ゲストさん ログイン ログアウト 登録
 理科や社会の教科書を読んでいるのに、テストができないという質問――本当の学力と錯覚の学力 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 3011番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/5/26
理科や社会の教科書を読んでいるのに、テストができないという質問――本当の学力と錯覚の学力 as/3011.html
森川林 2017/08/25 20:58 


 小学校3年生の懇談会で、次のような質問がありました。
「理科と社会の勉強をさせるために、『これでわかる』シリーズの参考書をしばらく読んいでたが、テストをやってみたら全然できなかった。やはり、問題を解く勉強をしたらいいのだろうか」
というものでした。

 理科や社会は、基本的には教科書を繰り返し読むことで自然に力が付きます。わざわざ問題を解くような形の勉強をする必要はありません。
 社会の場合は、特にそうです。教科書を読書代わりに繰り返して読んでいれば、勉強自体が面白いですし、それで自然に社会のテストもできるようになります。
 理科の場合は、計算の問題や図形的な理解の問題があるので、解き方を覚えるような問題を解く勉強はある程度必要です。しかし、基本はあくまでも教科書または参考書を読むということです。

 では、なぜ教科書や参考書を読んでいるのにテストができなかったかというと、それは読む回数が少なかったからなのです。

 この話と似ていますが、以前も、別の方から、「漢字集で漢字の暗唱はできるようになったが、テストをしてみると読めない漢字があった」という相談がありました。

 親や先生は、すぐにテストをして結果を評価したがりますが、勉強の基本は何度も繰り返し読むことで、その徹底した繰り返しのあとに、単なる仕上げの確認としてテストをするのです。

 繰り返しの回数が少ない状態でテストをすれば、できないものがあって当然です。
 そこで、テストができるように、テストの問題を解くような形の勉強すると成績は確かに上がります。
 しかし、そこでは本当の力はつきません。少なくとも、伸びしろのある学力はつきません。テストに出そうな問題を解く力がつくだけなのです。

 勉強の基本は読むことであって、問題を解くことではありません。
 ところが、今の子供たちの学習環境は、学校でも塾でも常にテストという形で評価されるので、まるでテストができることが勉強の中身のように思われてしまうのです。
 テストを勉強の目的とするのは、受験勉強のときだけでいいのです。

 そして、このテストをしてできなかったということを親が重要なこととして考えると、子供は自然にその教科に対する苦手意識を持ってきます。

 時々、謙遜の意味で、「うちの子は○○が苦手なんです」と言うお母さんがいますが、そういう言葉を聞くと、子供はその勉強が更に苦手になっていきます。

 ですから、親はその子が何かの分野で苦手だと思ったとしても、決してそれは口には出さずに、少しでもよくできている点を褒めて励ますようにしていくのです。

 そのためには、すぐにテストで結果を評価するのではなく、読む勉強を基本にして、できていることを褒め続けていくことです。
 問題を解く勉強ではなく、読む勉強を中心にすることによって、子供は楽しく実力をつけていきます。

 本や教科書や参考書を読んでいるうちに、自然にできるようになるのが、本当の学力です。
 テストに出そうな問題を練習して、そして、できるようにするのは錯覚の学力です。

 錯覚の学力は、短期的には成果が出るように見えますが、長期的には役に立ちません。
 受験前に本人が本気になれば、そういう学力は誰でもすぐにつくからです。


 低学年から学力の基礎を作る
幼長、小1、小2、小3の基礎学力をひとつの講座で学ぶ。
読書の習慣、国語算数の勉強、暗唱の学習、創造発表の練習をオンラインで。


同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
勉強の仕方(119) 家庭学習(92) 

コメント欄

nane 2017年8月25日 21時14分 1 
 小3や小4までは、親は子供の勉強を簡単に教えられます。
 やっていることは基礎のことばかりだからです。
 しかし、だからこそ、ここで親が教えるのではなく、子供が自分で解答を見て答え合わせをし、自分なりに納得する形の勉強をさせていく必要があります。
 親が登場するのは、生徒本人が、自分の力だけではわからない問題に遭遇したときだけです。
 子供の自立心を育てることが、あとになるほど生きてくるのです。


コメントフォーム
理科や社会の教科書を読んでいるのに、テストができないという質問――本当の学力と錯覚の学力 森川林 20170825 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
らりるれ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「らりるれ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
勉強の仕方(119) 家庭学習(92) 
コメント1~10件
優しい母が減っ 森川林
 娘さんの友達から怖がられているというお母さん、コメントあり 5/8
優しい母が減っ 娘の友達
娘は中3。私は自称甘い母親です。世の中の厳しい先輩ママたちか 5/7
学習グラフのペ 森川林
言葉の森の今後の方針は、デジタルなデータをアナログで送信する 5/6
森リンベストの 森川林
じすけ君、ありがとう。 統合失調症のような、また似たような 4/21
森リンベストの じすけ
こわばんは 今日は元気一杯、体験発表をさせて頂きます。 4/20
国語読解問題の 森川林
 あるとき、高3の元生徒から、「国語の成績が悪いのでどうした 3/28
今日は読書3冊 森川林
苫米地さんの「日本転生」は必読書。 3/25
共感力とは何か 森川林
言葉の森のライバルというのはない。 森林プロジェクトで 3/23
3月保護者懇談 森川林
 いろいろ盛りだくさんの内容ですが、いちばんのポイントは、中 3/22
中学生、高校生 森川林
 意見文の書き方で、もうひとつあった。  それは、複数の意 3/14
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
Re: 読解検 森川林
 いい質問です。  このように質問する人は、国語の力がつく 5/23
読解検定4月中 あうせれ
問8のAが×だと思いました。←設問には「急に熱心になった」と 5/22
言葉の森のホー 森川林
言葉の森のホームページについて、わかりにくいだの何だのと言っ 5/22
5月保護者懇談 森川林
シラン ●学習グラフの見方  学習グラフ 5/22
未来の歴史の教 森川林
未来の歴史の教科書には、 「この時代の子供たちは、みんな、 5/18
言葉の森のYo 森川林
言葉の森のYouTubeチャンネルの登録者数が、1000人を 5/17
通学が普通、通 森川林
通学が普通、通信はおまけ、 オンラインは特殊な例外(笑)と 5/15
ブンブンドリム 森川林
 ブンブンドリムが、「31年の実績」と書いていたので、   5/15
基礎学力、総合 森川林
 勉強は、家庭学習で十分。  しかし、勉強の進捗状況をチェ 5/13
Re: 読解検 森川林
 ご質問ありがとうございます。  こういう質問ができる 5/10

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習