ログイン ログアウト 登録
 国語の問題文も本も、読むものではなく頭に入れるもの(その1) Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 2608番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/4/26
国語の問題文も本も、読むものではなく頭に入れるもの(その1) as/2608.html
森川林 2016/06/22 05:45 


 小学生から高校生たちの生徒に学校や塾での国語のテストを見せてもらうと、そのほとんどが問題文に線を引かずにきれいに読んでいます。これは小さいころから、ノートには必要なことだけを書き落書きなどはしてはいけないというルールの中で子供たちが育ってきたからです。まして、読んでいる本に落書きをしたり線を引いたり書き込みをしたりするのは厳禁というような雰囲気があるのでしょう。

 私ももちろん、子供のころはそう思っていました。しかし、ある時、「本は読むものではなく頭に入れるものだ」ということをどこかで知り、それから本を読むときは印象に残ったところに線を引くようになったのです。

 そして、そのように線を引いて読んでみると、その効果がかなり大きいことが分かりました。一番の効果は再読が容易になったことです。本の内容というものは一回読んですべてが頭に入る訳ではありません。理解できて自分のものになるのは、ほんのごく一部です。ほとんどは、その時は理解できたように思えても、やがて忘れて頭の中から消え去ってしまうのです。

 知識が人間の頭脳に定着するのは、同じことを繰り返すことによってです。その繰り返しの回数は、勉強に関する知識なら4回から5回、数学の難問の解き方を定着させるのも4回から5回というのがこれまでの実感です。

 新しい知識は2回や3回繰り返すだけでは頭の中に定着するところまではいきません。繰り返しが少ないとその時だけの理解で終わってしまうのです。まして1回読むだけでは、ほとんどが頭の中から漏れていってしまいます。繰り返しが3回目になるあたりから次第に頭の中に残るようになり、4回でほとんどが頭に入り、5回で完璧になるという感じなのです。

 このように知識の内容理解は4回から5回が目安ですが、文章を字句どおりに覚える暗唱となると、その繰り返しの音読の回数が100字で30回ぐらいになってきます。これも25回目あたりの繰り返しから、急に頭の中に文章が丸ごと残るようになり、30回でほぼ完璧に定着するのです。

 しかし、この30回の定着は翌日になるとほとんど忘れています。この30回の繰り返しを日をおいて3、4回繰り返した回数になると。つまり、100字の文章を100回ぐらい繰り返すと、日をおいても固定した記憶になります。これは貝原益軒が四書五経の素読の回数の目安にした100字100回と同じです。ということはこの100回という目安は、多くの人にとって共通するものがあるのでしょう。

 勉強の知識や数学の解法の理解定着は5回、文章のまるごと暗唱は100回が繰り返しの回数の目安だと言えるかもしれません。そして、読書における自分なりの重要箇所の把握と消化は、私の場合3回ぐらいという感じがします。
 その3回の内訳は以下のとおりです。1回目は線を引きながら本を読みます。線を引くのは重要なところというのではありません。本は自分が消化するために読むのですから、その本が重要だと述べているところではなく、自分自身が面白い、あるいはよく分かった、あるいはよく分からなかったという箇所、つまり自分の感情が動いた箇所に傍線を引くのです。

 不思議なことに、自分が面白いと思ったところに傍線を引いたにもかかわらず、その傍線の箇所だけを飛ばし読みすると、その本の重要なところも、全体の文脈の中で自然に頭の中に入ってきます。自分の興味関心を中心にしているにもかかわらず、その本の内容も把握できるようになるのです。(つづく)


 対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
小1から作文力を上達させれば、これからの入試は有利になる。
志望校別の対応ができる受験作文。作文の専科教育で40年の実績。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
国語力読解力(155) 読書(95) 

コメント欄

コメントフォーム
国語の問題文も本も、読むものではなく頭に入れるもの(その1) 森川林 20160622 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
へほまみ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「へほまみ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
国語力読解力(155) 読書(95) 
コメント1~10件
【合格速報】東 ののはな
東北大学へのご入学、おめでとうございます。 晴れ晴れとした 4/10
記事 5324番
【合格速報】東 とうこ
Yちゃん、ご入学おめでとうございます! 嬉しいご報告を、あ 4/10
記事 5324番
【合格速報】兵 匿名
すごい 3/26
記事 5281番
新しい教育のビ 森川林
 この勉強の目的は、どこかいい大学に入るようなことではありま 3/17
記事 5309番
これからの学力 森川林
発表広場に発表作品を入れています。 (カメラオフの発表のみ 3/5
記事 5306番
暗唱のコツは早 音楽
本当にありがとうございました。 テスト合格できそうな気がし 3/3
記事 700番
優しい母が減っ 森川林
あきろあさん、コメントありがとうございます。 子供は、もと 2/13
記事 979番
優しい母が減っ あきろあ
森リン先生の投稿をみて、母は甘やかしていいんだと、初めて気付 2/7
記事 979番
中根の担当する 森川林
YKさん、ありがとう。 私が子供にさせたいと思っていたのは 1/27
記事 5267番
中根の担当する YK
創造発表クラス面白くなりそうですね!イギリスの私立学校のカリ 1/27
記事 5267番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
2025年4月 森川林
●作文クラス ○小1の作文  小1のころ 4/22
森の掲示板
Re: 120 森川林
 小6以上の生徒は、1200字の作文を基準として評価していま 4/22
森の掲示板
Re: 人数報 言葉の森事務局
 人数報告のページはこちらです。 https://www. 4/21
森林プロジェクト掲示版
人数報告ページ Yumi Hasegawa
みつかりません 4/20
森林プロジェクト掲示版
作文、小論文と 森川林
 作文は、題材を中心にした文章です。小論文は、主題を中心にし 4/20
森川林日記
1200字換算 花ちゃん
小6,中2の生徒を担当しています。AI森リンの評価で、 4/20
森の掲示板
作文も小論文も 森川林
 作文も小論文も同じ。算数も数学も同じ。  内容のない人が 4/20
森川林日記
本日、森リン案 森川林
 本日、東京都の私立中の一部118校に、森リン案内を送付。 4/14
森川林日記
愛子さま天皇論 森川林
 大事なのは、近年のここまで続いてきた歴史を尊重することだ。 4/13
森川林日記
バースデイ ゆめ
 今日、私は16歳になりました。  誕生日のことなんて 4/10
ゆめ日記

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習