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記事 2798番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/19
知識と技能の教育から、科学と実験の教育へ as/2798.html
森川林 2017/01/23 18:02 


 これまでの社会では、子育ての重点は、知識的な教科と技能的な教科の習得に置かれていました。
 国語、算数、理科、社会などの教科と、音楽、体育、芸術なので教科でよい成績を取ることが、多くの人の大きな目標になっていました。

 しかし、知識の教科は、答えのある世界です。
 必要な基礎知識を身につけることは必要ですが、それ以上に、人よりもよい成績を取るということはだんだん必要でなくなります。
 それは、答えのある世界で、より速くより正確により難しい問題を解くという力は、人工知能に取って代わられるようになるからです。
 そういうだんだん先細りになる世界で、狭い山頂を目指して競争することは、だんだん割の合わない努力になってきます。

 また、技能の教科は、本来は答えのない世界ですが、今の社会のもとでは、目的がコンクールや試合になるので、やはり答えに近いもののある世界になります。
 スポーツや音楽や芸術の分野でも、基礎的な技能を身につけることは必要ですが、それ以上に、人よりも優れた技能を持つということはだんだん必要でなくなってきます。
 技能の教科の世界も、本質的に次第に先細りになる世界なのです。

 では、将来性のある分野とは何かというと、一つは科学の世界です。
 科学の世界は、現在でも細分化されていますが、今後は更に細分化、高度化されていきます。すると、その中で、自分の興味のある分野を掘り下げていけば、そこでその分野の第一人者になることは比較的容易です。
 その第一人者になった分野で新しいことを見つけたり工夫したりすれば、それがそのまま発見や発明になります。

 その科学の世界の子供時代の土台となるものが、読書の習慣と理数系の勉強への関心になります。

 将来性のあるもう一つの分野は実験です。科学の世界が、主に頭脳的な世界であるのに対して、実験の世界は行動を伴う世界です。この実験という言葉には、経験とか体験とか挑戦とかいう意味も含まれています。
 こういう実験的な行動には、さまざまな不確定要素があり、それに応じてさまざまな個性的な取り組み方があるので、この分野もつきつめていくと、次第に個性的なものになります。
 その個性のある分野で、新しいことを見つけたり工夫したりすれば、それがそのまま発見や発明になるのです。

 この実験の世界の子供時代の土台となるものが、熱中できる遊びです。

 これまでの世の中は、メジャーな分野でできるだけ上位に行くことがほとんどの人の目標になっていました。
 その一つの象徴が、オリンピックのような競技です。確かに、その共通の目標によって、多くの進歩が生まれました。しかし、それは、資本主義が発展し、需要が供給を常に上回るインフレ時代の文化だったのです。

 これから来るのは、ちょうど江戸時代の、経済的には停滞していたように見えた時代の文化です。その文化の特徴は、競争ではなく個性と創造でした。当時の制約のある時代にも、さまざまな個性的な文化が花開きました。
 現代の科学技術と開かれた社会のもとでは、その個性は更に開花しやすくなっています。

 これからの子育ては、こういう時代の流れの先を見て重点を考えていくことが必要になるのです。

この記事に関するコメント
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namura 20170124 10 
科学や実験が好きになるためには、小さいころからたくさん遊び、たくさん体験することが大切でしょうね。

mae 20170125 9 
実験、工作、何かを育てること……。子どもたちは全部遊びの中で学んでいきますね。頼もしいなあと思います。

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寺子屋オンエア、オンエア講座、サーバ工事のため2月は休止、3月から新学年で再開 as/2796.html
森川林 2017/01/21 19:31 




■■寺子屋オンエア、オンエア講座共通

■2月はいったん休止、3月は新学年で再開

 言葉の森のサーバ工事のため、寺子屋オンエアとオンエア講座の授業は、2月中いったん休止させていただきます。
 そして、3月から、新しいシステムのもとで、新学年扱いで再開します。



