◆◆AIが暗唱をチェックする「暗唱検定」のページが完成
言葉の森の暗唱検定のページが完成しました。
https://www.mori7.com/morisika/
言葉の森の全科学力クラスでは、小学1年生から3年生までは日本語の暗唱、小学4年生以上は中学生・高校生も含めて英語の暗唱ということを目安にしてやっています。
この暗唱の練習は、これまでは担当の先生がチェックすることが中心でしたが、全員の暗唱チェックをするには少し時間がかかりました。
そこで、暗唱検定のページを作り、生徒がいつでも自宅で自分の暗唱をチェックし、練習することができるようにするという仕組みを考えました。
AIを使った暗唱検定なので、暗唱の結果を見て、AIが暗唱の出来具合を評価し、コメントします。
◆◆江戸時代の寺子屋教育とGHQによる暗唱の消失
話は少し遡りますが、江戸時代の寺子屋教育では、子供たちの日本語の勉強は音読・暗唱が中心でした。
太平洋戦争後の教育改革のなかで、学校の学習から暗唱が姿を消していき、戦後生まれの大人のほとんどは、暗唱の勉強を経験していません。
数少ない暗唱学習として残っているもののひとつが、掛け算の九九です。
◆◆九九に見る「大人の経験」が子供の教育に与える影響
しかし、九九以外は、日本語の暗唱の学習を経験した人がほとんどいないので、子供に暗唱の学習をさせることに対して大人の側にためらいが生じてしまうのです。
大人の経験が子供の教育に影響するということは、この掛け算の九九についても言えます。
九九は、日本では当然の常識として子供たちみんなが覚え、それが実生活にも役立つことを実感しています。
しかし、こういう効果をどれだけ説明しても、九九の文化の伝統のない国では、つまり大人がそういう経験をしたことのない国では、子供にそういう教育をさせることはとても難しいのです。
◆◆暗唱力と学力には深い関係がある
暗唱の練習にどのような効果があるかというのは、まだ科学的に解明されていませんが、私がこれまで言葉の森で子供たちの暗唱指導をしてきた経験でいうと、暗唱の力と学力はかなり高い相関があるように思います。
暗唱ができるから学力が高くなるのか、学力があるから暗唱ができるのかということが議論の分かれるところですが、暗唱と学力はかなり一致しているように思います。
暗唱の練習によって、作文に書く語彙が増えたり、文章を読むときの語彙が増えたりすることはあると思いますが、私が暗唱指導を続ける中で特に感じるのは、記憶力がついてくることです。
◆◆記憶力が高まれば、勉強の能率が上がる
今の学校の勉強の多くは、記憶力を必要とする勉強です。
記憶力の高い人は、教科書や参考書を何度か読むだけで、その内容が頭に入ります。
記憶力の高くない人は、読むだけでなく、手で書いて覚えて、それを何度も繰り返してやっと頭に入るというような勉強をしているのではないかと思います。
一度聞いたらすぐわかるという人と、何度も繰り返してやらないとわからないという人では、勉強の能率に大きな差が出ます。
暗唱の練習をしていると、この記憶を頭に残すコツが自然に育ってくるのだと思います。
◆◆暗唱検定を、毎日の家庭学習のきっかけに
ところが、先に述べたように、今の大人の世代は、自分で暗唱の練習をしたことがないので、子供に説得力を持って暗唱の練習をさせることがなかなかできません。
暗唱は、本来、毎日繰り返すことで身につく学習です。
そのためには、週に一度先生に聞いてもらうだけでなく、自分で何度でも確認できる仕組みが必要です。
そこで、暗唱検定のページを使って暗唱の練習をしていくといいと思ったのです。
現在はまだ、日本の古典を中心とした日本語の暗唱だけですが、近日中に英語の暗唱検定も入れていきます。
どちらに取り組んでもいいので、毎日の家庭学習の中で暗唱の勉強に取り組むきっかけを作っていってください。
▽参考資料
野口悠紀雄さんの「図解『超』英語法」より
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暗唱検定のページはこちらです。
https://www.mori7.com/morisika/
テスト送信ができます。
今はまだ作り始めたばかりなので、
「雨ニモマケズ」
「小諸なる古城のほとり」
「昨日またかくてありけり」
という3つの文章が、各300字ずつあるだけです。
しかし、このあと、暗唱検定の文章を全部入れて、いつでも自宅で暗唱検定の練習ができるようにします。
また、全科学力クラスの英語の授業では英語の暗唱を行っていますが、英語の暗唱検定も同時にできるようにしていきます。
将来はこちらで決めた暗唱の文章だけでなく、自分で選んだ文章を暗唱するということもできます。
暗唱の練習は、小学1年生から2年生にかけては誰でも楽にできます。
