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記事 5542番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2026/7/4
教育は問題を解く力をつけるためではなく、考える力を育てるために――新しい作文教育を as/5542.html
森川林 2026/06/29 08:27 



https://youtu.be/HjqpSRswBt4

◆◆今の教育は問題を解くための教育になっている

 今の教育は、問題を解くための教育になっています。
 なぜそうなっているかというと、それは、考える力を育てるための教育の方法がないからです。

 考える力を育てる方法の一つは、作文を書くことです。
 そのためには、子供たちが日常的に文章を書く機会を作ることが必要です。
 作文の学習を日常的に行うためには、指導の方法が確立していることと、評価の方法が客観的であることが条件になります。

 逆に言えば、今の日本における作文の教育は指導の方法がなく、評価の方法が主観的で、しかも評価に時間が取られすぎるので、作文指導を日常的に行うことができないという根本的な問題があるのです。

◆◆作文の教育がなぜ行なわれにくいか

 作文の実力というものは、本人ではわかりません。
 だから、自学自習という勉強法が取れません。

 しかし、他の人間の手による評価はまちまちです。
 ある人は内容の一部を評価し、他の人は表現の一部を評価するという具合で、客観的な評価が行われているとは言えません。

 評価の基準が明確で、しかもブラックボックスになっていないことが大事です。

◆◆子供が納得できる作文教育――事前指導

 そこで私が考えたことの第一は、作文を書く前の指導を子供にもわかるように明確にすることです。

 例えば、小学生であれば「たとえを使って書く」とか「そのときの出来事の中の生き生きとした会話を書く」とか「自分の思ったことを長く詳しく書く」とかいうことです。

 中学生であれば、自分の意見を先に考え、その理由や方法を、自分の体験をもとにした実例と現在の社会にある実例をもとにして書き、自分の意見と反対の意見に対しても言及するという書き方です。

 高校生であれば、現在の問題をその問題が生まれた原因と今後の対策を中心にして書き、それが及ぼす将来の影響についても考えるというような書き方です。

 事前の指導があれば、事後の評価は、その指導をに行うので子供自身が納得する評価ができます。

◆◆子供が納得できる作文教育――語彙力評価

 評価を明確にすることの第二は、作文に書かれている語彙を分析し、どういう語彙がどういう割合で書かれているかを集計するという方法です。

 これによって、作文における考える要素、知識的な実例の要素、わかりやすい実例の要素、多様な表現という要素などを集計し、それを子供自身にもわかるように表示します。

 これは、言葉の森が独自に開発した文章自動採点システム「森リン」です。

◆◆作文教育の日常化を

 これらの客観的な評価の方法があることによって、作文を書くための意欲が生まれます。
 それは、評価が他人から与えられたものでなく、子供自身が作り出した評価になるからです。

 これからの日本の教育を考える力を育てるための教育にしていくために、作文の学習を日常化していく必要があると思います。


※言葉の森のnoteの記事もごらんください。
https://note.com/shine007

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理系の子供を育てるためには、数学嫌いをなくすことが必要――人生に役立つ数学とは何か as/5541.html
森川林 2026/06/28 10:18 



https://youtu.be/U3nc1ompKJ8

◆◆これからの社会に必要な理数系の力

 これからの社会では、文章を読む力、文章を書く力とともに、理数系の力が必要です。
 理数系の力とは、物事を理数的に捉え、必要に応じて理科や数学の考え方を使える力です。

◆◆数学は好きな子も嫌いな子も多い教科

 しかし、子供たちの好きな教科、嫌いな教科を調べると、好きな教科として挙げる子が多い一方で、嫌いな教科として最も多く挙げられるのも数学なのです。
 こういう状態がなぜ生まれているかというと、一言で言えば難しい問題があるからです。
 なぜ難しい問題が出されるかというと、子供たちの学力に点数の差をつけて評価するためなのです。

 それは、子供たちの成長のために必要な難しさではなく、評価する側の都合による難しさです。

◆◆難しい問題が数学嫌いを生む

 難しい問題は、解き方を理解すれば解けるようになります。
 しかし、それには、ある程度長い時間がかかります。
 その長い時間が蓄積されると、数学が苦手になる子が出てくるのです。

