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4月の森リン大賞(小6-中2) as/909.html
森川林 2010/05/21 09:50 

 4月の清書をもとにした学年別の森リンベスト10です。

 感想文課題のときも、自分らしい個性的な実例が上手に書けています。




※ 1位の作品は、要約の部分がかなりありましたが、ほかの段落もよく書けていたので、代表作品としました。次回の清書は、要約の部分は省略するか、自分なりの説明に書き換えてみてください。

4月の森リン大賞(小6の部132人中)

里山を歩いていると
ひたえ

 今、美しく維持されている里山は、必要なてまひまを、すべて里山の人々の善意に負っている。だが、わたしは、里山を私有財産という枠組みの中だけで考えていたのでは、守れないと思う。都市に暮らす人々が、大切な里山を維持してもらえるように里山の人々に対して相応の負担をするべきではないかと考えている。また、開発が進む里山では、野生動物たちが訪れる森が分断されることが多くなった。このため、野生動物の交通事故が増えているようだ。だから、人間の側の注意と配慮がもっと必要だ。野生動物にとって一番いいのは、緑のコリドーという、野生動物の体を隠してくれる緑の廊下だ。緑のコリドーを伝わって、里山の野生動物が姿を見せてくれたら、どんなに楽しいだろう。そして、大切なのは、野生動物とのほんとうの付き合い方をわたしたちがしっかり知ることだ。

 森には、運動のため、楽しむためだけではなく、体を休ませるためというのもある。森の緑は、人に安らぎを与えることもできるのだ。わたしの家族はよく、山などへキャンプに行く。それは、安らぎを感じることでもあり、いままでにたまった疲れを取るためでもある。そういう目的で、キャンプに行くのだ。キャンプであたりの山道によく、「ごみを捨てるな」などという立て札がある。立て札は、ここに来た人がやっていたことの、悪さの証拠でもあるので、どんなにきれいな風景の山でも、そういう立て札があると、せっかくの気分が壊れてしまう。だから、一人ひとり、個人個人が気づいていかなくてはならないことなのだ。

 野生動物の安全について、緑のコリドーというように、例えば、絶滅寸前の動物を保護する活動がいろいろある。その中で、先日、トキのような大切な鳥が、ある日突然テンに襲われてしまい、九羽も死んでしまう事件があった。保護する中で、周りの危険に常に注意を払わなければならない。

 山の自然や生き物を守るために、人間が手を加えて、動物がより良いくらしになればいいのだとわたしは思うけれど、ぎゃくに、自然に影響が出てしまったらどうだろう。人が手を加えて、ひとつの生き物は住みやすくなったけれど、それにかかわる生き物に影響が出てしまう。こんなことは決してないとは言い切れない。

人間にとって自然はただ楽しむだけの存在ではなく、生きていくために欠かせない存在なのだ。前に国語の教科書に載っていた、「サクラソウとトラマルハナバチ」という話では、サクラソウを守るためには、受粉をするためにトラマルハナバチが必要で、そのトラマルハナバチのすみかになる穴を掘るネズミが必要になる。この三つの生き物がひとつでもいなくなると、他のすべての生態系が崩れてしまう。だから、自然を守るためには、人間だけでなく、それに関係するすべての生き物を守っていかなければならないのだ。


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1里山を歩いているとひたえ84116556617587
2神様は一番えらいドレミ8288756677896
3物事の土台まかじろう8112735710611384
4難しい野性動物すずめ8195653607590
5普段の小さな〝ありがとう〟なみり80106549607690
6第一歩のための目標あんこ80112849546287
7里山は日本の宝コレルリ79897448210487
8目標の役割ブレイド79104943819884
9さようなら、山田先生バナナ佐々木78104846649783
10山は生きているしもん7882652607581


※ 1位の作品は、書き出しの1マスが空いていなかったので直しておきました。ワードで入力したものをそのままフォームに貼り付けると、ワードのスペースは書式だけのスペースなので消えてしまいます。いったんメモ帳などにコピーし、メモ帳の上でスペースをつけてからフォームに貼り付けておくといいと思います。

4月の森リン大賞(中1の部108人中)

