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小学校1年生の勉強に大事な楽しさと暗唱 as/844.html
森川林 2010/03/29 05:55 



 小学校1年生の勉強で大事なものは読書です。もうひとつは、楽しさです。

 勉強は、明るく楽しく面白くやっていく必要があります。叱ったり注意したりすることはなるべくしないということが大事です。真面目な人ほど、子供の欠点が目につき、その欠点を直すことが勉強の中心になってしまうことがあります。そういう人は、子供の作文を見ても、すぐに直そうとします。例えば、字がきたない、漢字を使っていない、点の打ち方がおかしいなど、子供が作文を書き上げた直後にそういう注意をすれば、子供は楽しく勉強できるようにはなりません。

 欠点にすぐ気がついて注意しながら勉強をしていると、子供の能力は時間をかけたわりに伸びなくなります。頭脳は、明るく褒められることによって活性化して吸収力も増すからです。もちろん、注意や叱ることが必要なときはあります。しかし、それは、明るく強く短く、原則を決めてやっていくことが大切です。

 読書、楽しさのほかに、もうひとつやっていくとよいものがあります。それは、暗唱です。

 今、学校では、音読の宿題を出すところが増えているようです。それはそれでよいことですが、音読は、実は家庭での取り組みが意外と難しいのです。音読の原則は、(1)毎日欠かさず、(2)同じ文章を、(3)空で言えるようになるまで繰り返し読む、ということです。その際、読み方はふざけて読んでもかまいません。ところが、そうではなく、次のような読み方をしている家庭が多いのです。毎日ではなくときどき、次々と違う文章を、数回繰り返すだけで、しかも真面目に読ませようとして子供が嫌がる、という読み方です。

 音読を、自然に習慣化するような形で子供に読ませるというのは、実は、かなり大変なことです。もちろん、毎日、自然に読ませることができれば、子供の読む力や書く力は向上します。

 音読よりもいいのが暗唱です。言葉の森の900字暗唱は、毎日10分間でできて、しかもそのつど達成感があります。また、低学年ほど取り組みやすいという利点があります。ただし、こういう短い時間の勉強は、習慣化しないとなかなかできるようにはなりません。暗唱の勉強にいちばんいいのは、朝ごはん前の10分間です。朝ごはんの前なら、やり忘れることはまずありません。

 学校の音読の宿題と、言葉の森の暗唱の自習が重なって子供が負担に感じる場合はどうしたらいいのでしょうか。暗唱の自習は朝行い、学校の宿題は夜行うというようにすれば、子供の負担はなくなります。

 読書や音読や暗唱の場合も、褒め言葉は大事です。褒め方は、本を読んでいたら、「よく本を読んでいるねえ」と声をかけるだけでよいのです。音読や暗唱は、読み方がどんなに下手であっても、「だんだん上手に読めるようになってきたね」と褒めていれば、その言葉に合わせるように必ず上手になっていきます。

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小学校1年生の勉強の中心は読書 as/843.html
森川林 2010/03/28 11:01 



 小学校1年生になると、学校の勉強が始まります。教科書でいろいろなことを学ぶようになると、勉強が子供の生活の中心になってきます。そこで、家庭でも、学校の授業に合わせたドリルや問題集をやるようになります。

 勉強の習慣をつけるということは大事ですが、学力をつけるための最も大事な土台は読書です。日本語を深く読み取る力があって初めて、国語、算数、英語などの勉強が生きてきます。そして、日本語を読み取る力は、国語の問題集よりも読書によって得られるのです。

 しかし、読書が大事といっても、子供の持ち時間は限られています。学校の宿題と家庭の読書があって、両方ともやる時間が取れないときは、どうしたらいいのでしょうか。そういうときでも、迷わず読書を優先してください。読書だけは、何があっても、休みの日でも、毎日続ける必要があります。宿題をやる時間が取れないときというのは滅多にないと思いますが、そういうときはお母さんが代わりにやってあげてもいいぐらいです。

