小学3年生以上は、作文の題名が決まっています。
題名が決まっている課題では、お父さんお母さんに取材することが大事になってきます。
例えば、「私の好きなスポーツ」という題名で書く場合、自分の体験だけで書くこともできますが、それを両親に取材することによって実例が立体的になっていきます。
その複数の実例を一つにまとめる感想が、作文の主題になります。
実例が複数あると、主題はその複数の実例に共通する、より抽象的な主題になってきます。
それが、小学校5年生以降の主題中心に考える作文の元になっていくのです。
もし、自分の体験実例をひとつ書くだけでそのまま感想を書くとすると、その体験が面白かったとかつまらなかったとかいう、体験に密着した感想になってしまいます。
それでは、深い感想というのは出てきません。
感想を深めるために、複数の実例で立体化していくことが大事なのです。
そしてまた両親に取材した話は、そこに両親の生き方や考え方が自然に盛り込まれています。
そういう話を聞くことが、子供にとって作文を書くこととは別の考える勉強になっているのです。
▼お父さんお母さんに聞いた話(寺オン作文の授業から)
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難しい本で、しかし興味を持って読める面白い本というのはなかなかありません。
難しくて面白くない本か、面白いが内容が薄い本が、どちらかであるのが普通です。
しかし、両親との話は、難しい内容を興味を持って面白く聞けるように話してくれることが多いのです。
だから、両親と話をする機会を増やすと、子供の考える力が育っていくのです。
小学4年生までの作文の課題では、親がそれほど準備しなくても、子供にいい話を聞かせてあげることができます。
しかし、小学5年生以上の課題になると、親が事前に似た話を考えておく方がいいのです。
例えば、食事の習慣における日本と欧米の文化との違いなどという話を、お母さんが台所で大根かなにかを切っているときに突然聞かれても、すぐにはいい話は出てこないからです。
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△写真は、言葉の森事務局の新しいメンバー、文鳥のブン。誕生後1か月ですが、だいぶ飛べるようになりました。
習い事が多くて時間がとれない、という子がいます。
インターネットの情報過多と同じで、自然に任せれば、見なければならないと思うものが次第に多くなってくるのです。
そこで、断捨離が必要になります。
そのときの基準は、今の役に立つだけでなく、生涯役に立つものかどうかということです。
もちろん、それは、あとになってみないとわからないことです。
しかし、どの子にも基本的に大事なものは、読書と作文と対話と自由な時間です。
要するに、理解力と思考力と表現力と創造力を育てることが基盤となって、ほかのものも生きてくるのです
そして、そのほかに、自分がすごく好きなものがあれば、それを大事にしていくことです。
始めてから3か月で成果が出て、次に移るという忙しいやり方ではなく、小学1年生から始めて、高校3年生まで、更には大学生、社会人になってからも続けられるものを第一の基準としていくのです。
また、今の社会では、人工的な環境で一日を過ごしてしまうことも多いので、生き物を飼ったり、自然に触れたり、友達と遊んだりする時間も意識的に大事にしていくことです。
学校の今の勉強に役立つかどうかということよりも、その子の将来の生き方にプラスになるかどうかということを第一に考えていくのです。
以前、小学校低学年で、学校の宿題が多くて勉強が忙しいからと、読書は家でしないで行き帰りの電車の中だけで済ますという子がいました。
低学年のころは成績がよかったのですが、高学年になるとどんどん成績が低下していきました。
読書のような根を育てることを後回しにして、そのときのテストや宿題という表面に出る花や葉を育てることを優先していたからです。
しかし、もちろん人間はいつでも変化できます。
その子もたぶん、すぐには表面に出ないものの大切さに気づいて、いつか本格的に何かに取り組むだろうと思います。
しかし、そういう遠回りをしなくて済むように長期的な目でものを見ることができるのが、人生経験のある親の役割だと思います。
(つづく)
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昔、塾で作文の宿題があるので見てほしいというお父さんがいました。
それが塾の成績にも響くかもしれないというのです。
その子は、まだ低学年です。
親の気持ちはわからなくはありませんが、そういう短期的な視野で子供に勉強をさせていると、あとで大変だろうなあと思いました。
というよりも、塾の宿題ならその塾で見てもらうのがいちばんいいと思ったのですが(笑)。
今の子供たちは、全体に忙しすぎのように思います。
受験勉強の1年間は忙しくても当然ですが、それ以前の時期はのんびり暮らすのが普通です。
のんびりした生活の中で、自分の好きなことをしたり読書をしたりする方が、あとになって必ず生きてくるのです。
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12月4週は、作文の発表会です。
参加者がそれぞれに自分の作文を発表して、そのあと、ほかの参加者が質問や感想を述べます。
言葉の森の生徒なら誰でも参加できますが、これまでは準備の関係で、寺子屋オンラインのクラスの生徒中心に連絡をしてきました。
