ゲストさん ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 2052番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/5/17
パズルのようなテストの勉強ではなく、もっと本質的な勉強を as/2052.html
森川林 2014/01/21 05:58 


 中学生の数学の問題を作っていて、そういえば、昔自分もこんなことをしていたなあと思いました。
 そして、因数分解のいろいろなパターンを見て、これは、結局クイズを解くような面白さはあったが、それが何かの役に立つことはなかったなあと思いました。

 2次方程式で実際に仕事に役立ったのは、解の公式です。芸のないやり方だと思う人も多いと思いますが、これなら、どんな二次関数にもあてはまります。
 そう考えると、因数分解できれいに解ける問題は、結局人為的に解けるように作られたパズルでしかなかったのだと思いました。

 今、小学校高学年や中学生、高校生で行われている勉強のほとんどは、大事なことだから教えられているのではなく、テストに出そうだから教えられている勉強です。
 そのテストは、学力を見るためのテストではなく、生徒を選抜する目的で差をつけるためのテストです。
 だから、因数分解のいろいろなパターンを組み合わせ、その解き方のコツを知らないと、短時間では解けないような問題が出されるのです。

 しかし、そういう時代は、これから急速に過去のものになります。
 それは、主にアメリカから広がっているIT教育革命が、すぐに日本にも届くようになるからです。
 この教育革命の本質のひとつは、入学試験がなくなることです。誰でもネットから自由に教材をダウンロードでき、どの先生のどの授業も自由に受けられるので、わざわざ人数制限の入学試験を行う必要がなくなるのです。

 これまでの入学試験では、試験に合格するための勉強で疲れ果てているような子が合格しました。難関校ほどそうです。だから今、大学の最難関校と言われている東大でも、低思考力の人が増えているのです。
 つまり、読書や遊びの自由な時間という厚みがなく、受験勉強だけしてきた薄い学力の子が合格するという面が生まれてきています。
 すると、そういう生徒は、大学に入ってももう学問をする余力も意欲もありません。高校までの受験勉強と同じような発想で、大学での勉強も与えられたものをただ上手にこなすだけという勉強の仕方になってしまいます。そういう人たちにとって、大学は、就職予備校のようなものになっていますが、もちろん就職しても民間で活躍できるだけの活力はありません。

 IT教育革命でスタートする大学は、これまでの大学とは正反対です。誰でも無試験で教材も授業も自由に利用でき、それをもとに自分で考えたものを持ち寄り互いに切磋琢磨する場が大学になります。
 基礎学力のない人は、そういう交流にはもちろん入れませんが、それと同時に受験勉強しかできない人も、そのような交流にはついていけなくなります。

 そのときに、因数分解のいろいろなパターンを知っているというのは、受験勉強には役立っても、大学での自由なディスカッションには役立たないということがわかります。
 2次方程式は解の公式で解けるという理解さえあれば、その公式すら覚えていなくても十分に話が深まるのです。あるいは、未知数はその数と同じだけの等号があれば解けるという理解であってもかまいません。必要なときにその情報を探せればいいのです。

 もちろん、世の中には、因数分解のいろいろなパターンの知識が必要だという仕事もあるのかもしれません。
 しかし、今の中高生の勉強は、あまりにも、真に必要なことよりただ差のつくことに向けられています。それでは、成績はよくても、社会で活躍することはできません。

 したがって、ここから、これからの子育ての重点がわかってきます。
 それは、第一に、全教科の基礎学力をしっかりつけておくことです。第二に、高校生までは勉強ばかりしないことです。そして、第三に、大学生になったらしっかり勉強することです。
 これは、子供の努力だけでできることではありません。そういう社会の仕組みを大人が作っていく必要があるのです。

解の公式

  -b±√b2-4ac
x = ――――――
    2a

 しかし、では、因数分解は意味がないのかというとそうではありません。
 それは、大きく見れば、論理の美しさという感動を子供たちに伝えるための教育として意味があるのです。(つづく)


 中学生の数学の問題を作っていて、そういえば、昔自分もこんなことをしていたなあと思いました。
 そして、因数分解のいろいろなパターンを見て、これは、結局クイズを解くような面白さはあったが、それが何かの役に立つことはなかったなあと思いました。

 2次方程式で実際に仕事に役立ったのは、解の公式です。芸のないやり方だと思う人も多いと思いますが、これなら、どんな二次関数にもあてはまります。
 そう考えると、因数分解できれいに解ける問題は、結局人為的に解けるように作られたパズルでしかなかったのだと思いました。

 今、小学校高学年や中学生、高校生で行われている勉強のほとんどは、大事なことだから教えられているのではなく、テストに出そうだから教えられている勉強です。
 そのテストは、学力を見るためのテストではなく、生徒を選抜する目的で差をつけるためのテストです。
 だから、因数分解のいろいろなパターンを組み合わせ、その解き方のコツを知らないと、短時間では解けないような問題が出されるのです。

 しかし、そういう時代は、これから急速に過去のものになります。
 それは、主にアメリカから広がっているIT教育革命が、すぐに日本にも届くようになるからです。
 この教育革命の本質のひとつは、入学試験がなくなることです。誰でもネットから自由に教材をダウンロードでき、どの先生のどの授業も自由に受けられるので、わざわざ人数制限の入学試験を行う必要がなくなるのです。

