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読書についての質問二つ――「『かいけつゾロリ』ばかり」「質問しても答えられない」 as/2462.html
森川林 2015/11/10 05:23 


 学校でも、家庭でも読書に力を入れてきているせいか、小学生に関しては昔よりもよく本を読んでいる子が多いようです。
 しかし、読書に力を入れると、いろいろと気になることも目についてきます。
 最近あった、保護者からの質問を二つ紹介します。

 ひとつは、「『かいけつぞろり』のような本ばかり読んでいる。これでいいのか」というものです。
 「かいけつゾロリ」は、品の悪い話も多いので、お母さんには受けませんが、子供は大好きです。しかも、意外と説明的な文章も多く含まれているのです。
 いい本と呼ばれる有名な本の中には、内容はよくても会話ばかりが続くようなものもあります。その点で、「かいけつぞろり」は、おすすめの本なのです。

 「かいけつゾロリ」ばかり読んでいる子に、対応する方法は三つあります。
 第一に、読書は面白いということが最も大事ですから、そのまま読んでいることを認めてあげるのです。面白い本を繰り返し読むことで、読む力がついてきます。
 第二に、しかし、子供の興味を探りながら、いろいろなジャンルの本を与えて読書の傾向を発展させるということも大事です。その子の興味のある分野が何かということは、実際に本を与えてみなければわかりません。図書館やブックオフを利用して、読書のジャンルを広げていくようにするのです。
 第三に、親が子供に読ませたいと思う本は、読み聞かせをしてあげることです。読書には、子供を引きつける力があるので、その子が興味を持つ本であれば、途中から自然に自分で続きを読もうとするようになります。

 今の読書をそのまま認めてあげながら、少しずつ幅広く難しい本に発展させてゆくという二本立てでやっていくといいのですが、重点は、あくまでも今の楽しい読書を認めてあげることです。

 もうひとつの質問は、「本はよく読むが、質問をしてもうまく内容を答えられない」というものです。

 第一に、質問などはしないことです。本を読んだあとに、本の内容を質問されていたら、本を読むことが楽しくなくなってきます。
 第二に、質問をするのではなく、親が逆に、その本に関連した似た話を楽しく話してあげることです。

 これは、作文の指導でも似ています。
 子供から何かを引き出そうとすると、なかなか出てこないので、苦しい勉強になっていきます。
 引き出すのではなく、親が先生が与えるつもりでやっていくのです。

 例えば、感想文の課題で、似た話を書くときなど、子供に似た話を見つけさせようとするのではなく、親が似た話をどんどん話してあげます。
 子供は、まだ成長途上なのですから、今は答えられないものがあってもいいのです。
 答えられないものを引き出すのではなく、その答えられないものは親が先生が与えていくのです。すると、それが自然にその子のものになっていきます。

 ところで、このような読書の習慣も、勉強の習慣も、小学1年生のスタートの時期によい形のものにしておくことが大事です。最初に作った形が、ずっとあとまで続くからです。
 そこで、言葉の森では、小1や幼小から作文の勉強が始められるように、親子作文コースにこれから力を入れていく予定です。
 この親子作文コースに、寺子屋オンエアを組み合わせれば、家庭での勉強と読書と作文が無理なく軌道に乗ると思います。

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mae 20170209 9 
本はよく読むけれど、読む内容が進歩しない……、面談の時にお母様方からよく受ける質問です。

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帰国子女と受験作文 as/2461.html
森川林 2015/11/09 09:36 


 帰国子女の受験では、作文、小論文の課題が出されるのが一般的です。
 教科の成績は勉強をしていたかどうかで差が出るので、その生徒が暮らしていた海外の教育環境によっ違いが出てしまうため、あまりあてにならないからです。
 それに対して、作文力はその生徒の思考力と関連があるので、その生徒が持っている学力の可能性とほぼ一致しているからです。

 帰国子女の受験作文で大切なことは、志望校の過去問を分析することです。
 中学受験の場合は、ほとんどが、現地での生活の経験を問うような課題です。しかし、難しい学校になると、世界の平和についてどう考えるかというような、社会的なテーマが出されるようになります。
 高校受験の場合は、現地での経験を問うようなテーマは逆に少なくなり、やはり世界平和の問題や、国によって異なる文化の違いの問題など、より社会的なテーマが多くなります。

 現地での経験を問うような問題の場合、対策は二つあります。
 ひとつは、親子で現地の経験を話し合っておくことです。その話を通して、子供本人が自分の経験の中で作文の材料に生かせる個性的な体験を発見していきます。
 文章の評価には、表現力の評価だけでなく、実例の面白さの評価も自然に入ってくるので、個性的な体験を書けるようにしておくことが大事なのです。

 もうひとつは、子供が作文を書いたあとに、その作文の中の経験をより一般的な視点でとらえられるように、これもやはり親子で話し合っておくことです。
 一般的な視点とは、「人間にとって」とか「人間は」とかいう言葉で表されるような感想のことです。
 例えば、民族は違っても人間の共感の本質は同じだとか、あるいは逆に、現地の文化と日本の文化の違いについて考えさせられた、などという感想です。
 こういう一般的な感想は、小6ぐらいの子供の場合、聞かされれば理解することができますが、自分から考えつくことはなかなかできません。だから、親子の話し合いが必要になるのです。

 社会や文化の問題の場合は、読書によって考える材料を増やしておくことが大切になります。
 高校受験でしたら、次のような本が参考になります。(絶版なので中古しかありません。)
「日本人のこころ」(岡田彰雄 筑摩書房)
http://www.amazon.co.jp/dp/4480880038

 ちなみに、国語の問題で比較文化論が出るのは、日本だけの特徴のようです。それだけ日本文化は、欧米や他のアジアの諸国の文化とは違うところが多いのだと思います。

 作文小論文の対策としては、とりあえず出そうなテーマで10本書いておくことです。その10本をいずれも傑作に仕上げ、それを何度も繰り返し読む練習をしていくのです。

 作文試験のときに、自分がこれまで書いた作文の中から、2つか3つの表現を使うことができれば、実力の120パーセントを発揮したことになります。
 作文試験が、他の教科の試験と比べて不安になりやすいのは、実力が充分に発揮できるかどうかわからないからです。
 自分の書いた傑作を何度も読むという練習をしておけば、ほぼ実力が発揮できると考えておくとよいと思います。

 言葉の森の作文指導の特徴は、構成を重視して書くことです。そのため、評価する人からは、「構成がわかりやすい」とよく言われます。
 構成を重視して書くために、書く本人にとっても書きやすく、読む人にとっても読みやすいのですが、これには長所も短所もあります。
 長所は、実力のある生徒は実力が発揮しやすいということですが、短所は逆に、実力(語彙力)がない生徒の場合は、その実力不足がはっきりと出てしまうことです。
 実力をつけるためには、作文の勉強とは別に,読書と対話とできれ問題集読書によって思考力(語彙力)を鍛えておくことです。

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