これまで、自分なりにいろいろな本を読んできて、本というものが大きく二つに分けられるように思いました。ひとつは、著者なりの物の見方や考え方のある創造的な本、もうひとつはさまざまな資料を駆使して卒論のようにもれなく知識が網羅されているが、特にこれといって創造的なものが感じられない本です。大雑把すぎる分け方ですが、前者が買って得した本、後者が買ってそうでない本とするとわかりやすいかと思います。そして、この区別が、それらの著者の勉強のスタイルに帰因するのではないかと思ったことがあります。
創造的なことを書く人は、自分の源泉となるような古典あるいは繰り返し読むような数冊の本を持っているようです。それに対して、資料のような本を書く人は、1冊の古典のような本と格闘するよりも、広く浅くだれからも必要とされるような本を読んでいるだけなのではないかと思いました。
これが、そのまま子供たちの勉強のスタイルにもあてはめることができるように思います。現代の勉強は、その勉強を通して何かを発見したり創造したりするためではなく、その勉強を通して何かの試験に合格するために行われているという面があります。
合格するための勉強というのが、この広く浅く必要なものをひととおりマスターしておくという網羅的な勉強です。それは、試験というものが選抜試験である以上やむを得ないものですが、問題は、そういう網羅的、資料的な勉強の仕方が低年齢化していることにあります。
世の中は、自然にしろ社会にしろ、接すればどこまでも続く無限の深みを持っています。だから、子供たちは、ある物事(遊びや趣味)に夢中になり、大人の目から見てよく飽きないと思うほど長時間集中して取り組むことができるのです。
ところが、網羅的な勉強をするときは、世界はすべてある答えの決まっている平面的なものとして子供たちの前に登場します。「日本一高い山は? はい、富士山。」「では、その高さは? はい、3776メートル。」というような調べればわかる知識が、まるで自分を取り巻く世界そのものであるかのように見なされて知識化されています。その知識を身につけることが勉強であるかのように考えられているのです。これは、もっと複雑な英数国理社の勉強でも同じです。
もちろん、子供(というか人間)は、もともと本来の知識欲がありますから、やがてただ答えが○になるだけでは満足せずに、より深く知りたいという気持ちを持つようになってきます。しかし、今日の社会では、この網羅的な勉強のスタイルが、そのまま大学入試まで続いてしまうのです。そして、そういう勉強スタイルに適応した子ほど、周囲からはとりあえず優秀な子供だと見なされているのです。
これからの社会に必要なのは、自分なりに考える力で、その考える材料として多くの知識があるべきなのですが、現状は、多くの知識自体が目的になり、それを組み合わせることが知的な作業のように思われています。
日本をよりよい国にしていくためには、このような勉強の仕方そのものを変えていく必要があります。それは、資料を網羅する力ではなく、自分の関心のあることを深く知り、そして考える力を育てていくことになると思います。
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国語力とは、
言葉を自分の手足のように自由に使う力だ。
手足を使うのに、手足に関する知識はほとんど要らない。
使い慣れることが使いこなす力をつける。
だから、国語の勉強は、音楽や体育の練習と似ています。
ドリルを解くような勉強が、国語力をつけるわけではありません。
ある技能を自分の手足のように使えるようになるには、その技能の典型的なスタイルを自分の体の一部となるぐらいまで徹底して身につける必要があります。
だから、国語の勉強の中心は、まず第一に家庭となります。
家庭における読書、対話、暗唱などが勉強の中心で、学校や塾はそのきっかけを作る場なのです。
そこで、今日のテーマは、
1、国語と家庭についてひとこと、
又は、
2、「こ、く、ご」で五七五、
又は、
3、何でも自由にどうぞ。
身につけるとは、丸ごと身につけることです。
子供に泳ぎを教えるのに、船の上から海に投げ込んで、おぼれそうになったらロープで引き上げるという方法があるそうです。(されたくない(笑))
でも、これは、手の掻き方はこうで、足の動かし方はこうで、息継ぎはこうで、と教えるのに比べると、誰でも教えられるという点で能率がいいのかもしれません。
今日は、風の強い曇り空です。
もうすぐ新しい4月のカレンダーにチェンジ。
日本も世界も、目先の景気の上下とは別に、大きなところでいい方向に向かっているようです。
