なのです。
水飲み場のスズメ
小学1、2年生の作文は、親でもブンブンどりむでも教えられます。
しかし、なぜ言葉の森で作文の勉強を始めるのがいいのでしょうか。
実は、小学1、2年生は、大人の言うことを素直に聞く時期です。
この時期は、模倣の時期と言って、お父さんやお母さんや先生に言われたことをそのまま受け入れる時期なのです。
しかし、何でも素直に受け入れているうちに、やがて小学3、4年生で、子供の自立が始まります。
その自立の時期に、それまで素直に親や先生の言うことを聞いていた子が、自己主張というかたちで、それまでの親や先生の指導に反発するようになります。
その反発は、小学1、2年生のうちに、いろいろなことを直されたり注意されたりした子ほど大きくなります。
小学1、2年生のときの、褒められ続けた子は、小学3、4年生になっても反発はありません。
ところが、ほとんどの親は、子供を褒め続けるよりも、いろいろな注意やアドバイスをしてしまいます。
「もっとていねいに書きなさい」「漢字も使いなさい」「この書き方が間違っている」「会話は行がえをするんでしょ」「この言葉はカタカナで書くんだよ」「もう少し長く書けたらいいね」など、どれもあたりまえのアドバイスですが、それを素直に聞いているように見える子供は、自分の書いている作文が否定されていると感じるのです。
表記のミスは、注意をしなくても、読書量が増えれば自然に直ります。
また、読書力のある子は、ひとことの注意で直りますが、読書力がないうちは、同じことを何度注意しても直りません。
子供が3、4年生になって、「もう作文を書くの嫌だ」と言ったとき、親は対処の仕方がわかりません。
その時期から、言葉の森で作文の勉強を始めようと思っても、もう遅いことが多いのです。
小学1、2年生から、言葉の森で作文の勉強をしている子は、いつも楽しく勉強をしているので、3年生になっても4年生になっても作文の勉強を続けることができます。
作文の勉強が最も重要になるのは、小学5年生の説明文の感想文になってからです。
しかし、この時期から作文の勉強を開始するのは、子供にとって負担が大きくなります。
5年生の壁というのは、作文だけでなく、算数でも理科でも社会でも、どの分野でもあります。
子供は、小学5年生になるころから、抽象的に考えることができるようになります。
文章の要約ができるようになるのも、小学5年生からです。
だから、5年生から作文の勉強を始めるというのは、子供にとっては、書くことと考えることの両方が要求されるようになるので、かなり負担の大きいことになるのです。
小学1、2年生から作文の勉強を始めた子は、作文を書くことが習慣になっています。
だから、課題が難しくなっても、それについていきます。
そういう流れがあるからこそ、小学生の作文の勉強は、たとえ親が教えられるのであっても、言葉の森で小学1年生から始めていくのがいいのです。
キンカン
自習室を使う人が増えてきました。
保護者懇談会の資料でお知らせしてからか、それまで1日に1人か2人だった自習室の利用が、毎日10人以上、多いときは20人近くになりました。
自習室の利用は、言葉の森の生徒と、生徒のお友達とご兄弟であれば、誰でもできます。
生徒とお友達とご兄弟に限定させていただくのは安全のためです。
自習室のメインルームは、カメラオン、マイクオフですが、ブレークアウトルームで息抜きをするときは、ブレークアウトルームでお喋りもできます。
ただし、ブレークアウトルームでの休憩は10分以内とします。
自習室は無料ですから、24時間いつでも自由に使えます。
ほとんどの時間、先生も一緒に自習室に入っているので、安全面での心配はありません。
今日1月30日(火)は、平日ですが、朝3時に自習をしていた小学生、朝6時に自習をしていた中学生がいました(笑)。
学校に行く前に、勉強をしているのだと思います。
自習室を利用するとき、他の人も同じように勉強しているのを見ると、自分もがんばろうという気になります。
ですから、できるだけ多くの人が利用してくれるといいと思います。
勉強の基本は家庭学習です。
学校に行ったり、塾に行ったりして、みんなと一緒に勉強する時間は、たんなるきっかけ作りの時間です。
学校や塾で勉強をするのではなく、家庭で勉強をするというのが勉強の基本です。
ところが、家庭学習は、始めるときが難しいのです。
何もないところで、問題集を開いて「さあ、勉強を始めよう」ということは、なかなかできません。
そのときに、「とりあえずパソコンを開いてみよう」、そして「自習の記録を書いてみよう」、そして「自習室に入ってみよう」と、段階を置いて勉強の準備をすれば、比較的スムーズに自習を開始できます。
そして、いざ自習室に入って、ほかの人の勉強している姿を見れば、自然に自分も勉強モードになります。
勉強が終わったあと、自分の自習グラフを見れば、明日もがんばろうという気持ちになります。
ぜひ、多くのみなさんが、自習室を利用して、家庭学習を無理なく進められるようにしていってください。
▽森の自習記録(自習室の入口)
https://www.mori7.com/teraon/js.php