他を認める
闇の女帝

 普段私たちはコインを丸いものとしか見ない。でも見方によっては薄い長方形や短い棒状に見えることがある。それは誰でも承知しているが、実際に「コインは長方形だ」というと変な目で見られてしまう。けれど物事をいろいろな視点からみていろいろな感想を持つのはいいことなはずだ。なぜなら皆が同じ視点から物事をみれば、そこから生まれるものは何もないからである。しかし、奇想天外な見方をしてうまれた新しい事実は、大概発表すると世の中の批判や野次の的となる。だから、新しい意見を出すことに躊躇する人や世の中の常識、見方に満足する人が増加して、私たちの創造力はますます失われていく。どうして、こうも人は新しい考えを拒絶するのだろうと私は考えてみた。

 理由①。自分の意見より、新しい意見を推す人が増えれば自分を支持してくれる人が誰もいなくなってしまう、ということに恐れを抱いているから。だから新しい意見に猛反発したり批判したりして、どんな行動をとっても新しい意見を潰そうと企んでしまう。意見というのは誰かに支持されることによって、初めて意見とよべる。発案者だけが支持する意見なんて、恰好悪いと思っている人が多いのだ。しかし、実際はそんなことはない。今では当たり前になった地動説、しかし昔では天動説が信じられていた。更に天動説に多少のほころびがあっても、天動説を支持する者は圧倒的に多く、たびたびそのほころびは無視されてきた。そんな中、出てきたのはガリレオ・ガリレイである。ガリレイは、木星の衛星、金星の満ち欠け、太陽の黒点などから地動説は正しいと確信し、地動説についての本を出版した。それを理由にガリレイは裁判にかけられてしまい、有罪判決を受ける。そして彼は「それでも、地球はまわっている」という有名な言葉を残し、亡くなってしまうのだ。ガリレイは一人でも(内密に支持したひともいるかもしれないが)、自分の意見をちゃんと持ち、結局その意見は正しかった。自分の意見に自信を持って、支持する人が減っても、新しい意見を叩き潰すのはいけないことだと思う。

 理由②。自分の意見は正しいと思いこんでいるから。これは一番いけないことだと思う。思い込みというのはよく災難を引き起こすものだからである。自分の意見を正しいと思っている人は、自分の意見に陶酔して、素晴らしい意見を出した自分に自惚れているのだろう。もしくは、視野が狭く一方的な見方しか認められないのかもしれない。しかし、自分にだって盲点はあるだろう。他人の意見をきくことで「あっ」と思うことがあるに違いない。そして、その意見を認めるか、認めないかでその後の将来は大きく変わってしまうのだ。その意見を認めれば、より強力な意見ができ新しい見方に納得することができる。しかし、意地を張って自分の意見を押し通せばやがて決裂することだろう。他人の声に耳を傾ける広い心をもたないと、物事は進まないのだ。

 しかし、どうしても負けられない相手に気づかされたことはなかなか認められないものだ。でも、そこで認める、強い心を持つひとが真の英雄、真の勝者となるのだろう。だから、私は物事をいろいろな角度から見るのはよいことだと思う。


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1他を認める闇の女帝87131658899189
2レトリック感覚の重要性よっしー85154852627583
3矛盾…バービー85118468607381
4あだ名はよい(清書)コッペパン84113953698092
5「文字」と「映像」でチョコボ84102956657992
6様々なところから見るさおりん84168757577687
7友達と打ち解けたいあなたへR&Y84117059606984
8あだなはよいかなつみかん83119649607989
9多角的な視点はるかぜ83105459667690
10矛盾は嫌なヤツ?ことのは82130862618987



4月の森リン大賞(中2の部77人中)

「私」の存在
hikari

 「私」とは何のか、このことは人間にとって、もっとも根本的な「ふしぎ」である。外界と自分との比較で、「私」の存在意識がだんだんと分るようになり、そうすることで「私」の実感も生まれてくるのだ。「私」の「ふしぎ」を忘れた「たましい」を忘れたヒトにとって、それを理解してもらうという点で、そしてその「ふしぎ」を自分の物語にするという点でも、児童文学は重要な手段であると言えよう。

 「私」は唯一の存在である。今の自分は、隣の誰かになることも、その人の未来、あるいは過去を歩んでいくことが不可能である。それが現世の理であり、変えることのできない事実なのである。