今日も、楽しい一日をお過ごしください。
もうひとつおまけ。
国語力の中心は語彙力です。
しかし、それは語彙力検定のような知識として勉強するものではありません。
生活の中で身につけた自然の語彙の量が、その人の語彙力です。
▽NTTの語彙力数テスト
http://www.kecl.ntt.co.jp/icl/lirg/resources/goitokusei/goi-test.html
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ひな鳥が親鳥のあとを
ついて歩くように、
人間の子も親の後ろ姿を
真似して歩く。
子供がいちばん尊敬しているのは両親です。
どの子も、親のような人間になりたいと思っています。(最初のうちは)
子供を読書好きにさせたかったら、まず親が本を読んでいる姿を見せることです。
子供のころ読んでいたと言って、今読まないのはだめ(笑)。
子供は、親が楽しそうに本を読んでいる姿を見て、自分も親のように読みたいと思うのです。
子供を勉強好きにさせたかったら、親がまず楽しく勉強を続けていることです。
仕事上の必要に迫られて、嫌々、渋々やっているのはだめ(笑)。
子供は、親が楽しそうに勉強している姿を見て、自分も親のように勉強したいと思うのです。
親が、もう年だからと自分の人生をあきらめて、その分を子供の勉強に託すのでは、子供は楽しく勉強する気にはなれません。
親がまず自分の人生を創造的にしようと思い、そのために勉強を始めるなら、子供もまたは同じように楽しく勉強を始めるでしょう。
そこで、今日のテーマは、
1、親鳥とひな鳥についてひとこと、
又は、
2、「お、や、こ」で五七五、
又は、
3、何でも自由にどうぞ。
子供を創造的な子に育てたいときも、親がまず創造的な生活を送ることです。
創造的な生活に結びついて初めて読書や勉強も価値あるものになります。
しかし、ここで問題なのは、読書や勉強まではだれでもできますが、創造する機会というのは、現代の社会では限られていることです。
自分で自由に仕事をしているのでもなければ、創造する機会はなかなかありません。
だから、これからの時代は、だれもが自分の小さな仕事を始めるようになると思います。
最初は小さな仕事でも、それを続けていくうちに、やがて社会全体がそれらの仕事を回すようになり、今の子供たちが大人になるころには、だれもが生活の中に創造の機会を持つようになるでしょう。
今日も引き続き快晴。
子供のいる家庭では、春休みで、家の中もにぎやかなことと思います。
今日も楽しい一日をお過ごしください。
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点数は、目安ではあっても目標ではない。
賞品も、結果であって目標ではない。
点数や賞品で持たせた意欲は、即効性のある分、副作用があるが、
笑顔で持たせた意欲は、いつまでも続く。
親が、子供の点数や賞に関心を持つのは、それによって子供に意欲を持たせようとするからです。
しかし、そういう意欲は、最初の効果が大きく見えるほど、その後の弊害の方がずっと大きくなるのが普通です。
客観的に考えても、相対評価であれば必ず相手がいます。
他人との競争の中で自分だけがどんどん上に行くということは確率的にもありません。(漫画ではそういうことがありますが)
同様に、賞品も、最初にそれを目標にしてうまくいけば、次はもっと豪華な賞品でなければ意欲を持てなくなります。
子供の意欲は、点数や賞品ではなく、もっと穏やかに育てていくものです。
それは、ひとことで言えば、温かい関心です。
子供が作文を書く場合は、書くことについて家族で楽しい対話をすることです。
そして、書いた作文については、間違いを直すのではなく、いいところを見て褒めてあげることです。
その一方で、毎日の音読や暗唱や読書の自習を、これも家族の温かい関心の中で進めていけばいいのです。
ということで、今日は、
1、温かい関心についてひとこと、
又は、
2、「あた、た、か」で五七五、
又は、
3、何でも自由にどうぞ。
小学校4年生までの子供たちにとって、いちばんうれしいのは、お父さんやお母さんの笑顔です。
点数で人に勝つことや、いい成績で賞品をもらうことではありません。
親の笑顔は、何よりも強いのです。
もうすっかり春めいて、気持ちのいい3月の空です。
桜のつぼみもずいぶんふくらんで、もうすぐお花見の季節です。
それでは、今日もいい一日をお過ごしください。
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