保護者の方から、次のような相談がありました。「計算はできるが、算数の文章題ができない」
これだけ聞くと、国語の読解力がないことが原因のように考えられがちですが、事はそう簡単ではありません。
小学校低学年の場合は、文章題が解けないのは読解力がないことが原因の場合もあります。しかし、その読解力も、ある言葉の意味がわからないというようなことであるかもしれません。
例えば、「2列目には3人が……」というような文章があった場合、「列」という概念がわからないためにできないということもあるのです。
小学校高学年の場合は、文章題が解けないのは、読解力がないからではなく、問題となっているその算数の考え方自体が難しいからということもあります。
例えば、「ある長さのリボンから20センチ切り取ったとき、残りのリボンの長さが最初の長さの70パーセントだったとすると、最初のリボンの長さは何センチあったのでしょうか」というような問題は、国語の読解力の問題というよりも、算数的な考え方を図解する練習ができているかどうかという問題になるのです。
こういうことは、その子の解いた実際の問題を、親や先生が同じようにある程度解いてみないとわかりません。
文章題が苦手というときは、どの文章題が苦手なのかということを見る必要があるのです。
もうひとつ別の話です。
中学入試の作文の試験で、「時事問題や社説のようなところから問題が出される」という情報が、学校又は塾の説明会であったようです。
しかし、その話を聞いたお母さんが、実際にいろいろな社説を見てみると、中学入試に出るような内容の社説というのは、あまりなかったそうです。
同じように、時事的な問題が出るからといって、時事的なニュースをまとめた参考書などを勉強しても、まずほとんど役に立ちません。
時事的な問題がなぜ出るかというと、時事問題の知識を問うためではなく、その時事問題に出てくるような現代の社会の背後にある文化を問う問題を出すためです。
だから、いちばんの対策は、社説を読んだり、時事問題の参考書を読んだりすることではなく、実際の入試問題集の問題文を読むことです。
勉強で大事なのは、試験の点数ではなく、その点数の向こう側にある問題の内容です。
だから、子供の勉強を見る際に大事なことは、その子のできなかったところを表面的に見るだけでなく、親も実際に解いてみることなのです。
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△こんな海で泳ぎます。
今年は、久しぶりに夏の合宿を行うことにしました。おかげさまで2泊3日の3コースともすぐに満員になりました。
希望があるのに参加できなかった方もいらっしゃったので、次回は参加者の枠をもっと増やしていきたいと思います。
今回の自然寺子屋合宿は、遊ぶだけでなく、勉強もするという形の合宿です。
その勉強は、先生が何かを教えるという形ではなく、いわゆる寺子屋方式で、それぞれの生徒が自分で取り組めるようなものにしていく予定です。
その寺子屋方式の自習のメニューのひとつが付箋読書です。これは、10冊ぐらいの本を、付箋をつけながら並行して読んでいくという方法です。
読書は、どんなに面白い本であっても、1冊だけ読んでいると、時間がたつうちにやがて飽きてきます。
ところが、付箋読書という方法で何冊かを並行して読んでいくと、何時間読んでいても飽きません。
しかも、付箋読書は、読みにくい本でもすぐに読み出せるという利点があります。
この夏の合宿では、そういう新しい読書の方法を身につけていけるようにしたいと思っています。
自然寺子屋合宿の「自然」ということについては、海や山でワイルドな遊びをしたいと思っています。
その遊びのひとつがシュノーケリングです。
浅瀬の磯で、海の中に潜って貝をつかまえ、それを昼食でバーベキューにして食べるというようなことをしたいと思っています。
果たして……無事に昼食が食べられるか(笑)。
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国語力をつける要は、文章を読む力をつけることです。特に、受験に対応するためには、物語文についても説明文についてもそれなりに難しい文章を読んでおく必要があります。
その教材として最も手頃なのは、実際の入試問題集です。
そこで、言葉の森では、小学校高学年以上の生徒には、問題集読書をすすめていました。ところが、小学5年生の段階では教育漢字がまだ読めない生徒がいることや、中学1、2年生では常用漢字がまだ読めない生徒がいることから、問題集読書を敬遠する生徒もかなりいました。
そこで、現在、漢字集を作って、漢字の読みだけは学年を先取りして勉強できるような形みにしました。
問題集読書には、もうひとつ問題があり、それは傍線を引かずにただ読むだけの生徒や、読むよりも文章を書き出すことだけに熱心になってしまう生徒がいることです。小中学生は、勉強に対する自覚がまだ弱いので、形に残るものだけに熱心になってしまう傾向があるのです。
そこで、今考えているのは、寺子屋オンエアで、問題集読書の実際の勉強状態をチェックするという仕組みです。
問題集のやり方については、昔の記事が下記のページにありますが、また機会を見てもっとやりやすい方法を提案していきたいと思います。
https://www.mori7.com/kg/koku/mdds.php
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今、幼児期の勉強の仕方が見直されています。
知識や技能は目立ちやすいものなので、計算ができるとか、漢字が書けるとかということが、幼児期には大きな差であるように考えられがちです。
しかし、実際には、知識や技能は学年が上がれば誰でも同じようにできるようになるものなので、先取りしておく意味はありません。
そのかわり大事なのは、勉強というものを楽しむ姿勢を育てていくことです。特に、これから重要になるのは、読むこと、書くこと、考えることを楽しいと感じる子供たちを育てていくことです。
算数の勉強でも、現在は、速く正しく答えを出す能力以上に、自分なりに考えて解く楽しさを味わえる子を評価するようになっています。
国語の勉強についても同じです。
幼児期に、親子で楽しく対話をし、作文を書き、それを読むという練習ができるように、幼児作文コースを始めました。大事なことは、「楽しく対話をする」ということです。
勉強は、時期が来て教われば、誰でもできるようになります。勉強ができること以上に大事なことは、勉強を楽しむという気持ちを幼児期の間に育てていくことだと思います。
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