 これまでの入学試験では、試験に合格するための勉強で疲れ果てているような子が合格しました。難関校ほどそうです。だから今、大学の最難関校と言われている東大でも、低思考力の人が増えているのです。
 つまり、読書や遊びの自由な時間という厚みがなく、受験勉強だけしてきた薄い学力の子が合格するという面が生まれてきています。
 すると、そういう生徒は、大学に入ってももう学問をする余力も意欲もありません。高校までの受験勉強と同じような発想で、大学での勉強も与えられたものをただ上手にこなすだけという勉強の仕方になってしまいます。そういう人たちにとって、大学は、就職予備校のようなものになっていますが、もちろん就職しても民間で活躍できるだけの活力はありません。

 IT教育革命でスタートする大学は、これまでの大学とは正反対です。誰でも無試験で教材も授業も自由に利用でき、それをもとに自分で考えたものを持ち寄り互いに切磋琢磨する場が大学になります。
 基礎学力のない人は、そういう交流にはもちろん入れませんが、それと同時に受験勉強しかできない人も、そのような交流にはついていけなくなります。

 そのときに、因数分解のいろいろなパターンを知っているというのは、受験勉強には役立っても、大学での自由なディスカッションには役立たないということがわかります。
 2次方程式は解の公式で解けるという理解さえあれば、その公式すら覚えていなくても十分に話が深まるのです。あるいは、未知数はその数と同じだけの等号があれば解けるという理解であってもかまいません。必要なときにその情報を探せればいいのです。

 もちろん、世の中には、因数分解のいろいろなパターンの知識が必要だという仕事もあるのかもしれません。
 しかし、今の中高生の勉強は、あまりにも、真に必要なことよりただ差のつくことに向けられています。それでは、成績はよくても、社会で活躍することはできません。

 したがって、ここから、これからの子育ての重点がわかってきます。
 それは、第一に、全教科の基礎学力をしっかりつけておくことです。第二に、高校生までは勉強ばかりしないことです。そして、第三に、大学生になったらしっかり勉強することです。
 これは、子供の努力だけでできることではありません。そういう社会の仕組みを大人が作っていく必要があるのです。

解の公式

  -b±√b2-4ac
x = ――――――
    2a

 しかし、では、因数分解は意味がないのかというとそうではありません。
 それは、大きく見れば、論理の美しさという感動を子供たちに伝えるための教育として意味があるのです。(つづく)


 低学年から学力の基礎を作る
幼長、小1、小2、小3の基礎学力をひとつの講座で学ぶ。
読書の習慣、国語算数の勉強、暗唱の学習、創造発表の練習をオンラインで。


コメント欄

コメントフォーム
パズルのようなテストの勉強ではなく、もっと本質的な勉強を 森川林 20140121 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
にぬねの (スパム投稿を防ぐために五十音表の「にぬねの」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
算数・数学(22) 
コメント21~30件
……前のコメント
低学年の作文の 森川林
低学年の作文でいちばん大事なことは、題材選びです。 その題 3/3
作文における書 森川林
 作文で大事なのは中身です。  しかし、中身はなかなか進歩 3/2
これからの新し 森川林
 今はまだ、勉強のゴールは、大学入試になっています。  大 3/1
上手な作文とそ 森川林
 上手な作文とそうでない作文の差は、語彙力の差です。  そ 2/29
ChatGPT 森川林
 創造発表の勉強のネックになるのは、個性的なテーマであればあ 2/28
夏期講習でのデ 森川林
 国語の勉強の方法としていちばんいいのは、ディスカッションで 2/25
教育論に欠けて 森川林
 ボタンの掛け違いは、最後になるまでわかりません。  最初 2/18
教育論に欠けて 森川林
 しっかり勉強して、いい学校に入り、成績を上げて、目指す大学 2/18
創造発表クラス 森川林
創造発表の勉強は、知識的にやるのではなく、実験的にやることが 2/5
齋藤孝さんへの 森川林
私は、ブンブンどりむのようなレベルの低いものは誰もやらないだ 2/4
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
言葉の森のYo 森川林
言葉の森のYouTubeチャンネルの登録者数が、1000人を 5/17
通学が普通、通 森川林
通学が普通、通信はおまけ、 オンラインは特殊な例外(笑)と 5/15
ブンブンドリム 森川林
 ブンブンドリムが、「31年の実績」と書いていたので、   5/15
基礎学力、総合 森川林
 勉強は、家庭学習で十分。  しかし、勉強の進捗状況をチェ 5/13
Re: 読解検 森川林
 ご質問ありがとうございます。  こういう質問ができる 5/10
男は、というか 森川林
男は、というか、自分は、あれこれ説明はしない。 聞かれれば 5/10
大事なのは理念 森川林
大事なのは理念だ。 損得や利害ではない。 遠くの星を目指 5/10
読解検定4月中 あうせれ
問3のAが×だと思いました。←「小学校低学年らしい男の子」と 5/8
マスクしない、 森川林
マスクしない、ワクチン打たない、消毒しない。 人類は、何十 5/7
まだ夜なのに、 森川林
まだ夜なのに、小鳥が鳴いている。 元気がよくていいや。 5/7

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習