■■寺子屋オンエア

■3月からの寺子屋オンエアの終了時刻

 寺子屋オンエアは、それぞれの生徒のご希望の曜日時刻で再開できるようにしますが、同時に参加する生徒が多い方が励みになるので、終了時刻の範囲を平日の17:30から20:50の間までとします。
 しかし、今後それより早い終了時刻や遅い終了時刻を希望される方が多くなれば時間帯の範囲を広げます。

■3月からの寺子屋オンエアの教材

(1)必須の教材は、新小学生は、「ハイクラステスト国語読解力」(「ハイクラステスト国語」ではありません。受験研究社。新学年分)
   新中1は、「ハイクラステスト国語長文」(受験研究社)
   新中2以上は、「くわしい国語」(文英堂)
(2)任意の教材は、
・「これでわかる算数」(文英堂。以下同じ)「これでわかる数学」「これでわかる理科」「これでわかる社会」「これでわかる英語」(いずれも新学年分)
・「これでわかる国文法」(新中1以上)
※上記の必須教材、任意教材をもとに、希望者に自習検定を行います。
※このほかに、英語の音読暗唱教材(CD付き)を検討しています。

■3月からの寺子屋オンエアの受講料

 受講料を月額2,160円とさせていただきます。(月4回参加の場合)

■3月からの寺子屋オンエアの変更点

 先生との話は、skypeではなく電話で受けることもできるようにします。



■■オンエア講座

■3月からのオンエア講座の時間帯

 オンエア講座は、当面下記の時間帯で再開する予定ですが、他の時間帯で4人以上の参加希望者がいればその時間帯でも行っていくようにします。ご希望は、ウェブで随時受け付けられるようにしていく予定です。
 なお、読書実験クラブ、思考国算講座は、いったん終了し、3月からは、それぞれの学年のオンエア講座に参加していただくようお願いします。

・火1800~1845……新小1(新学年。以下同じ)
・火1900~1945……新小4
・水1800~1845……新小2
・水1900~1945……新小5
・木1800~1845……新小3
・木1900~1945……新小6
(参加希望者が4人以上いれば他の曜日時間も開催します。)


■3月からのオンエア講座の内容

 オンエア講座の内容は、次のようにします。(カッコ内は時間の目安)
 これまでの流れとほとんど変わりません。

(1)読んでいる本の紹介(5分)
  読んでいる本とその内容を紹介してもらいます。
(2)作文の予習(10分)
  次の週の作文課題の予習のヒントをyoutubeなどを使ってビジュアルに説明します。
  小2までは自由課題なので、実行課題集をもとにしたヒントを説明します。
  次の週が4週の清書の場合は、みんなの清書の発表や、おすすめの本の読み聞かせなどを行います。
(3)みんなの作品紹介(10分)
  作文の構想図、算数数学の似た問題、家庭で行った実験や経験などを画像や動画で紹介してもらいます。
(4)算数・数学の問題解説(5分)
  考える算数の勉強として、「これでわかる算数」の問題集をもとに似た問題を作るための解説をします。
(5)実習(15分)
 作文課題の構想図、又は、算数・数学の似た問題作成の実習をします。
(6)保護者懇談(15分)
 生徒が実習している間、保護者懇談をします。毎回の参加は自由ですが、4週目だけはできるだけ参加してください。
(7)生徒の作品アップロード
 生徒が実習で書いた構想図、似た問題、家庭で行った実験や経験などを、次の週までにアップロードしておいてください。

■3月からのオンエア講座の教材

(1)必須の教材は、「これでわかる算数」「これでわかる数学」(文英堂。新学年分)
(2)任意の教材は、「これでわかる算数」「これでわかる数学」(先取り用に次の学年分)
  「理科好きな子に育つふしぎのお話365」(誠文堂新光社。小学校低学年から読めますが、大人でも読み応えがあります)
  「公立中高一貫校適性検査問題集全国版」(みくに出版。次年度版が毎年7月ごろ発売されます。難問に挑戦したい新小6生向き)

■3月からのオンエア講座の受講料

 受講料を月額2,160円とさせていただきます。(月4回参加の場合)

