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記事 872番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/29
競争の教育から創造の教育へ as/872.html
森川林 2010/04/20 10:38 


 これからの時代に求められる教育は、エキサイティングな教育、わくわくする教育です。人生は、好きなことをして生きるためにあります。その人生につながるものとして、勉強することがあります。勉強することは本来楽しいものです。

 高校生になると、だれでも勉強というものに対する向上心を持つようになります。しかし、自然に向上心を持てるようになるためには、小学校低中学年で、勉強を競争や賞罰だけのものにしないことが大事です。それは、勝ち負けの喜びに適応しすぎると、学ぶ喜びをかえって感じにくくなってしまうからです。

 スポーツには、勝ち負けがあります。しかし、それは、勝ち負けが成り立つようなルールの中でスポーツが行われているからです。スポーツは、人工的なゲームで、そのゲームの中で勝ち負けがあることによって技術の向上があるという仕組みになっています。

 勉強も、テストという人工的なルールの中で、競争が向上につながる面を持ちます。しかし、このテストというものの弊害は、ひとつには勉強が狭い範囲に限定されてしまうことです。例えば、テストに関係のない科目は手を抜くというような発想がどうしても出てきます。もうひとつの弊害は、テストによって、勉強というものが本来持つ向上心の喜びを感じることが遅くなるということです。

 学問は、もともと、テストのような人工的な枠に限定されたものではなく、無限の可能性を持つ自然のようなものです。すると、その無限に開かれた自然と関わる方法は、個性と創造性を発揮することです。つまり、勉強の究極の姿は、個性と創造性を生かして学ぶものなのです。

 その個性と創造性を開花させる土台として、小中学校、そして高校の教育があります。だから、この教育という基盤(インフラ)は、全員が全教科の満点を目指すものでなければなりません。しかし、現状は、教育というインフラにおいて、テストによって点数の差をつけることが目的になり、その目的を達成する手段が競争になっています。

 なぜ教育で競争が行われるかというと、それはこれまで、進学先の学校の入学者に定員があったからです。なぜ入学者に定員があったかというと、社会における職業の地位に定員があったからです。

 しかし、インターネットの時代には、定員というものは次第に意味がなくなります。勉強については、学校で勉強するという選択肢を超えて、インターネットを利用して自由に学び、自由に発信できる環境が生まれています。また、職業については、世の中が今よりも更に豊かになると、生活のために職業につくという選択肢を超えて、自分で自由に起業をするという生き方ができるようになります。そういう時代に必要な教育が、全員満点の教育を土台にした個性と創造の教育なのです。

 この教育は、三つの方向で考えることができます。

 第1は、すべての子供たちにトータルな基礎学力をつけることです。基礎学力をつける学び方の基本は、学ぶ対象を受け入れることです。したがって、小中学校の勉強の中心は、模倣の勉強になります。この模倣によって、全員が、早い遅いの違いはあっても満点をとるような教育をしていく必要があります。もちろん、ゲームのようなものとしてテストによる競争も生かす仕組みも残りますが、テストでよい点をとることは、勉強の目的ではなく、余興のようなものになっていくと思います。

 第2は、楽しいこと好きなことをして生きる力を育てることです。そのためには、自然、人間、社会、事物というリアルなものの中で生きていくことが大事です。バーチャルなもの、つまり、テレビ、ゲーム、本、インターネットは、人間の生活においてあくまでも二次的なものです。しかし、このバーチャルなものにおいても、自分から働きかけることのできるものはリアルな面を持ちます。例えば、絵をかく、作文を書く、プログラムを作るなどということは、バーチャルな世界におけるリアルな行動です。これからの教育に重要な要素は、受身で感じたり理解したりすることではなく、自ら作り出すことです。楽しく生きるために、実物の世界を中心に、作る教育を行っていくことが重要になります。

 第3は、創造性を発揮するということです。そのためには、創造や個性に対する前向きな評価が社会にあることが条件になります。そして、発表する場があることが大切です。つまり、これからの学習のスタイルの大きな特徴は、発表する勉強が中心になるということです。