 では、いつ、どういう形で、どういう本を読んだらいいのでしょうか。

 読む時間に関しては、夜ご飯のあと、夜の勉強のあとなどが最適です。読書のあとに用事や勉強が入って読書を切り上げる必要が出てくる時間帯ではなく、その本が面白ければ心ゆくまでじっくり読める時間帯が読書の中心時間になります。また、朝ごはんのあと、学校に行くまでのちょっとした5分か10分の時間ができたときも、その時間で読書をすると決めておくとよいでしょう。

 読む本の種類としては、子供が楽しく読める本というのが原則です。子供が自分から進んで読める本であることが第一です。大人から見ると、易しすぎるとか、内容が軽すぎるとか思われるような本が、子供にとってよい本である場合がしばしばあります。しかし、絵のスペースと字のスペースを比べた場合、絵のスペースの方が半分以上ある本は、遊びとして読む分には全くかまいませんが、「読書」とは呼ばないという原則を決めておくとよいと思います。

 親が読んでほしいと思うような難しい本を、薬でも飲ませるように読ませると、かえって読書がはかどらないという結果になります。親が読んでほしいと思う本は、読み聞かせで読むようにします。よく、小学1年生になったことをきっかけに読み聞かせをやめてしまう家庭がありますが、読み聞かせは、子供が喜んで聞いているかぎり続けてあげた方がいいのです。

 小学校1年生は、勉強でも生活でも、容易に習慣のつく時期です。これが、小学校3年生ぐらいになると、習慣がつけにくくなります。小学校5年生では、新しい習慣をつけることはかなり困難になります。

 習慣をつける上で大事なことは、例外を作らないことです。例えば、食後のあとに読書をすると決めていた場合でも、お母さんがくたびれているときは、「はい、読書の時間ね」と子供に言うほどの気合いが入らないことがあります。そういうときでも、できれば理由を明確に述べて、少しの時間、形だけでもやらせるようにすることが大事です。

 例えば、食後すぐに、近所のお祭りに行く予定で子供が楽しくてそわそわしている、また、お母さんは仕事でくたびれていて何もする気がしない、というようなときです。そのようなときは、「今日は、楽しいお祭りだから、読書をお休みにしようね」とか「今日は、5ページだけ本を読んで、読書をしたということにしようね」とか言っておけば、例外を作ったことになりません。よくないやり方は、「あとで必ずするのよ」です。「あとで」というのは、うやむやになるのでかえって例外を作る結果になります。そのときにやるか、やらないかのどちらかです。また、やらないと決めた場合でも、しぶしぶ「やらない」と決めるのではなく、前向きに明るく「やらない」と決めるようにしてください。

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小5になったらパソコン入力―しかし手書きの構成図とセットで as/842.html
森川林 2010/03/27 10:46 




 小学4年生で、ローマ字を習います。すると、パソコン入力ができるようになります。なぜ、かな入力ではなくローマ字入力がいいかというと、ローマ字入力のキー配列を覚えれば、日本語も英語も同じキー配列で打てるようになるからです。

 パソコン入力をするときには、ホームポジションを覚える必要があります。「JKL+」のキーに、それぞれ右手の人差し指、中指、薬指、小指を置き、「FDSA」のキーに、それぞれ左手の人差し指、中指、薬指、小指を置きます。右手の人差し指で打つのは、「YUHJNM」の6個です。右手の中指で打つのは、「IK、」の3個です。右手の薬指は、「OL.」の3個です。右手の小指は、「P+・」の3個です。左手の人差し指は、「RTFGVB」の6個です。左手の中指は、「EDC」の3個です。左手の薬指は、「WSX」の3個です。左手の小指は、「QAZ」の3個です。親指はスペースキーを打って漢字の変換をするきに使います。手を崩して打ったり、人差し指だけで打ったりしないようにします。

 ホームポジションを覚えておくと、ブランドタッチができます。ブラインドという言葉に抵抗があるということで、タッチタイピングと呼ぶ人もいます。ホームポジションを覚えると、よそ見をしがら、例えばテレビを見ながらでもパソコンを打つことができます。