■3月からの変更点

 前半の作文の予習は、言葉の森の作文課題集をもとに行いますので、言葉の森の生徒、又は、森林プロジェクトの教室で受講している生徒が対象になります。

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森川林 20170121 1 
 寺子屋オンエアは、自主性と勉強習慣を育てるのが目標です。
 オンエア講座は、思考力と発表力を育てるのが目標です。
 この二つの土台の上に、作文で創造性を育てます。
 そして、自然寺子屋合宿でたっぷり遊ぶのです。
 新しい体制を作るために、2月はいったん休止し、3月から再スタートします。


nane 20170121 1 
 サーバの全面的な工事のため、2月はどうしても休止にしなければならなくなりました。
 どのくらい時間がかかるか、見通しは全くありませんが(笑)。


サーサ母 20170125  
いつもありがとうございます。
新小6の月曜、か水曜(17時~)希望です。どなたかいらっしゃったら!

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記事 2795番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/19
ますます重要になる作文力、その作文力の土台を3月からの「寺子屋オプション」企画で as/2795.html
森川林 2017/01/20 15:04 

 これからの入試では、解法の知識を詰め込むような勉強ではなく、思考力や表現力を育てるような勉強が要求されます。
 入試の形態も、一律の筆記試験ではなく、それぞれの個性を生かしたアドミッション・オフィス型の試験が主流になってきます。
 大学入試がそのように変わるのは、先進国の社会がそのような思考力、表現力、創造力のある人材を必要とするようになっているからです。
 そういう新しい学力を育てるために、小学生からの作文力育成はますます重要になってきています。
 言葉の森では、このような未来を見越して、35年間、作文専科の指導をしてきました。

■作文力の土台となる学力

 しかし、作文力は作文指導だけで身につくものではありません。
 作文は、その生徒の学力の集大成ですから、作文力として現れるものは、その生徒の全学力の結果です。
 作文力を山の山頂とすると、その裾野となる山麓を形成するものは、思考力、読解力、語彙力などを中心としたトータルな学力です。

■寺子屋オプション企画

 言葉の森では、作文力の土台となる学力育成を、学力テストや自習検定やオンエア講座などの形でこれまでさまざまに支援してきました。
 しかし、これまでの多様な企画の区別などがわかりにくいという面がありましたので、この3月からこれまでの企画を「寺子屋オプション」企画として整理統合して提供することにしました。
 寺子屋オプション企画の重要な柱は3つあります。それらは、(1)寺子屋オンエア、(2)オンエア講座、(3)森の自然寺子屋合宿です。
 このほかに、プレゼン作文、作文検定、自習検定、暗唱検定なども、寺子屋オプション企画の一部として利用できるようにしていきます。

■自主性と勉強習慣を育てる「寺子屋オンエア」

 学力をつける基本は、家庭での自学自習です。子供のときから、自分で計画を立てて勉強をする習慣をつけていると、学年が上がるほど学力がついてきます。寺子屋オンエアは、国語読解力を中心とした自学自習を、先生がオンエアで指導する仕組みです。
・週1回1時間程度(時間は自分で自由に選べます)
・月謝2,160円(料金を3月から改定しました)
・月~金の範囲で週何回でも選べます。
・勉強の内容は、指定の国語問題集読書を中心に、自由な教材で算数数学、英語、理科社会など。自習検定試験も行います。


■思考力と発表力を育てる「オンエア講座」

 作文力をつける土台は、作文の課題を事前に予習しておくことです。翌週の作文課題の解説をもとに構想図を書き家族と対話できる機会を作ります。
 また、これからは、国語力とともに、算数数学の力は必ず必要になってきます(文系でも数学が必修になります)。
 更に、これからの学力は、答えを見つける勉強ではなく、問題を作る力、それを発表する力を育てる勉強が必要になります。
 そこで、オンエア講座では、学年別に、これらの考える勉強、発表する勉強を行っていきます。
・週1回45分程度(曜日時間は指定されています)
・同学年6~7名のグループ学習
・月謝2,160円(料金を3月から改定しました)
・勉強の内容は、読んでいる本の紹介、作文の予習、考える算数(当該学年分と先取り学年分)、構想図と似た問題作成の実習、それらの発表、保護者懇談、寺子屋オンエアの勉強の質問相談など。


