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記事 2139番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/19
暗唱とは、覚えることではなく繰り返すこと as/2139.html
森川林 2014/05/13 05:45 



●暗唱とは覚えることではない

 暗唱とは、覚えることだという誤解があります。これは、現代の教育の「記憶の再現が勉強である」という考え方の後遺症です。

 記憶したことをそのまま再現することが勉強の目的になっているので、一夜漬けなども生まれるのです。

 勉強は、実力をつけるためのものであって、点数を取るためのものではありません。唯一の例外は受験です。受験の目的は点数を取ることだからです。しかし、この受験勉強が、日常化し、低年齢化しているところに問題があります。

 子供が悪い点数を取ってきたら、弱点がわかってよかったと喜ぶのが本当の姿です。しかし、多くの人は、点数が悪いときに、子供と一緒にショックを感じてしまうのです。

 なぜ、教育の場で点数が付けられるかというと、勉強を無理して教えているからです。勉強は、教えられてやるものではなく、自ら学んでいくものです。勉強とは、よい点数を取るためのものでもなく、褒めてもらうためのものでもなく、自分を向上させるためのものだということを子供に伝えていく必要があります。

●繰り返すことによって身体化する言葉

 さて、暗唱は、覚えることではないと書きましたが、暗唱を繰り返していると、結果的に自然に覚えるようになります。それは、自分の好きな歌謡曲を何度も繰り返し歌っているうちに、その歌詞を覚えてしまうのと同じです。

 そのようにして、覚えようとせずに覚えた言葉やメロディーは、日常生活の全く関係のない場でふと出てくることがあります。

 同じように、暗唱を繰り返していると、そのひとつのフレーズが日常の場面で出てくることがあります。そのときに出てくる言葉は、頭の先で覚えた知識の言葉ではなく、自分の内側から出てきた身体化された言葉です。

 これが、その人の表現力になります。こういう本当の表現力を増やすことが、人生を豊かにしていくのです。

●道徳教育のあり方

 こう考えると、道徳教育のあり方なども、また別の視点から見えてきます。

 現在、道徳教育の復活がさまざまなところで叫ばれています。道徳教育の必要性は、誰でも多かれ少なかれ感じています。しかし、その方法に問題があるのです。

 もし、道徳の教科書を読ませて、覚えた知識を再現させるテストをして、いい点数を取ったとしても、それで道徳が身についたとは言えません。こういう目的と方法のずれが、道徳教育という言葉を滑稽なものに感じさせる面があるのです。

 道徳教育の方法は、知識の再現をするようなやり方ではなく、よい言葉、よい行いを反復させることにあります。反復とは、ただ繰り返すだけで、評価をするものではありません。

 同じ言葉、同じ行為を繰り返していると、それが日常のある場面でふと自然に出てくることがあります。これが、その子にとって身体化された道徳なのです。

●貝原益軒の暗唱法は百字を百回

 同じことが、作文の表現にも言えます。よい表現を反復して暗唱していると、忘れたころにその言葉が出てくることがあります。

 しかし、そのためには、反復の回数を増やす必要があります。貝原益軒は、百字の文章を百回読むという勉強法を提唱しました。しかし、現代では子供も親も、そのような回数の多い反復はまずできません。だから、言葉の森では、百字を30回、三百字を10回、九百字を4回で、合計百回読めるような方法で暗唱しているのです。

 それでも、「30回も読んでいられない」という声をよく聞きます。確かに、小学校低学年の易しい文章では、百字の文章でも10回ほど読めば空で言えるようになります。しかし、そのときに、「覚えたらよい」と考えるのではなく、ある回数を繰り返すことが大事なのだと考えることが大切です。

 だから、30回が負担であるならば、20回や10回という回数でもいいのです。つまり、大事なことは、覚えたかどうかという結果ではなく、決められた回数を繰り返すという過程なのです。

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記事 2138番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/19
寺子屋オンエアがスタートします as/2138.html
森川林 2014/05/08 04:52 


 6月から、家庭で毎日友達と一緒に勉強できる寺子屋オンエアがスタートします。
 5月中に1週間の無料体験ができます。対象は、幼児から中学3年生までで、言葉の森の生徒及びそのご兄弟やお友達です。

