●創造する教育
言葉の森の2019年のテーマは、「創造する教育」です。
点数や順位に還元されない個人の創造性を生かす教育を目指していきます。
これまで、創造性という曖昧なものを育てる方法論はないと思われていました。
しかし、オンラインの少人数クラスを運営する中で、その可能性が見えてきました。
人間には、もともと誰にも創造性があります。
しかし、それが発揮できないのは、答えが次々に与えられるからです。
答えのある世界から一歩離れて、答えのない世界を進む時間を確保する必要があります。
そのときに、同じように創造する仲間がいれば、創造の中身は違ってもその楽しさを共有できます。
この「創造を楽しむ教育」を、小学1年生から始めて、高校生、大学生になるまで続けられるようにしたいと思っています。
●寺子屋オンラインの作文クラス・発表クラス・自習クラス
「創造する教育」の進め方は、具体的には、寺子屋オンラインのクラス数を増やし、学年別の少人数制の作文学習、発表学習、自習学習を広げていくことです。
このオンラインの少人数制の学習によって、生徒の学習意欲は今以上に高まると思います。
点数のつかない教育では、この学習意欲が学力向上の重要な条件になるからです。
●森林プロジェクトの作文講師資格講座・寺オン講師育成講座
そのために、森林プロジェクトの作文講師資格講座と寺オン講師育成講座で、作文指導のできる講師を増やしていく予定です。
なお、初めての方でも、この寺オン講師育成講座に参加しやすいように、インターンシップ制を取り入れていきます。
●作文検定、作文発表会などの企画の定例化
また、言葉の森は、民間団体としては日本で最も古くから作文教育を行ってきた教室です。
したがって、作文指導に関連する学習分野のさまざまな指導の蓄積があります。
この蓄積を生かして、今年は、作文検や作文発表会などの企画を定例化し内部の充実を図っていきます(年間予定後掲)。
●「読解力・作文力の本」の出版、国語読解指導
2月5日に、かんき出版から、「小学生のための読解・作文力がしっかり身につく本」という本が出版されます。
これは、大学入試を目指す高校生にも役立つ内容で、多くの人は読んですぐに国語読解の成績が上がるはずです。
しかし、小学生がひとりで読むのは難しいので、保護者の方も一緒に読み、内容理解の手助けをしてくださるといいと思います。
言葉の森は、これまでは、作文指導に加えて読解指導も行うと生徒の負担が大きいと考え、読解問題などの教材は一部だけを配布してきました。
しかし、今後希望する人には、この本をテキストにして、読解指導をすることを考えています。
以上、盛りだくさんの内容になりますが、すべて前向きに進めていきたいと思います。
●言葉の森の企画の年間予定
| | 作文テスト | 作文検定 | 保護者懇談会 | 作文発表大会 | 寺オン発表会 | 学力テスト | 読書作文合宿 | |
|---|
| 1月 | | | | | 4週寺オン発表会 | | | 1月 |
| 2月 | | 4週作文検定本試験 | 1週保護者懇談会 | | 4週寺オン発表会 | | | 2月 |
| 3月 | 1週作文実力テスト | | 1週保護者懇談会 | 4週作文発表大会 | | | 春合宿/30.31横浜 | 3月 |
| 4月 | | | | | 4週寺オン発表会 | | | 4月 |
| 5月 | | 4週作文検定追試 | | | 4週寺オン発表会 | | | 5月 |
| 6月 | 1週作文実力テスト | | 1週保護者懇談会 | | 4週寺オン発表会 | 4週学力テスト/育伸社 | | 6月 |
| 7月 | | | 1週保護者懇談会 | | 4週寺オン発表会 | | 夏合宿/21-27那須 | 7月 |
| 8月 | | | | | 4週寺オン発表会 | | | 8月 |
| 9月 | 1週作文実力テスト | | | 4週作文発表大会 | | | | 9月 |
| 10月 | | 4週作文検定追試 | 1週保護者懇談会 | | 4週寺オン発表会 | 4週学力テスト/育伸社 | 秋合宿/12.13横浜 | 10月 |
| 11月 | | | 1週保護者懇談会 | | 4週寺オン発表会 | | | 11月 |
| 12月 | 1週作文実力テスト | | 1週保護者懇談会 | | 4週寺オン発表会 | | | 12月 |
●保護者懇談会の主なテーマは、2月新学年、3月家庭学習、5月低学年、6月オンライン学習、7月全般、10月受験、11月家庭学習、12月オンライン学習です。
●寺子屋オンラインクラスの発表会は、毎月4週に行います。この発表会には、言葉の森の生徒は誰でも参加できます。
●担当講師による父母面談は、原則として毎月4週に行います。
●春と秋の合宿は横浜港南台教室(JR根岸線港南台駅徒歩4分。一泊二日)、夏の合宿は那須合宿所(新幹線那須塩原駅から車30分。東京駅集合解散。三泊四日)の予定です。
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やや時間が空いてしまったので、前回の話の引用から。
【前回の話】
習い事が多くて時間がとれない、という子がいます。
インターネットの情報過多と同じで、自然に任せれば、見なければならないと思うものが次第に多くなってくるのです。