 最初に自己流の打ち方をしてしまい、ホームポジションとタッチタイピングを覚えていないという人はどうしたらいいでしょうか。右手が使えなくなったので、左手で文章を書くというぐらいの決心があれば、タッチタイピングができるようになります。私自身、最初に、かな入力で覚えていたものを途中でローマ字入力に直しました。その後、また全く別のローマ字入力配列を覚え、それが慣れたあと再びもとのローマ字入力に戻りました。入力の仕方を変えているときは、仕事の最中でしたが、まさに右手で書くのをやめて左手で書く、左手で書くのをやめて足で書くというぐらい、入力の能率が低下してストレスがたまりました(笑)。


 普通のパソコンは20万円ぐらいすると思いますが、ネットブックは4万から5万です。パソコンで必須な機能は、インターネットができることと、テキスト入力ができることなので、ネットブックで十分です。テキスト入力をするために、言葉の森では、テラパッドというフリーのエディタを使っています。

 子供にインターネットを使わせたくないという家庭は、KING JIMのポメラ(1万7千円)というデジタルメモと呼ばれるものも使えます。文庫本ぐらいのサイズですが、キーボードが広がるので入力しやすい機械です。

 パソコンで入力するようになったら、マウスはなるべく使わずに、ショートカットキーを覚えた方が能率がよくなります。よく使うのは、下記のショートカットです。

○Alt(オルトキー)+F→S(上書き保存)

○Alt+E→A(すべて選択)

○Alt+T→W(文字数カウント)

○Alt+E→C(コピー。Ctr+Cでもできる)

○Alt+E→P(貼り付け。Ctr+Vでもできる)

 特に、Alt+F→Sで、書いている途中、ときどき上書き保存をしておくことが大事です。

 インターネットで原稿を送るときは、書いたものをいったん保存してから、その文書の画面をコピーして、インターネットのフォームの入力画面に貼り付けて送るようにします。入力画面に直接書き込むようにすると、間違ってESC(エスケープキー)を押したときなどに、書いたものがすべて消えてしまいます。

 ホームページのフォームで移動するときも、できるだけマウスは使わずに、タブで移動するようにします。送信ボタンを押す場合も、マウスとクリックではなく、タブとエンターキーで押すようにすると能率がよくなります。エンターキーは、送信のボタンのところではなく、テキスト入力欄で押すこともできます。画面を戻るときも、マウスで戻るよりも、バックスペースキーを押して戻る方が楽です。

 言葉の森の通学教室では、早い子は小学3年生から、普通の子は小学5年生からパソコン入力で作文を書いています。最初は、1時間でやっと100字か200字です。しかし、すぐに慣れてきます。

 パソコンで書くことによって文章を書く能率は向上しますが、書くことの中には、書きながら考えるという要素もあります。この考える要素を取り上げたものが構成図です。構成図は、手書きで書きながら考えるために使います。パソコン入力をする場合は、構成図であらかじめ考えを深めておくことが大切です。


 パソコンの入力の仕方は、将来どうなるでしょうか。筆記用具も、筆→万年筆→鉛筆→ボールペン→シャーペンと変化してきました。パソコン入力の仕方も、今のキーボード入力だけでなく、手書き文字認識や音声入力が発達してくると思います。書くことと考えることが一致するのが手書きの利点ですから、理想は、手書き認識の精度が上がり、くせ字や速記も認識できるようになることです。しかし、それは当分無理でしょう。そこで、今いちばん可能性があると考えているのが、書くことに特化した音声入力の書き方です。

 言葉の森の通学の中学生以上は、音声入力をしています。考えることは構成図でたっぷり行い、書くことは音声入力ですばやく行います。私の感覚として、1200字程度の文章を書く場合の疲労度を考えると、パソコン入力は手書きの2分の1ぐらいで済みます。構成図+音声入力は、更にパソコンの直接入力の2分の1ぐらいです。テキスト化の部分を他の人に依頼するとなれば、更にその2分の1になるでしょう。しかし、単に入力のスピードアップを図るのではなく、入力の質そのものを変えてしまう方法もあります。それは、1200字の文章を書く代わりに、同じ内容を四行詩で書くことです。ただし、これは意見中心の文章の場合です。また、構成図+音声入力という方法は、慣れるまでは、パソコンに直接書くよりも時間がかかります。


