自主学習クラスの勉強内容は、国語・算数数学・英語・理科・社会など、学校で通常行われている勉強です。
これらの勉強の特徴は、作文読解クラスや創造発表クラスの勉強と違い、答えがある勉強だということです。
答えのある勉強は、正しい勉強方法と、かけた学習時間によって、誰でもその努力に比例して成績が上がるようになっています。
そのため、学習塾や学校が子供たちの勉強をしっかり管理できるようになると、中には勉強をやりすぎるところも出てきます。
子供が自覚を持って勉強する分には、やりすぎは問題になりませんが、自覚のないうちに勉強をやらせすぎると、そのときはいいとしても、あとから勉強嫌いになるという結果が生じてきます。
小学生のころに勉強をしすぎたために、勉強嫌いになり、高校生になるころには勉強に興味が持てなくなるというケースは意外と多いのです。
勉強嫌いの影響は、大学生や社会人になっても続くので、答えのある勉強は、やりすぎない程度に能率よく進めていくことが必要になります。
自主学習クラスは、無理なく能率よく実力をつけることを目標に勉強を進めていきます。
その方法は、次のとおりです。
第一は、目標を決めるということです。
答えのある勉強の目標は、正しい答えを出すことです。
答えは、学校の勉強の場合は教科書の中にありますが、受験の勉強の場合は入試問題の中にあります。
そして、学校の勉強の結果も、最終的には入試の結果に表れますから、勉強はただ漠然とするのではなく、志望校の過去問に合わせて勉強するということが大事になってきます。
しかし、それはもちろん、入試に影響しない勉強は手を抜くということではありません。
勉強の目標は答えを出すことですが、勉強のもっと大きな目的は自分を向上させることだからです。
小学校低中学年の勉強の目標は、教科書のレベルの学習をしっかり身につけ、更にその発展した学習も身につけることです。
しかし、小学校高学年の受験する生徒の場合は、志望校の過去問に合わせた学力をつけることが目標になります。
受験しない生徒の場合は、将来の受験を考えて、半年から1年程度の先取り学習をすることと、思考力の基礎をつける読書と作文に力を入れていくことが目標になります。
第二に、答えのある勉強で大事なことは、答えの出し方を覚えることです。
そのためには、答えの出し方がすっかり自分の中に定着するまで反復の学習をすることが大切です。
ちなみに、答えのない勉強で大事なことは、自分なりに考えることと、自分なりに答えを作り出すことです。
だから、作文の勉強や、創造発表の勉強は、思考力と創造力が必要になる勉強なのです。
反復の学習として行う反復の回数は、5回が目安です。
1回や2回では定着できないことも、3回4回と繰り返すことによってだんだんできるようになり、5回も繰り返せば大体のことはできるようになります。
算数数学の難問も、解法を繰り返し理解することによって、やがて自然にできるようになります。
第三に、答えのある勉強を進めるためには、目標が決まっているのですから、その方法は自学自習を中心にすることです。
目標への最短距離の勉強法は、自分がよくわからないところはくわしく勉強し、よくわかるところは飛ばして進むという勉強方法です。
先生の授業を聞くことを中心にする勉強方法は、先生が最短だと思う方法ではあっても、生徒本人にとっての最短とは異なります。
だから、家庭での自学自習を中心にすることが、最も能率のよい勉強法になるのです。
第四に、自分のペースで行う勉強のマイナス面は、質問ができないことなので、わからないところをすぐに質問できる体制を作っておくことが大切です。
ほとんどの質問は、お母さんやお父さんが一緒に考えてあげることで解決します。
生徒は先生に質問することを遠慮する傾向があり、先生が説明すると完璧にはわからないときでも先生に合わせてわかったことにしてしまうことが多いので、質問はお母さんやお父さんに聞くのがいいのです。
お母さんやお父さんが説明しにくい場合は、お母さんやお父さんが先生に質問するという仕組みにしておくのが最も効率のよい質問の方法です。
第五に、勉強のチェックテストを行う仕組みを作ることです。
これまでの自主学習クラスでは、生徒が利用しやすいように市販の教材を使っていたためチェックテストが十分にはできていませんでした。
そこで、2月からは、学習塾専用教材で問題演習と確認テストが結びついた形で勉強を進めていきます。