小学3年生になると、単純に音読を繰り返すというやり方よりも、覚えようという気持ちが出てくるので、かえって暗唱がしにくくなるようです。
しかし、音読を繰り返すというやり方を守れば、年齢に関係なく暗唱ができるようになります。
暗唱検定のページを生かして、暗唱の練習をしていってください。
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△おすすめ図書のキャラクターは、クジャクちゃんです。
生徒のみなさんが毎週つけている「読書記録」をもとにした「おすすめ図書」をつくりました。
「よく使うリンク」の27番にリンクがあります。
https://www.mori7.com/osusume/
毎月、幼長から高校生まで合計100冊のリストを掲載します。
一緒に勉強している友達がどんな本を読んでいるかを見て、読書の幅を広げていきましょう。
サンプルとして、7月の小4の「おすすめ図書」をご紹介します。
全学年の分は、
https://www.mori7.com/osusume/
をごらんください。
2026年07月のおすすめ図書 おすすめ図書 生徒のみなさんの「読書記録」をもとにしたおすすめ図書です。 書名がamazonの書名と合わない場合は、その本が表示されない場合があります。 記号は、◇おもしろい、◎心に残る、★考える ■小4
|
| ◇◎ | 十五少年漂流記 | のむあか | sasami |
少年たちだけで困難を乗り越える姿から、勇気と協力する力を味わえる冒険名作。 おすすめ:サバイバルや仲間との冒険が好きな人。 |
| ◇◎ | ドリトル先生 | るなるな | okaki |
動物と話せる先生の旅を通して、命への思いやりと冒険の楽しさを味わえる名作。 おすすめ:動物や不思議な冒険が好きな人。 |
| ◇◎ | ごんぎつね・手袋を買いに | あかさあ | okaki |
新美南吉のやさしく切ない物語から、相手を思う心や命の尊さを感じられる本。 おすすめ:心に残る動物の物語が好きな人。 |
| ◇★ | ファーブル昆虫記 | あきゆき | hoemi |
虫の行動をじっくり観察する面白さから、自然を見る目と探究心を育てられる本。 おすすめ:昆虫や生き物の不思議を調べるのが好きな人。 |
| ◇★ | マンガと図鑑でおもしろい!わかるノーベル賞の本 | いのはる | kosuho |
世界を変えた発見や発明を知り、科学への興味と「なぜ?」を広げられる本。 おすすめ:発明や実験、科学者の話が好きな人。 |
| ◎★ | ラスト・チェリー・ブロッサム | りり | harako |
戦争と原爆を一人の少女の目でたどり、平和や家族の大切さを深く考えられる物語。 おすすめ:歴史や平和について考える本を読みたい人。 |
| ◇★ | 神社、お寺のふしぎ | あかよし | okaki |
身近な神社や寺の建物や文化の秘密を知り、日本の歴史への興味を広げられる本。 おすすめ:歴史や古い建物の秘密を知りたい人。 |
| ◇★ | 美味しいお米を作りたい! | あこあり | miwa |
小学生の米作りへの挑戦から、農業の工夫とあきらめない力を学べる実話。 おすすめ:自然や食べ物、ものづくりに興味がある人。 |
| ◇◎ | くちぶえ番長 | いのはる | kosuho |
まっすぐで優しい転校生との友情を通して、人を思いやる強さを感じられる物語。 おすすめ:友情や学校生活を描いた話が好きな人。 |
| ◇★ | 電車で行こう! 80円で関西一周!! | いのはる | kosuho |
鉄道のルールを使った旅を楽しみながら、地理や交通の知識まで広げられる物語。 おすすめ:電車や旅、地図を見るのが好きな人。 |
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7月に生徒の皆さんがつけた読書記録をもとにしたおすすめ図書を、明日8月26日に公開します。
今回のおすすめ図書リストは、幼児から高3までの全学年の読書記録の中から、各学年10冊ずつのおすすめ図書を選んで表示します。
小学校低学年の生徒は、中学年・高学年の本を見て、小学校高学年の生徒は中学生のおすすめ図書を見て、中学生の生徒は高校生のおすすめ図書を見て、自分のこれからの読書生活の参考にしてください。
これらのおすすめ図書リストは一般的なリストではなく、実際に生徒が読んだ記録を基にしたリストですので、その本を紹介した生徒の他の読書記録も見ると、自分の読書の参考になる本がさらに見つかると思います。
読書は今の教育の中ではすぐに成績には結びつくわけではないということで後回しにされがちです。
しかし、実は読書は、子供たちの学力にとってばかりでなく、人生にとっても大きな意味を持っています。