 私の小学校時代の後輩に、U子とK子がいる。彼らは本当に瓜ふたつの一卵性双生児だ。本当に瓜ふたつ…とは言っても、どちらかがクローン人間、あるいはニセモノであるわけではない。性格や趣味や考え方、成績だって違う。U子は少しおてんばで、ピンク色が好きだが、K子はおっとりしていて水色が好きだ。ちなみに、最近聞いた話なのだが、二人とも中学受験をしたそうだ。ふたりとも同じ中学に行くものだと、周囲はてっきりそう思っていた。ところがどっこい、私立に進学したのはK子のみだったのだ。残念ながらU子は不合格だったそうだが、今では地元の中学に、元気に通っているとのことだ。二人が意気投合している姿は、私がまだ小学生だった頃には良く見かけられた。よく似通った彼らだが、一人ひとりが違う心を持った唯一の存在であることに、変わりはない。最近では中学が違うためか、二人を見ることが、めっきり減ってしまった。けれども、ふっとした時に見かける彼らの姿は一人ひとりが生き生きとして見えた。

 けれども、自分と似通った存在だっている。「私」の「ふしぎ」を自分のモノ、つまり物語にするという時に、文学は非常に役立ってくれることは、前にも書いた。私の場合、「武士道シックスティーン」という物語を参考にさせていただいている。その物語は、剣道をする、二人の女子高生が主人公で、二人が交互に語り継いでいくという流れだ。私はその中の磯山香織という主人公の一人に共感している。私は剣道をしているが、目立った成績も持っていないし、さほど強くない。というより弱い。剣道オタクの彼女と私では、似ている所など、ほとんどない(と思う)。けれど、香織が、この先自分が剣道を続けていくかの道に迷った時、わたしはもの凄く彼女に共感できた。何故なら私も幾度なく、そんな経験をしたことがあるから。

 私は剣道を、幼稚園生の頃から始めた。年が経つにつれてやめる人もいれば始める人もいて、終いにはごくわずかの人しか残らなかった。私は正直、なんで剣道をするのかよく分らなくて、けれどやめたら何かに負けてしまうような気がして、続けていた。私が中学に入ったら剣道以外の部活に入ろう、と決めたのは、小六の春。でも私は中一の春、剣道部に入部した。理由は簡単、結局私は、もうひとりの負けず嫌いな自分に負けられなかった、という訳だ。ただ、また以前と変わらない不安が、むくむくと頭をもたげてきた。そんな時、私は彼女に会ったのだ。自分と同じように悩む女の子。年や努力、実力の差はあっても、香織は私に答えの糸口を見つける手助けをしてくれた。何だかんだ言ったって、結局私は剣道が好きなんだ、と分らせてくれた。仲間が大好きなんだ、と。私に大切なことを教えてくれた彼女は今も、私の目標のような存在になって、助けてくれている。

このように、「私」の存在は、様々なとらえ方ができる。だが、最も大切なのは、「カメラマンは、レンズのほこりを払うまえに目のほこりを払わねばならない」というように、まずは自分の存在を、自分で理解する段階から見直していきたいと思う。


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1「私」の存在hikari86155452758095
2古いものと新しいものたけたけ85118962618689
3道草に道草本因坊841243619010589
4長所・短所の自己管理ピプリー84164752637186
5かまむ8399359788583
6大人と子どもの抱く「不思議」きとみ83205758626687
7私の「不思議」パダワン81104551667774
8新しいもの 古いものまりい7987652647284
9利点が楽しみに201系781494518610593
10aかりる7886651577284


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森リン(103) 子供たちの作文(59) 

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4月の森リン大賞(小1-小5) as/908.html
森川林 2010/05/20 09:38 
 4月の清書の森リン大賞が決まりました。

 生徒のみなさんには、4.4週の「山のたより」に、自分の点数の推移と併せて掲載しています。

 小5の「なぞのたびびと」君は、結びのダジャレをうまく工夫していますね。






4月の森リン大賞(小1の部34人中)

順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1マーチきしせ6028738445680
2おともだちもっち6027241435287
3体育のこときゆけ5939742435284
4きゅうしょくきおら5932238435277
5きゅうしょくきよれ5926838435081
6バレエのリハーサルのこときけは5710837504880
7すなばくうり5510537504973
8コンビニうらら5510637504973
9だいめいなしきらお5510737504967



