私は昔、読む本に傍線を引いていました。しかし、それでは、ほかの人が読めません。また、借りた本には、傍線を引くわけにはいきません。
また、読みかけた途中のところには、表紙をはさんでいました。しかし、見た目があまりよくありませんし、表紙がはずれてしまうことがありました。
そこで、傍線を引く以外の方法として、付箋を貼る方法を考えました。幅7ミリ程度の小さい付箋が、文房具店で売られています。計算すると、1枚0.25円ぐらいです。しばらくその付箋を使っていましたが、わざわざ買って使うとなると、もったいないという気持ちが出てきます。
そこで、だれでもいくらでも使えるようにと思い、手作りの付箋を考えました。材料は、紙とはさみと「はがせるのり」です。読書をしていて手もとに付箋がなくなったときでも、紙を3枚ぐらい用意してぺたぺたと作れば、わずか5分ほどで600枚ぐらいの付箋が簡単にできあがります。ほとんど無料なので、いくらでもふんだんに使えます。
(付箋の作り方は、ここ→
https://www.mori7.com/mori/mori/husenn.html )
本を読んでいておもしろいところがあると、縦に付箋を貼っていきます。付箋は、本の外に出るようにします。同じ本をあとから読むと、付箋を貼ってあるところで、「ここがおもしろかったんだなあ」とわかります。付箋を貼った箇所だけ飛ばし読みをしていけば、その本を2回繰り返して読んだことと同じになります。
また、本棚に入れておくと、外から付箋が見えるので、その本をしっかり読んだということがわかります。付箋をはがすときは、本をとじたまま、まとめてはがすことができます。もともと手作りの付箋ですから、もったいないということがありません。また、付箋を貼る方が、傍線を引くよりもずっと手軽にできるということもわかりました。この手作りの付箋によって、読書の能率が大幅に向上しました。
最初は、おもしろいところに縦に貼っていただけですが、その後、読みかけの途中のところには、横に貼るようにしました。本を読んでいて、途中でちょっと一休みというところで、本の横に出るように付箋を貼っておきます。すると、次に読むときに、読みかけの場所がすぐにわかります。本を何冊も並行して読んでいるときに、これはかなり役立ちます。そして、ほとんどの本は、自然に最後まで読み終えるようになりました。
読みかけの途中で付箋を貼る場所は、本の右ページと決めておき、上から順に階段状に貼っていきます。すると、読んだ経過が実感としてわかります。
家庭での10ページ読書にも、この付箋読書を取り入れることができます。手作り付箋の作り方はきわめて簡単ですが、最初は市販の小さい付箋を買ってやっていってもよいと思います。
ただし、傍線を引いたり付箋を貼ったりしたくなるのは、主に説明文の本です。物語文の本は、わざわざ面白いところに付箋を貼る必要がありません。そのかわり、読みかけのところに横に貼るということだけをしていくとよいでしょう。
問題集読書の場合は、説明的な文章が多いので、この付箋を貼る方法が役立ちます。傍線を引いて読んでもいいのですが、付箋を貼りながら読むというやり方に慣れておくと、将来難しい本を読むときの読書にも使えるようになると思います。
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「学力を高める『朝の読書』」(山崎博敏編著 メディアパル)は、80ページで1100円の本ですが、密度の濃い、事実に基づいた調査結果が載っています。学校関係者には、必読の書だと思います。
「朝の10分間読書」は、1998年、千葉県の高校の先生によって始められました。その後、日本では任意団体の運動として「朝の読書」の運動が進められ、現在多くの小中学校が「朝の読書」に取り組んでいます。
韓国では、この日本の運動をヒントに更に徹底した取組が行われ、その読書教育の成果によって、韓国は、2007年のOECD学習到達度調査の読解力分野で、フィンランドを抜いて世界第1位になりました。
日本では、「朝の読書」は、自主的な運動として行われているため、県によって取組状況に違いがあります。県別のグラフを見ると、「朝の読書」の実施率と全国学力調査の成績には、高い相関があることがわかります。
実際、「朝の読書」運動を進めている小学校は、国語の成績だけでなく算数の成績も高いという結果が出ています。中学校でも、「朝の読書」と成績の相関はありますが、小学校よりも影響は少なくなっています。そのかわり、中学生は、学校での「朝の読書」よりも、家庭でよく本を読む子が、国語、数学の成績が高いという結果が出ています。
「朝の読書」を進めることによって、学力がつくだけでなく、先生と生徒の人間関係が良好になっています。また、生徒が自主的になり、授業が活発になるという効果があるようです。これは、家庭での読書でも同様で、家でよく本を読んでいる子は、親子の人間関係がよいという結果が出ています。
