ゲストさん ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 2824番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/9/21
うまく行っていないときほど、その中でのよいところを褒める as/2824.html
森川林 2017/02/13 04:51 


 勉強でも作文でも、うまく行っていないときは、本人でもわかります。うまく行ったときに比べて手応えがないのです。または、明らかにうまく行かなかったという感覚があります。

 そのときに、周囲にいる人、特に身近なお母さんなどに、そのうまく行っていないところを指摘されると、わかってはいても、やはりがっかりするのです。

 それは表面に出る注意だけではありません。お母さんが、渋い顔をして心の中で思っているだけでも、子供にはそういう感じが伝わります。
 何も言われなくても、子供は自信をなくしていくのです。

 だから、うまく行かなかったときや、失敗したときほど、お母さんはそのうまく行かなかった中でのよかったところを褒めてあげることです。
 そして、子供が明るい気持ちになったところで、毎日の読書と音読とそのほかの自習を気長に続けていくのです。

 そういう日常を何度も繰り返しているうちに、ある日ふと気がつくと、いつの間にか、こんなにできるようになっていた、と思うときが来るのです。

 こういうお母さんの気長な忍耐力を支えるものは、お母さん自身の心の安定です。
 そのお母さんの心の安定には、お父さんの協力と感謝が必要です。

 しかし、たとえそういう協力的なお父さんがいなくても(笑)、お母さんは自分の力で自分の心を安定させ、子供にはいつも明るく褒めて接することです。

 その方法は、そう決心することです。
 「自分は、この子のいいところだけを見ていつも褒めていくようにしよう」と決心すれば、それが次第に自分の天性のようになっていくのです。

====
 まず、作文というものは、なかなか上達しないものです。それは、作文力というものが、国語力の集大成だからです。
 同じ国語でも、漢字の勉強などは、やればすぐに成果が出ます。読解の勉強も、やや時間がかかりますが、それでも比較的早く成果が出ます。
 ところが、作文の勉強というものは、いくらがんばっても、そのがんばりに比例して上達するという実感がないものなのです。

 しかし、そこで、お母さんが、「なかなか上手にならない」と思っていると、その感覚は、子供にも必ず伝わります。
 作文というものは、精神的なエネルギーをかなり使う勉強ですから、書き終えたときは誰でもほっとします。そのほっとしたときに、お母さんが冷ややかな目で、「なかなか上手にならないわねえ」と子供を見ていると、子供は急速にやる気を失うのです。

 注意することと褒めることの区別は、注意してすぐ直るものだけを注意し、すぐに直りそうもないものは注意せずに褒めるということです。
 しかし、ただ褒めているだけでは上達に時間がかかります。褒める一方で、実力のつく自習を毎日させることが大事なのです。
 その自習が、音読と読書です。そして、できれば、その音読をもとにして家族で対話をする時間を作っていくことです。

 言葉は、目から入るだけでなく、耳からも入ります。難しい文章を読むのが苦手な子でも、お母さんやお父さんと難しい話をすることは苦になりません。
 難しい長文を音読するだけでなく、その音読をもとに家族で話をすると長文の理解が深まります。そして、聞いたり話したりする形で使った言葉は、そのまま作文を書くときにも使えるようになります。こういう積み重ねで、作文は上達していきます。

 この気長な自習を子供に続けさせるエネルギーは、褒めることによって出てきます。
 「作文が下手だから、毎日の音読をしなさい」と言われて喜んでする子はいません。作文も褒め、音読も褒め、褒めながら毎日の自習の音読と読書を続けさせていると、気がついたらいつの間にか前よりもずっと上手に書けるようになっていたということになるのです。

「作文がなかなか上達しないときこそ褒める」
https://www.mori7.com/index.php?e=2319
====

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

namura 20170213 10 
うまくいかない時こそ、親として追い打ちをかけるのではなく、自信を持たせてあげたいですね。

森川林 20170213 1 
 よく、「褒めるところがない」とか、「褒めるのが難しい」とか言う人がいます。
 最初は真似事でもいいのです。
 何度も真似事をしていくうちに、いつか子供が本当に褒められるような子に育っていくのです。


nane 20170213 1 
 ときどき、「褒めるだけではだめ」という人がいます。
 しかし、小言だけをいつも言い続けている人の言うことを子供は聞きません。
 いつも褒めているからこそ、たまの静かな注意のひとことが子供の心にすっと入っていくのです。


jun 20170213 2 
作文の勉強は焦らないことが大事ですね。だからこそ、受験間際などではなく、早いうちに始める方が余裕を持って取り組めそうです(笑)。

jun 20170213 2 
うまくいっていないことを指摘されてもただ嫌な気持ちになるだけなのは、大人も子供も同じですね。

sizukku 20170214 51 
一番身近な親なのだから、よいところを一番たくさん知っているはずですね。
親が「子供のよいところだけを見てそだてよう」と決心すること、それは見つけたら褒める、でなくどんな状況でも褒めると決心することですね。

mae 20170216 9 
※これも覚書として
娘が小3の頃、なんだか色々なことがうまくいかないときに、負のスパイラルに陥ってしまったことがありました。そのときに、友達から「あなたはいい子だよ、間違ってないよ」と言い続けていくことが大事と言われたことがあります。それから一年。一年前が嘘のように落ち着いて生き生きしている我が子がいます。うまくいかないときほど、褒める。本当に効果があります。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
家庭で教える作文(55) 家庭学習(92) 勉強の仕方(119) 

