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国語の記述問題にどう取り組むか as/1225.html
森川林 2011/04/04 14:10 


 小学校高学年の生徒のお父さんやお母さんからときどき質問されるのが、記述問題の勉強の仕方です。塾の模擬試験などを受けると、記述問題の答えは一応書けているが小さな減点のあることが多く、親がどういうふうに説明していいかわからないというのです。

 しかし、これは、実は採点している人もよくわかっていないことが多いのです。模擬試験の記述問題の採点や小論文の採点は、かなり割り引いて考える必要があります。

 高校生の場合、入試直前に小論文の模試を受けて、それが予想以上に悪い点数だとかなり落ち込んで見せに来ることがあります。しかし、そういう子が入試の小論文の本番ではほとんど合格しています。模試の採点の仕方を見ていると、文章全体の構成力(思考力)よりも、ちょっとした表現の巧拙から感じられる雰囲気で点数がつけられているような感じがします。

 中学入試の問題の場合は、単純に、親が説明できないようなことは、子供ができなくても大丈夫と考えていくぐらいでいいと思います。



 先日は、小学6年生の生徒本人から、「記述問題がうまく書けない」と質問がありました。東京都のある公立中高一貫校の昨年の問題と模範解答がインターネットに載っているのですが、その模範解答のような文章が書けないというのです。そこで、インターネットでその模範解答を見てみると、その子の書いた文章よりも模範解答の方がレベルが低かったのです。なぜそういう解答が載っているのかわかりませんが、この模範解答ではかえって減点されるだろうと思いました。

 同じようなことは、大学入試の場合はもっと頻繁にあります。東大の国語の入試問題は、すべて50字や100字の記述問題です。東大の過去問ですから、模範解答にも力を入れているはずですが、実際には教室で勉強している高校3年生が書いた解答の方が、模範解答の文章よりも優れているということがときどきあります。



 では、記述の勉強は、家庭ではどのようにしていったらいいのでしょうか。

 第一は、読む力をつけることです。読む力をつけるためには、入試問題に出てくる文章を読みなれておくことが必要です。できれば、その文章を読んで親子で対話して理解を深めておくといいでしょう。

 第二は、書く力をつけることです。これは、書きなれるということです。例えば、国語の問題文を読み、それについて、50字なら50字と決めて、すばやく感想を書くというような練習です。この場合、あれこれ考えたり、読み返したり、書き直したりせずに、一気に50字書く力をつけていきます。この、すばやく必要な字数まで書くというのは、考える力があるだけではできません。やはり、書きなれていることが必要になります。

 子供が書いた記述の解答を親が見るときに、どういう点に注意しておくかというと、まず内容が大体合っているかどうかです。次に、密度濃く書いてあるかどうかです。これは、同じ表現や同じ内容が繰り返されていないということです。そしてもうひとつは、必要な字数の最後の方まで埋めているかどうかです。記述問題の解答で半行以上スペースが空いているのは、文章力がないということになります。

 記述問題の練習は、書きなれることが大事ですから、質よりも量で勉強していきます。ですから、親が見るときもあまり細かいところまで見る必要はなく、大体の内容、密度の濃さ、文字数をどこまで埋めたかという三つの基準で簡単に見ていくといいと思います。

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公立中高一貫校の勉強は家庭の対話で as/1224.html
森川林 2011/04/02 11:18 


 公立の中高一貫校を設置する県が年々増えています。

 この入試は、塾で受験用の勉強をしないと入れないような問題は出さないという方針で行われています。だから、問題を作成する方は大変だと思いますが、考える力を試す良問がかなりあります。

 公立中高一貫校の作文試験も、最初のころは、初歩的な題名課題が出されていましたが、最近は、複数の文章や資料をもとに、短い時間で長い文章を書かせるような形のかなり難しいものになっています。



 この公立中高一貫校の試験対策は、どのようにしたらいいのでしょうか。

 いちばん大事なことは、考える力を見る入試問題に対応できるような思考力をつけるということです。そして、難度の高くなった作文試験に対応するために、時間内に必要な字数の作文を書く練習をしておくことです。作文力のもとになるのは思考力ですが、作文試験対策はただ考える力があるだけでは不十分で、やはり書きなれておくことが大切です。



 思考力をつけるような勉強は、学校や塾の一斉授業ではなかなかできません。それは、思考力というものが、それぞれの子供の個性に根ざした個人的なものだからです。

 ある程度パターンの決まった勉強であれば、「こういう問題は、こういう解き方で考える」というような教え方ができます。しかし、公立中高一貫校の試験は、考える力を見るために、あえてパターン化できないような問題を出しています。

 ここで生きてくるのが、家庭での対話です。一般に、両親とよく話をする子は、同年代の子供と比べて思考力が高くなります。特に、小学校時代は、本を読むよりも親と話をする方が考える力が育ちます。それは、親が子供の理解度に応じて話をすることができるからです。大人との会話の中で、自分の知っている知識の周辺により高度な語彙があるのを知ることが思考力を育てることになります。



 したがって、中高一貫校の試験対策は、家庭で次のように取り組むことができます。

 まず、全国の中高一貫校の入試問題の過去問を買ってきます。全国ですから、かなり分量があります。その中から1問ずつ取り出し、親子で読み合わせてディスカッションをするのです。しかし、親と子だけの話では、親が一方的に話すことが多くなり、対話の密度が薄くなります。できれば、父親と母親と子供(兄弟がいればもちろん兄弟も)で、いろいろな立場から意見が交わせるようにします。

 父と母がそろう時間がなかなかとれない場合は、近所の同じ学年の子供と親で集まって話をしてもいいと思います。こういう対話は、慣れてくると、知的で創造的で人間どうしの交流も図れる楽しい時間になります。

 そして、このようにして育った子供は、成長して大人になったときに、やはり自分の子供に対していろいろな対話のできる親になっていきます。家族での対話は、子供の思考力を育てるとともに、家庭の文化をつくるという役割も持っているのです。

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