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記事 926番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/25
上手に書ける子が、更に上手に書くことを目指すときの指導 as/926.html
森川林 2010/06/08 13:08 



 前回、よく書けているが盛り上がりのない作文を書く男の子の話を書きました。

 今回は逆に、上手に書けている子が、更に上手に書きたいという話です。今度は、小学校中学年と高学年の二人の女の子です。

 二人とも、作文を書くことに慣れていて自信もあり、ある程度上手に書けます。特に、身近な生活作文の場合は、リズミカルでそつなく書けます。書き出しの工夫も、たとえも、家族に取材した話も、結びの感想も、普通によく書けていて、直したり注意したりするところはありません。

 ところが、その二人の子と、それぞれのお母さんの要望は、もっと上手に書くにはどうしたらよいか、というものでした。

 上手な子が、もっと上手に書くためには、質的な変化が必要になります。例えば、書き出しの工夫も、通り一遍の会話の書き出しではなく、そのときの情景描写から書き出すような工夫も必要になってきます。すると、そこで語彙力の問題が出てきます。語彙力は、読書の蓄積の中で少しずつ育つものなので、形だけうまく書くというわけにはいきません。

 また、実例の部分も、だれにでもあるような自分の体験だけでなく、個性、挑戦、共感、感動のある体験を書くことが必要になります。しかし、そうアドバイスをしても、努力によってすぐに個性的な体験が書けるようになるわけではありません。

 また、家族に取材する場合でも、一般に、お母さんに取材するよりもお父さんに取材した方が話題が広がることが多いものですが、毎回お父さんに作文に関連した似た例を取材するのは、そういう家庭生活のスタイルがなければなかなかできません。

 また、作文に書く感想の部分も、深い感想を書けるようになるためには、両親や祖父母など自分よりも年長の人と日常的に対話をする機会が必要になります。

 こう考えると、上手に書くというのは、テクニックですぐにできることではなく、実例や表現の足腰を鍛えるための地道な練習が必要になってくることがわかります。

 ですから、小学校4、5年生で、もっと上手に書きたいという心構えは大切ですが、親がそれを子供に要求し、子供もそれを目標にしてしまうと、逆に成果が見えないために行き詰まってしまうことがあるのです。

 例えば、上手に書くことを、森リンの点数を上げることと考えると、その困難さがわかると思います。いったん書いて点数の出た作文を、赤ペンによる添削で上手に直して点数を上げるということはほとんどできません。

 では、既に上手に書ける子は、何を目標にして勉強をしていったらよいのでしょうか。

 第一は、毎週の課題の項目と字数ができるように書いていくことです。第二は、その項目をできるだけ自分らしく書こうと心がけることです。そして、第三は、毎日の暗唱や読書によって読む力をつけていくことです。

 小学校中高学年で上手に書けるようになることを目標にするのではなく、高校生になったときに上手に書けるようになるために、今は地道に練習を積み重ねていく時期なのです。

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記事 925番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/25
誰もが熱中する面白い本 as/925.html
森川林 2010/06/07 09:20 



 教室に置いてある本で、誰もが熱中するような面白い本があります。「世界ふしぎめぐり2年生」「宇宙人のいる教室」「天使で大地はいっぱいだ」「ほらふきふそつき物語」「二分間の冒険」「ガンバの冒険」「モモ」「はてしない物語」などです。

 「世界ふしぎめぐり」は、男の子向けの本なので、女の子は逆に読みたがらないこともあります。「モモ」や「はてしない物語」は、ある程度読書力がないと読み進められないので、小学生のときには、無理に読む必要はないとも思います。誰もが例外なく熱中する、やさしく読めて、面白くて、心の洗われる本のひとつが「宇宙人のいる教室」です。

 しかし、こういういい本がすぐに絶版になります。本というアナログ的なものは、売り切れたらもう手に入りません。また、買ったものはいつまでもスペースを占有します。それがよい面ももちろんありますが、読書生活のひとつのネックにもなっているようです。

 そこで、今後、図書のデジタル化が重要になってきます。これから、キンドルやiPadなどで本を読む形が次第に一般化していくと思います。

 しかし、出版業界の対応は、どうしても遅れがちです。そのため、次のようなことが考えられると思います。

 第一は、ブログなどの面白い記事を、PCの画面よりも読みやすい画面で、付箋や傍線などがつけられるような形の読書端末で読めるようにすることです。

 今、テレビは見ないがYoutubeは見るとか、新聞は見ないがニュースサイトは見るという世代が増えています。出版についても、本は読まないがウェブの記事は読むという人が増えていると思います。

 ウェブの記事を見る場合の、いちばんの問題は、画面では読みにくいということと、傍線などが引けないということです。これらを解決するための技術的な問題はほとんどないと思うので、今後、ウェブを読書がわりに読むということに徹した標準的な端末が出てくると思います。

 第二は、自分で買った本を、自分流にデジタル化して読むことです。買った本をばらして、スキャナで読み込み、それを読書端末で読めるようにするということは、既に読書好きの人の間では行われているようです。言葉の森で行っている問題集読書の分冊も、このようにデジタル化して読む人がいるかもしれません。

 読書のスタイルは、今後大きく変わってくると思います。

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ルイ 20100826  
ありがとうございます!モモシリーズ初めてしりました☆
ありがたくて、どうおれいすればいいか。
又このブログのぞかせていただきま~す!!!!