 寺子屋オンエアの目的は、3つあります。

 第一は、家庭学習によって勉強の能率を高めることです。
 最も能率のよい勉強の仕方は、家庭で取り組む自習です。塾に通うような形の勉強では、塾に合わせた勉強になります。できることでもやらされることがあり、できないことでも簡単に済ませられてしまうことがあります。自分の実力に応じた勉強は、家庭で自分のペースでするのが最も能率がよいのです。

 第二は、密度の濃い教材の使い方をできるようにすることです。
 実力のつく勉強法とは、基本的な教材をシンプルに何度も繰り返すことです。ところが、通信教育の教材の多くは、子供たちに勉強を飽きさせないように、目先の変わった教材を次々にやらせることが多いのです。その結果、勉強の量が多い割に実力がつかないということが起こってきます。
 ところが、家庭学習でシンプルな教材を繰り返すということは、意外と難しいものです。そこで、家庭で子供たちが自分のペースで勉強している姿を、互いにネットで共有できるようにしたのが寺子屋オンエアです。

 小学校低学年のうちは、子供は親の言うことを素直に聞きますが、小学校中学年になると、親子だけの勉強は続けにくくなってきます。その原因のひとつは、親が教えすぎてしまうことにあります。教えすぎると、ついやらせすぎたり、注意しすぎたりしてしまうことになります。
 また、子供たちは、小学校中学年になると、友達との交流の中で勉強することを好むようになります。
 塾に任せるのでもなく、通信教材に頼るのでもなく、また、親がつきっきりで教えるのでもなく、それぞれの家庭で決めたその子のペースに合わせた自学自習の勉強を、単調にならないように友達と共有するというのが、寺子屋オンエアの目指すイメージです。

 寺子屋オンエアの第三の目的は、この学習方式を、夏合宿など長期間の学習にも応用していくことです。
 自然の中で何日間もキャンプをしたり遊んだりするのは、子供たちにとって楽しいものですが、遊びと勉強のバランスを取ることも大切です。
 長期間の自然合宿でも、午前中の数時間は寺子屋方式で学習し、午後はたっぷり遊ぶという運営の仕方ができれば、遊びだけの合宿や勉強だけの合宿よりも、ずっとバランスのよい楽しみ方ができます。

 寺子屋オンエアに必要な準備は、google+のアカウントとウェブカメラとヘッドセットだけです。
 詳しいご案内は、寺子屋オンエアのページをごらんください。
https://www.mori7.net/teraon/

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記事 2137番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/19
言葉の森の未来の夢 as/2137.html
森川林 2014/05/06 02:08 


 そこは、日本ではないアジアのある村です。その村の一角に、日本語学校があります。ただ日本語を学ぶだけでなく、日本文化を学ぶ学校です。
 そこの生徒の多くは、小学1年生から3年生の時期に、日本に3年間留学します。そして、そのあと現地に戻り、現地の学校で勉強を続けます。
 子供たちが中学生や高校生になると、現在のMOOCと同じように、その村にいながらにしてネットワークで世界中の優れた授業を学ぶことができます。大学生になると、世界中の最先端の学問を、自分のいる村で学べるのです。
 そういう人たちがリーダーとなり、その国の伝統を生かした子供たちの教材を作っています。その教材を通して、その国の文化と伝統、そして日本語と日本文化を学ぶのです。
 その時代には、日本語は、英語と同じように世界共通語となっています。

 では、小学1年生からの日本留学はどこに行くのでしょうか。
 そこは、日本のある山あいのキャンプ村です。山の斜面に、牛と馬とポニーと山羊が放牧されています。そして、犬やアヒルやニワトリやクジャクが庭で遊んでいます。
 ここでは、野生の動物たちも人間に慣れているので、小鳥やシカやリスやウサギやサルたちも人間を恐れません。
 牛や馬の放牧は、山地酪農という方法で、牛や山羊や馬が、山野に生えている草を食べて自然に暮らしています。

 このキャンプ村では、子供たちは、午前中寺子屋で勉強します。そして、午後は、馬やポニーに乗って近くの野山や川で遊びます。
 午前中の寺子屋は、ネットワークでつながった都会に住む講師がアドバイスをします。
 講師の中には、このキャンプ村に移住してくる人もいます。

 この時代には、フリーに近いエネルギーが実用化されているので、川の一部は温泉のようになり、冬でも川遊びができます。
 農業の基本は、水耕栽培で、ほとんどの農産物は工場で自動的に生産されています。昔ながらの土の上での農業は、趣味として行うものになっています。

