10月25日、家庭学習の進め方と家庭での対話の仕方に関する子育て講座を行いました。
そこで出されたいくつかの質問を紹介します。▼が質問、●が回答(そのときにお答えした以外のことも含みます)
▼暗唱が苦手で嫌々やっているように見える。
●暗唱は、早口、棒読みで、歩き回りながら、決まった回数を読むということでやっていき、読み方が下手でもいつも褒めてあげるようにすると、だんだん抵抗なくできるようになると思います。
▼音読や暗唱を、親のいないところでやっている。
●勉強はリビングなど家族のいるところでやるようにし、どんな読み方をしても注意せずに褒めてあげることです。特に、子供の音読を聞いていると大人はだれでも注意したくなるので親の忍耐力が必要です。
▼夕飯前に勉強を済ませるようにしているが、本人の勉強がなかなか終わらないと、夕飯が遅くなってしまう。
●勉強の量を減らすことと、時間がかかるときは、そこで終わりにしてあげることです。宿題によっては、お母さんが代わりにやってあげるなど、子供が楽に勉強できる範囲に絞った上で厳しくやらせるということが大事です。
▼英語の教科書の音読と暗唱で効果があったが、塾にも行っていないのでこのままでいいのか、これからがやや不安。
●これからのテストは、スピードが重視されるので、英語の読書を進めていくといいです。高校生は文法的に読んでいくことが大事になります。
▼朝食後、学校に行くまでの間、何をしたらいいか。
●10分ほどの短い時間であっても、読書をすると決めておけば、朝食後の時間を有効に使えます。
▼30回も暗唱しないでも覚えられるので、それでいいか。
●ほとんどの子はすぐに暗唱できるようになりますが、それは今の暗唱長文が易しくてストーリーのあるものだから。覚えられればいいということでやっていると、難しい文章になったとき、逆に、「難しくてできない」ということになりやすい。そういうときに、回数を繰り替えすという方法に立ち戻ることが大事です。
▼子供に似た話を聞かれるが、主題の上で似た話は難しい。子供は言葉の一部で似た話であればいいと思っているがそれでいいのか。
●主題の似た話と考えると難しくなりすぎます。題材や言葉の上で似た話で十分です。適当に考える姿勢がないと、似た話はなかなか思いつきません。
▼英語のミュージカルでセリフを暗唱している。
●セリフは会話の暗唱になるので、地の文で暗唱できるように、本の暗唱を入れていくといいです。
▼早く起きたらゲームしてもいいと話したら、早起きはできたがその後の勉強はできなかったので、結局ゲームもなしにした。
●朝ご飯前に本格的な勉強をするのは無理。短い時間でできる音読や暗唱ならできると思います。ゲーム、インターネット、携帯などは、子供のうちに免疫を作っておく方がいいので、多少のやり過ぎは覚悟の上で、時間をコントロールする家庭独自の方法を見つけていくといいと思います。
▼暗唱を寝ながら読んでもいいと聞いたので、そうやらせたら寝てしまった。
●暗唱のような頭を使う勉強は、疲労するので眠くなります。寝転んでやってもいいのですが、本当は歩き回りながらやらせた方がいいです。
▼理社が好きで、よく自分で図鑑を調べている。
●そういうその子が好きなものはどんどん伸ばしていくといいです。これからは、自分独自のものを持っている子の方が、満遍なくどれもそこそこにできるという子よりも活躍できる社会になります。
▼問題集を繰り返してできるようにコピーしておき、2、3週間たったあと、できなかった問題をやらせるようにしている。
●繰り返す仕組みを家庭で作るのはいいやり方です。しかし、コピーは大変なので、1枚目は問題集に直接、できなかった問題だけ、ノートに書き出して繰り返すというようにするといいと思います。
▼朝がいいとは思うが朝寝坊なので、夕食後ゲームを30分したあと、学校の音読と言葉の森の音読暗唱などをすると30分ぐらいかかる。その後勉強するので寝るのは10時ごろ。
●学校の音読はやめて言葉の森の音読だけにするなど、家庭で勉強の内容を取捨選択するようにして楽にできる範囲のことをやっていくといいです。
▼父が寡黙なので、家庭で話しているのは子供と母だけになっている。
●小3になると、題名課題と感想文課題になるので、毎週の長文音読の内容を話題にして話すと、知的な話をしやすくなる。子供は脱線や笑いが好きなので、話の内容がずれてもいいと思って話すといいです。