 以上の、全員全教科満点、作る勉強、発表する勉強がこれからの教育のキーワードになっていくと思います。

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読書ノートに四行詩を書く勉強 as/871.html
森川林 2010/04/19 12:01 



 言葉の森の通学教室では、現在、希望する生徒を対象に、付箋読書や問題集読書のあと、読書ノートに四行詩を書く練習をしています。これは、将来、通信教室でもやっていく予定です。

 力のある生徒は、四行詩で抜き書きをするときも、なるほどと思うところを抜き書きしてきます。また、感想を書くときも、内容をよく把握した感想を書いてきます。

 次の例は、中学1年生の生徒が書いた四行詩です。


 ディズニーアニメーションの本質は、
 夢と魔法と感動だ。
 その中でも魔法は多い。
 そこは大きな見せ場である。


 私もかつて一個の子供、
 親との対話は望まない。
 必要なのは対話でなく、
 子供の前にどんな人間として現れるか。


 中学1年生の生徒が、「ディズニーアニメーションの本質は、夢と魔法と感動だ」とか、「必要なのは対話でなく、子供の前にどんな人間として現れるか」などと、自分の考えで書くようなことは普通ありません。しかし、問題集の文章に引かれる形であれば、こういう文も自然に書けるのです。自分で考えて書くのでもなく、単なる書き写しでもなく、自分なりによいと思ったところを発見して書くというのが、読書ノートに書く四行詩のポイントです。

 四行詩は、抜き書きでもよいので、だれでも書けるという易しいところがあります。しかし、実力に応じていくらでも深く書けるというところもあります。また、作品として完成させるという創造性もある点で、楽しい勉強だとも言えます。そして、よい文を発見することで、そういう文を味わう力や表現する力が身につきます。

 今後、毎日の付箋読書や問題集読書のあとに、四行詩を書く習慣がつけば、子供たちの日記を書く習慣にもつながっていくと思います。

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作文の勉強における感受性とは何か as/870.html
森川林 2010/04/18 18:04 



 言葉の森の勉強の目標は、子供たちの個性、知性、感性を育てることです。

 個性とは、創造性と言い換えてもいいでしょう。

 知性とは、思考力と言い換えることもできます。それは、知識を自分の考えに構成することのできる力です。

 感性とは、感受性と言い換えることもできます。しかし、感受性とは何でしょうか。

 感受性は一般に、美しいものに対して感動する力と考えられています。例えば、忠犬ハチ公が主人の帰りを待っている姿を見ると、多くの人は心の中にじんと来るものを感じます。しかし、それは、白い犬の姿が美しいからではありません。その待っている姿が美しいからです。つまり、信じることや耐えることという抽象的なものに対する感動が、感受性です。感受性とは、美に対する感受性というよりも、物事の中に美を見出すことのできる感受性だと言えます。

 明治37年(1904年)の尋常小学校2年生の修身書(修身の教科書)に、次のような文章があります。


   だい十九 ひろいもの

 まさおが、ひろったかねを、おとしたこどもにかえしています。

 ひろいものを、じぶんのものにしてはなりません。

   だい二十 いきもの

 まさおのいもうとが、ねこをいじめているのを、まさおがみつけてとめています。

 いきものをいじめてはなりません。


 日本では、物を落としても、拾った人が届けてくれるという文化があります。また、生き物をかわいがるという文化があります。

 しかし、それは決して日本人のDNAにある先天的なものではありません。この修身の教科書に見られるように、先人たちのたゆみない努力の中で形成されてきたものです。

 感受性もまた、そういう教育の中で育まれていくものだと思います。

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対話のある作文の勉強で、父母の歴史を学ぶ as/869.html
森川林 2010/04/17 11:14 