 さて、ここでSF的な話になりますが、将来、テレパシーによる通信ができるようになったら言葉はどうなるでしょうか。思いうかべた概念が伝わるのであれば、日本人と外国人が互いの国の言葉を知らなくても意思疎通できるようになります。しかし、問題は、テレパシーでは、ダジャレは通じないということです。ダジャレの面白さは、言語の不完全さに依拠しています。

 例えば、「上ばきが飛んできた。うわー、バキッ」という文の擬音語の「バキッ」という表現は、文化として感じられる面白さです。文化というものは、身体に蓄積された歴史です。「バキッ」という擬音語で表される状態を何度か経験することによって、この言葉の実感が身につきます。決して、辞書的に身につけているわけではありません。実感があるから、「思わず」笑いが出るのであって、実感を伴わなければ、「笑うべきだ」ということはわかりますが、「思わず」笑うということにはなりません。

 同じように、言語には不完全さがあるので、「真っ赤な白」「まぶしいほどの暗闇」「巨大な微生物」「猛スピードのナメクジ」などという矛盾した表現が成り立ちます。この不完全さによる矛盾という性質が、実は言語の持つ創造性であり、人間の持つ創造性の源なのです。

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作文の書き方(108) 

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2月の森リン大賞(高・社) as/841.html
森川林 2010/03/26 04:53 



※ 高社の1位の作品は優れていましたが、要約の部分がやや多く含まれていたので、代表作品としては掲載しませんでした。
 次回から、清書にする際は、要約は省略するか、自分の言葉に直して説明する形にしておいてください。(^o^)/

2月の森リン大賞(高1高2高3社の部121人中)

大成を呼ぶ視野


 よい書物とは、文章がただの文字ではなく、その中に小さな広場、世界を作っているようなものである。この世界とは、書き手が長く、たった一人で思いわずらい、作った場所なのである。ここにたどり着いた読者は、書き手を捕まえたということができるだろう。

 筆者は若いころ、言葉でしゃべることによっては自分を他人に伝えることができないと思っていた。読書を始めるようになると、書物の中には書き手や登場人物として、自分と同じような人がいると気づいた。

 しかし、同類は身近にはいないのに書物の中に多く見つけられるということに気がつき、それは自分の周囲の人間も、自分と同じことで悩んでいるのではないかと思った。筆者が恐れるのは、彼らのような人間なのである。

 私は、自分だけが特別だとは思わずに生きてゆきたい。そのための方法としては第一に、自分のやり方だけにこだわりすぎないことである。

 私は二年生の間、経営学の授業を受けていた。そのなかで、よい経営をしてゆくには会社の異部門間のつながりが重要であるということを学んだ。教授の話によると、ある家電会社が、新しく乾燥機を作ろうとしており、新しい技術の導入をしたいと思っていたところに、エアコン部門の技術を取り入れたことによって大成功を収めたということである。この授業で、製品開発に際し、自分たちだけの技術にとらわれずに、別部門との提携をすることがむしろ新しい製品開発につながる、ということを学んだ。

 第二の方法としては、自分の世界に閉じこもらないことである。

 歴史上有名な勝海舟は、元は幕府に使えている身でありながら、坂本竜馬や西郷隆盛らに肩入れし、統幕を手伝った。忠臣としてただ幕府に尽くして生涯を終える、ということにならなかったのは、彼が幾度かの渡米を行っているからかもしれない。彼はこのときの経験によって外国のすばらしさを知り、開国論者になったとも言う。また、江戸の無血開城に当たっては、フランスに対するイギリスの思惑を利用したり、かつてのロシア戦役の戦術を利用したりするなど、数々の場面で視野が広かったといえる。

 確かに、自分が特別であると自覚し、自信を持つことも時には必要である。しかし、大きな成功を収めるためには大きな視野が必要なのである。

 スポーツの世界でも、自分が行っている競技を極めたつもりになっても、大会や海外選手を見ることによって、まだまだであると気づかされるということが多々あるだろう。また、ひょんなことから、まったく関係がなさそうな競技からヒントを得ることができた、という経験も私にはある。

