ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 2609番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/11/6
国語の問題文も本も、読むものではなく頭に入れるもの(その2) as/2609.html
森川林 2016/06/23 18:47 


 国語の試験問題を解く時も、自分の興味を元にした傍線の引き方は有効です。テストの問題文で自分が面白いと思ったところに線を引き、次にその傍線を引いた箇所だけを飛ばし読みすると、その問題文の全体像が頭の中に入ってくるのです。

 読書の場合も同様です。一回目の読書は傍線を引きながら読むので、分速600字で読むとしても1冊の本を読むのにかかる時間は3、4時間です。そして、2回目にその傍線の引かれた箇所だけを飛ばし読みすると、その2回目の読みは15分くらいで済みます。しかし、繰り返し読書はこれで終わりません。2回目にも自分なりに面白いと思ったところに線を引きながら読みます。すると、傍線が二重になるところも出てきます。

 多くの本はこの段階で終わりますが、内容を確実に消化したい本の場合は、3回目の繰り返し読書をします。3回目は傍線が二重に引かれた箇所を中心にノートに書き出すのです。そして、さらに確実に内容を自分のものにしたい本の場合は、その書き出しを元に抽出した箇所ごとに自分の考えを書いていきます。
 この作業を繰り返し読書の4回目とすると、本を確実に自分のものとして消化するには3回から4回繰り返して読む必要があると分かってくるのです。

 繰り返し読書のスタートは本に線を引いて読むことです。そして線を引いて読むための哲学的基礎は『本は読むものではなく頭に入れるものだ』という考えなのです。
 では、図書館で借りてきた本など、自分のものでない本に関してはどうするのでしょうか。そのやり方は傍線ではなくミニ付箋を貼ることです。繰り返し2回目の読書で二重付箋を張った箇所を元にノートに書き出しをすれば、傍線を引いた本と同じようなまとめ方になります。

 ところで、以上述べたことは頭に入れたくなるような文章で書かれたものですから、その文章は主に説明文の本と国語のテストの問題文です。
 小中学生がよく読んでいる本は物語文のことが多いですから、特に頭の中に入れる必要はありません。だから、傍線を引く必要もほとんどありません。
 では、物語文の本はどういうふうに読めばいいのでしょうか。その方法は味わいながら読むことです。その本の中に没頭し、自分がその本の中で生きて経験しているような感覚で読んでいくのです。こういうなりきった読み方が物語文の本を把握するコツです。

 物語文の読書が多い小中学生には、本に傍線を読むことの大切さを実際の読書生活の中で教える機会がなかなか持てません。だから、国語のテスト問題などを利用して、内容をしっかり把握したい文章には傍線を引いて読むということを教えていくとよいのです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

きょう 20160623  
いつも勉強になります(^o^)

森川林 20160624  
 きょうさん、ありがとう。
 今度、こういう勉強法のコツのようなものをみんなで共有できるといいですね。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
読書(95) 

記事 2608番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/11/6
国語の問題文も本も、読むものではなく頭に入れるもの(その1) as/2608.html
森川林 2016/06/22 05:45 


 小学生から高校生たちの生徒に学校や塾での国語のテストを見せてもらうと、そのほとんどが問題文に線を引かずにきれいに読んでいます。これは小さいころから、ノートには必要なことだけを書き落書きなどはしてはいけないというルールの中で子供たちが育ってきたからです。まして、読んでいる本に落書きをしたり線を引いたり書き込みをしたりするのは厳禁というような雰囲気があるのでしょう。

 私ももちろん、子供のころはそう思っていました。しかし、ある時、「本は読むものではなく頭に入れるものだ」ということをどこかで知り、それから本を読むときは印象に残ったところに線を引くようになったのです。

 そして、そのように線を引いて読んでみると、その効果がかなり大きいことが分かりました。一番の効果は再読が容易になったことです。本の内容というものは一回読んですべてが頭に入る訳ではありません。理解できて自分のものになるのは、ほんのごく一部です。ほとんどは、その時は理解できたように思えても、やがて忘れて頭の中から消え去ってしまうのです。

 知識が人間の頭脳に定着するのは、同じことを繰り返すことによってです。その繰り返しの回数は、勉強に関する知識なら4回から5回、数学の難問の解き方を定着させるのも4回から5回というのがこれまでの実感です。