本当は、確認テストがなくても、反復学習をしてわからないところを質問していれば、誰でも学力がつくのですが、小中学生の場合は、わからないところをわからないまま済ませてしまう生徒も多いので、確認テストを確実に行っていくことにしました。
第六に、1冊を5回繰り返すとは言っても、子供たちの勉強時間は限られているので、どの教科を重点にして5回繰り返すのかという年間の計画を立てる必要があります。
年間の計画をもとにした月間や週間の計画がないと、勉強は、できるところまでやるという曖昧なやり方になります。
そうすると、どうしても期限内に目標を達成することができなくなります。
2月からは、問題集の演習についても、年間カリキュラムを個人別に決めていく形にします。
第七に、生徒の勉強の進み具合について、常に保護者との連携を取ることです。
オンラインの自主学習の場合は、生徒が家庭で勉強しているので、必要に応じて保護者との連絡を取る形の運営ができます。
生徒と保護者と先生の三者が、懇談会や面談で常に連絡を取りながら進めていく運営にしていきます。
子供たちの勉強は、学校や学習塾のような集団指導の形では、能率のよい学習はできません。
しかし、2:1や3:1の個別指導では、能率はよくても、生徒どうしの交流がありません。
5、6人の少人数で、生徒どうしが読書紹介でなどで交流をしながら、個別学習で能率のよい勉強を進めていくという形のオンラインクラスの自主学習クラスが、これからの子供たちの学習の中心になっていくと思います。
先日、小学5年生の生徒と作文の話をしているとき、「昔の生徒が書いた作文も参考になるんだよ」と言って、「作文の丘から」というページを見せました。
https://www.mori7.com/okap/
ここには、1998年からの生徒の作文が載っています。
いちばん古い作文は、21年前に小学6年生や中学1年生だった生徒の作品です。
昔の生徒のパソコン入力の作文を見ると、どの生徒もなかなか立派なことを書いていました。
言葉の森は、1996年からホームページを作り、当時の中学生からパソコンで作文を書くようにしていました。
やがて、ローマ字を習う小学4年生以上の生徒は、ほぼ全員がパソコンで作文を書くようになりました。
しかし、その後、構想図を書くときなど、考える作業をするときは、手書きの方がいいとわかったので、今は手書きで書いている生徒の方が多くなりました。
ただし、中学生以上になると、能率よく勉強したいという生徒が増えるので、そういう生徒はパソコンで書いています。
パソコンで入力すると、森リンの点数が出るので、それがひとつの目標になるところがあるのです。
言葉の森のホームページの上部に、「日本最大級の作文小論文情報サイト」と書いてあるのは、誇大広告でも何でもありません。
実際に作文、小論文、国語、読解、記述などに関して、表面に出ていない大量の記事や情報がホームページの中に入っているからです。
ですから、作文や小論文に関しては、どんな質問にもすぐに答えられます。
今後この作文の蓄積を活かして、森リンのAI版を作っていこうと考えています。
もう十何年も前になりますが、作文の勉強をしている生徒の中に読解力をつけたいという生徒が多かったので、読解の学習ができるように読解検定問題を作りました。
この読解検定で問題文を緻密に、読み選択肢と照らし合わせて読むことによって、文章を読み取る力がついてきます。
真面目に読解問題に取り組んでいる生徒は、全員国語力が上昇しました。
しかし、ただ問題を解いているだけでは力はつきません。
読解力をつけるためには、読解問題の選択肢を感覚ではなく理詰めに選ぶ必要があります。
感覚や勘で選んだものが、○になっても×になっても読む力はつきません。
理詰めに考えて○になったり×になったりしたのであれば、それは×になった場合であっても読解力を伸ばす勉強になるのです。
そこで、今考えているのは、読解問題を解いたあと、×になったところがあればその理由を文章として書いて提出するようにすることです。
この解説の書き方は、「読解・作文力の本」に書いてあるような短いものでかまいません。
その文章化によって、その生徒がどのくらい深く問題文を読み込んだかが分かります。
作文読解クラスでは、読解問題を解くだけではなく、この間違えたところの説明を文章として書く練習をこれからしていきたいと思います。