白梅
創造発表クラスは、自由な実験や研究の発表をするクラスです。
これまでの勉強は、すでに完成されている知識を与えられ、それを覚えて、試験のときに再現するというサイクルの中で行われていました。
だから、記憶力のよい人や、長時間勉強する人が、いい成績を取れる仕組みになっていました。
確かに、知識を習得することは大切です。
しかし、今の教育は、学年が上がるにつれて、試験で点数の差をつけるために行われる面が強くなります。
そのために、試験が終わればすぐに忘れてしまうような瑣末な知識を詰め込むような学習が行われてきたのです。
現在の中学入試、高校入試あたりまでは、まだ知識の詰め込み中心の試験が続いていますが、その先の大学入試では、一足先に総合選抜型の入試が広がっています。
総合選抜で評価される学力は、思考力、創造力、発表力、作文力、面接力などです。
これに、個性、意欲、問題意識などが加わります。
高校では、2022年度から探究学習が授業に取り入れられるようになりました。
この探究学習は、大学入試の総合選抜と共通の考え方にもとづいています。
つまり、知識の詰め込み教育から、創造力と発表力の教育へと、学習の重点が大きく変わりつつあるのです。
最近でも、次のような総合選抜の記事がありました。
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「総合型へ入試をシフト」 東北大総長が語る改革、25年後の姿
https://www.asahi.com/articles/ASS1R6FQ3S1RUTIL048.html
東北大の大野英男総長は昨年、入試の一般選抜について「全て総合型選抜へ移行したい」と表明した。これまで増やしてきた総合型の枠をさらに広げ、「未来を描ける人」「多様な才能を持つ人」を世界から集めたい、と狙いを語る。
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筑波大学長「入試は面接と論文中心に」 背景に留学生と少子化
https://www.asahi.com/articles/ASS1R6DKHS1RUTIL046.html?iref=pc_extlink
どんな入試を開発したらいいかは難しいが、何年もかけてやるしかない。
海外の有名大学の入試では、筆記の難度は大学入試センター試験ぐらいだが、長時間の面接と長い論文を課す。テーマは正解のない問いで、例えば「死刑はなぜ廃止しなくてはならないのか」など。日ごろから物事を論理的に考えていることが要求される。
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東大が「推薦」出願枠を増やし、異例のメッセージを出した理由とは? 武田副学長に聞く
https://www.asahi.com/edua/article/13616568
教員側からは、推薦生について、総じて一般生より高い評価がありました。学力はもちろん、意欲や積極性、リーダーシップについては一般生より高いと。詳しく言うと、プレゼンテーション能力、表現力、社会に対する問題意識、協調性も高い。つまり5年間の評価として、推薦生は非常に優秀で、うまくいっているんだと。
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では、総合選抜型の入試には、どういう対策をしたらいいのでしょうか。
それは、作文の学習と同じです。
小学生のころから、作文の練習をしている生徒は、書くことに慣れ、文章を書くことに自信が持てるようになります。
同じように、小学生のころから、創造的な学習を行い、みんなの前で発表することに慣れている生徒は、総合選抜型の入試にも自信を持って対応できるのです。
これは、大学入試だけでなく、自己アピールを必要とする就職試験などにもあてはまります。
創造性を生かす学習をしてきた生徒は、社会人になってからも、自分らしい創造的なことに挑戦しようと思うようになるのです。
これからの教育は、知識詰め込み型の教育から、創造発表的な教育や作文的な教育へと大きく重点が変わりつつあります。
創造発表クラスでは、参加者は、自分の興味のあるテーマで、自由に実験、研究、調査、工作などを行います。
それをみんなの前で発表し、ほかの人の発表について質問や感想を述べます。
高校で行われている探究学習は、グループ学習というかたちで進められます。
グループでひとつのテーマに取り組むため、自分のあまり関心のない分野の研究を割り当てられることもあります。
また、発表もグループとして行われるので、個人が責任を持って発表をするわけではありません。
探究学習を真に意味あるものにするためには、一人ひとりが個人の関心にもとづいて、ひとりで研究を深め、ひとりで発表を工夫する必要があります。
そこで、活用できるのがChatGPTです。
研究テーマが個性的であればあるほど、相談できる人や、参考になる本は限られてきます。
すると、問題意識自体は個性的で優れたものであったとしても、それを深めることができません。