しかし、運営の仕方も軌道に乗ってきたので、来年からは年に何回か全体でプレゼン作文発表会を行っていく予定です。
今回紹介する動画は、小3、小4の題名課題「どきどきしたこと」の作文発表の例です。
本当は、文章を表示するだけでなく、その文章の内容に関連した画像などを見せて発表するといいのですが、それは今後の全体の発表会のときによく準備して取り組んでもらうようにしたいと思います。
作文発表会は、発表ももちろん大事ですが、そのあとのほかの生徒からの質問や感想のやりとりもそれ以上に大事です。
作文は、書いたあと、先生や両親に見てもらうだけでなく、友達の前で発表することによって、よりよいものを書こうという意欲がわいてくるからです。
▼小3の作文課題「どきどきしたこと」の発表例
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作文発表会で面白いのは、真面目な話だけでなく、ふざけた内容や表現で発表する子がいることです。
また、質問や感想も、普通に真面目な質問や感想だけでなく、面白いことを聞いたり言ったりする子がいることです。
言葉の森の作文発表会は、点数をつけたり、賞を決めたりするわけではないので、楽しくやるのがいいのです。
作文発表会は、ただ面白いだけでなく、受験にも役立ちます。
それは、面接などの受け答えが上手になることです。
入試に面接がある人は、寺子屋オンラインで友達や先生とのやりとりを練習しておくといいと思います。
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寺子屋オンラインの少人数クラスでは、集団の力学がよい形で働くことがあります。
例えば、あるクラスで、一人の子が暗唱をすらすら言うと、それを見たほかの子が感心して、その後みんなが暗唱をするようになったということがあります。
親子の関係だけで暗唱を続けようとすると、無理なくできる子もいますが、場合によっては親が強制し子供が反発するという関係になってしまうこともあります。
みんなでやっていると、それが無理なくできるようになるのです。
しかし、これは、少人数クラスの力学と家庭での習慣の両方がなければうまく行きません。
家庭では、毎日の暗唱時間を確保することが大事で、その習慣を成果として引き出し、やる気を高めるのが集団の力学です。
また、作文のアドバイスでも、ある子に、直接、「もっとこう書いた方がいい」とアドバイスをすると、その子の元の作文を否定するような形になってしまうことがあります。
しかし、ほかの子の作文のよいところをみんなの前で褒めると、ほかの子もそのよいところを身につけるようになるということがあります。
よく、「よいところを褒めるか、悪いところを直すか」ということが作文指導の二つの方法論として論議されることがありますが、グループで作文指導をしていると、どの子も全部よいところを褒める形で、ほかの子も自然に悪いところを直すようになるという理想的な形になることがよくあるのです。
作文以外でも、ほかの子のよいところにみんなが影響を受けて、そのグループ全体がよくなるということがあります。
例えば、みんなの作文を発表したあと、順にほかの子に対する質問や感想を言ってもらうことがあります。
そののとき、最初はほとんどの子がうまく質問や感想を言えません。
それは、相手の作文や発表を注意して見ていないからです。
だから、うろ覚えで、直前の発表についてとってつけたような感想を言ったり、中には、感想が「ありません」と済ませてしまう子も出てきます。
ところが、中に、ほかの子の発表すべてについて簡単なメモをつけておき、全員についてひとことずつ簡潔な質問や感想を言えるような子が出てきます。
すると、みんながその感想の言い方に感心して、やがてどの子もそのような感想の言い方ができるようになるのです。
入試の作文課題などで、放送を聞いて答えるという問題が出されるところがあります。
こういう問題のときは、聞いたことを的確にメモしておくことが必要になります。
ところが、多くの生徒は日常的な学習の中で、人の話をメモしながら聞くという習慣を持っていません。
ですから、少人数クラスでの感想の発表は、勉強にも将来の社会生活にも役立つコミュニケーション力をつける機会になっているのです。
現在、寺子屋オンラインクラスは、担当できる講師がまだ少ないせいもあり、本格的な募集を行っていません。
しかし、今後は、個別指導でも、集団指導でもない、5、6人の少人数クラス指導といいうものが広がってくると思います。
そのために、今後、寺子屋オンライン講師育成講座に力を入れていく予定です。
▼寺オン作文クラスの質問感想の様子
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昔の子供は、上の子と一緒に遊ぶ中でいろいろなことを身につけました。
親に言われても難しく感じてなかなかできないことが、友達が一緒だと自然にできるようになったのです。
子供の成長には、そういう集団の力が欠かせないのだと思います。
子供たちの感想の述べ方が、毎回前向きで感心することが多い。
みんなが互いに相手のいいところを見ているということがよくわかる。
どの子も、性格がいいなあ。
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長野市立長野中学校 S.T.さん
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