 言葉の森の作文の勉強は、対話ができることが特徴です。小学校低中学年の場合は、長文を読んでいるときに、その話題に合わせて親が話をしてあげることができます。

 しかし、長文の音読では、その場に父親や母親がいなければ聞いてあげることができません。暗唱であれば、父親が会社から遅く帰ってきたときでも、そこで子供の暗唱を聞いてあげることができます。平日に聞けない場合は、日曜日にまとめて聞いてあげることもできるでしょう。また、田舎に遊びに行ったとき、おじいちゃんやおばあちゃんの前で暗唱を聞いてもらうこともできます。

 そこから話が始まります。例えば、小学校3年生の暗唱長文に、「モグラの話」があります。それを聞いたあと、「あ、お父さんも子供のとき、モグラをつかまえたことがあるなあ」。すると、母親も、「あ、お母さんも、モグラを見たことがある」。それを聞いていたおじいちゃんが、「おじいちゃんなんか、モグラを飼っていたぞ」(ということはないでしょうが)と話が進んでいきます。

 小学校3年生以上では、題名課題の作文が出てきます。この題名課題の表現項目の中に、「聞いた話、似た話」があります。小学校5年生になると、更に難しい感想文課題が中心になり、やはり「似た例」が出てきます。この「似た話」の部分で、父や母や祖父母が、自分の経験を話して聞かせてあげることができるのです。

 すると、それらの話の中で、必ず親の自慢話が出てきます。最初は失敗談のような話でも、だんだん自慢の話になってきます。実は、そこが大事なのです(笑)。普通、赤の他人の前では、自慢話はできません。ところが、子供は喜んで父親や母親の自慢話を聞いてくれます。時には、「またか」と思いながら聞くこともあるでしょう。しかし、子供は、そこから自分の生き方の理想像を見つけていくのです。

 だれでも、よりよく生きたいという規範意識を持っています。この規範意識を育てるのが、両親の尊敬できる歴史です。それは、日本人の祖先の尊敬できる歴史を学ぶということにもつながっているのです。

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予測される経済危機に対応して、子供の教育を進めるには as/868.html
森川林 2010/04/16 04:54 



 現在、予測されているものは、中国のバブル崩壊、米国のドル破綻、日本の財政破綻です。いずれにしても、国内に流通するお金が急速に収縮することが予測されます。すると、食費や住居費のような必要最低限のものにしかお金が回らなくなります。

 しかし、子供の教育は待ってくれません。そこで、家庭教育の充実が求められるようになります。しかし、多くの家庭では、子供の教育の経験が少ないので、その方法がわかりません。算数数学の計算練習をしたり、漢字の書き取りをしたり、市販の問題集を解いたりするような勉強ももちろんよいのですが、家庭学習で本当に大事なことは、国語力を中心に、理解力、思考力、表現力を育てていくことです。

 ここで、言葉の森は、家庭での自主教室というものを考えています。言葉の森の通信教室が受講できなくなった人が、家庭で自分の子供を対象に自主的な作文教室を開くのを言葉の森が援助するという仕組みです。家庭なので、自分の子供と、同学年の近所の子供2、3人を教えるような形です。勉強の内容は、作文を中心にした、暗唱、読書、他教科の学習などです。

 言葉の森では、この家庭の自主教室の生徒向けに教材を作り、自主教室の先生向けに指導マニュアルを作り、そこに言葉の森が講師が指導法を定期的にアドバイスするという形で学習を援助をしていきます。ここに奨学生制度を組み合わせれば、どのような経済危機にも対応して、子供の教育を進めることができます。

 経済危機をわかりやすくたとえると、次のようなことになります。

 日本の社会という大きな木がありました。養分を吸い上げる最も太いと思われていた枝が、実は腐っていました。ある日、その枝がポキンと折れてしまいます。その木は、残った細い枝で何とか生きていかなければなりません。ここで、必要最小限のことだけをして生き延びようとすれば、木全体の回復は遅くなります。大事なのは、細い枝をフル回転させて、木を活性化することです。すると、やがて細い枝が太い枝に変わっていきます。

 経済の危機だからこそ、これまでの古い物質的な価値観を捨てて、教育や文化や科学という、より人間的に価値あるものにお金を回して育てていく必要があるのです。

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