 このキャンプ村では、子供たちの教育と遊びが、村の運営のひとつの中心になっています。
 もうひとつの中心は、文化作りです。
 この村では、毎月のようにお祭りがあります。そのお祭りでは、村に住む大人たちが、自分の創造を発表する場になっています。新しく個性的な、芸術、音楽、文化、スポーツ、料理、遊び、学問などを創造すると、それらを互いに教え合い、学び合う場が形成されます。
 そういう文化のいくつかは、輸出産業となっています。
 また、もうひとつの産業は観光です。世界中から、この平和で創造的な村に観光にやってくるのです。

 このキャンプ村のような場所は、既に日本の田舎には無数にあります。
 どの村も、それぞれの地域の特性を生かして、文化と観光と世界中の子供たちの教育を行っているのです。

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記事 2136番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/19
なぜ子供が作文嫌いになるのか as/2136.html
森川林 2014/05/05 16:01 


 勉強の嫌いな子はもちろんいます。しかし、勉強が手につかないほど嫌いという子はいません。これに対して、作文が手につかないほど嫌いという子はたくさんいます。
 勉強の場合は、嫌いでも手を動かしていれば何とかなります。作文の場合は、手自体が何をどうしても動かないということがあるのです。

 勉強嫌いの子を作るのは難しいのですが、作文嫌いの子を作るのは簡単です。それは、作文を注意していればいいのです。
 勉強の場合は、間違いを注意されても、正しい答えがあるので、その注意に子供は納得します。
 作文はそうではありません。確かに注意されてすぐに理解できる間違いもありますが、注意されてもすぐ直せないものの方が圧倒的に多いのです。

 注意する気持ちで見ると、作文にはいろいろな欠点が目につきます。しかし、その欠点の多くは主観的なもので、子供にとっては直しようがないものが多いのです。
 例えば、「もっと内容のある話を書きなさい」とか、「もっと自分らしいことを書きなさい」とか、「もっと自分なりに考えたことを書きなさい」とか、「もっと具体的に書きなさい」とか、「もっと読む人にわかるように書きなさい」とかいう注意を受けても、「はい、それでは」とはできません。
 そこで、書けば何か注意されると感じた子は、いつか、どんなにがんばっても書けなくなってしまうのです。

 作文嫌いになる原因の半分は親、半分は先生にあります。特に熱心で真面目な親や先生ほどそうです。

 では、どうしたらいいのでしょうか。
 そこで、必要になるのが言葉の森の指導法です。

 まず、作文を書く前に、何をどう書くかということを指示できるようにします。
 子供は、何を求められているかわかれば安心して書き出せるからです。
 次に、作文を書き終えたあとは、その指示したことだけを評価します。だから、褒める評価ができるのです。

 最初に指示していないことを注意するような評価の仕方が最もよくないやり方です。
 例えば、「会話を使って書いてみよう」という指示をしたのに、作文を書いたあと、その子が努力して書いた会話には触れずに、「漢字をあまり使っていない」というようなちぐはぐな注意をするのが間違った評価の仕方です。
 漢字を評価するなら、書き出す前に、「今日は漢字を10個以上書こう」という指導をする必要があるのです。

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記事 2135番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/19
森林プロジェクトで、家庭と地域の学習を広げる時代に as/2135.html
森川林 2014/05/05 04:39 



 小中学生の教育で最も大事なものは、教える先生の人柄です。
 学力は、勉強さえすれば誰でもつきますが、子供たちが先生を通して身につけるものは、知識ではなく、教える先生の生き方やものの見方や考え方や行動の仕方です。
 その意味で、子供たちの教育者として最もふさわしいのは、両親と地域で信頼される大人です。

 小中学生の勉強は、先生に教えてもらう勉強ではなく、自ら学ぶ勉強にしていく必要があります。また、教材に頼る勉強ではなく、シンプルな方法を徹底するような勉強にしていく必要があります。

 言葉の森では、これまでの30年間の作文指導のノウハウと、家庭学習のエッセンスをセットにして、両親が自分の子供や地域の子供を教えるという森林プロジェクトを始めました。
 これからの子供たちの学力を育てるのは、このような草の根からの教育です。

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