●動画:https://youtu.be/NMLLr_R1juQ
お喋りの楽しさなどと言うと、真面目なお母さんは、「そんな無駄な時間を」と思うかもしれませんが、そうではありません。
このお喋りの時間が、勉強のエネルギーになっているのです。
ただし、それは単なるお喋りではありません。
ひとつは、読書紹介です。
どのクラスでも、テスト期間中以外は、読んでいる本を互いに紹介します。
この読書紹介によって、どの子も毎週、それなりに本を読むようになります。
実は、読書は、勉強よりも頭をよくする効果が高いのです。
わかりやすく言えば、読書は頭を良くするが、勉強は成績をよくする、という関係です。
成績をよくする勉強の土台になっているのは読書力ですから、結局、時間はかかるように見えても、読書が成績をよくするのです。
これは、これまで多くの子供たちを見てきたことによる実感です。
小学校時代、本をよく読んでいた子は、中学生や高校生になり、勉強の自覚ができるような年齢になると、ぐんぐん成績を上げます。
その反対に、小学校時代、勉強を中心にして、読書をあまりしなかった子は、小学校時代は確かに成績はいいのですが、中学、高校と学年が上がるに連れて成績が伸び悩んでいきます。
この中学、高校の先に何があるかというと、大学生になり、社会人になれば、この差はもっと広がるということです。
本を読む習慣を大学生や社会人になっても続けられる人は、ずっと成長していきます。
本を読む習慣ができず、大学生や社会人になっても、YouTubeやSNSや身近な人の話からしか情報を取り入れられない人は、どんどん考え方が時代遅れになっていきます。
大事なのは読書習慣なのです。
これは、客観的な調査でも明らかになっています。
以下は、川島隆太さんのデータをもとにした記事です。
▽参考記事
https://www.shingakukuukanmove.jp/2019/01/02/%E5%AF%9D%E3%82%8D-%E6%9C%AC%E3%82%92%E8%AA%AD%E3%82%81-%E3%81%9D%E3%81%97%E3%81%A6%E5%8B%89%E5%BC%B7%E3%81%97%E3%82%8D/
====引用ここから====
次いで驚いたのが、読書習慣を全く持っていない生徒たちはそれだけで偏差値50を超えることが至難になるということ。
読書を1時間以上する子達と、全く読書習慣を持っていない生徒では、偏差値50を超える範囲が全く違います。
読書習慣がついている生徒は、多少睡眠時間が少なくても、多少学習時間が少なくても、偏差値50は超えやすい。
その一方で、読書習慣がない生徒はちょっと睡眠時間が少なかったり、ちょっと勉強時間が少なかったりしたら、偏差値50を超えることがかなり難しくなる。
====引用ここまで====
小学校時代は特に、勉強よりも読書を優先しているぐらいでちょうどいいのです。
中学生以降は、同じ読書でも、説明文意見文の読書にウェイトを置いていく必要があります。
学年が上がれば上がるほど、難しい本をよむ力をつけておく必要があるのです。
さて、オンラインクラスの授業では、この読書紹介のあと、それぞれの生徒の勉強が始まります。
その勉強の中で、先生の個別のアドバイス等があります。
そして、勉強の最後の時間に、一人一言の時間があります。
この一言の時間は、1人わずか1、2分です。
それぞれの生徒が、自由に自分なりのひとことを言います。
慣れないうちは、誰でも、どうでもいいことしか言いません。
「ねむい」とか、「おなかがすいた」とかいうあたりさわりのない一言です。
そんな一言であっても、なかなか出てこない子もいます。
しかし、一人一言の時間があることに慣れてくると、だんだんと誰もが個性的な一言を言うようになるのです。
これがコミュニケーション力です。
コミュニケーション力を育てるのは、練習量しかありません。
毎週のわずか1、2分の一言を繰り返す中で、次第に自分らしい一言を簡潔にいえるようになるのです。
こういう一人一言の時間を、傍で聞いているお母さんは、「勉強もしないで、お喋りばかりして」と思うかもしれません(笑)。
しかし、このお喋りが次の勉強のエネルギーになっています。
もし、これがお喋りもせずに、黙々と問題を解いたり、作文を書いたりする時間だけの授業だったとしたら、子供の意欲はだんだん低下していきます。
勉強でも、遊びでも、意欲の有無が成果につながります。
その意欲のもとになるので、友達どうしの楽しいお喋りや交流の時間なのです。
そして、このお喋りは、互いの人間関係の蓄積にもつながります。
お喋りを通して、面白いことを言う人、真面目なことを言う人、脱線するのが好きな人など、いろいろな個性が出てきます。
勉強では個性は出てきません。
答えが一つだから、点数がいいか悪いかの差しかありません。