4月の森リン大賞(小2の部88人中)

順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1矢田川たんけんたいみやまのはるかぜくん6747444466595
2さあ行くぞ、水泳大会へ!とらたいがくん6651039567684
3まちきれなかった遠足ハリーポッター6633241576889
4きょうはさむいねこまつな あやめ6639446445696
5なつかしかったしゃたくきりと6556242466380
6リトルシェフサークルきりる6543741466089
7おそうしきダイアナ6561041435986
8かみのけをきったよ!!おはなちゃん6548443445984
9春休みの思い出リリー6550148435787
10たのしかったな私の誕生日レオマワールドひゆあ6538941515687



4月の森リン大賞(小3の部136人中)

順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1清書(十五分ゆめの中)ふうこ7172944597184
2がんばり坂の通学路レモネード7180446537187
3そうじですっきり!きけひ7076538537283
4新しいクラスおゆな6983147486976
5たくさん旅をする実や種ちーちゃん6954542506886
6学校へ行く道かなろ6956942546786
7お花見は楽しいすももちゃん6985141456484
8つう学ろりすっぴ6977338446090
9白いカラスひなた6973358455887
10宮内先生から大原先生にかわって~!ゆいゆ69110551455786



4月の森リン大賞(小4の部137人中)

順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1きけんなミイラ取りさやか7687643588583
2イタズラ ラララメゾピアノ7587648498381
3ふしぎな時計レモン7492744517489
4庭そうじゆかり7486043506989
5北海道の思い出いかめしショコラ74124951496386
6不思議な料理スヌーピー73110447476577
7ミイラになったら困っちゃうクリスタル7384942466586
8ミイラはちょっときらいですなるちゃん7378946496286
9大事けん発生フックー72110242456981
10動物たちの大きらいなシャンプーなっち7272042516489



4月の森リン大賞(小5の部137人中)

くずかごのないくらし
なぞのたびびと

 くずかごを持たない人はいないだろう。でも、くずかごはやはりただのくずかごだ。大きなくずなかごを部屋に置き、不必要なものを捨てて、日々のくらしの姿勢を作るべきだと筆者は言うが、ぼくは筆者の書いた、『たくさん捨てる』ということに反対だ。なぜ反対かは、たとえば日本人全員が、一日に百個のゴミを一年出したとすると、約五兆個にもなる。そんなことをしたら、ちりがつもれば山となるということわざのとおり、日本がゴミの国になってしまうではないか。いくら海をうめたてても、うめたてる場所には限りがある。いつだったか、清掃工場を見学した時に、案内役の作業員が、
「東京湾の最後のうめたて場所は、計算ではあと五十年したらなくなってしまうのです。」
と話していたのを思い出す。ぼくたちの子孫はいったいどうなるのだろうか。

 しかし、筆者がなるべく手に入れないと書いたことには賛成だ。要るもの、たとえば、食料などは食べるためなら買っても良いだろう。なぜかというと、食べ物が無いとうえ死にしてしまうからだ。では、要らないものとは何だろう?月間お買い得品や、十個入りの商品など、まとめて買うとお得だからといって、まんじゅうでもチーズでも、今すぐ必要でないのに買ってしまうことがある。そして、食べないうちに賞味期限切れになる。それを捨てるのならば金をドブに捨てているようなものだ。それだったらそのお金をユニセフなどに寄付した方が、人が助かるのだからいいに決まっている。

 ぼくの部屋にはゴミ箱が無い。この間、ぼくが学校から帰ると、
「このゴミ箱、ちょっと貸して。」
母が勝手に持って行ってしまった。母になぜゴミ箱を持ち出したかを聞いてみた。
「雄介の部屋以外からはゴミがよく出るんだけど、雄介のへやからはまったくゴミが出ないのよね。リビングのゴミ箱もいっぱいで足りなくなったの。買い直さないでも、雄介の部屋のゴミ箱を使えばいいと思ったから。」
ハァー。どうせこんなことだと思った。

 「必要なとき、必要なものを、必要なだけ」というのがぼくの父の口ぐせだ。母は父の言うことを実行している。ぼくは、車を買うのに高い外車、家はお城みたいに広く、召使いさんまでついている家庭ではなくて良かったと思った。我が家のくらしがしゃんとしていることが、よくわかる。

