読点の打ち方は、規則として確立しているわけではありませんが、大体次のように考えておきます。
1、はのあと:「は」(主語)のあとに打つ(「は」や「も」のあとです。ただし、「が」のあとには打たないほうが自然です)
2、そしてのあと:「そして」(接続語)のあとに打つ(「そして」「しかし」「だが」などのあとです)
3、かいわのまえ:会話の前に打つ(新聞など、字数を節約する必要のある文章では打たないこともあります)
4、ときのあと:時を表す言葉のあとに打つ(「○○したとき」や「日曜日に」などのあとです)
5、とといったの間:「と、○○が言った」のように、「と」と「言った」の間に言葉が入るときに打つ(「と言った」とつながっているときには打ちません)
6、のでのあと:「のでたらからると」(条件を表す語句)のあとに打つ(「○○したので」「○○したら」「○○したから」「○○すると」などのあとです)
「はそかととの」と覚えます。
小学校低学年のころは、全部を説明すると難しくなるので、「『は』のあとには打つ、『が』『の』『を』のあとには打たない」ということだけを説明します。子供の理解に応じて、少しずつ説明を追加していきます。
「はそかととの」ルールのとおりに全部打つと、読点が多すぎて読みにくくなることもあります。そのときは、「句点『。』1つに、読点『、』は1つか2つ」ということを目安にしていきます。
声を出して読んでみて、自然に区切るところが読点です。
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言葉の森では、小学4年生から段落の指導をします。
その前段階として、小学3年生までに、「会話以外の行は全部続けて書く」という練習をします。
更に、その前段階として、小学1年生のときに、会話にカギカッコをつけ、行を変えるという練習をします。
学校では、低学年のころから一文ごとに改行して1マス空けるという書き方をしているようですが、言葉の森は反対で、低学年のころから行は全部続けて書くという書き方をしています。
学年順にくわしく説明すると、
1、小学1年生で、会話にカギカッコをつける練習をします。
カギカッコの開きには、1マス使います。カギを原稿用紙のマス目の線にそって書く子がいますが、マス目の真ん中に書くようにします。カギカッコの閉じにも、1マス使います。ひとつのマスの真ん中に句点(「。」)とカギカッコの閉じの両方を書きます。
パソコンで書くと、句点とカギカッコの閉じは2文字になるので、2マスに分けて書く書き方をする場合もあります。また、中学生以上は、句点は省略してカギカッコの閉じだけを書くことが多くなります。
小学1年生は、会話にカギをつけるというときの、会話という言葉の意味がよくわかりません。「人の言ったこと」と説明しますが、それでもその内容がなかなか理解できません。しかし、すぐにわからせる必要はなく、気長に何度も教えていくようにします。大事なのは、楽しく書くことなので、会話にカギカッコが正しくつけられるかどうかということは些細なことだからです。
2、小学1年生で、会話にカギカッコをつけられるようになったあと、カギカッコのところで行を変える練習をします。
これも、小学2年生になるころまでなかなかできない子がいますが、やはり楽しく書くことが大事なので、すぐにできるようにする必要はありません。
会話を書いてしまったあと、改行に気づく場合がありますが、そのようなときは消しゴムなどを使わずに、「改行するつもりだった」ということがわかるような記号をつけておきます。
3、会話にカギカッコがつけられるようになり、会話のところで改行ができるようになったら、そのあと、「会話以外の行は全部続けて書く」という練習をします。
4、会話以外の行が全部続けて書けるようになったら、小学4年生から段落をつける練習をします。段落指導は、小学3年生の途中から始めてもかまいません。
段落の練習は、最初は、「会話以外の『。』が3つ続いたら、行を変えて1マス空ける」という教え方をします。
5、「『。』3つで段落をつける」ということができるようになったあと、「内容の変わっているところで段落をつける」という練習をします。
小学3年生までの段落のついていない作文をコンクールなどに出すときは、どうしたらよいのでしょうか。それは、先生又はお母さんが段落をつけてあげて、それを清書させるというやり方になります。この場合、どうしてそこに段落をつけるのかという説明は必要ありません。
日本語には、もともと段落という概念が希薄です。欧米では、1パラグラフに1つの内容という考え方がはっきりしています。日本語では、読みやすくするために段落をつけるという考え方が主流です。