ところが、学校での「朝の読書」と、家庭での読書習慣は、不思議なことに結びつきがほとんどありません。学校で本を読む読まないに関わらず、家庭で読む子は読んでいるし、読まない子は読んでいないということです。ということは、家庭は家庭で独自に読書環境を整えないと、本を読む子にはならないということです。
では、家庭で読書をさせるためには、どうしたらよいのでしょうか。調査結果は、意外なことを教えてくれています。「親が本をたくさん買ってくれた」「子供時代に本をよく読んでくれた」ということは、子供の読書とあまり結びついていません。最も結びつきの強いのが、「親もよく本を読んでいる」「家に本がたくさんある」ということです。
学校での「朝の10分間読書」は、先生も一緒に10分間、本を読むという形で行われました。家庭での、夕方の読書も、親が一緒に本を読むという形で進める必要があると思います。
言葉の森でこれまで家庭での読書として提案していたのは、「夕方の勉強が終わったら、50ページ以上の読書をして、あとは寝るまで何をしてもよい」というやり方でした。
しかし、50ページ以上というのは、子供によっては負担が大きいようです。また、習い事に行っているので家庭での勉強をしていないという子もいるようです。
そこで、だれにも取り組みやすい方法として、今後、夕食後の10ページ付箋読書を提案したいと思います。学校の一斉授業では、10分間という時間の区切りがわかりやすいと思いますが、家庭では時間で計るよりも、ページ数で数えた方が取り組みやすくなります。また、読んだところに付箋を貼っておけば、あとですぐに続きを読むことができます。
そして、この10ページ読書で大事なことは、親もそのときはテレビをいったん消して、食後の片付けなどもいったん休んで、一緒に本を読むということです。小学校時代に、この夕方の10ページ読書の習慣がつけば、その後、子供が中学生になっても自分で本をよく読む子に育っていくと思います。
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10分間読書という方法があります。わずか10分間ですが、毎日読んでいると次第に読書の面白さに目覚めて、ちょっとした空き時間があるときにも続きを読みたくなります。そして、全体的に読書量の多い生活になっていきます。
小学生の場合、短時間の勉強のきっかけにには、親や先生の働きかけが必要です。「本を1冊読みなさい」という大きな目標ではなく、「10分間読みなさい」という小さな目標であれば、ちょっとした声かけですぐにできるようになります。この小さなきっかけが大事なのです。
ところで、小学生には、親や先生の声かけが可能ですが、中学生や高校生は、自分の力で勉強しなければなりません。自分で自分にきっかけを与えるのにもコツがあります。
人間は、気持ちはいくらでも変えられますが、自分の身体を動かすことがなかなかできません。意識には重さがありませんが、身体には重量があるので、何かの作業を行おうとすると慣性の法則が出てきます。休んでいる状態から勉強する状態に切り替えるときは、この慣性の法則をうまく利用する必要があります。
そのための方法が小さな反復法です。まず、やらなければならない重い勉強があったとします。そのときに、自分のいちばん好きなことを思い浮かべます。そして、やらなければならない勉強に5分取り組んだら、自分のいちばん好きなことを5分します。タイマーで計っておき、切り替えは自動的に行うようにします。どんなに面倒なことでも5分だけならできるものです。その5分で、まず机の上を整理するだけで終わってもかまいません。
自分の好きなことを5分したら、次にまた、やらなければならないことを5分間します。今度の5分は、本を並べるだけで終わってもかまいません。また次の5分で、自分のいちばん好きなことをして、また、次の5分でやらなければならないことをします。このように、何度か5分で切り替えているうちに、やがて、やらなければならないことをしているときに全然抵抗がなくなっているのに気がつきます。そうしたら、そのままそれを続けていけばいいのです。
作文を書くという勉強は、開始するときに大きな精神的エネルギーを必要とします。これが、問題集を解くような勉強に比べて、作文の勉強を難しくしているいちばん大きな要因です。また、長い時間をとる勉強に比べて、毎日の暗唱や音読の自習のようなわずか10分の勉強は、始めるときの気持ちのエネルギーは同じですから、かえって取り組みにくいという面があります。
中学生や高校生のみなさんは、小さな反復法を使って、作文や暗唱のような取り組みにくい勉強をうまくコントロールしていってください。
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