ゲストさん ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 4522番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/5/16
勉強の目的は、競争に勝つことではなく、創造し独立すること as/4522.html
森川林 2022/09/03 05:58 


●動画:https://youtu.be/nH4J2cOdI0Q

 昔、言葉の森を始めたころ、「何のために勉強をするのか、そして、させるのか」と考えたことがあります。

 その当時の社会の一般的な勉強の考え方と対置して考えたのは、次のようなことでした。

 第一は、受験から実力へです。
 受験に勝つことを目的にした勉強ではなく、自分の実力をつけるための勉強をしなければならないと考えたのです。

 第二は、学校から家庭へです。
 学校や塾などの外部の機関に頼る教育ではなく、教育の基本は家庭と地域で行うべきものだと考えたのです。

 第三は、点数から文化へです。
 点数をつけて評価されるようなことが中心になるのではなく、点数につかないような文化的なものこそ評価されるべきだと思ったのです。

 第四は、競争から創造へです。
 今の教育は、競争の中で行われています。それは、最終的には、受験に勝つことが目的になっているからです。
 だから、人間にとって必要な知識ではなく、他人に勝つために間違いやすい問題ができるようになる知識を身につけなければならないのです。

 この「競争から創造へ」というのは、最終的には、子供たちがその創造を生かして、独立した人生を歩むということにつながると考えていました。
 独立とは、文字どおり独立して自分で会社を作り、又は、自分で仕事を作り出すようなことです。

 しかし、当時は、そういうことを言っても、理解する人はあまりいなかったと思います。
 だから、この教育の根本の目的は、自分の胸の中にしまっておいたのです。

 ただ、教育は、個人を目的にしたものでなく、社会も目的にしたものでなくてはならないということはいつも思っていました。
 だから、言葉の森のキャッチフレーズは、「明日の日本を支える子供たちの思考力、創造力、共感力を育てる」ということにしました。
 大事なことは、子供たちが成長することと、日本がよくなることを結びつけることでした。

 ところで、この「創造と独立」という考え方が、昔はあまり理解されなかったと思いますが、今は漠然と多くの人が、その方向を考えるようになっています。
 この創造と独立という方向が、今後の教育の最も重要な柱になるのです。

 その理由は、これまでの時代が利便性を中心とする時代だったのに対し、これからの時代は文化を中心とする時代になるからです。

 人間の社会で価値あるものとは、みんなが求めるものです。多くの人が求めるものが価値あるものです。価値があるから求めるのではなく、多くの人が求めるから価値が生まれるのです。

 わかりやすい例で言えば、ゴルフやサッカーのようなスポーツです。
 メジャーなスポーツは、幅広い経済的な裾野を形成しています。つまり、そこで巨額のお金が動いています。
 しかし、それは、例えば、地面の穴にボールを入れたり、ゴールの枠にボールを蹴り込んだりすることに価値があるからではなく、多くの人がそれらのスポーツに参加することによって価値が生まれたからなのです。

 これまでの世界では、人間が求めるものは、多くは量的なものでした。
 より多くの食糧、より多くの土地、より多くの人、という量の世界が価値の中心でした。

 その後、価値は量的なものから、利便的なものに移りました。
 より効率的なもの、より高性能なものを求めることが価値の中心になっていったのです。

 その最新の現象を表すものは、GAFAに見られるネット企業の興隆です。
 しかし、これは、利便性の時代がもうすぐ終わることの象徴でもあるのです。

 利便性の追求は、やがて、その利便性がガスや電気や水道や交通機関のようなインフラになる方向に進みます。
 ガスや電気や水道は、人間の生活に大きな価値のあるものですが、そこにはもはや新しい時代の価値を生み出すという魅力はありません。
 人間の社会は、これから、そういう利便性の時代の先に進みます。

 先の時代とは、文化の時代です。
 その文化の時代のモデルは、江戸時代の300年間続いた平和の中にあります。

 私がよく思い出すのは、ウズラの鳴き合わせという遊びがあったというような話です。
 同じように、長い平和の時代の中で、真っ白な文鳥が作り出され、金魚や鯉のいろいろな色や形のものが作り出されました。
 茶道や華道や俳句なども、それ自体の価値ではなく、文化的な価値として生まれ広がったものです。
 このような文化を生み出す歴史を持っているのが、日本という国の特徴です。