森川林 20100827  
> ルイさんへ
 ありがとうございます。
 読書の好みには個性があるということをよく聞きますが、物語文については結構共通しているように思います。

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上手だが盛り上がりに欠ける作文を書く子の指導 as/924.html
森川林 2010/06/05 10:31 



 上手に書けているが、作文が盛り上がりに欠けるという子がいました。一人は小学校低学年で、もう一人は小学校高学年で、いずれも男の子です。

 二人とも学力はかなり優秀で、同じ学年の子がまず書けないような語彙を自然に使って文章を書くことができます。

 しかし、低学年の子は、運動会の話を、「次は……をして……」「次は……をして……」と長く書く作文でした。それぞれの話はそれなりに面白いのですが、読み終えた印象は、次々と出来事を羅列しているような感じです。

 こういう作文を読むと、ほとんどの大人はこう言います。「長く書いたのはえらいけど、まとまりがない」。

 次は、高学年の子です。「ぼくの友達」というようなテーマで、自分がこれまでに遊んだいろいろな友達の話を書いていました。ひとりひとりの話をおもしろおかしく書いているので、それぞれのエピソードには、表現力もユーモアも感じられますが、全体を読み終えたあとの印象はやはり、事実を並べただけで盛り上がりに欠けるという感じです。

 このように、「上手に書けていて」「国語力や他の学力もかなりあるが」「しかし、事実を次々を並べるような書き方で」「盛り上がりに欠ける」という作文を書く子をどう指導したらいいのでしょうか。


 実は、こういう子は、このままでいいのです。

 小学校のときこそ、書き方が平板だという注意を受けることがあるかもしれませんが、こういう子が中学生や高校生になると、とてもいい意見文を書くようになります。

 小学校の生活作文は、小説のような作文がよいという暗黙の前提をもとに評価されています。そのため、作文に、小説のような盛り上がりがあることが重視されるのです。

 しかし、これが、記録文や紀行文であれば、評価は自ずから違ってきます。

 一般に、男の子の作文は、データ重視の文章になることが多く、名前や数字などの事実をしっかり記録することに喜びを感じて作文を書く傾向があります。これに対して、女の子の作文は、会話やそのときの印象を書くというような体験と実感を重視した作文になる傾向があります。

 このため、小学校のころの作文の上手下手は、高校生の小論文になると逆転してくることも多いのです。


 とは言っても、小学校の段階で上手に書く方法ももちろんあります。

 第一は、小説を読む機会を増やし、小説の面白さを感じる中で、描写力をつけることです。

 第二は、自分のしたこと、特に、個性、挑戦、感動、共感の感じられる体験を作文に盛り込むようにすることです。

 第三は、両親に似た話を取材して、作文の話題を立体的にすることです。

 第四は、伝記実例など、読書の中から得た実例を入れて話題を豊かにしていくことです。


 しかし、いちばん大事なのは、小学校の段階で上手に書くことを目的にするのではなく、高校生になったときに上手に書く力をつけることを目的にすることです。だから、欠点を直そうとするよりも、その欠点と見られることの中にその子の可能性が隠れているのではないかという目で見ていく必要があるのです。

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記事 923番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/25
言葉の森新聞6.2週号の一部訂正 as/923.html
森川林 2010/06/04 17:10 
 言葉の森新聞6月2週号の記事で、一部誤りがありましたので訂正します。<(_ _)>

▲高校生の用の「全国大学入試問題正解国語 国公立大編 2010年受験用」(5355http://tinyurl.com/2fk86en )が発売されています。
 ↓
○高校生の用の「全国大学入試問題正解国語 私立大編 2011年受験用」(5460http://tinyurl.com/283268r )が発売されています。

▲小学生用の「中学入学試験問題集 国語編 2010年度受験用」(3500円程度)は、7月ごろ発売の予定です。
 ↓
○小学生用の「中学入学試験問題集 国語編 2011年度受験用」(3500円程度)は、7月ごろ発売の予定です。

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暗唱で大事なのは、覚えることではなく繰り返すこと as/922.html
森川林 2010/06/04 12:53 



 暗唱の練習は、小学校1、2年生ごろまでは、だれでも抵抗なくできます。暗唱とはそういうものだという気持ちで、素直にやっているからです。

 ところが、小学校3年生ごろから、急に暗唱がしにくくなります。その後、小学校5年生から更に暗唱がしにくくなり、中学生になると更に暗唱ができなくなるというように、段階的に暗唱が難しくなってきます。

 小学校3年生から初めて暗唱に取り組む子が、暗唱を難しく思うというのはわかりますが、小学校2年生までスムーズにできていた子が、小学校3年生からできなくなるということもあります。

 それは、なぜでしょうか。原因は、暗唱を覚えることと考えているからです。

 小学校1、2年生までは、文章を何度か繰り返し読めば自然に覚えられます。そこで、覚えることが目的のようになってしまいます。

 しかし、小学校3年生からは、単純に覚えることがだんだんできなくなってきます。それは、理解する力がついてくるからです。

 理解する力がついてくる結果、昔のように単純には覚えられなくなるので、がんばって覚えようとします。そのために、ますます暗唱ができなくなってくるのです。

 がんばって覚えようとする子は、次のようなことをしがちです。

・覚えにくい一文だけを何度も繰り返して覚えようとする

・声を出さずにじっと見て覚えようとする

・紙に書いて覚えようとする(これは特に高学年や中高生の生徒がしがちです)

・ときどき休憩を入れて、長い時間をかけて覚えようとする

 これらは、いずれも暗唱をしにくくする方法です。

 暗唱の方法は、ただ単に、「早口で」「声を出して」「繰り返す」というだけです。言葉の森では、この繰り返しをしやすくするために、暗唱用紙という方法を使っています。

 暗唱で大事なのは、覚えるという目的ではなく、繰り返すという方法です。繰り返すという勉強法を身につけて、理解力を育てるために、暗唱という練習をしているのです。

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