■自然や友達との触れ合いの中で学ぶ「森の自然寺子屋合宿」

 日中は自然の中で友達たちと遊び、朝と夜は寺子屋形式で勉強をする合宿です。
 2泊3日を1単位として、夏休み中何泊でも参加できます。
 祖父母も含めた三世代の参加も受け付けます。
 7月22日~8月31日の予定です。夏休み以外の土日合宿も計画しています。


■その他の寺子屋オプション企画

 言葉の森では、このほかに次のような企画を行っていきます。
 いずれも、パソコンを使うことが多いので、パソコン練習の企画も並行して行っていく予定です。
・プレゼン作文
・作文検定
・自習検定
・暗唱検定
・パソコン練習企画

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森川林 20170120 1 
 昔、私が高校生だったころは、一般入試がほとんどで、推薦入試というのは例外的でした。
 しかし、今後の入試は、紙の上だけの試験ではなく、アドミッションオフィス入試などで、その生徒の真の実力と個性を見る方向に進んでいきます。
 すると、成績だけでない全人間的な実力が必要になってくるのです。


nane 20170120 1 
 低学年の作文は、大人が直せばすぐ上手になります。
 だから、そこで直さないことが大事なのです。
 そのかわり、作文の土台となる読書や経験や対話に力を入れていくといいのです。


namura 20170121 10 
今自分が小学生だったらいいなといつも思います。子供以上に自分が参加したい企画ばかりです。

jun 20170121 2 
3月からが楽しみです。

jun 20170121 2 
夏合宿、これまで以上に盛り上がりそうですね!

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記事 2794番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/19
賢い子を育てる、お母さんの科学的関心 as/2794.html
森川林 2017/01/16 04:30 


 子供が、最初に接するのは、両親、特にお母さん、そしてお父さんです。
 子供は両親を通して、社会に接していきます。だから、親の関心が子供の関心に結びつくのです。

 親が科学的なものの見方に関心を持っていれば、子供もそのような関心を通して世の中を見るようになります。
 これが、賢い子を育てる出発点です。
 本を読んだり、勉強をしたりする以前に、子供が親の関心に自分の関心を重ね合わせることが大事なのです。

 しかし、もとから科学好きな親ならまだしも、多くのお母さんは科学的なことにはあまり関心がないと思います。
 そこで、使えるのが、子供向けの科学の本です。

 子供と一緒に科学の本を読んでいると、「へえ、そうなんだ」と、世の中や自然の現象についての新しい理解に感心することがあります。
 特に、自然界は、科学的な考え方の宝庫です。
 自然の中にあるものは、どれもそれなりに必要な科学的裏付けを持って成り立っているからです。

 これに対して、人間社会の現象は、にぎやかな話題が多い割に、科学的な裏付けを通して理解するということはあまりありません。

 また、一般に勉強と言われるものも、科学的なものの見方にはあまり結びつかないものがかなりあるのです。
 特に、成績にすぐに結びつくような勉強は、知識と手続きの理解でなりたっているので、それはそれでとても必要なことなのですが、子供を賢い子にするということにはあまり結びつきません。
 むしろ、勉強の時間が多すぎると、勉強以外の読書や遊びや対話の時間が減る場合もあり、その方が子供の成長にとってマイナスになることもあるのです。

 最近出た科学の本として面白いと思ったものは、「理科好きな子に育つふしぎのお話365」(誠文堂新光社)です。
 390ページもあり、結構重たいので、読み聞かせに使うとしたらお母さんはかなり大変です。
 しかし、ルビがふってあるので、ある程度お母さんが読み聞かせをして、子供が興味を持てば、続きを自分で読むようになると思います。

 科学の本の選び方として大事なことは、ただ知識が書いてあるだけでなく、因果関係のような構造が書いてあることです。
 科学の本とは少し違いますが、時事問題などでも、事実の経過が重要なのではなく、その背後にある因果関係の解説が大切です。しかし、世の中にある時事問題に関する本でそういう観点で書かれているものはあまり多くありまぜん。