そのときに、ChatGPTに研究の方向を相談するのです。
ChatGPTは、どんな分野についても詳しい知識を持っている友達のようなものです。
いくら聞いても、同じように詳しく親切に教えてくれます。
ChatGPTのアカウントを作るには、メールアドレスが必要です。
メールアドレスは、Gmailで13歳になれば取得できますから、中学生は自分のChatGPTアカウントを作ることができます。
ついでにZOOMとYouTubeのアカウントを作っておくといいと思います。
そうすると、作品の発表を動画で作成することができるようになるからです。
ChatGPTは、無料で使えるのがChatGPT-3.5で、有料の場合はChatGPT-4になります。
有料の金額は月額2000円ぐらいですから、無料のアカウントでいいのですが、有料にすれば高機能になります。
小学生の場合は、お父さんやお母さんに作ってもらったChatGPTのアカウントを利用するといいと思います。
自分の研究したいことが決まったら、次のようにChatGPTに聞きます。
「私は、中学○年生です。今、○○について研究をして発表したいと思っています。どういう方向で研究を進めたらいいと思いますか」
自分の学年も言っておくと、その学年にふさわしい方向で話をしてくれます。
ChatGPTは、友達ですから、気軽に聞くことができます。
「それでは、具体的にどこを探せばいいの」
とか、
「それに関連するサイトや本を教えて」
などと、追加の質問を次々にしていきます。
自分の知りたいことを検索で探すのは時間がかかりますが、ChatGPTに聞けば焦点の絞られた話をすぐに教えてくれます。
参考資料や参考画像を集めて、自分の研究結果がまとまれば、今度はそれをChatGPTに聞いてみます。
「私は、次のような研究レポートを作りました。これについて、アドバイスをしてください」
そして、自分の書いたレポートを貼り付けるのです。
すると、ChatGPTは、どこが説得力に乏しいとか、どこに誤字があるとかいうことを細々と教えてくれます。
最後に、「このレポートを150字に要約して」と頼めば、レポートの梗概(こうがい)も作成してくれます。
もちろん、要約は、自分で作ってもいいのです。
こうして發表するレポートができたら、ZOOMの共有画面でそのレポートを広げながら、レコーディング機能で、動画を作成します。
カメラをオンにすれば、自分の顔も一緒に写りますが、カメラをオフにしておけば、共有画面だけが動画になります。
10分以内の動画であれば、言葉の森の発表室に送信できます。
しかし、将来、自分の動画をまとめて蓄積しておきたいと思う場合は、YouTubeのアカウントを作り、そこにアップロードしておくといいでしょう。
YouTubeにアップロードする動画は、公開、限定公開、非公開のいずれかを選べます。途中で変更することもできます。
いずれ、将来、入試で自己アピールをする際などには、この動画を見せるのが最も説得力があるということになると思います。
YouTubeのような外部のサービスにアップロードするだけでなく、SSDなどに保存しておけば、将来、YouTubeのサービスが使えなくなっても安心です。
現在1TB(テラバイト)のSSDは、9,000円程度です。
ZOOMで作る約10分の動画は35MB(メガバイト)ぐらいです。
1TBは1,000GBで、1GBは1,000MBですから、1枚のSSDで、ZOOMで作った10分の動画が28,500本ぐらい保存することができます。
現在の勉強を、多くの生徒は苦しい勉強だと思っています。
それは、将来使うあてのない細かい知識を覚えさせられたり、調べればすぐにわかることを記憶させられたり、わざと間違えやすいように工夫された計算問題を出されたりして、それを点数化して競争させられる勉強になっているからです。
本来の勉強は、自分のやりたいことがあり、それをするために必要な知識を学ぶという前向きのものです。
そして、学ぶだけでなく、更にその勉強に工夫を加えることもしたくなるのが本当の勉強です。
勉強は、もともと楽しいものであるはずなのです。
創造発表クラスは、本来の楽しい勉強をするための教育です。
こういう先取りの勉強に参加することが、自分の未来の先取りになります。
今の中学生は、退屈な勉強と楽しい部活を中心に生活していると思います。
部活動は、友達との交流があり、勝敗やコンクールという共通の目標があります。
だから、多くの子が部活に熱中しますが、その部活の方向は、既存の与えられた枠組みの中での狭い競争です。
ほとんどすべての子は、その部活の延長でプロになるわけでも何でもありません。
ただ競争と勝敗があるから、そのときだけ熱中しているという一時的なゲームの世界の熱中なのです。
もちろん、熱中したことは、人間を成長させ、生涯の懐かしい思い出になります。
しかし、これからの時代は、自分らしく生きることが大切になります。
勉強も、遊びも、自分らしいことが基本です。
人に合わせた勉強や遊びではなく、自分の中から湧いてくる勉強と遊びを育てていくことが大事になるのです。