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公立中高一貫校の試験問題の解き方 as/1838.html
森川林 2013/06/10 08:59 


 受験とは、点数の差をつけるためのものですから、難しくなければなりません。
 しかし、知識の詰め込みのような形でなく、考える力で難しくするためには、人間が考えにくい形で考えさせる問題を作る必要があります。

 そこで、どんな問題が出るかというと、ひとつは、多数の短期記憶を必要とする問題です。
 人間の頭は一度に7つぐらいのことしか同時に処理できないので、それ以上の変数がある問題が出せられると、途端に処理速度が落ちるのです。(パソコンに似ていますが)

 そのときの対応のコツは、多数の情報を圧縮して処理することです。
 例えば、都立白鴎中の2012年の問題で、8つのタワーの並び方を問う問題が出てきます。

 それは、
1.神戸ポートタワー
2.東山スカイタワー
3.横浜マリンタワー
4.銚子ポートタワー
5.さっぽろテレビ塔
6.福岡タワー
7.東京タワー
8.東京スカイツリー
の8つです。
 そして、それぞれのタワーの条件として、
A.電波塔であるかどうか
B.関東地方にあるかどうか
C.平成元年以降にオープンしたかどうか
の3つがあります。

 これらの組み合わせを考えるときに、いちいち「東京スカイツリーは、電波塔であって、関東地方にあって、平成元年以降のオープンで……」と考えていたら、それだけで短期記憶のメモリーをほとんど使ってしまいます。
 そこで、タワーの頭文字だけを操作すればいいようにするのです。
 すると、「『す』は『でかへ』で……」となるので、思考の速度がぐんと上がります。


 もうひとつの人間の脳に苦手な操作は、物事を立体的に思い浮かべることです。
 人間の目は、平面的に見ることに慣れているので、立体的なものの向こう側を操作することがなかなかできません。日常生活では、実際に立体の後ろ側に回って処理すればいいので、頭の中だけで立体の処理をすることに慣れていないのです。

 都立小石川中の2012年の立体図形の問題がちょうどそういう問題です。
 図8の「1」の列の16個を「4」の列の16個とそっくり入れ換えたのが図9です。





 つまり、図8の「1」の「イ」の「B」に隠れていた「色のついた立方体」が、図9の「4」の「イ」の「B」に見えるようになったということです。
 問題は、図9に何度か操作を行い、色のついた立方体4つのうち1つだけが見える状態にすることができるか、できるとしたらその方法はどうか、というものです。

 日常生活では、こういう問題は実際に立方体を動かせば済むことなので、頭の中で考えて処理するようなことはありません。
 だから、こういう問題は難しく感じるのです。

 こういう問題に対応するコツは、フリーハンドで立体図をかいてみることです。そして、それを動かした図をまたかいてみるのです。



 しかし、こういう図をかいてみようかと思いつくためには、普段から絵や図をかくことに慣れている必要があります。
 それは、一見遊びのようなことですが、そういう時間の過ごし方が厚みのある学力になるのです。


 厚みのある学力というと、太陽の動きや星座の動きのようなものも、立体的な上に球面で動くというわかりにくいところがあります。
 天体の問題に対応するために、自分の家の周りで、どこから太陽が昇って、どこに沈むかということを感覚的に知っている必要があります。
 こういうことも、生活の中で身につける学力なのです。

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「小5から家庭でできる公立中高一貫校の受験対策」の記事をアップ as/1837.html
森川林 2013/06/08 07:30 


 「小5から家庭でできる公立中高一貫校の受験対策」の記事をアップロードしました。
https://www.mori7.com/an/16.html

 公立中高一貫校の受験をするために学習塾に通っているという生徒からよく聞くのが、「宿題の量が多くて大変」という言葉です。
 公立中高一貫校の適性検査の問題は、宿題の量を増やして力がつくような問題ではありません。読む力、書く力、考える力の総合力と、試験の時間制限に合わせた時間配分が実力をつける鍵です。

 時間配分は、試験の直前1~3か月前から取り組むとしても、それまでの総合的な学力は、問題集を解いてつくものではありません。実際に読み、書き、考える中でついていくものです。
 そして、そういう考える勉強にいちばんふさわしいのが家庭での学習なのです。

 そこで、言葉の森では、通学教室の小5以上の生徒を対象に公立中高一貫校の受験対策の自習講座(無料)を開設しました。
 これは、これまでの問題集読書を発展させたものです。

 勉強というと、苦しいもの、嫌なもの、できればしたくないものと思われていますが、それは勉強が孤独に行う記憶の作業のようなものになっているからです。
 実は勉強は、楽しいものです。それは、その勉強の中で、新しい発見があり、創造があり、他の人との交流があるからです。
 言葉の森の自習講座は、そういう創造と交流の勉強にしていきたいと思います。

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いちごちゃん 20140907  
お世話になっております。通学教室の小5以上の公立中高一貫校の自習講座があるとの事ですが、今後通信生徒対象のものもできる予定はありますでしょうか?

森川林 20140907  
 ウェブに動画で流していましたが、動画だと見るのに時間がかかるので、今度は、テキストで読めるような形で行っていきたいと思っています。
 本当は、google+などでリアルタイムにやりとりができる形がいいのですが、今はまだ敷居が高いと思うので、当面はテキストだけの素朴な形でやっていく予定です。

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