私のこれまでの経験では、読書をよくしている生徒は、その時点では成績に表れなくても、上の学年になった時に成績が伸びるようです。
つまり、読書によって考える力がつくので、いざ勉強をしようと思うと、勉強の内容が頭の中にすぐ入ってくるのだと思います。
この読書の効果は、東北大学の川島先生などもよく述べています。
「東北大学 川島隆太教授 インタビュー「読む&書く」からこそ学びは深くなる」
https://www.hj.sanno.ac.jp/feature/201911/ryuta-kawashima-interview.html
作文、小論文を書く力も、もちろん読書力を土台にしています。
読書の目標は、できれば毎日50ページ以上です。
こういう読書生活を中学生や高校生の時期ばかりでなく、大学生になっても、社会人になっても続けていければ、人生にも仕事にも大きく役立ちます。
おすすめ図書リストを参考にして、これからも読書生活を充実させていきましょう。
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◆◆「森の便り」からの送信
8月3週から、これまでの「言葉の森オンライン新聞」を「森の便り」という名称に変え、生徒や保護者に必要な情報を随時発信することにしました。
これまでは、ホームページの記事などで連絡事項をお知らせしていましたが、これからは、「森の便り」のぺージからメールが届く形にします。
https://www.mori7.com/ope/index.php?k=osb
(「よく使うリンク」の29番)
この「森の便り」に関する質問、相談、要望などは、「森の広場」という掲示板から行うことができます。
https://www.mori7.com/ope/index.php?k=123
(「よく使うリンク」の30番)
個別に連絡をする場合は、「個別連絡」掲示板からお願いします。
https://www.mori7.com/teraon/hkei.php
(「よく使うリンク」の7番)
「個別連絡」から事務局宛に連絡する場合は、送信先の講師コードにnaneと入れてお送りください。
「森の便り」は随時配信します。
「森から郵便」というA4葉書による郵送は、3か月ごとの学期単位でお送りする予定です。
◆◆勉強の土台となる読書
子供たちのこれからの勉強を考える場合、何のために勉強をするのかという自覚を早めに持てるようにすることが大切です。
そのためには、目前の中学入試、高校入試、大学入試だけでなく、さらにその先の自分が将来どのような形で社会に貢献するかということも考えていく必要があります。
そういう人生の目標を自分の問題として考えることができる学年は、大体中学3年生のころだと思います。
将来の自分の人生を考える素材となるのは、いろいろな人の伝記です。
推薦図書リストには古典的な伝記が多く載っていますが、現代の人の伝記にも心に訴えるものが数多くあります。
また、月刊誌「致知」は、大人向けの雑誌ですが、中学生や高校生が読んでも感動する話が数多く載っています。
読書をよくする人は、読書のためにまとまった時間を取るだけでなく、数分の隙間時間に本を開いて読むという読み方をよくしています。
言葉の森の推薦図書リストは、基本的にKindle化された本を選んでいるので、iPhone、iPad、Fireタブレットなどを使って、隙間時間にも読むことができます。また、端末の読み上げ機能などを利用すれば、対応する本を耳で聞くこともできます。
「推薦図書リスト」
https://www.mori7.com/tosyo/
(「よく使うリンク」の28番)
そうすれば、移動中などにも耳から聞く読書を続けることができます。
◆◆勉強の基本的な仕方
勉強の仕方の基本です。
まず、日本語の読み書き能力を育てることが重要ですので、作文は作文クラスで毎週目標の字数まで書けるように頑張ってください。
読む力については、読解検定で80点以上を取ることを目標にして毎月の読解検定に取り組んでください。
厳しい言い方をすると、読解検定は、75点や60点を取ってそのままにしていては、問題を解いた効果が十分に生かされません。
最終的には100点を取れるところまで間違えた問題を理解することが大切です。
毎月80点以上を安定して取れることを、まず一つの目標にしてください。
読解力をつけるためのコツは、1つは問題集読書を毎日続けることです。
もう1つは、生活の中に読書時間を作ることです。
数学と英語の勉強は、答えのある勉強なので、方法そのものは単純です。
数学の場合は、1冊の問題集を、できない問題が1問もなくなるまで繰り返し解くことです。