段落の字数の平均値は、150字前後です。1文が約50字ですから、3文ぐらいで段落をつけているということになります。そこで、小学4年生の段落指導は、「会話の中の『。』は数えずに、会話以外の『。』が3つ続いたら段落をつける」という指導になります。
実際に、子供の書いた作文を「。」3つで段落をつけてみると、不思議に内容が変わっているところで段落がつきます。
最初は、内容があまり変わっていないように見えても、形の上だけで「。」が3つ続いたら段落をつけるというようにします。小学4年生の子供は、この教え方ですぐに段落の感じがつかめるようになります。
現在、小学5年生で約半数の子が段落を正しくつけられないと言われています。正しくつけられないとは、全部続けて書く形か、1文ずつ段落にしてしまう形が多いということです。これは、段落を内容面から説明して教えるのでわかりにくくなっているためです。
「『。』3つで段落をつける」という形で2、3回作文を書くと、すぐにその書き方ができるようになります。そのあと、「段落は、『。』1つでつけることもあるし、2つでつけることもあるし、4つでつけることもあるし、5つでつけることもある」という説明をします。
これをいっぺんに指導すると、次のような言い方になります。
「会話の中の『。』を数えずに、会話の外の『。』が3つ続いたら行を変えて1マス空ける。しかし、『。』は1つでも2つでも3つでも4つでも5つでもかまわない」
このように1回説明するだけで、多くの子は、すぐに段落のコツをのみこみます。
しかし、最初のうち、子供は不安なので、「ここで段落をつけていいの」と確認のために聞いてきます。感じをつかむことが大事なので、教えるときはあまり複雑に考えたり理屈で説明したりしません。子供が「いいの」と聞いてきたら、返事は「いいよ」です。
段落は、意味から説明して、子供に自分で考えさせて、結局できない子を増やすよりも、形だけ百パーセントできるようにさせたあと、意味を教えるという指導の仕方で教えていきます。
何か、自動車教習所で、縦列駐車の仕方を教えてもらうときとちょっと似ています。
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段落指導を読ませていただきました。今回大人の方に段落の説明をすることになったのですが、新聞や雑誌を見慣れていると段落の意味が泣かない伝わらなくて困ってしまい改めてネットで調べたところ森川林先生のHPがあり読ませていただきました。とても参考になりました。私の言葉でまた説明します。それと「子供がいいのと聞いてきたら、返事はいいよ」これは最高です!これもとても参考になりました。
MiOSCさん、コメントありがとうございます。
日本語の文章は、段落という意識があまり強くありません。1段落1内容と無理に考えるよりも、読みやすくするために150字ぐらいを目安に段落をつけると考えていくといいと思います。
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小4ぐらいになると、生徒の保護者からたまに相談があります。「塾に通うので忙しくなるから、言葉の森を続けるかどうか迷っている」。こういう場合は、文句なしに続けることをおすすめします。
その理由は第一に、小4からの塾はあまり必要ないからです。しかも、多忙になるような勉強はなおさら必要ありません。
塾に行くことによって小4の成績を上げることに時間をとられると、読む力、書く力、考える力を育てる時間が削られます。すると、かえって小5、小6で学力が低下します。
中学受験に合格した人の声を聞くと、「塾の勉強や宿題は最小限に絞り、できるだけ家庭でやるようにして取り組んだ」という声が意外と多いのです。
第二に、塾に行っても国語の成績は上がらないからです。算数だけの授業をとりたいのに、国語も一緒にやるように言われたということを、保護者からよく聞きます。しかし、塾の勉強で国語の成績が上がるということはまずありません。中学受験を経験した多くの人が、「やはり塾では国語は上がらなかった」と言っています。国語の成績は、家庭学習の読む勉強で上がるのです。
第三に、忙しいからといって簡単に1ヶ月休むということをすると、学年が上がるにつれて作文の勉強は難しくなるので、必ず子供が「また休みたい」と言うようになるからです。親が、休んでもいいという程度の二次的な勉強だと位置づけてしまうことによって、苦しいときにがんばるということができなくなるのです。
