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人口の教育から自然の教育へ as/3016.html
森川林 2017/08/31 05:47 

 昔は塩といえば、NaClという塩化ナトリウムで間に合わせればよいという考えがありました。
 塩というものの要素を抽象化して、単純な元素の組み合わせとして管理すれば利用しやすいと考えたのです。
 ところが、実際の海水に含まれている塩にはNaCl以外のさまざま4な元素が含まれています。
 そして、実はその微妙な元素の方に重要な働きがあるということが分かってきたのです。

 子供の成長についても、似たようなことが言えます。
 昔の子供の環境は、両親や先生だけでなく、兄弟や、祖父母や、近所のおじさんおばさんや、友達や、友達の中でも年齢の上の子、下の子、自分が特に好きな子、嫌いな子などが多様な人間関係の環境を形成していました。
 そこで子供たちは、バランスよく成長していたのです。

 現在は、少子化と核家族化の中で、子供はかなり単純な人間関係の中で暮らしているように見えます。
 このような単純化された、ある意味で人工的な環境の中で教育が行われると、子供の内発的な動機が正しく成長しないことがあるのです。

 例えば、子供は何かを学んだり遊んだりしているときに、自分なりにさまざまな工夫をして失敗や成功を経験します。
 その試行錯誤の経験の中で、困難を乗り越えてうまくできたというのが、子供の創造の喜びになり向上の喜びになります。
 そういう内側からの喜びを成長の糧として、子供は大きくなっていくのです。
 しかし、もしここに親や先生から評価されるという要素が加わると、本来の喜びが評価される喜びに切り替わってしまうことがあります。
 勉強で何かを成し遂げたときに本当は成し遂げたこと自体が喜びであるのに、親や先生に褒められると、それが褒められた喜びに還元されてしまうということが起きてくるのです。

 もちろんこれが子供の多様な環境の中で行われるのでしたら、褒められる喜びというものは一つの価値ある喜びになります。
 しかし、人工的な単純化された環境で、評価がある一つの方向から繰り返し行われると、子供の喜び自体が評価される喜びに単純化されていってしまうのです。

 大人になって自分の本当にしたいことがよく分からないというようなケースは、この評価の喜びが単純化された環境の中で与えられすぎたからという面があるのではないかと思います。

 ではどうしたらよいかというと、子供が何かに熱中しているときは、それを褒めもせず止めもせず、その子のありのままの姿として温かく見守ってあげることなのです。

 その熱中したことが全く無駄で無意味なことのように見えても、熱中すること自体が子供の成長にとって価値あることだと考えることです。

 また逆に、その熱中していることが親や先生の望むことであっても、それを特に褒めるようなことはむしろ抑えて、その熱中そのものをただ見守ることが重要なのです。

 昔の子供は、親や先生の目の届かない自然な環境の中で過ごす時間が豊富にありました。
 今は、こういう自然の環境になるべく近い子育てをしていくことが必要になってきているのだと思います。

 昔は塩といえば、NaClという塩化ナトリウムで間に合わせればよいという考えがありました。
 塩というものの要素を抽象化して、単純な元素の組み合わせとして管理すれば利用しやすいと考えたのです。
 ところが、実際の海水に含まれている塩にはNaCl以外のさまざま4な元素が含まれています。
 そして、実はその微妙な元素の方に重要な働きがあるということが分かってきたのです。

 子供の成長についても、似たようなことが言えます。
 昔の子供の環境は、両親や先生だけでなく、兄弟や、祖父母や、近所のおじさんおばさんや、友達や、友達の中でも年齢の上の子、下の子、自分が特に好きな子、嫌いな子などが多様な人間関係の環境を形成していました。
 そこで子供たちは、バランスよく成長していたのです。

 現在は、少子化と核家族化の中で、子供はかなり単純な人間関係の中で暮らしているように見えます。
 このような単純化された、ある意味で人工的な環境の中で教育が行われると、子供の内発的な動機が正しく成長しないことがあるのです。

 例えば、子供は何かを学んだり遊んだりしているときに、自分なりにさまざまな工夫をして失敗や成功を経験します。
 その試行錯誤の経験の中で、困難を乗り越えてうまくできたというのが、子供の創造の喜びになり向上の喜びになります。
 そういう内側からの喜びを成長の糧として、子供は大きくなっていくのです。
 しかし、もしここに親や先生から評価されるという要素が加わると、本来の喜びが評価される喜びに切り替わってしまうことがあります。
 勉強で何かを成し遂げたときに本当は成し遂げたこと自体が喜びであるのに、親や先生に褒められると、それが褒められた喜びに還元されてしまうということが起きてくるのです。

 もちろんこれが子供の多様な環境の中で行われるのでしたら、褒められる喜びというものは一つの価値ある喜びになります。
 しかし、人工的な単純化された環境で、評価がある一つの方向から繰り返し行われると、子供の喜び自体が評価される喜びに単純化されていってしまうのです。

 大人になって自分の本当にしたいことがよく分からないというようなケースは、この評価の喜びが単純化された環境の中で与えられすぎたからという面があるのではないかと思います。

 ではどうしたらよいかというと、子供が何かに熱中しているときは、それを褒めもせず止めもせず、その子のありのままの姿として温かく見守ってあげることなのです。

 その熱中したことが全く無駄で無意味なことのように見えても、熱中すること自体が子供の成長にとって価値あることだと考えることです。

 また逆に、その熱中していることが親や先生の望むことであっても、それを特に褒めるようなことはむしろ抑えて、その熱中そのものをただ見守ることが重要なのです。

 昔の子供は、親や先生の目の届かない自然な環境の中で過ごす時間が豊富にありました。
 今は、こういう自然の環境になるべく近い子育てをしていくことが必要になってきているのだと思います。


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コメント欄

森川林 2017年8月31日 6時13分 1 
 やり遂げた喜びの裏側には、失敗した悔しさがあり、その両方が子供の内発的な動機を成長させます。
 無駄な失敗の遠回りはしないようにうまく教えて、それができたら褒めるということをし過ぎると、それはかえって子供の内側の喜びを評価される喜びに切り換えてしまいます。
 昔、こういうことをわざわざ考えなくてもよかったのは、子供を取り巻く環境は自然で多様性に富んでいたからです。
 これからの子育ては、できるだけこの自然環境に近い状態を作っていくことになると思います。


nane 2017年8月31日 6時18分 1 
 子供をていねいに育てることは大事ですが、最近はそれと同時にたくましく育てることも大事だと思うようになりました。
 しかし、この両立はなかなか難しいのです。
 それは、子供をいい子に育てるとともに、少し悪い子にも育てるということだからです(笑)。
 それを自然に行うのが、多様な人間関係の中で過ごす時間を作ることだと思います。


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