 知識が大事なのではなく、その知識の背後にある科学的な関係を知ることで、知的な好奇心が刺激されることが大事なのです。

 以上のような科学的関心について考えたのは、ドクター・中松さんの「私は死んでる暇がない」を読んだのがきっかけです。
 これも、とてもいい本ですから、子供向けではありませんが、ぜひ多くの方におすすめしたいと思います。

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nane 20170116 1 
 今行っている、小学1~3年生を対象にした科学的な本の読み聞かせがなかなか面白いので、今度その講座をもっと広げていく予定。
 読み聞かせの得意な人は多いと思うので、そのうち募集したいと思います。


森川林 20170116 1 
 子供が最初に接するのはお母さんです。
 だから、子供を賢い子に育てようとするるなら、勉強をさせるよりも前にまずお母さんが世の中を知的な関心を持って見ることです。
 そして、その知的な好奇心を子供と共有するのです。


namura 20170116 10 
子供と一緒に関心を持つことで、親以上に子供の関心は高まりそうですね。

jun 20170116 2 
賢い子供を育てるためには、親自身が向上心を持ち、視野を広げることが大事ですね。

mae 20170116 9 
この本と同じような感じで「頭のいい子を育てるおはなし366」を持っています。ちょうど1年かけてもうすぐ読み終わるところなので、今度はこれを読み聞かせてみようと思います。

touko 20170117 77 
母親は、子育ての中で、自分の関心ごとの影響の大きさをあまり自覚できていないかもしれません。
この記事を読んで、ハッとしました。

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記事 2793番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/19
自主性、創造性、思考力、発表力を育てる「寺子屋オプション企画」を春から再編成 as/2793.html
森川林 2017/01/15 13:35 


 言葉の森は、これまで約35年間作文指導をしてきました。
 その中で、いろいろな実績を上げました。しかし、中に、はっきりした成果の出る子もいましたが、なかなか成果の出ない子もいました。

 その原因は何かと考えてみると、成果の出ない子は、作文の土台となる読む力が弱かったのです。
 氷山のたとえで言うと、水面よりも上の部分は、作文という形で表面の現れるところです。しかし、水面下には、その見える形よりも何倍もの読む力や学力や語彙力や経験力があったのです。

 そこで、言葉の森では、作文指導の途中の時期から、音読や暗唱の教材を作り、おすすめ図書の一覧表も作り、問題集読書のアドバイスをし、さまざまな方法で読む力をつけるアドバイスをしてきました。子供とお母さんやお父さんが、作文の課題について対話をすることの重要性も話してきました。

 ところが、ここで新たな問題が出てきました。
 それは、最初はそのアドバイスに沿って家庭学習を始めた子が、数日で飽きてやめてしまうことが多いということです。
 そして、自習を続けるかどうかで、子供と親の言い争いになったり、更には、お母さんとお父さんの言い争いになったりするようなこともありました。

 こちらが、「音読は大事ですから、必ず朝ごはんの前にやってください」などと言えば言うほど、「子供がやらないんです」「親子の喧嘩になってしまうんです」「もう、私もくたびれました」などという相談が増えてきたのです。
 そこで、こちらもだんだん言い方をセーブし、「音読はできるだけやってください」などと言うようになっていったのです。

 しかし、氷山の上が作文の力、氷山の下が、読む力を中心とした学力全体という構造は変わりません。
 そこで、いろいろ試行錯誤をしているうちに、googleハングアウトやskypeという、双方向のメディアがクラウドのサービスとして利用できることに気がつきました。
 これらのクラウドサービスを利用すれば、読む力をつけるための自習も、家庭に任せっぱなしにせず、先生がチェックすることができます。
 特に、国語の問題集読書などは、家庭の中だけで続けることはかなり難しいものですが、skypeのビデオメッセージなどで送ってもらうような形であれば、かなり楽できるようです。