「雄介。」
母が走って来た。
「クズクズしていないで、宿題しなさい!」
「ゴミんなさい。お母さぁ~ん。宿題、やるよぉ~。」


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1くずかごのないくらしなぞのたびびと79102052699483
2何が必要で何が不必要かピッピ79109448547084
3わかれたって、いっしょだよ。ミント79110944536887
4九州最南端 鹿児島旅行さやの78761388011093
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国語のテストの見直し方 as/907.html
森川林 2010/05/19 15:23 


 国語の模試の結果が返ってきたときに、意外に点数が低くて驚くということがあります。それは、普段の学校のテストと比べて、傾向と難度が違うためです。

 模試のように難度の高い問題を、学校のテストのように易しい問題のつもりで解くと、ほとんど×になるという場合があります。だから、模試の準備ということは必要ありませんが、どういう難度で出るか知っていた方が、本当の実力がわかります。

 では、テストが返ってきたあとは、どのように見直しをしたらいいのでしょうか。

 例えば、選択肢の問題で、1、2、3、4とあって、3が正解の場合、「なぜ3が正解なのか」ということを理解するだけでは不十分です。「なぜ、1と2と4がそれぞれ不正解なのか」ということを、個別に取り上げて理屈で説明できるようにしておく必要があります。そこで、もし親が理屈で説明しきれないような問題であれば、それはできなくてもよい問題と考えておきます。

 そして、そのあと、子供がテストをするときは、いつも同じように理詰めに解くスタイルを守らせるようにします。

 中高生で、テストの問題部分がきれいなままの子がかなりいます。選択肢の問題の場合は、ひとつひとつの選択肢の文に、傍線や×や△や?をつけて、自分がどのような考えでその選択肢を選択したか、又は、選択しなかったかということがわかるようにしておきます。そういう解き方をして初めて、そのテストが返ってきたときに、間違いを次の勉強に生かしていくことができるのです。

 ですから、模試などの場合は特に、判断しかねる問題は勘で選ぶようなことはせず、空欄のまま残しておいて×にしてもらった方が実力がつきます。

 国語のテストは、解き方が半分、実力が半分です。ということは、実力だけでも、解き方のコツを知るだけでも十分ではないということです。

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国語問題(15) 国語力読解力(155) 

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新しい教育と学校の展望 as/906.html
森川林 2010/05/18 11:11 



 今日は、ちょっと大きな話です。

 言葉の森は、作文教室としてスタートしました。国語教室や学習塾のようなものではなく、作文教室として始めたのは、作文以外の勉強というものはほとんどが独学で可能だと思っていたからです。

 音楽やスポーツなどの分野は独学が難しい面がありますが、作文も同様に独学がかなり難しいという面があります。その要因はまず、自分では自分の書いた文章が評価できないということです。また、文章を書くというのは、あらたまったものになると大きな精神的エネルギーが必要になります。しかも、文章を書くということについての方法論が、「三多」や「起承転結」のようなもの以外にあまりありませんでした。

 しかし、その後、いろいろな試行錯誤の結果、現在その最も難しい作文指導で、基本的な道筋ができたと思います。まだ、意欲化という点で不十分なところがありますが、作文指導の大きな流れはもう既にできています。

 そこで、このあと考えているのは、作文以外のトータルな教育についてです。

 教育というものを大きく考えると、四つの分野に分けられると思います。

 第一は、科学的なものです。ここには、現在の勉強の多くが含まれます。特に、理科や社会の関係の勉強は、テキストを読んで内容を把握することが学習の基本になります。現在の無駄の多い、重箱の隅をつつくような教材を廃して、もっと精選された教材で能率よく吸収する方法があると思います。

 第二は、哲学的なものです。これは、現在の作文を発展させたもので、数学のようなものも一部に入る、考える力をつける勉強になります。

 第三は、工学的なものです。ここには、技術、美術、音楽、語学、プログラミングなどが含まれます。つまり、手足や道具やシステムを自分の意志と一体のものとして自由に動かす技能を身につける勉強です。これも、現在は、一部の才能ある人だけがその分野を楽しめるような狭い世界になっていますが、だれでも日常的にできるものにしていく必要があります。音楽も、絵画も、日曜大工も、料理も、プログラミングも、気ままに自由にハイレベルでできるようになるというのが、工学の教育のイメージです。