 イギリスやアメリカが世界の経済的中心であった時代に生まれたものは、ゴルフやサッカーやバスケットボールやアメリカンフットボールやマクドナルドやケンタッキーフライドチキンなどだったでしょう。
 しかし、これからは、日本が、日本の歴史を背景にした新しい文化を生み出す時代になります。

 その文化の時代には、多くの人が独立起業に参加できるようになります。
 GAFAの時代の独立起業は、あるひとつのビジネスモデルでグローバルなシェアを取ることが成功の基準でした。
 だから、独立起業に成功するためには、世界一になることが必要で、1位ではなく2位になることは敗北でした。
 利便性を基準にした世界では、生き残るのは世界で1社だけというのが原則だったのです。

 しかし、文化の時代はそうではありません。
 オンリーワンの文化が多種多様に生まれるのが文化の時代です。

 そして、今、私たちの価値観は、今、利便性の価値観から文化の価値観へと大きく動き始めています。
 この文化の時代の独立起業を想定するならば、子供たちの教育の目標もそこに向かって進めることができます。

 ここに来てやっと、勉強の目標として、競争と勝敗ではなく、創造と独立を考える時代が到来したのです。


●動画:https://youtu.be/nH4J2cOdI0Q

 昔、言葉の森を始めたころ、「何のために勉強をするのか、そして、させるのか」と考えたことがあります。

 その当時の社会の一般的な勉強の考え方と対置して考えたのは、次のようなことでした。

 第一は、受験から実力へです。
 受験に勝つことを目的にした勉強ではなく、自分の実力をつけるための勉強をしなければならないと考えたのです。

 第二は、学校から家庭へです。
 学校や塾などの外部の機関に頼る教育ではなく、教育の基本は家庭と地域で行うべきものだと考えたのです。

 第三は、点数から文化へです。
 点数をつけて評価されるようなことが中心になるのではなく、点数につかないような文化的なものこそ評価されるべきだと思ったのです。

 第四は、競争から創造へです。
 今の教育は、競争の中で行われています。それは、最終的には、受験に勝つことが目的になっているからです。
 だから、人間にとって必要な知識ではなく、他人に勝つために間違いやすい問題ができるようになる知識を身につけなければならないのです。

 この「競争から創造へ」というのは、最終的には、子供たちがその創造を生かして、独立した人生を歩むということにつながると考えていました。
 独立とは、文字どおり独立して自分で会社を作り、又は、自分で仕事を作り出すようなことです。

 しかし、当時は、そういうことを言っても、理解する人はあまりいなかったと思います。
 だから、この教育の根本の目的は、自分の胸の中にしまっておいたのです。

 ただ、教育は、個人を目的にしたものでなく、社会も目的にしたものでなくてはならないということはいつも思っていました。
 だから、言葉の森のキャッチフレーズは、「明日の日本を支える子供たちの思考力、創造力、共感力を育てる」ということにしました。
 大事なことは、子供たちが成長することと、日本がよくなることを結びつけることでした。

 ところで、この「創造と独立」という考え方が、昔はあまり理解されなかったと思いますが、今は漠然と多くの人が、その方向を考えるようになっています。
 この創造と独立という方向が、今後の教育の最も重要な柱になるのです。

 その理由は、これまでの時代が利便性を中心とする時代だったのに対し、これからの時代は文化を中心とする時代になるからです。

 人間の社会で価値あるものとは、みんなが求めるものです。多くの人が求めるものが価値あるものです。価値があるから求めるのではなく、多くの人が求めるから価値が生まれるのです。

 わかりやすい例で言えば、ゴルフやサッカーのようなスポーツです。
 メジャーなスポーツは、幅広い経済的な裾野を形成しています。つまり、そこで巨額のお金が動いています。
 しかし、それは、例えば、地面の穴にボールを入れたり、ゴールの枠にボールを蹴り込んだりすることに価値があるからではなく、多くの人がそれらのスポーツに参加することによって価値が生まれたからなのです。

 これまでの世界では、人間が求めるものは、多くは量的なものでした。
 より多くの食糧、より多くの土地、より多くの人、という量の世界が価値の中心でした。

 その後、価値は量的なものから、利便的なものに移りました。
 より効率的なもの、より高性能なものを求めることが価値の中心になっていったのです。

 その最新の現象を表すものは、GAFAに見られるネット企業の興隆です。
 しかし、これは、利便性の時代がもうすぐ終わることの象徴でもあるのです。

 利便性の追求は、やがて、その利便性がガスや電気や水道や交通機関のようなインフラになる方向に進みます。
 ガスや電気や水道は、人間の生活に大きな価値のあるものですが、そこにはもはや新しい時代の価値を生み出すという魅力はありません。
 人間の社会は、これから、そういう利便性の時代の先に進みます。

