これから、3回に分けて、教育を考える際の二つの変数について書いていきたいと思います。
その変数とは、自由度と計画度の横軸と、自主性と強制性の縦軸とで構成されたグラフに表される変数です。
自主性
┃
C ┃ A
計 ┃ 自
画━━━╋━━━由
度 ┃ 度
D ┃ B
┃
強制性
そして、現在の学校教育に代表される教育全般の行き詰まりと、その打開策について述べていきたいと思います。(つづく)
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受験勉強というのは、それほど面白いものではありません。既に答えのある世界で、他人と同じことをより速くより正確にやるという競争ですから、個性のはっきりしている子ほど飽きるのも早いのです。
しかし、現実に競争があるのですから、やらないわけには行きません。そこで、出てくるのが、最後の1年間(又は半年)で死に物狂いの集中力で得点力をつけるという方法です。
地道で計画的な勉強を考える人は、そういうやり方を不安視しますが、実はこの短期間の集中勉強というのは、大きな成果を上げるものです。
ただし、それまでに、基礎的な実力はつけておく必要はありますが、その基礎的な勉強は、学校で普通に勉強していればつくというレベルのもので十分です。
受験勉強というものは、本人の実力を測るものではなく、限られた範囲の試験での得点力を測るものですから、過去問を分析し自分の弱点を見極め、集中的に取り組めば、半年ほどで成績が急上昇します。
保護者の中には、こういうことを自分で身を持って体験している人がいます。そういうお父さんやお母さんは、子供の勉強にあまり口出しをしません。普通に勉強していれば、いざというときにがんばれるということがわかっているからです。
そして、それまでの勉強をあまり無理せずに行っていて、自分の自由な時間をたっぷり持っていた子供ほど、短期間の集中力は爆発的になるのです。
ところが、今は塾の情報が多いせいか、子供が小さいころから塾に通わせて受験勉強の先取りをする家庭が増えています。
もちろん勉強すること自体は、子供の仕事のようなものですから、それはそれでいいのです。
しかし、受験の先取り的な、学校でやらないような問題を解かせるような勉強は、多くの場合全くの無駄になることが多いのです。なぜなら、例えば小学校3年生で1時間かけてやっと身につけたようなことは、小学校5年生になると10分でもっと確実に身につけられるというようなことがあるからです。
そして、早めに無理な勉強をがんばっていると、勉強の生活に飽きるせいか、受験のときの短期間の爆発力が出ないのです。
勉強は、時間をかければ確かに成績は上がります。だから、受験の最後の1年間の集中力で成績を上げるよりも、早めにこつこつと成績を上げておいたほうがよいという考えもあります。
しかし、受験のための勉強に時間をかけるのは、実はもったいないことです。
これからの子供たちの成長に大事なことは、個性を伸ばし本当の実力をつけておくことです。
成績を上げるための勉強は、短期間の(と言っても半年か1年の期間ですが)集中力で取り組み、そのかわり、自分の好きなことに熱中し、経験と読書の質と量を高めていくことに多くの時間を費やすようにしていくといいのです。
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子供たちの中には、ときどき、「今日は宿題があるから(時間がないので)、○○はできない」と言う子がいます。
中学生の場合も、定期テストの前に、一生懸命宿題をこなしている子がいます。
先生は、宿題を出すことによって、最低限の家庭での学習ができると思っているのでしょう。
また、保護者の方でも、学校の宿題というものがあれば、必ず勉強することになるので助かると思っているのかもしれません。
しかし、宿題は、多くの場合意味がないばかりか、子供たちの頭を悪くし、勉強の意欲をなくすマイナス面の方が多いのです。
宿題がなければ家庭で学習しないような子は、その宿題もやらなかったり、やっても答えや友達の宿題を写すようなやり方でやっています。
宿題をきちんとやってくるような子は、その宿題は単なる作業のようなもので、やっても勉強になるようなことはありません。
そして、もっと大きな問題は、他人にやらされる退屈な勉強に慣れることによって、勉強の面白さを感じない子に育っていくのです。
私事ですが、私(森川林)の子供が小1のとき、足し算の答えを色分けするような宿題が学校から出たことがありました。
子供が、「はあ」などとため息をつきながら宿題をやっているので、見てみると、全然面白そうな勉強ではありません。
「これは、お父さんがやってやるから、本でも読んでろ」と言うと、子供は喜んでいました。だから、父の宿題です(笑)。
その学校の先生は、普通にいい先生でした。普通のいい先生が普通に宿題を出すのですから、ほとんどの家庭では、その宿題をやるのが当然なのだと思ってしまうでしょう。
そして、親も先生も誰も悪気はないのに、肝心の子供たちはどんどん勉強に対する意欲を失っていくのだと思いました。