解法を見ても解法の意味がわからない場合は、AIに問題と正解の両方を送り説明を聞くと、わかりやすく教えてくれます。
その際、「なぜこの解き方になるのか、小学生(中学生)にもわかるように説明してください」と頼むといいです。
英語の勉強法は、1冊の参考書または問題集を5回繰り返して読むことです。
時間を能率的に使うためには、すでに理解している内容を何度も書くような勉強はできるだけ少なくし、読む勉強と理解する勉強を中心に進めていくことです。
理科や社会の勉強も同じです。
社会は教科書が充実しているので、教科書を5回読む勉強をすることです。
理科は、理科の問題集または参考書を同じように繰り返し読む勉強をすることです。
英語も数学も、それまでに学んだ内容の上に新しい内容が積み重なる教科なので、勉強を始めてから成果が表れるまでにはかなり時間がかかります。
数学と英語は時間のかかる勉強だと割り切って、すぐに成果が出なくても気長に続けていくことが大事です。
◆◆AIの土台の上に対話型(対面式)の授業
言葉の森のこれからの勉強の方向は、AIの利用という土台の上に、先生と生徒の対話型学習を進めていくことです。
AIに任せられる評価、分析などはAIを十分に活用し、その分、先生は生徒との対話、励まし、考えを深める指導に力を入れていきます。
作文に関しては、森リンによる作文検定に見られるように、AIが作文を評価し先生がそれをもとに生徒にアドバイスをするという形で進めていきます。
読書については推薦図書リストをもとに図書検定問題を解き、記述問題については、AIが評価し講評を書く形にします。
優れた記述の解答については、「記述ベスト」のような表彰の機会を作っていく予定です。
読解検定については、間違えた問題をAIがアドバイスするというようなことを進めていきたいと思っています。
毎週の読書記録については、AIがその生徒の読書の傾向を見て、今後の読書を進めていくためのアドバイスができるようにしていこうと思っています。
AIがその生徒の読書の傾向を見て、次にどのような本を読んだらよいかをアドバイスできるようにするということです。
7月の読書記録は、全学年で680冊ありました。
この680冊の中から、学年ごとにおすすめ図書のリストを作り、それらの本を紹介した生徒の読書記録なども見られるようにする予定です。
同学年の友達が読んでいる本を参考にして、読む本のジャンルを広げていけるといいと思います。
暗唱の勉強については、生徒がひとりで暗唱チェックができるように、AIを利用した暗唱検定を現在作成中です。
また、暗唱検定の発展した形として、口頭試問を評価するAIの仕組みを作っていく予定です。
確認テストのAI化はやや時間がかかりますが、生徒の解いた問題をもとにして、今後どういう勉強に力を入れていったらいいかということを、AIがアドバイスする形を考えています。
このように、AIを土台とした対話型学習という仕組みで、今後の言葉の森の勉強を進めていこうと思っています。
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大学入試の英語は理解する勉強という面が強いのですが、高校入試までの英語は慣れる勉強という面が強いです。
考えて答える面よりも、条件反射的に答える勉強と言ってもよいでしょう。
そのためには、英語の勉強に時間をかける必要があります。
英語の成績が良い人は、英語の勉強に時間をかけた生徒で、英語の成績が悪い人は英語の勉強にまだ時間をかけていないということです。
では、どういうところに時間をかけるかというと、それは3つあります。
第一は英語の問題集を5回読むということです。
特に大事なのは文法的な説明のところです。
問題については頭の中で考えて、その後答えを見て、その答えを覚えるという勉強法です。
答えを見る勉強法なら、ノートに答えを書く勉強よりも5倍から10倍早くできます。
書く勉強法でなく、読む勉強法を中心にすることが大事です。
問題集は一種類に絞ることです。
その一種類の問題集を5回読むという勉強の仕方です。
第二は、英語の音読暗唱に慣れることです。
全科学力クラスの英語の授業で行っているのは「英会話・ぜったい・音読 【入門編】」という本です。
國弘 正雄さんが監修しているので、信頼できる本です。
この1冊を毎ページ20回音読し、暗唱できるようにします。
第三は、長文読解です。
受験が迫っている場合は長文読解に慣れる必要があるので、「全国高校入試問題正解英語」(旺文社)という問題集の長文のところだけを素早く読んで理解する勉強をしていきます。
英語の勉強は、始めてから成果が出るまでに長い時間がかかります。
私の感覚では、一生懸命勉強を始めて6ヶ月後ぐらいになると成果が見えるようになるという感です。
