◆◆森リン点について質問できる「森リン掲示板」
「よく使うリンク」の17番に森リン掲示板を作りました。
森リンの点数についての解説は次のページにあります。
▽「森リン点の解説」
https://www.mori7.com/as/4526.html
しかし、この長い記事を読んでも、ある作文がどうしてそのような点数になるのかということは、具体的にはよくわかりません。
そこで、森リン点に関する質問があったとき、掲示板でその質問に対して答える形にしました。
◆◆書き直したのに森リン点が下がることがある
これまであった質問の中で、よくあるものは次のような質問でした。
「ある週の作文を、より良いものにしようと思い、清書の際に書き直したが、かえって森リンの点数が低くなった」という話です。
これは、実はかなり多くあります。
子供たちが作文をより良いものにしようと思って書くときには、どうしても字数を長くしようと思うことが多いものです。
しかし、森リンの点数の基本は、語彙の種類の集計なので、同じ語彙を使って字数を増やすと、文章の密度が薄くなってしまうことがあるのです。
どういう語彙が集計されたかということは、森リンの評価にある集計語彙の表を見ればわかります。
◆◆要約は語彙の密度が高くなりやすい
また、普段書く感想文の場合は、第一段落に要約を書いていますが、4週目の清書の週は要約を省き、要約の代わりに自分なりの説明を書くように勧めています。
すると、要約の部分は語彙の密度が高い文章になっていることが多いのですが、要約の代わりに自分なりの説明を書くと、語彙の密度が薄くなってしまうことがあるのです。
要約の元の文章は、プロの作者が書いたものですが、子供たちの書く文章は、当然、その元の文章よりも語彙の密度が低いのが普通です。
だから、子供たちの作文の本当の目標は、要約をする元の文章と同じぐらいの密度で作文を書けるようになることだとも言えるのです。
◆◆森リン点を上げるもうひとつのポイントは字数
森リン点を考えるとき、もうひとつ大事なものは字数です。
どうしたら森リン点が上がるかということのいちばんのコツは、字数を学年の200倍まで書くことです。
小学4年生だったら800字、5年生だったら1000字、6年生・中学生・高校生は1200字が目標です。
なぜこういう字数にしたかというと、昔の調査で、学年ごとに無理なく書ける作文の字数というデータがあり、それを参考にしたからです。
また、森リン点は、字数が少ないと誤差が大きくなりますが、1200字以上の字数になると、ほぼ誤差がなくなるという経験則があったからです。
それぞれの学期ごとの字数も決まっていますが、それは、その学年の級に初めて取り組む生徒が負担を感じないように、学年の100倍から始めるようにしているからです。
本当は、学年の200倍の字数が楽に書けるようになることが目標です。
◆◆字数が多い生徒は語彙も豊富
字数と森リン点は高い相関があります。
それは、作文の字数を長く書ける生徒は、一般に語彙が豊富だからです。
語彙が豊富で、書こうとする言葉が次々と浮かんでくるので、自然に作文の字数が長くなるのです。
ところで、字数の基準は学年の200倍ですが、その字数を超えていくら長く書いても、それ以上は森リン点に影響しません。
だから、まずは学年の200倍、小学6年生以上なら1200字以上書くことを目標にしていくといいのです。
◆◆長く書くコツは段落ごとの字数配分
では、どういうふうに長く書けるようにするかというと、段落ごとに字数の目標を決めるのです。
例えば、大きく4つの段落に分けて作文を書くとしたら、第一段落を300字、第二段落を300字、第三段落を300字、第四段落を300字として、合計が1200字になるという字数配分です。
この字数配分の練習をしていると、作文試験で字数指定がある場合にも役立ちます。
自分の書きたいことをいくつかの段落に分け、その段落ごとに字数配分をしていきます。
例えば、第一段落が長くなりすぎたと思えば第二段落を短くし、第三段落が短いまま終わりそうであったら第四段落を長くするというような調整を行っていくということです。
◆◆最後の段落を長くするには実例を加える
ところで、第一、第二、第三段落は、長くしようと思えば、実例をより詳しく書くことによって長くすることができます。
しかし、第四段落は、感想や意見になることが多いので、感想や意見で字数を増やすことは難しいものです。
そこでどうしたらいいかというと、自分の意見を書いたあとに、その意見をさらに補強する意味で、「例えば」と実例を付け加えていくのです。
