ゲストさん ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 1308番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/27
読書感想文批判(低学年では苦しく書かせるより、楽しく読ませることを) as/1308.html
森川林 2011/07/15 18:55 



 毎年夏になると、学校から感想文や作文の宿題が出されます。

 この宿題の問題は、三つあります。

 第一に、感想文は本来小学校低中学年では、書けないものであることです。

 第二に、中学生の宿題でよく出されるのが、「人権」や「税金」という決まりきったものであることです。

 第三に、作文や感想文の肝心の指導が学校でなされず、すべて家庭への宿題という形で丸投げされていることです。



 第一の話から説明すると、感想文が意味のある勉強になるのは小学5年生からです。このころになると、構成力や思考力が育ってくるからです。

 小学4年生までは、文章全体の構造を考えたり、物事の背後にあるテーマをとらえたりする力はまだ育っていません。しかし、感想文で最も大事なのが、この全体の構造とテーマなのです。

 では、なぜ小学校低中学年の感想文を上手に書ける子がいるかというと、それは、たまたまよく書けた文章に、親や先生が手を入れているからです。

 しかし、それでは、親や先生の勉強であって、子供の勉強ではありません。だから、私は、小学校低学年の保護者の方から、「学校で感想文の宿題が出ているのですが」という相談があったときは、「感想文は、お母さんが書いてあげてください。子供は楽しく本を読むだけでいいです」と答えています。



 第二の、中学生での「人権」や「税金」の作文ですが、なぜこのような宿題が出るかというと、ただコンクールがあるという理由からです。決して教育的な目標があって宿題を出しているのではありません。

 教育的な意義を考えるなら、もっと子供が自分の身近な経験に照らし合わせて考えるような課題にするべきです。

 このコンクールへの出品というのも、また問題があります。コンクールというものは、一見、学習の評価に似ていますが、実は評価されるのはひとにぎりの入選した子だけで、大多数の子は大きくまとめてボツになるだけです。だから、自分の書いたものが賞に入らなかったことはわかりますが、それ以上のことは何もわかりません。



 第三の、指導の不在という問題が、実はいちばん大きい問題です。

 作文や感想文をどういう手順でどう書けばいいかということは、学校ではほとんど教えられていません。日常の学習の中で文章の書き方の指導がないために、感想文というと、あらすじだけを長々と書いたり、感想だけを延々と繰り返したりする子が出てくるのです。



 では、どうしたらいいのでしょうか。

 実は、小学校高学年からの感想文は、やり方によってはかなり有意義な勉強です。難しい文章を読んで、それを自分なりに考え、裏づけとなる実例を通して、読み手にわかるように書くというのは、読解力、思考力、表現力の総合的な学習になります。

 しかし、それには前提が必要です。

 ひとつは、生徒が事前にその課題の文章を何度か繰り返し読んでおくことです。

 もうひとつは、生徒ができれば身近な人(家族など)と話をして、その文章の具体例を考えておくことです。

 そして最後に、先生が、書き方の流れを事前に説明し、それから生徒に書かせることです。

 こういうやり方をすれば、小学校高学年、中学生、高校生の感想文は、子供の学力を育てる優れた勉強になるのです。



 毎年夏になると、学校から感想文や作文の宿題が出されます。

 この宿題の問題は、三つあります。

 第一に、感想文は本来小学校低中学年では、書けないものであることです。

 第二に、中学生の宿題でよく出されるのが、「人権」や「税金」という決まりきったものであることです。

 第三に、作文や感想文の肝心の指導が学校でなされず、すべて家庭への宿題という形で丸投げされていることです。



 第一の話から説明すると、感想文が意味のある勉強になるのは小学5年生からです。このころになると、構成力や思考力が育ってくるからです。

 小学4年生までは、文章全体の構造を考えたり、物事の背後にあるテーマをとらえたりする力はまだ育っていません。しかし、感想文で最も大事なのが、この全体の構造とテーマなのです。

 では、なぜ小学校低中学年の感想文を上手に書ける子がいるかというと、それは、たまたまよく書けた文章に、親や先生が手を入れているからです。

 しかし、それでは、親や先生の勉強であって、子供の勉強ではありません。だから、私は、小学校低学年の保護者の方から、「学校で感想文の宿題が出ているのですが」という相談があったときは、「感想文は、お母さんが書いてあげてください。子供は楽しく本を読むだけでいいです」と答えています。



 第二の、中学生での「人権」や「税金」の作文ですが、なぜこのような宿題が出るかというと、ただコンクールがあるという理由からです。決して教育的な目標があって宿題を出しているのではありません。

 教育的な意義を考えるなら、もっと子供が自分の身近な経験に照らし合わせて考えるような課題にするべきです。

 このコンクールへの出品というのも、また問題があります。コンクールというものは、一見、学習の評価に似ていますが、実は評価されるのはひとにぎりの入選した子だけで、大多数の子は大きくまとめてボツになるだけです。だから、自分の書いたものが賞に入らなかったことはわかりますが、それ以上のことは何もわかりません。



 第三の、指導の不在という問題が、実はいちばん大きい問題です。

 作文や感想文をどういう手順でどう書けばいいかということは、学校ではほとんど教えられていません。日常の学習の中で文章の書き方の指導がないために、感想文というと、あらすじだけを長々と書いたり、感想だけを延々と繰り返したりする子が出てくるのです。



 では、どうしたらいいのでしょうか。

 実は、小学校高学年からの感想文は、やり方によってはかなり有意義な勉強です。難しい文章を読んで、それを自分なりに考え、裏づけとなる実例を通して、読み手にわかるように書くというのは、読解力、思考力、表現力の総合的な学習になります。