そこで、断捨離が必要になります。
そのときの基準は、今の役に立つだけでなく、生涯役に立つものかどうかということです。
もちろん、それは、あとになってみないとわからないことです。
しかし、どの子にも基本的に大事なものは、読書と作文と対話と自由な時間です。
要するに、理解力と思考力と表現力と創造力を育てることが基盤となって、ほかのものも生きてくるのです
そして、そのほかに、自分がすごく好きなものがあれば、それを大事にしていくことです。
始めてから3か月で成果が出て、次に移るという忙しいやり方ではなく、小学1年生から始めて、高校3年生まで、更には大学生、社会人になってからも続けられるものを第一の基準としていくのです。
また、今の社会では、人工的な環境で一日を過ごしてしまうことも多いので、生き物を飼ったり、自然に触れたり、友達と遊んだりする時間も意識的に大事にしていくことです。
学校の今の勉強に役立つかどうかということよりも、その子の将来の生き方にプラスになるかどうかということを第一に考えていくのです。
以前、小学校低学年で、学校の宿題が多くて勉強が忙しいからと、読書は家でしないで行き帰りの電車の中だけで済ますという子がいました。
低学年のころは成績がよかったのですが、高学年になるとどんどん成績が低下していきました。
読書のような根を育てることを後回しにして、そのときのテストや宿題という表面に出る花や葉を育てることを優先していたからです。
しかし、もちろん人間はいつでも変化できます。
その子もたぶん、すぐには表面に出ないものの大切さに気づいて、いつか本格的に何かに取り組むだろうと思います。
しかし、そういう遠回りをしなくて済むように長期的な目でものを見ることができるのが、人生経験のある親の役割だと思います。
(つづく)
(ここからつづきです。)
習い事のことで、もうひとつ思い出すのは、昔、おじいさんと若いお母さんが一緒に言葉の森に訪ねてきたことです。
おじいさんの話では、その若いお母さんが子供に勉強させすぎているので、それが子供にとってどういう(マイナスの)影響があるのか説明してやってほしいということでした。
私はもちろん、いつもの持論で、子供時代は勉強よりももっと大切なものがあるという話をしましたが、そのお母さんはあまり納得していないようでした。
おじいさんの方は、自分の長い経験から、勉強などは普通にできていればよくて、それよりも子供時代はもっと自由に遊ばせた方がいいという考えだったのだと思います。
ところで、私のうちの子二人は、勉強は必要最低限のことしかしていませんでした(自慢にも何もなりませんが)。
塾にも予備校にも行かず、二人とも自分の好きなことばかりしていました。
勉強の方も、時間がないときは、読書だけでいいという方針でした。
二人とも、言葉の森を小1の途中から始めましたが、習い事はそれだけで、その言葉の森も、たまたま用事があって休んだときはふりかえの授業などは受けずに、そのまま休みでいいとしておきました。
もちろん、休まずに皆勤賞を目指すというのも、それはそれで一つの生き方で、その子にとってプラスになることだと思います
しかし、私は、自分が子供だったら嫌だろうと思うことは、なるべく子供にさせないようにしていたのです。
そのかわり、躾はやや厳しくて、玄関で靴をそろえていないときや言葉遣いが悪いときは、しっかり叱りました。
言葉遣いと言っても大したことではなく、当時流行っていた「ムカつく」などという言葉は使わないようにしていたぐらいですが。
そういう、全体的には子供に甘い生活をしていましたが、二人とも、受験などで勉強が必要になったときは、自分から進んで勉強するようになりました。(それは、普通、誰でもそうですが。)
そして、普通に大学に入り、普通に卒業して、今は普通の社会人です。
まだ人生の途上ですが、ときどき会って話をすると、年齢相応に自分なりによく考えていることがわかります。
これは、私のうちの子だけの特殊な話ではなく、どの子も、子供時代、特に小学校時代は、勉強がどのような状態にあろうともみんなまともに成長していくのです。
小学校時代までは、詰め込みの勉強をしようがしまいが、その後になれば、みんな同じようなところに落ち着きます。
むしろ大事なのは、本人が自覚する年齢になってからの勉強です(中3以降だと思いますが)。
それなら、小さいころはできるだけ楽しい子供時代を送った方が、本人にとっていい思い出になるのではないかと思います。
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受験真っ最中のときは、こんなのんびりしたことは言っていられません。
それはもちろん当然で、勝負のときは全力で勝負する必要があります。
しかし、親はそういうときでも、いつも長い展望をもって子供を見ていく必要があると思います。
子供時代にいちばん大事なことは何かと言えば、幸福な子供時代を過ごすことです。
それは、勉強を取るか、遊びを取るかということではありません。
勉強でも、遊びでも、幸福な気持ちで取り組んでいればいいのです。
ただし、子供は、親を喜ばせるために、無理をしてがんばることがあります。
親は、それを察してあげることです。
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