 新しい知識は2回や3回繰り返すだけでは頭の中に定着するところまではいきません。繰り返しが少ないとその時だけの理解で終わってしまうのです。まして1回読むだけでは、ほとんどが頭の中から漏れていってしまいます。繰り返しが3回目になるあたりから次第に頭の中に残るようになり、4回でほとんどが頭に入り、5回で完璧になるという感じなのです。

 このように知識の内容理解は4回から5回が目安ですが、文章を字句どおりに覚える暗唱となると、その繰り返しの音読の回数が100字で30回ぐらいになってきます。これも25回目あたりの繰り返しから、急に頭の中に文章が丸ごと残るようになり、30回でほぼ完璧に定着するのです。

 しかし、この30回の定着は翌日になるとほとんど忘れています。この30回の繰り返しを日をおいて3、4回繰り返した回数になると。つまり、100字の文章を100回ぐらい繰り返すと、日をおいても固定した記憶になります。これは貝原益軒が四書五経の素読の回数の目安にした100字100回と同じです。ということはこの100回という目安は、多くの人にとって共通するものがあるのでしょう。

 勉強の知識や数学の解法の理解定着は5回、文章のまるごと暗唱は100回が繰り返しの回数の目安だと言えるかもしれません。そして、読書における自分なりの重要箇所の把握と消化は、私の場合3回ぐらいという感じがします。
 その3回の内訳は以下のとおりです。1回目は線を引きながら本を読みます。線を引くのは重要なところというのではありません。本は自分が消化するために読むのですから、その本が重要だと述べているところではなく、自分自身が面白い、あるいはよく分かった、あるいはよく分からなかったという箇所、つまり自分の感情が動いた箇所に傍線を引くのです。

 不思議なことに、自分が面白いと思ったところに傍線を引いたにもかかわらず、その傍線の箇所だけを飛ばし読みすると、その本の重要なところも、全体の文脈の中で自然に頭の中に入ってきます。自分の興味関心を中心にしているにもかかわらず、その本の内容も把握できるようになるのです。(つづく)

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
国語力読解力(155) 読書(95) 
コメント61~70件
……前のコメント
受験作文と入試 森川林
将来の作文入試は、デジタル入力になり、AIで自動採点するよう 3/13
記事 5016番
大学入試が終わ 森川林
大学生になっていちばん大事なことは学問に志すこと。 18歳 3/12
記事 5015番
【合格速報】東 森川林
 T君、いつも椅子に腹ばいになってずっと本を読んでいたものね 3/11
記事 5012番
1月の森リン大 森川林
 小1から高3までの作文が並ぶと、学年に応じて、みんなの考え 3/11
記事 5009番
未来の子育て、 森川林
 「今は、勉強が大事なのだから、自分のしたいことは大学に入っ 3/8
記事 5006番
未来の子育て、 森川林
 かつて、三井三池炭鉱は、日本のエネルギー産業の花形で、安定 3/7
記事 5005番
未来の子育て、 森川林
幼児期や小学校低学年のころは、何でも吸収できます。 しかし 3/6
記事 5004番
未来の子育て、 森川林
 今の日本の受験勉強は、清朝末期の中国の科挙に似てきています 3/5
記事 5003番
朝の10分間読 森川林
 読書は、読む力と理解する力です。  草野球とプロ野球では 3/4
記事 5002番
低学年の作文の 森川林
低学年の作文でいちばん大事なことは、題材選びです。 その題 3/3
記事 5001番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
画像送信テスト 森川林
回回回 11/2
森川林日記
Thunder 森川林
https://www.thunderbird.net/ja 10/29
森川林日記
この忙しいとき 森川林
この忙しいときに、というかいつも忙しいけど、今は特にというと 10/28
森川林日記
もう二度とGm 森川林
 Gmailが突然、大量のPOP3は受信できないようにした。 10/28
森川林日記
2025年10 森川林
△ミズヒキグサ ●紙ベースの勉強が基本。デジタルの 10/22
森の掲示板
3I/Atla 森川林
それは、いい結果になるだろう。 10/2
森川林日記
SDGsとかL 森川林
SDGsとかLGBTQとかいう新しい言葉を使う人は、考えの浅 9/27
森川林日記
千葉県立千葉中 森川林
受験生に点数の差をつけるためだけのテスト。 横浜市立南 9/25
森川林日記
2025年9月 森川林
●家庭学習の習慣を  小学生のうちから家庭学習 9/22
森の掲示板
OCRのオシロ 森川林
今からOCRのオシロンの作り直し。 これまでgoogl 9/20
森川林日記

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習