忙しいときは、題名と要約だけで150字まで書いて提出する(つまり、似た例、感想、いろいろな表現項目は省略)ということで取り組めば、何とかやっていけます。忙しさにもかかわらず作文を出し続けたということが子供の気持ちの張りになるのです。そして、子供の生活パターンが塾の勉強に慣れてくると、忙しくても時間のやりくりはできるようになってきます。
ただし、どうしても両立できなくなる時期はあります。小6の後半から、作文の試験が特にない受験では、作文の勉強のための時間がとれなくなるということはあります。そのときは、子供に理由をはっきり説明し、再開する予定の月日を決めて休んでください。
「受験勉強が忙しくなって時間がとれないから、来月から作文の勉強はいったん休むけど、書く力をつけておくことは大事だから、試験が終わって3月になったら、また再開しようね」という言い方です。
漠然と休むのではなく、休んでいるときでも意識の上では勉強が続いているという気持ちを持たせておくことが大事です。
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4月から新しく学校に通う1年生は、いろいろな可能性を持っています。そこで、親は、どのような習い事をさせようかと考えます。
英語、算数、国語、ピアノ、水泳、習字、算盤、バレー、体操教室、理科教室、自然体験教室、サッカー、野球、バスケットなどなど。いろいろなことをやらようと思いますが、その半面のびのび育てたいという気持ちもあります。しかし、学校の勉強が遅れては困ります。
そういうときにいちばんおすすめしたいのが言葉の森の作文の勉強です。
なぜでしょうか。
言葉の森で小学校1年生から作文の勉強を始めると、まず毎日の暗唱の習慣がつきます。そして、長文を読む力がつきます。もちろん、書く力もつきます。親子の対話ができます。書いたものが記念に残ります。国語力もつきます。何よりも、言葉の森で勉強をすることによって思考力がつき、学力の土台がつくのです。
思考力さえついていれば、英語、数学、国語などの勉強は、基本的には学校だけで十分です。
このように考えれば、毎日楽しく遊んで余裕のある生活が送れます。
幼稚園や小学校低学年で勉強を先取りすると、小学生の間は学校より先に進んでいるので、勉強がよくできるような錯覚を持ちます。英語の勉強では、中学生の最初のころまでよくできるような感じがします。
しかし、それが高校生に進むころには、みんな同じところに落ち着くのです。小学校低学年や中学年で先に進んだことは、高校生になるとすべて解消してしまいます。すると、そのために小さいころから苦労した勉強は何だったのかということになります。
勉強の習慣がついただけいいと思えば、そう言えないこともありません。しかし、毎日30分も1時間も勉強をすることによって圧迫されてしまうのは、思考力に最も必要な読書と対話の時間なのです。
小学校1年生のころは、花を咲かせる時期ではなく、根を張る時期です。その根とは、読む力と考える力です。
だから、読む力を重視した言葉の森の作文の勉強をするのが、小学校低学年ではいちばんいいのです。
さて、小学校の勉強は、基本的には学校だけで十分だと書きましたが、勉強の定着まで考えると、学校だけでは十分ではありません。先取りまでする必要はないが、定着だけはしっかりしていく必要があります。
今の小学校は、行事に追われています。勉強の合間に行事があるのではなく、行事の合間に勉強があるという形になっています。勉強はできなくても生徒の問題だから仕方ない、しかし行事がうまくいかないと先生の責任になる、ということになりがちなのです。
また、学校の授業は、理屈の説明が中心になるので、実際の練習量が不足してきます。練習量の不足が如実に表れるのは、漢字書き取りの間違いと計算間違いです。漢字や計算ができないのは、練習量の不足ですから、学校で宿題が出ないとしたら、その分を家庭で補う必要があります。
家庭での練習は、市販の問題集でかまいません。しかし、家庭での勉強は完璧にやる必要はなく、苦手にならない程度までできていれば十分です。
子供は、中学3年生になるころから初めて自覚的に勉強するようになります。その時期までに、思考力の土台をしっかり作っておくことが大事です。
小学校1年生の子供を持つお母さんお父さんは、見た目の華やかさや流行に迷わされず、本当に大切で長続きする勉強は何かということを考えて習い事の選択をしてください。
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小2の男の子の保護者から電話がありました。もともと作文をよく書ける子だそうです。先生の電話のあとなかなか作文が書けなくて、1日かかってしまうこともあるそうです。しかも、お母さんの言うことを聞きません。自分で納得するように書きたいらしいということでした。