 第四は、心身的なものです。ここには、保健、体育、倫理、道徳などが含まれます。これは、人間の健康、幸福、愛、美、楽、笑などの分野です。

 これらの四つの分野で、今最も未開拓の分野が、心身の教育だと思います。

 心身の教育の目的は、ひとことで言えば、願ったことを実現する力を育てることだとも言えます。自分がもっと健康で、幸福で、美しく、楽しく生きたいという願いを実現する力を育てる教育です。それをファンタジーのレベルではなく、教育的な方法論をもって成立させることが、今後の課題です。

 人間というものは、考えてみると、不自由な存在です。それは、身体と言語と感情と感覚に制約されているからです。しかし、同時に、その制約が人間の創造性の源になっています。だから、それらの制約をうまく組み合わせるシステムとしての文化が必要です。

 生物の世界では、何十万年という歴史の中で、現在見られるようなほぼ完成された生態系が作られてきました。目に見えないようなバクテリアも含めて、地球上の生物が大きなシステムの中で多様に生きているのです。

 その生態系が、人間にあっては文化にあたります。今、欧米文明というひとつの文化的生態系の限界が明らかになりつつあります。それは、単に、環境保護の心構えや工夫だけで済む問題ではなく、欧米文明が立脚している根本的な哲学そのものに問題があるのではないかと思います。

 その欧米の哲学に対置できるのが、この島国で数千年に及ぶ平和と英知の文化を築き上げてきた日本の存在です。しかし、それを単に、日本のローカルな自慢にとどめるのではなく、日本文化を世界的なレベルにまで抽象化する必要があります。日本文化の特徴の一つは、言挙げをしないことでした。しかし、阿吽の呼吸というような世界は、すぐには普遍的な文化にはなりません。

 これからの新しい学校の目的は、トータルな教育に加えて、日本、それもローカルな日本ではなく、抽象化された日本を世界に伝えることにもなると思います。

 以上、やはりちょっと大きくなりすぎたか。(^^ゞ

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教育論文化論(255) 

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公立中高一貫校の作文試験対策-家族の対話で題材と主題を豊かにする as/905.html
森川林 2010/05/17 11:32 


 公立中高一貫校では、作文の試験があります。言葉の森では、9月ごろから志望校の過去問に合わせた課題で作文を書く「受験コース」が始まります。このコースは、高校入試、大学入試についても同様です。

 作文は、答えというものが一つではない世界なので、自分なりに考えて書いていくことが大切です。

 作文の勉強には、字数、構成、題材、表現、主題、表記などの分野があります。このうち、字数、構成、表現、表記については、練習を重ねていけば力がつきます。しかし、題材と主題に関しては、生徒の側の事前の準備が必要になってきます。ここが、自分で考える要素になるのです。

 事前の準備でいちばんよい方法は、テーマを見て、お父さんやお母さんが一緒に対話をしてあげることです。「もし、お父さんだったらどうするか……」「お母さんも、子供のころ、こんな話が……」という話をしていくのです。

 ところで、小学校6年生以上でそのような話をオープンにできるようにするためには、小学校1、2年生のころから、家族での対話が日常生活で自然に行われている必要があります。

 小学校の低中学年では、暗唱や音読の自習を聞いてあげる時間があります。そのとき、お父さんやお母さんは、「次の週の課題で、作文はどんなことを書くのか」ということも聞いてあげてください。また、小学校3年生以上は、題名課題や感想文課題になっているので、次の週の課題を聞いて、それに関連した話をお父さんやお母さんがしてあげることもできます。

 このような家族での対話が、子供が自分で考える土台になっていくのです。

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人間の役割 森川林
うちの子が1歳か2際のとき、 車で30分ほどの三浦海岸につ 4/2
舞岡のシラサギ 森川林
舞岡八幡宮に行ったら、帰りにシラサギがいた。 3/29
身体や物理的現 森川林
身体や物理的現実は、時間や空間に限定されているが、意識はそれ 3/29
メジロとか、ヒ 森川林
メジロとか、ヒヨドリとか、スズメとか、ヤマバトとかが、毎日わ 3/28
批判と創造 森川林
人を批判することはたやすい。 大事なことは、批判ではなく創 3/27

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手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

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●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
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●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
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