▼幼児期から読書好き。朝6時に起きてジョギング。そのあと算数、漢字、暗唱。夕方は算数の問題集、音読。夕食とお風呂のあと読書30分。時間管理が難しい。
●子供は自分で時間管理ができないので、親が毎日の流れを決めておくことは大事。ただ小学生は勉強の中身よりも習慣作りの時期なので、勉強の量を減らしてのんびり雑談などができる空白の時間も作るといいと思います。
みなさんの話を聞いていて、共通して大事だと思ったことがあります。
第一は、一定の原則を貫くことです。例えば、音読でも暗唱でも読書でも算数の問題でも、一度決めたら子供が嫌がることがあっても妥協せずに続けていくことです。
しかし、第二に、分量はぐっと減らして楽に続けられる状態にしておくことです。
第三に、勉強ではない学力をつける方法を工夫することです。それが、読書、対話、自然と接する遊びです。自然の中でキャンプをするとか、虫を捕まえて育てるとか、絵を描くとか、工作をするとかいう遊びは、学力の裾野を広げます。勉強というのを机に向かってすること以外に、生活の中で幅広く考えていくことが大事です。
今日は午後から子育て講座。
今日のテーマは、家庭学習の進め方、家庭での対話の仕方、です。
家庭学習で大事なことは、形の残らないものができるということです。
学校や塾でやる勉強は、どうしても問題を解いて答え合わせをするような形の残るものが中心になります。
しかし、本当に身につくのは、音読、読書、CD聴取、対話など形の残らないものです。
形の残る勉強は、いつでもできますが、形の残らない勉強は、習慣がつくまでは決まった時間にやらないとなかなかできません。
その方法は、朝ご飯前にするか、アラームをセットしておくかです。(このアラームのセットが意外と効果的)
家庭学習の基本は、先取りよりも定着120%を目指すことです。
勉強は、むしろ後取りぐらいでいいのです。(ただし、漢字の読みは先取り、英語の聴取は小4からの先取りで)
授業で習ったことをしっかり定着させていれば、受験前の集中学習ですぐに受験に対応した学力がつきます。
先取りでも、後取りでも、基本になるのは、できないところがなくなるまでやることです。(これが120%という意味です)
しかし、プリントや問題集を次々にこなす学習では、できるところもできないところも同じように繰り返します。
今の子供たちの勉強の多忙さは、ここから来ています。
できるところは、もうやらずに、できないところだけ繰り返すという工夫ができるのが家庭学習です。
そのためには、問題集は1冊に絞り、それを何度もやり直すことです。(参考書も1冊、CDも1枚。すべてシンプルに)
これからの勉強の中心は、家庭での学習になります。
しかし、今の家庭学習は、学校や塾でやっている勉強と同じことを家庭でやるようなものになっています。
だから、親も多忙になり、子供も多忙になり、多忙なわりに実力もなかなかつかないのです。(T_T)
子育て講座では、楽にできて実力のつく家庭学習の話をしていきたいと思います。
もうひとつは、家庭での対話の仕方。
ただのお喋りでも楽しいのですが、中身のある対話をするためには、それなりの準備が必要です。
その準備のひとつは、子供が毎日長文の音読をしていて、その音読の話題をもとに話をすることです。
すると、対話の話題そのものが高度になってきます。
親の心構えとしては、子供と同じ水準で話すこと、親自身の体験をもとに話すことです。
知識の量では、親の方が子供よりも圧倒的に多いので、知識を披露するような話では、子供は聞き役になってしまいます。
親が自分の体験をもとに話せば、子供は聞き役から自分も話し役になろうとします。
対話はディベートではありません。
相手の意見と違うところを論じ合うのではなく、似た例を出し合うのが対話です。
時に意見の違うところがあっても、その違いは保留にして、一致点だけを生かしていけばいいのです。
対話の意義は、次のようなものです。
1、理解力、思考力が育つ
2、表現語彙が増える(作文と似ています)
3、似た例を聞くことで人生が豊かになる(読書と似ています)
4、家庭での対話の文化が育つ(対話で育った子が親になれば、もっと対話はしやすくなるでしょう)
5、音読の目標ができる(これはおまけ(笑))
今日は、曇り空で涼しい風が吹いています。
ときどき、夏の暑さを思い出して、あらためて季節は移りかわるのだなあと思う今日このごろ。
四季があるっていいですね。
それでは、今日も秋の静かないい一日をお過ごしください。
(中根)