 そこで、今後の作文指導は、氷山の上の部分は通常の作文指導、氷山の下の部分は、「寺子屋オプション企画」というふうに分けてやっていこうと考えたのです。
 しかし、これまでやってきた寺子屋オプション企画は、いろいろな講座やイベントが重なって、一部が重複したり区別がわかりにくくなったりしていました。
 また、これはたまたま時期が重なったということですが、サーバの移転に伴う引越し作業が1月から始まってしまいました。
 そこで、寺子屋オプション企画の再編成とサーバの引っ越しを兼ねて、現在行っているさまざまな企画をいったん休止し、引っ越しが終わったあとに新しい仕組みで再スタートするようにしたいと思いました。

 今後の寺子屋オプション企画の中心になるものは、3つあります。
 第一は、寺子屋オンエアです。これは、自学自習によって学ぶという企画です。
 第二は、オンエア講座です。これは、発表と交流の中で学ぶという企画です。
 第三は、自然寺子屋合宿です。これは、自然と人間との触れ合いの中で学ぶという企画です。
 このほかに、小さな企画としては、プレゼン作文発表、作文検定、暗唱検定、自習検定などがあります。
 いずれも、googleハングアウトやskypeを使うことが多いので、これらの使い方を練習する場も設けていきたいと思っています。
 この春から、作文指導と寺子屋オプション企画の二つを組み合わせて指導していく予定です。


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nane 20170115 1 
 オンエア○○というと、それだけで、「私はパソコンが苦手だから」とあきらめてしまう人がかなり多いのです。
 その気持はわかります(笑)。
 しかし、いずれも、「案ずるより産むが易し」です。
 もともと人間のやっていることですから、やりだせばみんな何とかなるのです。


森川林 20170115 1 
 先日、保護者の方から、「作文の勉強なのに、どうしてオンエア講座のようなものに力を入れているんですか」と質問されました。
 それは、作文だけの勉強で作文を上達させるのは限界があるからです。
 例えば、流れるような文章を書ける子は、例外なく読書好きです。
 それを、ぎくしゃくした書き方をしている子に、「この子のように書いてごらん」と言っても、かえって作文の苦手意識を強めるだけです。
 だから、作文の土台となる読む力は、作文とは別につけていかなけれがなりません。
 しかも、それを無理なく楽しく続けられるように工夫することが必要なのです。


jun 20170116 2 
新しい仕組みが楽しみです。

namura 20170117 10 
国語力は、全ての科目の土台ですね。

どんぐりかあさん 20170126  
先日、資料請求しました年長児保護者です。資料届きました、ありがとうございます。
うちの小6男児がまさしくこの記事通り、暗唱はすぐに飽き、音読のことで喧嘩になり…。1年生から続けた言葉の森の通信講座は去年やめてしまいましたが、やはり読解力が非常に乏しく、中学入学目前となった今また再開したいと親は(^_^;)思っています。
学校の宿題に忙殺され作文提出が難しくなり やはり通信を辞めてしまった高校生の娘は、受講6年間に力をつけていただいたので、小論文のテストでは労せず高得点を取っています。
中学以降の歯応えのある課題に、休み休みでも食らいついてきたからだと思います。

寺子屋オンエアのような、知らない子と繋がることはあまり好まない小6男児を、再開にどう誘導するか思案中です(^_^;

森川林 20170126  
 どんぐりかあさんさん、コメントありがとうございました。

 暗唱や音読を続けるコツは、それを始める時刻を決めること、その最中に決して注意しないこと、です。
 日によって開始時刻が変わったり、ほんのちょっとしたことでも注意すると(親は必ずと言っていいほど注意したくなるときがありますが)、続けられなくなります。

 新中1の場合、(1)高校入試でも大学入試でも今後の入試は記述力・小論文力が要求されるようになるので、本人がそういうことに気がついたら再開を促してみるといいです。(2)中学生の勉強の基本は、親が内容を把握していることです。中1になったばかりなら内容が簡単ですから、この時期から勉強を見てあげるといいと思います。
 がんばってください。

 新小1の子は、新しく始まるオンエア講座に参加すると、楽しくできると思います。これはおすすめです。

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中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
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●公立中高一貫校の作文合格対策
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