 どのような分野にいようとも、他人との関係がまったくないという状況にはならないだろう。他人を拒絶することなく自分と比べ、決して見下すことなくおたがいの違いを冷静に分析し、そこから何かを得ることができれば成功に一歩近づいたといえるのではないだろうか。


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1客観的目線(清書)PINK90124459798492
2大成を呼ぶ視野あほーどり88120261969787
3時代と共に変化する価値観LOLLIPOP86143357688184
4感情を出すこといへゆ84116252617786
5私はある時からターミネーター841139575372100
6まっしろい風くま王子83162049617084
7ある書物がよい書物であるか(感)まいう8015175610911286
8横や上には猛虎居ずピカチュウ80102048758390
9教育という料理カエル78155861629283
10ある書物がよい書物であるかおとめ7645049676992


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森リン(103) 子供たちの作文(59) 

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新しい付箋読書と夕べの10分間読書 as/840.html
森川林 2010/03/25 09:22 



 読書の大切さは、多くの人が感じています。実際、本をよく読んでいる子は、勉強が多少遅れていてもいつでも追いつけます。逆に、本を読んでいないと、いくら勉強ができていても、やがて頭打ちになります。わかりやすい例は漢字の書き取りで、本をよく読んでいるが漢字の書き取りがあまりできない子と、本をあまり読まないが漢字の書き取りはよくできる子がいた場合、漢字力は途中で逆転します。

 読書は、特別な練習など必要でなく、だれでもできるものと考えられがちですが、実際にはそうではありません。保護者の方からよく、「子どもが本を読まないが、どうしたらいいか」という相談があります。教室でも、子供たちに本を読む課題を出すと、小学校低中学年では、おっくうがってなかなか読もうとしない子がいます。また、小学校高学年や中学生、高校生で普通に読む力はあるのに、今読んでいる本がないとか、いつも同じ本が読みかけであるという子がかなりいます。つまり、家で本を読んでいないのです。理由を聞くと、「忙しくて本を読んでいる暇がない」と言います。

 無読率の調査というものがあります。毎年5月の1ヶ月間で、読んだ本が1冊もない子の割合で、1990年では、高60%、中50%、小15%でした。それが、2004年には、高40%、中20%、小7%と改善されています。とは言っても、小学生は学校で本を読む時間があるでしょうから、小中学生の約2割、高校生の役4割が家庭で本を読んでいないと考えてよいと思います。5月の1ヶ月間本を読んでいないということは、読書というものは、習慣ですから、年間を通してほとんど読んでいないということです。小中学生の5人に1人は本を読んでいないし、高校生の2人に1人は本を読んでいないというのは、ある意味で驚くべき数値ではないでしょうか。

 では、読書の対策は、どのようにしたらいいのでしょうか。答えは、とても単純です。朝の10分間読書の原則は、毎日、10分間、自分の好きな本を読む、ということです。ただこれだけの方法で、子供たちの読書習慣が大幅に改善されました。読めば、力がつき、本が好きになる、というのが読書の仕組みです。本を好きにして、読ませて、力をつける、という順序ではありません。どんな本を読むか、どう読むかということ以前に、まず読むことが大事なのです。本には、どの本にも必ず読み手を引きつける力があります。だからこそ、本という形になっているのです。

 ところが、朝の10分間読書の問題は、学校で読んでいるから家庭で読まなくてもよいと保護者に思わせている面があることです。読書とは、本来家庭中心で行うものです。家庭でできない子がいるから学校でカバーしているのに、読書は学校でやるものだと勘違いしてしまう人もいるのです。また、学校では朝の10分間でやめなければなりません。読み続けたい本があっても、そのあとの授業に食い込むことはできないからです。

 そこで、考えたのは、家庭における夕べの10分間読書です。時間は、夜の勉強のあと、又は、夕食のあとと決めておきます。勉強の締めくくりに読書、又は、食後の一休みに読書という時間設定です。このときに、その日に読み終えたページに付箋を貼っておくのが役に立ちます。付箋を貼っておくと、外からどこまで読んだかわかるので、読み続けやすくなります。また、何冊かの本を並行して読んでいくことができます。この単純な読書指導に、今後力を入れていきたいと思っています。

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