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小1から読書好きになるように、読書感想クラブの企画を立てています。
対象は、当面は新小学1年生ですが、将来は幼児や小学校中高学年の生徒にも広げていきます。
内容は、次のとおり。
(1)毎週1回、時間は30~45分、1グループ7~8人、月4回、参加費月額1,404円。
(2)家庭のパソコンから参加できるように、インターネットを使って行います。(パソコンに内蔵カメラがあれば、特に難しい設定は必要ありません。スマホでもできますがまだシステムに不安定なところがあるので、当面はパソコン参加でお願いします。)
(3)最初に先生が本の読み聞かせをします。10分程度。
(4)そのあと、参加生徒から、今読んでいる本の紹介をしていただきます(紹介は自由)。15分程度。
(5)希望する生徒は、自分の読んでいる本をもとに似た話(実験・観察・調査・取材など)を準備してプレゼン発表ができます。10分程度。
(6)先生や生徒の紹介した本で、興味のあるものは互いに貸し借りができるようにする予定です。
(7)読み聞かせの本には、ストーリー物だけでなく、理科や社会のノンフィクション物も取り入れ、幅広いジャンルから選ぶようにします。
(8)読み聞かせには、先生だけでなく、生徒のお母さん、上の学年の子供なども希望があれば参加していただく予定です。
家庭でお母さんやお父さんから読み聞かせしてもらうのとはまた違った新しい読書の体験ができると思います。
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さて、算数数学の勉強の場合は、他の教科の勉強と比べて、できない問題にぶつかったときの対応の仕方にコツがあります。
できない問題は、自分で解説を読んで理解しますが、自分で読んでも理解できない場合があります。そのときに、そのできなかった問題の解法のどの部分が理解できないかを絞って、ほかの人に聞くのです。その場合、単に「問題がわからない」と言うのではなく、その問題の「解法のどこからどこに進むところがわからない」と絞って質問することが大事です。
子供が最初に質問する「ほかの人」とは、お母さんとお父さん、つまり身近な親です。なぜなら、親は、子供がいちばん気楽に質問できる相手であり、親もまた子供の個性をいちばんよく理解しているからです。
子供に質問をされたとき、親は自分の知識や考えで答えるのではなく、その問題集の解法に沿って答えることが大事です。親が自力でその問題を解く必要はなく、親は解法を見て説明できればよいのです。
しかし、学生時代によく勉強ができた親でも、普段は勉強的なことをする必要がないので、多くのことを忘れています。
親が考えても、子供と同じように解法が理解できないときは、先生に聞きます。そして、その先生の説明を親が理解し、親が再び子供に説明してあげるのです。
更に言えば、親が解法を見て考えても理解できない問題は、できなくてもよい問題であることも多いのです。入試問題は満点を取る必要はなく、できる問題をしっかりできるようにしておくことが第一です。あとは、少し難しい問題もできるようにしておき、難しすぎる問題はできなくてもよいと割り切って取り組むことです。
なぜそれほどまでにして、親が関わることが大事かというと、小学生だけでなく中学生でも高校生でも驚くほど見当違いの勉強をしていることが多く、その見当違いの種類がそれぞれに個性的なので、毎日勉強を個人的に見るぐらいの家庭教師でなければ、その勉強の弱点に気がつかないからです。
と言っても、親に専門的な目が必要なのではありません。1日わずか10分でも日常的に子供の勉強に接していれば自ずからおかしいところがあるときは気づきます。農業で言う「主人の足跡は田畑の肥料」と同じことが、教育には更に言えるのです。
算数数学の勉強は、まず子供が自分で解法を読んで理解し、次に子供が自分で解法を理解できないところだけを親に聞き、親がその解法を理解できないときに先生に聞く、という流れです。これが、算数数学の最も理想的な勉強法です。
子供が解法を読んで自分で理解できないという問題の割合は、1時間勉強して1つあるかないかです。もし、それ以上頻繁に子供の質問がある場合は、その問題集の解法が不十分であるか、その問題集がその子にとって難しすぎるということです。
学校や塾の宿題や通信教材の中には、子供がその場ですぐに答え合わせのできないものがあります。そういう教材で勉強するのは時間の無駄です。自学自習できる教材を1冊だけ完璧に仕上げるというのが勉強の鉄則なのです。
受験では、算数数学の差がつきやすいので、家庭学習も、小6又は中3の受験に備えて1年先の学年までやっておくのが理想です。しかし、それ以上先取りする必要はなく、生活時間に余裕があるときは、読書や経験の時間にあててその子の個性を伸ばしておくことです。
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