すぐに成績に結びつかなくても、毎日気長にやっていくことが大切です。
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◆◆人工知能は、与えられた課題には強い
人工知能は、与えられた課題については、人間よりも早く正しい答えを出すことができます。
人工知能は、人間が蓄積してきた膨大な情報や知識を学習しているので、与えられた問題に関しては、最も正しい答えに近い答えを出すことができます。
しかし、人工知能には、与えられた課題そのものの意味を、自らの生存や経験に照らして問い直すという点で限界があります。
▽参考記事
「ASI「人間の1万倍」は本当か…孫正義・アルトマンが語らない、AI進化“締切2030年”」
https://www.sbbit.jp/article/cont1/186195
「ビジネス+IT」
◆◆「そもそも、この課題に意味があるのか」と考える力
これが自己言及と言われるもので、例えば人間は何か課題が与えられた場合でも、「果たしてその課題はどういう意義があるのか」というところに遡って考えることができるので、異なる課題に切り替えて考えることもできます。
現在、人工知能にこの自己言及の能力をつけようという試みがなされています。
しかし、このことについて、私は人工知能が話題になった当初から、人工知能は人間を超えることができないと考えていました。
その理由はただ1つ。
人間は身体を持っているが、人工知能は身体を持っていないからです。
◆◆自己言及の根底にある身体性
この身体性というものが、知能の本質的な性格を決めています。
人間が自己言及という能力を持っているのは、与えられた課題よりも先に自分の身体があるからです。
だから、与えられた課題について、「こんなかったるいことはやっていられないから、そもそもこういうことをやる意味があるかどうか考えよう」というような発想が自然に浮かび上がるのです。
人間には身体があります。
身体があるから欲求があります。
欲求があるから価値判断が生まれます。
価値判断があるから「そもそも何のために」という自己言及が生まれるのです。
つまり、人工知能に分かち難く結びつく身体があり、その身体が気持ち良さを感じたり、痛みを感じたり、転んで怪我をしたり、成長したり、年を取って動けなくなったり、というようなことができれば、人工知能が自己言及を始める可能性は高まるでしょう。
それは人工知能というよりも、鉄腕アトムのような賢く強く優しいロボットのようなものになるかもしれません。
◆◆当面は、人間の身体と人工知能を組み合わせる
この人工知能の身体化という研究は、これから進んでいくでしょうが、当面は人間が人間の身体を生かして人工知能を活用するというやり方が最も現実的です。
そのために大事なことは、人間が高度な人工知能に匹敵するだけの高度な自己言及の能力を持つことです。
それは何かというと、物事を根本から考える力を持つことです。
その力とは、ひとことで言えば哲学です。
◆◆答えのない問題には哲学が必要になる
これからの人類が直面する課題は、かつてのような牧歌的なものではありません。
例えば、自然災害をどう防ぐかということなどに関しては、自己言及の必要性はあまりありません。
それは、課題の目指す方向が決まっているからです。
そもそも「自然災害を克服することにどういう意味があるのか」というような自己言及をする人はまずいません。
しかし、政治選択の問題や、臓器移植の問題や、将来予想されるかもしれない宇宙人との遭遇などについては、課題の前に高度な自己言及が必要になるのです。
◆◆AI時代に必要になる読書、作文、対話、実践
ここで言葉の森の仕事に結び付けると、哲学、つまり高度な自己言及の力を育てるものは、読書と作文と対話と実践だと思います。
これまでの学校教育は、人工知能でできることを人間がやろうとするものでした。
これからは、知識や情報に関しては人工知能を利用し、人間はその根本にある哲学を自分自身の身体性をもとに生かしていくことになります。
AI時代の教育は、答えを出す力を育てる教育から、何を問うべきかを考える力を育てる教育へ変わるのです。
※用語の補足(「自己言及」について)
論理学や認知科学で使われる「自己言及(Self-reference)」よりも、引用した「ビジネス+IT」の記事の文脈としては「メタ認知(問いそのものをメタ視点から問い直す力)」「前提の疑い・脱構築」に近い意味合いで使われています。
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◆◆「アフターゾロリ問題」と子どもの読書の本質
小学生の読書で大事なことは、面白い本、楽しい本をたくさん読むことです。