 難しい問題は、一種のパズルのようなものですから、解けたときの喜びがあります。
 この喜びが、数学好きな子を生み出します。

 人間には誰でも向上心があるので、できなかったことや分からなかったことが、できるようになり分かるようになったときには、感動するような喜びがあるのです。

 しかし、その難しさは、子供の生活にとって必ずしも必要ではない難しさです。

◆◆技能の習得と人生に必要な学びは別

 ちょうど体育で跳び箱の高い段を跳べたり、鉄棒で逆上がりができたり、サッカーでリフティングを何回もできたりするのと同じです。
 できなかったことができるようになるのは、人間にとって嬉しいことなのですが、それがその子の人生にとって重要な教育かどうかということとは、また別の問題です。

◆◆因数分解や図形問題の難しさ

 必要でない難しさについて、数学の分かりやすい例でいうと因数分解です。
 因数分解のいろいろな問題は一種のパズルのようなもので、解き方が分かると解けるようになりますが、解き方が分からないとただ×をもらうだけになります。

 さらに差が大きいのが、図形の問題です。
 図形の問題も解き方が分かったときは嬉しいものですが、解き方が分からないとただ×をもらうだけなのです。

 この難しさが物事を考えるときに必要な難しさならいいのです。
 そうではなく、生徒に点数の差をつけて評価するために行われている難しさだというところに問題があるのです。

 確かに、因数分解や図形の学習には、抽象的な構造を見抜く力、パターン認識力、論理的推論力を育てるという価値もあります。
 だから、その問題自体に価値がないのではなく、受験のために複雑なパターンを大量に覚えさせることには疑問があるということです。

◆◆評価のための数学が数学嫌いを生む

 この不必要な難しさが何を生み出しているかというと、本来、数理的に考える力を持った子供たちの数学嫌いを生み出しているだけなのです。

 すべての問題は、数学力の評価が子供たちの成長のために行われているのではなく、子供たちに差をつけるために行われているところにあります。

◆◆本当に必要な数学とは何か

 私が因数分解の無意味さを感じたのは、自分がプログラムを作っているときに、2次方程式を解く必要があった場面です。
 そのときに考えたのは、因数分解の方法ではなく、「解の公式」に当てはめて計算機に解かせればいいということでした。

 だから、子供にはいろいろなパターンの因数分解を教えてできるかどうかを確かめるよりも、いろいろな因数分解の方法があることを教えるとともに、解の公式という方法があり、その公式がどのように導き出されたかという理屈を教えてあげればいいと思うのです。

 ところで、余談ですが、うちの次男が中学生のときは「ゆとり教育」の時代だったので、中学で「解の公式」を習っていませんでした。
 それで、高校ではだいぶ苦労したようです。

 最初のころ、高校で、できない子の保護者だけを集める会合に呼び出されました(笑)。
 私は、その会の趣旨がよくわからなかったので、最前列で楽しそうに話を聞いていました。

◆◆人生に役立つ数学教育を

 未来の日本の国の力は、子供たちの学力にかかっています。
 不必要な数学嫌いを生み出さないために、差をつけるための数学ではなく、人生に必要な数学を教育していく必要があるのです。

 人生に役立つ数学とは、何か問題に直面したとき、その問題を数学的に考えて解決する力です。
 もちろん、人には、直感で解決することもあれば、人に聞いて解決することもあります。
 しかし、数学的に考えるという方法もあるのです。

 そのような考え方ができるという可能性を知ることが、数学を勉強する意義です。

◆◆数学が役立った自分の個人的な例

 数学が役に立った例で言うと、私の場合、子供たちの点数の分布を調べたとき、ウェブ上で点数のドットを表示するだけでなく、その分布を表す近似直線をプログラムで引きたいと思ったことがありました。

 そのとき、「確か高校の数学でやったはずだ」と思い、昔の数学の教科書を引っ張り出してきたことがあります。
 今ならAIに聞けば教えてくれると思いますが、その当時はAIはありませんでした。

 そして、「仮定した直線からすべての点までの距離の二乗の和が最も小さくなる直線が近似直線になる」という考え方を改めて理解し、プログラムを作ることができました。初歩的な話で恐縮ですが(笑)。

 だから、パズルのような問題を解くコツを身につけることよりも、数学の理屈や考え方を理解することのほうが、数学の勉強では大切です。

 数学を学ぶ目的は、難しい問題を速く解けるようになることではなく、必要なときに数学という考え方を使えるようになることです。

 そうすれば、数学嫌いの子はもっと少なくなり、逆に理数系好きの子が増えていくと思います。

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