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小学校1、2年生のころは、誰でもお父さんやお母さんの言うことよく聞きます。だから、この時期は、勉強の習慣を最もつけやすい時期です。小学校3年生になると、自己主張ができるようになるので、「なんで」「どうして」と言うことが多くなり、習慣を作ることが難しくなってきます。
1、2年生の勉強で大事なことは、四つあります。
第一は、決まったことをやり続けるということです。子供が、時間になったら、「あれをして、これをして、これをやったらおしまい」というように、条件反射的に自習ができるようになるぐらい決まりきったやり方を作っておくことです。
第二に、勉強は自分でやることが基本です。親が教材を用意したり、採点したり、間違えたところを教えたりしていると、親に依存した勉強になります。時間になったら、子供が教材を用意して、自分で答え合わせをして、決めた分量が終われば自分で終えるというようにしておくことが大事です。
第三に、繰り返しの勉強に慣れることです。現在は、カラフルな外見だけの面白そうな教材が多いので、子供たちは新しい教材を次々にやるような勉強に慣れています。しかし、面白そうな教材を次々にやっても力はつきません。実力をつけるための教材は、平凡なことを何度も繰り返すようにできている教材です。そういう繰り返しの勉強が、勉強の本来の姿だと自然に納得できるのが小学校低学年です。
第四に、勉強を長時間やらせないことです。低学年の勉強の目的は、習慣を作ることですから、勉強の成果を上げるところまで目指さなくてもよいのです。この時期の勉強は、時間をかければ誰でも成績が上がり、先の進度まで進むことができます。しかし、そういうふうにして勉強の量を多くしたり、難しい問題を解かせたりした子は、勉強というものに対する否定的な印象を持つようになります。勉強の中身が重要になるのは、小学5年生からです。それまでは、学力の土台を作る時期で、特に低学年は、学力の土台を作るための習慣を作る時期なのだと考えておくことです。
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勉強が予定よりも早く終わると、親はつい、
「そんなに早く終わるのだったら、もう少しほかのこともやっておこう」
と言ってしまいます。ところが、それがよくないのです。
子供は、自分なりに、与えられた課題を早く仕上げて、お母さんに褒めてもらいたい、又は、早く勉強を終えて遊びに行きたいと思っています。
ところが、早く終わったことによって、その早く終わったことに対する罰であるかのように、新しい勉強が追加されるのですからたまりません(笑)。
そういう勉強の追加をやると、子供はそれからだらだら勉強するようになります。早く終えない方が得だということを学習してしまうからです。
犬の躾にも、似たようなところがあります。広いところで犬を放して遊ばせたあと、「おいで」と言ってもなかなか戻ってこないことがあります。何度呼んでも戻ってこないので、やっと戻ってきたときに、飼主は犬を叱ってしまうのです。
「どうして早く戻ってこなかったの。ゴツン」
すると、犬は、戻ってくると叱られるのだということを学習してしまいます。その結果、ますます戻ってこない犬になるのです。
どうしたらいいかというと、自分の都合で考えるのではなく、相手の立場になって考えるということです。それは、相手が自分よりも弱い立場にいるときほど必要なことです。
しかし、こういう間違いは、多かれ少なかれ誰でもしています。だから、そういう失敗を経験した人が、そのあとの人にその経験を伝えていけばいいのです。昔は、その伝える役割を大家族の中で祖父母が行っていました。これからは、地域あるいはネットの中で父母どうしが子育ての共有をするようになっていくと思います。
では、勉強が予定よりも早く終わったらどうしたらいいのでしょうか。
その前に、勉強は時間でやるのではなく、分量でやらせることが大事です。「○分の勉強」ではなく、「○ページの勉強」というように目標を決めるのです。
その「○ページの勉強」が見積もりよりもかなり早く終わった場合、親は、「わあ、すごい。早く終わったね」と喜んでおしまいにしておくのです。
そうするうちに、だんだんと、その子の実力に応じた分量がわかってきます。しかし、その場合でも、目一杯の分量ではやらせずに、少しものたりないぐらいの分量で続けていくことが大切です。
少なめの分量であれば、子供は自分で勉強の仕方をコントロールすることができます。時間で決められたり、多すぎる分量を与えられたりすると、自分で自分の勉強をコントロールできなくなります。
このコントロールする力が自律心です。
犬の躾の場合は、別に書かなくてもいいかとも思いますが(笑)、犬に長いリードをつけて遊ばせます。そして、「戻っておいで」と言いながら、リードを少しずつ引っ張ります。そうすると、犬は当然引っ張られて戻ってきます。そこで、「えらい、えらい」と褒めてやるのです。