記事 2823番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/9/21
個人の利益のための教育から、社会の利益のための教育へ as/2823.html
森川林 2017/02/12 04:35 


 教育は、個人のためだけにあるのではありません。

 個人の立身出世の手段としての教育という考え方は、福沢諭吉の時代なら意味がありました。
 しかし、今はそうではありません。

 よりよい世の中を作るために個人が成長するという、社会と個人の利益の両立が、これからの教育の目標です。

 例えば、カンニングをしてでもいい点を取るというのは、社会全体の利益に反する個人の利益です。

 それに対して、誰も見ていないところで、そっと人助けをするというのは、個人の利益にはならない社会の利益のための行動です。
 この個人の利益にならない社会の利益のために行う行為を育てるのが、文化の教育です。

 文化の教育は、点数には現れません。
 だからこそ、この教育が最も大切なものです。

 そして、こういう文化の教育を育てる場所は、まず第一に家庭なのです。

====

 教育とは、受験に合格するためにあるのではなく、人間として成長するためにあるものです。

 だから、成績さえよければ、ほかのことをどうでもいいというのではなく、ほかのことをまずきちんと育てていく必要があります。
 それが、身の回りの整頓だったり、弱い人への思いやりだったり、いざというときの勇気だったりするのです。

 日本の社会のよさは、そういう教育が文化の中で自然に培われてきたことにあります。
 これを更に意識的なものにしていく必要があると思います。

「受験の教育から、文化の教育へ」
https://www.mori7.com/index.php?e=2083

====

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

森川林 20170212 1 
 教育の目的が、社会をよりよくするために個人の成長を図ることというのと同じように、企業の目的も、社会をよりよくするために利益を上げることです。
 利益を上げる仕組みのないボランティアがあれば、それはボランティア個人の損失ではなく、社会全体の損失です。
 もちろん、今の社会の仕組みの中ではすぐには利益の上がらない行動もあります。例えば、街をきれいにするためにゴミを拾うことなど。
 しかし、そういうことであっても、常に利益化する仕組みを考えることが本当のボランティアです。
 勉強のできない子に大学生などが無償で勉強を教えてあげるというボランティアがあります。そのこと自体は尊いことですが、本当は勉強のできない子を作らない仕組みを作り、それをコストのかからない方法で回すことが大事なのです。


nane 20170212 1 
 教育の目的は、単に子供たちを育てることではなく、明日の日本を支える子供たちを育てることです。
 「選択問題のテストで時間が足りなくなったら、どこでもいいから○をつけてこい」と言うのは教育ではありません。
 「時間が足りなくなったら、潔くそこであきらめろ」というのが本当の教育です。
 ちなみに、「潔い」という言葉でぴったり英語に該当する言葉はないようです。日下公人さんが著者でそう書いていました。渡部昇一さんは、「manlyがそれに近いが」と答えたそうです。日本文化は語彙の点からも奥が深いのです。


同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 
コメント11~20件
……前のコメント
作文力がこれか 森川林
作文力をつけるために必要なのは読書と対話。 出力の前に入力 6/19
記事 5105番
作文を書くとき 森川林
 接続語と助動詞は、実は重要です。  中学生や高校生で、文 6/18
記事 5104番
国語は、読む力 森川林
国語の力をつけるための音読は、1冊の問題集を繰り返し読むのが 6/16
記事 5103番
国語力は、テク 森川林
国語力をテクニックで身につけようという考えそのものがあさはか 6/14
記事 5100番
本当の勉強は、 森川林
子供は、自然に成長していれば、みんな時期が来ればそれぞれにが 6/12
記事 5098番
これから大学生 森川林
MMさん、ありがとうございます。 これは、10年以上前の記 6/12
記事 820番
これから大学生 MM
先生の書かれていることは今読んでもそのまま通じます。 10 6/11
記事 820番
毎週作文を書く 森川林
作文の勉強というのは、負担の大きい勉強です。 だからこそ、 6/11
記事 5097番
読書を阻むもの 森川林
暇なときは読書をすればいいのですが、今は、スマホで情報に流さ 6/10
記事 5096番
国語の読解検定 森川林
国語読解の問題は、適当に解いて「当たった」「外れた」と言って 6/9
記事 5095番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
Re: 意見要 森川林
 ありがとうございます。  言葉の森のやっていることは新し 9/21
森のアンケート
意見要望 あおれす
作文への指導、本の紹介等、素晴らしいシステムでいつも楽しく参 9/21
森のアンケート
Re: 無題 森川林
 ありがとうございます。  子供の作文では、お母さんが自分 9/20
森のアンケート
無題 どきんちゃん
お世話になっております。 娘は年中からお世話になっておりま 9/20
森のアンケート
Re: 無題 森川林
 わかりにくいのは、慣れていないからです。  そういうとき 9/20
森のアンケート
無題 ミラン
ホームページが分かりづらいため、慣れるまで苦労しています。 9/19
森のアンケート
Re: いつも 森川林
 ありがとうございます。  お返事送れてすみませんでした。 9/18
森のアンケート
データ実例はC 森川林
 課題フォルダに入っている「データ集」「ことわざ集」「ダジャ 9/18
森川林日記
Re: 色々な 森川林
 ありがとうございます。  生徒どうしが交流できることが、 9/18
森のアンケート
AIを使いこな 森川林
 プログラミングはなぜ必要かと言えば、新しいことを始めるとき 9/18
森川林日記

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習