作文の勉強に2時間も3時間もかけるというのは、やり過ぎです。中学生以上の生徒の場合は、よいものを書こうとしていろいろと推敲しながら書くことも多いので、3時間ぐらいかかることもあります。しかし、小学2年生でそんなにやるのは、やはり時間のかけ過ぎです。
しかし、同時に、作文を書くというのは、小学生の子供にとって絵をかくとか工作をするとかいうことと同じ面があるので、本人が楽しみながら書いているのであれば、それは遊びの一種として見ていても差し支えありません。
今回の相談の場合、お母さんの話では、本人も家族も時間がかかることで困っているということでしたので、アドバイスをしました。
作文が書けないという場合、書けない状態が何分かたつと、あとは時間がたつほど書けなくなっていきます。15分も書けない状態が続くと、あとは30分でも1時間でも書けません。時間がたてばたつほど、何を言っても書けなくなります。だから、親のアドバイスは最初の5分が勝負なのです。
子供が書き出せない場合は、親が、書く文章を言ってあげます。「『きょう、ぼくは朝七時におきました』。はい、書いてごらん」「よく書けたね。じゃあ、次は、『朝ごはんのおかずは、なっとうとたまごやきでした』。はい、書いてごらん」「じゃあ、次は……」このようにいくつかの文を言ってあげると、途中から子供は必ず、「あ、わかった。もう言わないで。自分で書けるから」と書き始めます。最初の呼び水だけが必要なのです。
もし、このように書かせても、子供が途中から自分で書き出せないという場合は、お母さんがずっと最後の文まで言ってあげてもかまいません。何しろ書き上げたという成功体験を積み重ねることで、作文を書く力がついてきます。
お母さんが言ってあげるかわりに、長文を学年の100倍から200倍の字数まで書くということでもかまいません。子供が、自分で考えて自分の力で書くということにこだわる必要はありません。一回一回の作文を見るのではなく、長期的に作文の力をつけるのだということを考えて、何しろ何かを書くという行動をさせることが大切なのです。
ところが、今回の相談の場合は、お母さんが手伝ってあげると言っても、子供が言うことを聞かないということでした。
この場合、アドバイスの仕方にコツがあります。それは、問題が起きたあとに対応するのではなく、問題が起きる前に対応しておくということです。
小学校で運動会の練習をするようなとき、ベテランの先生は次のような指示の仕方をします。
「これから、玉入れをします。先生が笛を吹いたらはじめてください。そして、先生が2回目の笛を吹いたら玉入れをやめて元の場所に戻ってください。はい、ピー」
子供は1回目の笛で一斉に玉入れを始め、2回目の笛で一斉に元の場所に戻ります。
若い先生は次のような指示の仕方をします。
「これから、玉入れをします。先生が笛を吹いたらはじめてください。はい、ピー」
みんながわあっと一斉に玉入れを始めます。先生がそろそろ終了にしたいと思って、
「はい、もうやめなさい」
と言ってもすぐにはやめられません。大声で、
「やめなさい」
「やめなさいったら、やめなさい」
「どうしてすぐにやめられないの!」(笑)
指示の仕方のコツは、問題の起きたあとのことを織り込んで準備しておくことです。
勉強を始めさせるときも、終わらせるときも同じです。
お母さんが突然思い出したように、
「あ、そうだ。勉強始めなさい」
と言っても、子供は素直に言うことを聞けません。
「あと、15分ぐらいしたら、そろそろ勉強を始めようね」
とあらかじめ言っておいて、それから指示をすればスムーズに言うことを聞けます。
勉強を終わらせるときも同じです。
始める前に、「○分ぐらいまでで終わりね」と言っておき、その時間の来る15分ぐらい前になったら、「あと、15分ぐらいで終了だよ」と言っておけばスムーズに終えることができます。
この「あらかじめ」は、あらゆることに共通する大事なコツです。
中学受験で勉強している子に、
「何しろ合格までが目標だから、合格したら何をしてもいいからね」
と言っていたとします。
合格したあと、子供は解放感で遊び始めます。そして、勉強の習慣が戻らない^^;ということも多いのです。
受験勉強をしている最中に、
「合格が目標だけど、本当に大事なことは合格した学校でしっかり自分を成長させて立派な人間になっていくことだからね」
と、あとのことまであらかじめ言っておくことが大切なのです。
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