低学年の生徒の場合は、「どうしてかというと」と、感想の理由を補強する文を続けることもできます。
◆◆語彙力を育てる基本は読書
森リン点を上げるためには、字数を学年の200倍まで書けるようになることです。
そのためには、言葉が次々と浮かんでくるような語彙力を育てていく必要があります。
語彙力を育てる最も大事な練習は、読書をすることです。
読書の量が増えれば、使える語彙が増え、字数も増えてきます。
作文の勉強の基本は、読書力です。
「推薦図書」のリストを参考に、面白く、かつ質の高い本を読んでいってください。
https://www.mori7.com/tosyo/
◆◆AIが暗唱をチェックする「暗唱検定」のページが完成
言葉の森の暗唱検定のページが完成しました。
https://www.mori7.com/morisika/
言葉の森の全科学力クラスでは、小学1年生から3年生までは日本語の暗唱、小学4年生以上は中学生・高校生も含めて英語の暗唱ということを目安にしてやっています。
この暗唱の練習は、これまでは担当の先生がチェックすることが中心でしたが、全員の暗唱チェックをするには少し時間がかかりました。
そこで、暗唱検定のページを作り、生徒がいつでも自宅で自分の暗唱をチェックし、練習することができるようにするという仕組みを考えました。
AIを使った暗唱検定なので、暗唱の結果を見て、AIが暗唱の出来具合を評価し、コメントします。
◆◆江戸時代の寺子屋教育とGHQによる暗唱の消失
話は少し遡りますが、江戸時代の寺子屋教育では、子供たちの日本語の勉強は音読・暗唱が中心でした。
太平洋戦争後の教育改革のなかで、学校の学習から暗唱が姿を消していき、戦後生まれの大人のほとんどは、暗唱の勉強を経験していません。
数少ない暗唱学習として残っているもののひとつが、掛け算の九九です。
◆◆九九に見る「大人の経験」が子供の教育に与える影響
しかし、九九以外は、日本語の暗唱の学習を経験した人がほとんどいないので、子供に暗唱の学習をさせることに対して大人の側にためらいが生じてしまうのです。
大人の経験が子供の教育に影響するということは、この掛け算の九九についても言えます。
九九は、日本では当然の常識として子供たちみんなが覚え、それが実生活にも役立つことを実感しています。
しかし、こういう効果をどれだけ説明しても、九九の文化の伝統のない国では、つまり大人がそういう経験をしたことのない国では、子供にそういう教育をさせることはとても難しいのです。
◆◆暗唱力と学力には深い関係がある
暗唱の練習にどのような効果があるかというのは、まだ科学的に解明されていませんが、私がこれまで言葉の森で子供たちの暗唱指導をしてきた経験でいうと、暗唱の力と学力はかなり高い相関があるように思います。
暗唱ができるから学力が高くなるのか、学力があるから暗唱ができるのかということが議論の分かれるところですが、暗唱と学力はかなり一致しているように思います。
暗唱の練習によって、作文に書く語彙が増えたり、文章を読むときの語彙が増えたりすることはあると思いますが、私が暗唱指導を続ける中で特に感じるのは、記憶力がついてくることです。
◆◆記憶力が高まれば、勉強の能率が上がる
今の学校の勉強の多くは、記憶力を必要とする勉強です。
記憶力の高い人は、教科書や参考書を何度か読むだけで、その内容が頭に入ります。
記憶力の高くない人は、読むだけでなく、手で書いて覚えて、それを何度も繰り返してやっと頭に入るというような勉強をしているのではないかと思います。
一度聞いたらすぐわかるという人と、何度も繰り返してやらないとわからないという人では、勉強の能率に大きな差が出ます。
暗唱の練習をしていると、この記憶を頭に残すコツが自然に育ってくるのだと思います。
◆◆暗唱検定を、毎日の家庭学習のきっかけに
ところが、先に述べたように、今の大人の世代は、自分で暗唱の練習をしたことがないので、子供に説得力を持って暗唱の練習をさせることがなかなかできません。
暗唱は、本来、毎日繰り返すことで身につく学習です。
そのためには、週に一度先生に聞いてもらうだけでなく、自分で何度でも確認できる仕組みが必要です。
そこで、暗唱検定のページを使って暗唱の練習をしていくといいと思ったのです。
現在はまだ、日本の古典を中心とした日本語の暗唱だけですが、近日中に英語の暗唱検定も入れていきます。
どちらに取り組んでもいいので、毎日の家庭学習の中で暗唱の勉強に取り組むきっかけを作っていってください。
▽参考資料
野口悠紀雄さんの「図解『超』英語法」より