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創造性を育てる作文 1 as/1542.html
森川林 2012/05/15 20:23 



 作文の勉強をする目的は何でしょうか。

 フランシス・ベーコンは、「書くことは人間を正確にする」と言いました。確かに、書くことによって自分の認識を再確認する役割が確かに作文にはあります。しかし、それだけではまだ十分ではありません。
(Reading makes a full man, conference a ready man, and writing an exact man.)


 小学校低中学年のころの作文の目的は、「正しく書く練習」です。ただし、正しく書くことだけを直接の目的とすると、作文の勉強はつまらないものになりますから、楽しく書くことを通して正しい書き方も身につけていくという勉強の仕方になります。

 やがて学年が上がり、小学校高学年から中学生になると、書く内容が難しくなってきます。自分の身近な話題を取り上げる生活作文から、もう少し大きく人生や社会の話題を取り上げて書くようになります。このときに大事なことは、難しい内容をわかりやすく書くことです。中学生になると、今の授業時間の関係で作文の勉強というものはほとんどなくなります。そのため、中学生や高校生の中には、小学校で勉強したままの文章力にとどまっている子もいます。言葉の森では、中学生からは意見文を書く練習をしていきます。これは、自分の意見を相手にわかりやすく伝える練習です。そのため、構成を重視して、理由や実例や意見を明確に書く練習をします。これがちょうどベーコンの正確に書くことにあたるでしょう。この書き方がしっかりできれば、作文の勉強は、社会に出てからも役立つものとなります。

 しかし、正しく、わかりやすく書くだけでは、まだ十分な文章力とは言えません。高校生になると、正しさやわかりやすさは身についているので、次は美しく書く練習です。意見文であっても、ただ正確に書けばよいというだけでは味気ない文章になってしまいます。文章の役割のひとつは、説得力を持つことですから、わかりやすいだけでなくそこに読み手の感情に結びつくような美しさの要素も必要になるのです。

 さて、正しく、わかりやすく、美しくという文章の要素にもうひとつ付け加わるのは、「速く」という要素です。作文や小論文の試験があったときに、必要時間内に必要字数を書く力は欠かすことができません。言葉の森で作文の勉強をすることによって、「正しく、わかりやすく、美しく、速く」書く力を身につけていくのです。

 しかし、ここまででとどまるなら、特に際立った目標とは言えません。作文の勉強の本当の目的は、この先の「創造性を育てる」ということにあります。そして、この創造性を育てることこそが、これからの教育の最も重要な柱になっていくものなのです。(つづく)

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本当の語彙力は作文でわかる as/1541.html
森川林 2012/05/14 19:24 



 経済産業省の調査によると、企業の人事担当者と大学生のそれぞれが考える社会人としての重要な力はかなり隔たりがあるということです。大学生が、語学力や業界の専門知識やパソコンの技能を重視しているの対して、企業の人事担当者はそういう能力はほとんど評価していません。逆に、大学生がそれほど重視していない主体性やコミュニケーション力を、企業の人事担当者は最も重視しています。つまり、社会に出てから大事なのは、自分で考えて自分から進んで行動し、その考えや行動を周囲に伝えるコミュニケーション力だということです。

 このコミュニケーション力の土台となっているものは語彙力です。この語彙力は、国語の成績にだけ関係があるのではありません。小5と中2の生徒を対象にした調査では、語彙力は、算数(数学)、理科、社会の成績とも深い関連を持っているということです。つまり、語彙力とは学力全体と深い関連があるのです。


 言葉の森の生徒の様子を見ていると、この語彙力は、小学校低学年のころから既に大きな個人差があるようです。しかし、それは日常生活では目立つような差として出てきません。また、小学校低学年のころは、語彙力と成績の関係はまだはっきりとはわかりません。しかし、学年が上がるにつれて、語彙力のある子の方が成績がよくなっていきます。語彙力がある子は、思考力のある子だからです。


 では、子供たちの語彙力を知るためにはどういう方法があるのでしょうか。それが作文の中の語彙を見るという方法です。言葉の森の作文は、パソコンで入力すると、森リンという自動採点ソフトで語彙の種類を集計し表示するようになっています。ここで出てくる点数は、その作品の点数というよりも、その作文を書いた子供の作文力の点数です。どの子も、学年が上がるにつれて、この点数が少しずつ上がっていきます。そして、森リンの点数の高い子は、作文だけでなくどの教科の成績もいいという傾向があるのです。

 もちろん、森リンも、人間が意識的に難しい言葉を使って作文を書くと点数を上げることができます。しかし、あまりわざとらしく難しく書くと、バランスが悪くなり逆に点数が低くなります。何よりも、人間が読んで普通に読める文章であることが大事で、人間の目と森リンの採点の両方を使えば、その子の今の作文力がかなり正確にわかります。


 では、この語彙力を高めるにはどうしたらいいのでしょうか。作文の中に使う語彙の種類を増やすためには、語彙だけを単独に覚えても役に立ちません。知識として知っている語彙と、自分の書く文章に使える語彙では、その習熟度に違いがあるからです。

 語彙力を本当に増やすためには、その語彙を意味のある文脈の中で理解する必要があります。そのための最も有効な方法は、平凡ですが読書なのです。その読書も、自分のこれまでの語彙をほんの少し上回るような読書にしていくことが大事です。しかし、小学校4年生のころまでは、あまり難しい本を読んで読書量が少なくなるよりも、たくさん読むことによって速読力を身につけていくことが必要になります。小学校高学年から、中学生、高校生となるにつれて、だんだんと難しい本を読むようになると、それにつれて作文の語彙も増えてきます。そして、その語彙力に比例して考える力がつき学力そのものがついてくるのです

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