できなかったことを叱るよりも、できるようにさせてできたことを褒めるのがコツです。
しかし、ここでもう一つ大事なコツがあります。
それは、叱るときには、ごくたまに厳しく叱ることです。いざというときには厳しいということがわかっているから、優しく褒められたときに嬉しくなるのです。
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ふだんはたくさんホメてあげて、ごくたまに厳しく叱る・・・そうすれば、ホメる効果も叱る効果もしっかり生かされそうです。
※覚書として
(1)勉強は分量を多くすればよいというのではないということ。
(2)できなかったことを叱るよりも、できるようにさせてできたことを褒めるのがコツ。
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「中学生になっても言葉の森を続けた方がいいかどうか」という質問がありました。それは、もちろん続けた方がいいのです。
中学生で学習する意見文の3種類のパターンは、そのまま大学入試の小論文に使えます。
その小論文の最も基本になる構成の仕方は、小学6年生で学んでいます(そういう自覚のある小6生は少ないと思いますが)。それが、複数の実例と一つの意見(一般化の主題)です。
この形さえ知っていれば、どんな課題でも、一応しっかりとまとめることができます。あとは、読書や経験や思索によって、構成の中身を埋める材料のレベルを上げていけばいいのです。
だから、構成を知っているだけでは、車の両輪の片側しかできたことになりません。もう片方の車輪は、読む力をつけることによって作られていきます。その読む力のもとになるのが、言葉の森の課題の長文です。
最近の高校入試は、記述重視(場合によっては作文重視)になっています。この傾向は、公立中高一貫校でも、大学入試でも、就職試験でも表れています。
その一つの象徴が、東大や京大でこれから行われる特色入試です。特色入試では、高校生に時代に自分の興味のある分野をいかに深めたかということが問われます。学力については、センター試験の8割が取れればいいということで担保されています。
つまり、学力は、普通にしっかり勉強している程度でよく、それ以上の重箱の隅をつつくような知識やテクニックは必要ないということです。大事なのは、その生徒の個性と意欲と読む力と考える力と書く力なのです。
ただし、中学生は、部活や定期テストで忙しいということも事実です。だから、定期テストの10日前は、音読などの自習は休んでもよいということで柔軟に取り組むことが必要になります。
中学生時代の部活はそれなりに楽しいものですが、部活が多忙で土日も休めないとなると本末転倒です。中学生時代は、勉強が幹で、部活は枝葉だということを再確認しておく必要があります。
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世界はこれから大きく変化しますが、新しい価値観の方向はほぼはっきりしてきました。それは、真に価値あるものは人間の創造であり、そのための教育がこれから重要になるということです。
この創造性を育てる教育を推進するために、言葉の森は、プレゼン作文発表会など、子供たちの個性的、創造的な発表の場を広げていきたいと思っています。
また、これからの初等中等教育は、学校や塾に全面的に委託する形ではなく、家庭における学習と地域でのバックアップが中心になってきます。そこで、言葉の森は、作文の学習だけでなく、漢字、長文、算数数学、英語などの家庭学習を、全国規模の学力テストと連動する形で進めていきたいと思っています。
小中学校の学習教材は、既にほぼ完成されたものが存在しています。したがって、これからはその完成された教材の土台の上に、保護者が教材の編集に関与できるものにしていく必要があります。言葉の森では、オープン教育の場で、保護者の声や地域の文化を生かした教材を作成していきたいと思っています。
家庭での個人学習は、学校や塾の一斉学習よりも、その子に合った密度の濃い勉強ができるという利点がありますが、小中学生の子供たちの学習意欲を支えるものは、友達や先生との交流です。そこで、家庭学習の意欲を支えるものとして、勉強をネットで共有する寺子屋オンエアを考えています。
子供たちの学力の中心になるものは、日本語の豊かさです。その日本語は、読書以上に、家庭での親子の対話によって形成されます。小学1年生の時点で既に学力の土台となる日本語には大きな差ができています。そこで、親子の交流を対話を生かすための3歳児からの幼児作文コースを始めることにしました。
言葉の森は、これまで作文小論文の指導と国語力の指導に力を入れてきましたが、これからは更にその範囲を広げていきたいと思っています。
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