 しかし、それには前提が必要です。

 ひとつは、生徒が事前にその課題の文章を何度か繰り返し読んでおくことです。

 もうひとつは、生徒ができれば身近な人(家族など)と話をして、その文章の具体例を考えておくことです。

 そして最後に、先生が、書き方の流れを事前に説明し、それから生徒に書かせることです。

 こういうやり方をすれば、小学校高学年、中学生、高校生の感想文は、子供の学力を育てる優れた勉強になるのです。


 創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

コメント欄

森川林 2011年7月16日 5時2分  
 以下は、facebookに追加した記事です。
====
 おはようございます。
 昨日の記事は「読書感想文批判」などというきつい言葉を使いま?したが、それは、小学校低中学年で無意味な感想文の宿題に悩まさ?れる子供たちが少しでも少なくなるようにと思ってのことです。
 うちの教室では、小学校3年生以上は、毎月1回から3回の感想?文を書く練習をしています。通信教育で勉強する生徒が多いのです?が、毎週の提出率は90パーセント以上です。(それは生徒ひとり?ひとりに、担当の講師による電話の説明があるからだと思います)
 だから、単なる批判ではなく、その裏づけとなる実績もあるとい?うことです。
 感想文は、勉強として意義のあるものです。しかし、そのために?は勉強の方法が確立している必要があるのです。(自慢っぽくなっ?てしまいましたが(^^ゞ)
... その感想文の書き方のコツは、今度ノートにアップしたいと思い?ます。
====

hyoko 2011年7月17日 14時48分  
初めてコメント致します。中学校国語教員五十歳です。
1「読書感想文」を数十年間書かせたことがありません。そのことで生徒の作文能力が他学校の生徒より劣っていると感じたことは一度だにありません。
3「感想文・思いを書く作文」を国語教育で扱うなとは言いません。しかし生徒に必要なのは、字数を限り、テーマを決めつけ、評価方法に沿った作文を書く力です。感想・思いは教えなくても生徒はメールでいくらも書いています。それは作文能力ではありません。
4「作文を宿題に」出したこと自体数十年間ありません。学校として出せと言われた場合は別です。作文を宿題にすることは学習能力習得にほとんど効果はありません。
5「作文には見本と評価方法」を必ず示します。体育、音楽などは見本を見せ、その通り習得させます。国語でも見本と手順を示さなければできるはずがありません。

こちらのページを拝見できて幸いでした。これから1ページずつ読ませて頂きます。

森川林 2011年7月18日 20時38分  
 hyokoさん、コメントありがとうございます。
 私は、高校や大学で、もっとレポートをどんどん書かせるような勉強をさせていくといいと思います。
 ただ、そのためには指導と評価の方法を工夫しないと、教える側の負担が大きくなりすぎるという問題があります。
 ソーシャル・メディアを利用して、生徒どうしが互いの文章にコメントを書き合うなどの方法を工夫していく必要もあると思います。
 これからもよろしくお願いします。

コメントフォーム
読書感想文批判(低学年では苦しく書かせるより、楽しく読ませることを) 森川林 20110715 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
さしすせ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「さしすせ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
読書感想文(19) 
コメント11~20件
……前のコメント
【合格速報】東 森川林
 T君、いつも椅子に腹ばいになってずっと本を読んでいたものね 3/11
1月の森リン大 森川林
 小1から高3までの作文が並ぶと、学年に応じて、みんなの考え 3/11
未来の子育て、 森川林
 「今は、勉強が大事なのだから、自分のしたいことは大学に入っ 3/8
未来の子育て、 森川林
 かつて、三井三池炭鉱は、日本のエネルギー産業の花形で、安定 3/7
未来の子育て、 森川林
幼児期や小学校低学年のころは、何でも吸収できます。 しかし 3/6
未来の子育て、 森川林
 今の日本の受験勉強は、清朝末期の中国の科挙に似てきています 3/5
朝の10分間読 森川林
 読書は、読む力と理解する力です。  草野球とプロ野球では 3/4
低学年の作文の 森川林
低学年の作文でいちばん大事なことは、題材選びです。 その題 3/3
作文における書 森川林
 作文で大事なのは中身です。  しかし、中身はなかなか進歩 3/2
これからの新し 森川林
 今はまだ、勉強のゴールは、大学入試になっています。  大 3/1
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
近所のローソン 森川林
毎日新聞を見たけど、記事はまだ載っていまでした。 4/25
毎日新聞に言葉 森川林
 しばらく前に、毎日新聞の人が取材に来ました。  そのとき 4/24
テスト送信 森川林
https://www.mori7.com/za2024d0 4/24
4月保護者懇談 森川林
シラン ●今後の「森からゆうびん」の学習デ 4/22
マスクにしても 森川林
マスクにしても、ワクチンにしても、消毒にしても、 自分たち 4/21
イエスも釈迦も 森川林
イエスも釈迦も、理想の社会を築きたいと思っていた。 しかし 4/21
日本復活の道筋 森川林
 工業製品を経済発展の原動力をした資本主義は終わりつつある。 4/17
メモ 森川林
https://www.mori7.com/za2024a0 4/16
単なる作業 森川林
勝海舟は、辞書を買うお金がなかったので、ある人から夜中だけ辞 4/8
勉強は、人に教 森川林
勉強は、人に教えてもらうのではなく、 自分で学べばよい。 4/7

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習