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記事 1035番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/5/16
古い勉強法、新しい勉強法(その3)―競争を超えて as/1035.html
森川林 2010/10/06 07:52 



 競争が楽しいときもあります。私(森川林)が高校生のころ、中間テストや期末テストがあると、教科ごとに成績順位の上位10名ぐらいの名前があちこちの廊下に張り出されました。

 みんなで、それを見ながら、「やっぱり○○はすごいな」「あ、おまえも○位じゃん」などと楽しく話していました。それは、競争というぎらぎらしたものでは全然なく、楽しい日常会話の延長で、ときどき発表される面白い話題という感じでした。

 競争が楽しいというのは、こういうコミュニケーションを通して競争をしている場合です。抽象的な順位や偏差値だけで、「次は○位を目指すぞ」というようなことに、人間はあまり魅力を感じないのだと思います。成績や順位は、事後的に自分をチェックするには役立ちますが、それが事前の目標になることはあまりないのです。


 しかし、年齢的に競争に燃えやすい時期はあるようです。小学5年生から中学2年生のころは、なぜか人と競うということに強い関心を持つ時期のようです。しかし、中学3年生以降になると、勉強の動機は、競争や賞罰のようなものから、自分自身の向上へと移っていきます。勉強は自分のためにやるものであって、自分で納得できるということが大事だとだれでも自然に思ってくるのです。それが、人間の本来の姿だと思います。

 けれども、そういう自然な意欲を勉強に対して持つためには、小学4年生までの低中学年の時期に、競争意識を煽らないことが大切です。子供が、他人との競争で意欲を持ちそうになったときは、親は逆にそれを抑えるぐらいにした方がいいのです。


 競争と似ているものに、賞罰があります。この賞罰も、一見子供の意欲を掻き立てるもののように見えます。よく、点数がよかったら、何ポイントがたまって、それが賞品になるという仕組みがあります。言葉の森の賞品システムも、このような形ですが、実は、こういう賞をあまり勉強の目標にしない方がいいのです。

 賞を意欲の源泉にしようとすると、子供の意識の中に、賞に結びつかないものはやらなくてもいいという感覚が出てきます。勉強というものは、自己の向上と社会の貢献のために行うものですが、それが、自分が得をするかどいうかという狭い基準で考えるようになってしまうのです。

 今の社会は、競争や賞罰がどうしても前面に出てきがちです。それは、大人の社会自体がそういう仕組みになっているからです。しかし、それは人間の精神的なレベルが低い過去の時代の仕組みです。未来の社会に生きる子供たちは、競争や賞罰ではなく、もっと大きなものに向かって勉強する気持ちを育てていく必要があるのです。

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古い勉強法、新しい勉強法(その2)―競争ではなく関心を as/1034.html
森川林 2010/10/05 15:02 



 古い勉強法と新しい勉強法のいちばんの違いは、意欲の持たせ方にあります。

 言葉の森では、子供たちが、自分の書いた作文がどういう位置にあるのかわかるようにするため、字数のグラフや、森リンの点数を表示しています。作文とは、先生の主観的な評価になる面が強いので、できるだけ客観的な指標も作るようにして、勉強の目標にしているのです。

 しかし、これは、競争を煽るためにしているのではありません。今の社会では、競争を煽るような形で励ますと、子供たちは、かなり燃えます。しかし、これは、その場の一時的なゲームのようなもので、コンスタントに競争で意欲を掻き立たせることはできません。

 ところが、子供が競争に意欲を持つと、親はついその路線で更に競争させようとしてしまうことがあるのです。

 競争が常に勝ち続けるものであれば、競争による意欲というものもある程度は続くかもしれません。しかし、競争はもともと相手がいるものです。相手も自分と同じように努力する人間であるのに、自分だけが毎回勝ち続けて、相手が負け続けるということはありません。競争の場では、互いに勝ったり負けたりしながら進んでいくのが普通です。

 この競争で勝ったり負けたりすることが、互いのコミュニケーションを深めるものであれば、それは子供たちの意欲に結びつきます。しかし、それは競争による意欲というよりも、触れ合いの喜びによる意欲のようなものです。

 競争で勝つことや競争で負けないことを意欲の源泉にしようとすると、破綻が来るのは早いのです。

 以前、森リン大賞で上位になった小学校中学年の子が、すごくやる気を出して、次はもっと上位を目指すとがんばったことがあります。ここで、本当は親が止めないといけないのです。「上位になったのはすごいけど、別に人に勝つのがえらいんじゃないんだから、自分らしくしっかり書いていればいいんだよ」と言ってあげることが大切なのです。

 ところが、子供が競争に意欲をもって取り組もうとすると、親はつい、「よし、じゃあ、次はもっと上位を目指してがんばろう」と合わせてしまいがちです。この場合も、親が子供をがんばらせたのはいいのですが、競争の場というものは、みんなも同じようにがんばっているので、自分だけ毎月順位が上がっていくなどということはありえません。結局、その子は、順位がなかなか上がらないことから、かえってやる気を失ってしまったのです。

 競争は、人間にとって真の喜びではありません。競争が持続的な喜びになるのは、その競争に友達との楽しい触れ合いという要素があるときです。

 小学生の子供たちが作文を書くときに、意欲に結びつくのは競争による刺激ではなく、身近な人の関心です。お父さんやお母さんが、その子の作文を読んであげ、その作文のいいところをできるだけ見つけて声をかけてあげることが最も確実で持続する意欲になります。

 競争ではなく、触れ合いや関心というものが、新しい勉強法の一つの大きな要素になっているのです。

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