真面目な本、つまらない本を、薬でも飲むかのように少しずつ読んでも読書力はつきません。
そういう子どもの読書の本質がわかっていないと、アフターゾロリ問題というようなことがあたかも重大な問題であるかのように思ってしまいます。
「アフターゾロリ問題」とは、ゾロリを卒業した後に読む本が見つからず、読書離れしてしまうという問題です。
先日、保護者向けの読書のアドバイスで「かいけつゾロリのような本がいいです」と話したら、保護者の方の中に、「ゾロリって読まない方がいいと思っていた」という方がいました。
確かに書かれている内容は面白いが、品のないものも多いので、そういう本ばかり読んでいては困るという感覚があったのかもしれません。
◆◆読書力につながる「質の高い文章」とは
しかし、大事なのは文章の質です。
「かいけつゾロリ」の文章は、説明的な部分がしっかりしているのです。
逆に、書名はあえて書きませんが、誰もがよい本だと思っている本の中に、会話中心で書かれているものがあります。
それは、結局ストーリーの面白さで読ませているということで、読者が立ち止まって考えたり、論理をたどったりする部分が少ないということです。
似たようなことは、近年の中学生の英語の教科書の英文についても感じたことがあります。
子どもの興味を引き、読みやすくするために会話を多く使っているのですが、身近なストーリーの面白さで読ませているので、文章を考えて読む要素が少ないと思ったのです。
文章には、内容の面白さとともに、表現の質の高さも必要です。
質の高い文章というのは、ストーリーの部分以外の説明的なことがしっかり書かれている文章です。
ストーリーで読むというのは、動画のスクリーンを見ることと似ています。
疑似的な体験としては面白いのですが、考える要素の少ない文章なのです。
小学生時代の読書は、読書力をつけることが第一の目的で、読書力をつけるためには多読が必要です。
だから、多読のために面白い本を何度も繰り返し読んでいく必要があるのです。
◆◆中高生の読書に必要な「考える力」と原典の価値
ところで、中学生や高校生になっても、物語文の本を中心に読む生徒もいます。
中学生、高校生の読書は、娯楽のために読むというよりも、考える力をつけるために読むと考える必要があります。
考える力をつけるためには、物語文の本だけでなく、説明文、意見文の本を読んでいく必要があります。
中でも、古典と呼ばれるような説明文の本は、単に知識を得るために読むのではなく、作者が格闘した考え方の跡も読むことになるので、考える力を育てることにつながります。
入門書や概論書というのは知識を得るための本ですが、そのもとになった著者の原典の本は、知識のために読むのではなく、考えるために読む本です。
中学生、高校生の人は、「○○入門」という本で終わらずに、もとの「○○」という本を読んでいくことが大事です。
さて、最初に書いた「アフターゾロリ問題」に戻ると、大事なことは、「ゾロリの次に何を読むか」ではなく、「楽しく読む子を、考えて読む人へどう育てるか」ということです。
◆◆電子書籍を活用した「推薦図書リスト」と「図書検定」
言葉の森では、子供たちの読書の指針となるように、推薦図書リストを作りました。
https://www.mori7.com/tosyo/
(8/19現在382冊)
海外の生徒でも利用できるように、Kindle化された本を中心にした図書リストにしています。
「かいけつゾロリ」は、残念ながらまだKindle化されていませんでしたが(笑)。
言葉の森では、このリストのそれぞれの本について、図書検定の問題を作っています。
○×問題が8問、記述問題が2問。解答送信後、200字の講評が表示されます。
問題は、まだ言葉の森の生徒しかできませんが、いずれ誰でもできるようにする予定です。
◆◆読書習慣を定着させる「推薦図書クラス」とオンライン自習室
ところで、推薦図書リストがあるだけでは、子供たちだけでこのリストを活用するのは難しいはずです。
そこで、言葉の森では、推薦図書クラスを開設します。
週に1回、オンラインの少人数クラスに参加して、それぞれ本を読み、互いに読書紹介をし、本を読み終えた人から順に図書検定の試験に取り組むというオンライン教室です。
オンラインのクラスに参加するのは週に1回ですが、それ以外も毎日24時間自由に使えるオンラインの自習室があるので、そこで、気の合った友達と、またはひとりで、読書を進めていけます。
小学生のころから、推薦図書クラスで読書をし、中学生、高校生になっても、この図書リストを参考に読書を進めていくとしたら、それは、その生徒の読書力、思考力、人間性の成長に大きく貢献すると思います。
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