しかし、お喋りは、全員がそれぞれの個性を表せる場です。
その中で、人間どうしのつながりを理解することが大事なのです。
私は、将来、言葉の森のオンラインクラスに一緒に参加していた生徒どうしが、結婚することがあると思っています(笑)。
そこまで行かなくても、卒業後も仲のいい友達としてつながりをもつことが多くなると思います。
オンライン少人数クラスの特徴は、人数が5人以内なので、全員が全員に関われる時間があることです。
人間どうしの関わりは、勉強だけを能率よく、ブロイラーのように詰め込むことよりも、ずっと貴重なことなのです。
ちなみに、この発表と創造に特化したクラスが、創造発表クラスです。
創造発表クラスは、毎週、全員が自分の好きな分野で研究したことを発表し、感想を言い合います。
こういう勉強は、オンラインの5人以内のクラスでなければできません。
私は、この創造発表クラスの勉強が、勉強の中で最もその子の心と頭の中に残るものだと思います。
それで、この6月から、創造発表クラスの枠を増やしました。
主な対象学年は、小3~中3ですが、小2以下でも高1以上でも参加できます。
わかりやすい目標は、将来の東大推薦入試か、イグノーベル賞を目指すことです。
というのは、半分冗談ですが、私は、創造発表クラスで独自の発表ができるような子は、将来、必ず何らかの分野で第一人者になると思っています。
https://www.amazon.co.jp/dp/4323010583/
小学3年生ぐらいからの生徒に、「この本、おもしろいよ」と「宇宙人のいる教室」を渡すと、ほとんどの子は、熱中して1日で読み終えてしまいます。
この本は、学校図書館協議会の課題図書にも取り上げられていたことがないので、知らない人も多いと思いますが、小学生にはおすすめの本です。
内容は、人間の弱さ、優しさ、協力、自然の美しさなどの深い内容が、物語として読みやすく書かれています。
物語文の役割は、その本の内容に引き込まれる経験をすることです。
物語の中に没入することによって、感動や共感という気持ちが育ちます。
説明文の役割は、ものごとを理由、原因、方法などの構造としてとらえる理解力を育てることです。
読書には、どちらも必要です。
ただ、世の中には、読みやすい物語文の本の方が圧倒的に多いので、家庭での読書は、説明文に重点を置くぐらいにして読んでいくといいと思います。
オンラインクラスで、生徒全員が毎週行う読書紹介で、いい本がよく紹介されていますが、そのクラス内の人しか知りません。
そこで、今度、学習記録の中に、読書紹介の欄も設けるようにしたいと思います。
本の書名だけでなく、おすすめ度などの情報も入れられるようにすれば、みんなの参考になります。
たまに、「勉強が忙しくて本を読めない」という人が、ごくたまにですが、います。
中高生は、定期テストの2週間前からは、読書をいったん休んでもいいのですが、その期間以外は、原則として毎日読書をしておく必要があります。
毎日の読書のページ数は、小5以上は50ページ以上です。
また、読書は、何冊か並行して読み、1冊が飽きたら、別の本に切り替えるというふうにして読んでいくといいです。
その際、読みかけのページに小さい付箋を貼っておくと、すぐに続きを読み始められます。
生徒のみなさんは、勉強よりも読書を優先するぐらいの気持ちで毎日の読書に取り組んでください。
▼参考記事
「付箋読書の仕方(何冊もの本を並行して読む)」
https://www.mori7.com/as/1367.html
▼小さい付箋(コクヨ タックメモ 付箋超ミニサイズ)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B000NNPYOG/ref=ppx_yo_dt_b_search_asin_title?ie=UTF8&psc=1
▼参考記事
「東北大学 川島隆太教授 インタビュー「読む&書く」からこそ学びは深くなる」
https://www.hj.sanno.ac.jp/cp/feature/201911/08-02.html
====引用ここから====
活字を黙読すると、後頭葉や側頭葉、頭頂葉をはじめ、左右の前頭前野が活性化する。音読する場合は発声とその音声を耳で聞くことを伴うため、黙読のときに活性化する部位に加え、聴覚野なども活性化する。音読は大脳の70%以上の神経細胞が働く、脳のトレーニングに最適な方法の1つと言える。動画視聴中は主に視覚や聴覚に関わる後頭葉と側頭葉が活性化する一方、前頭前野の働きは低下しており、脳はリラックスしている状態になっている。
====引用ここまで====
動画をみても頭はよくならないが、本を読めば頭がよくなるという話です。
ただ、音読は負担が大きいので、問題集読書のような場合だけに限り、普通は黙読で読んでいくといいと思います。