 先の時代とは、文化の時代です。
 その文化の時代のモデルは、江戸時代の300年間続いた平和の中にあります。

 私がよく思い出すのは、ウズラの鳴き合わせという遊びがあったというような話です。
 同じように、長い平和の時代の中で、真っ白な文鳥が作り出され、金魚や鯉のいろいろな色や形のものが作り出されました。
 茶道や華道や俳句なども、それ自体の価値ではなく、文化的な価値として生まれ広がったものです。
 このような文化を生み出す歴史を持っているのが、日本という国の特徴です。

 イギリスやアメリカが世界の経済的中心であった時代に生まれたものは、ゴルフやサッカーやバスケットボールやアメリカンフットボールやマクドナルドやケンタッキーフライドチキンなどだったでしょう。
 しかし、これからは、日本が、日本の歴史を背景にした新しい文化を生み出す時代になります。

 その文化の時代には、多くの人が独立起業に参加できるようになります。
 GAFAの時代の独立起業は、あるひとつのビジネスモデルでグローバルなシェアを取ることが成功の基準でした。
 だから、独立起業に成功するためには、世界一になることが必要で、1位ではなく2位になることは敗北でした。
 利便性を基準にした世界では、生き残るのは世界で1社だけというのが原則だったのです。

 しかし、文化の時代はそうではありません。
 オンリーワンの文化が多種多様に生まれるのが文化の時代です。

 そして、今、私たちの価値観は、今、利便性の価値観から文化の価値観へと大きく動き始めています。
 この文化の時代の独立起業を想定するならば、子供たちの教育の目標もそこに向かって進めることができます。

 ここに来てやっと、勉強の目標として、競争と勝敗ではなく、創造と独立を考える時代が到来したのです。


 対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
小1から作文力を上達させれば、これからの入試は有利になる。
志望校別の対応ができる受験作文。作文の専科教育で40年の実績。

コメント欄

コメントフォーム
勉強の目的は、競争に勝つことではなく、創造し独立すること 森川林 20220903 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
れろわを (スパム投稿を防ぐために五十音表の「れろわを」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
未来の教育(31) 言葉の森のビジョン(51) 
コメント11~20件
……前のコメント
【合格速報】栃 森川林
 おめでとう!  受験勉強中も、硬い説明文の本をばりばり読 3/13
受験作文と入試 森川林
将来の作文入試は、デジタル入力になり、AIで自動採点するよう 3/13
大学入試が終わ 森川林
大学生になっていちばん大事なことは学問に志すこと。 18歳 3/12
【合格速報】東 森川林
 T君、いつも椅子に腹ばいになってずっと本を読んでいたものね 3/11
1月の森リン大 森川林
 小1から高3までの作文が並ぶと、学年に応じて、みんなの考え 3/11
未来の子育て、 森川林
 「今は、勉強が大事なのだから、自分のしたいことは大学に入っ 3/8
未来の子育て、 森川林
 かつて、三井三池炭鉱は、日本のエネルギー産業の花形で、安定 3/7
未来の子育て、 森川林
幼児期や小学校低学年のころは、何でも吸収できます。 しかし 3/6
未来の子育て、 森川林
 今の日本の受験勉強は、清朝末期の中国の科挙に似てきています 3/5
朝の10分間読 森川林
 読書は、読む力と理解する力です。  草野球とプロ野球では 3/4
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
通学が普通、通 森川林
通学が普通、通信はおまけ、 オンラインは特殊な例外(笑)と 5/15
ブンブンドリム 森川林
 ブンブンドリムが、「31年の実績」と書いていたので、   5/15
基礎学力、総合 森川林
 勉強は、家庭学習で十分。  しかし、勉強の進捗状況をチェ 5/13
Re: 読解検 森川林
 ご質問ありがとうございます。  こういう質問ができる 5/10
男は、というか 森川林
男は、というか、自分は、あれこれ説明はしない。 聞かれれば 5/10
大事なのは理念 森川林
大事なのは理念だ。 損得や利害ではない。 遠くの星を目指 5/10
読解検定4月中 あうせれ
問3のAが×だと思いました。←「小学校低学年らしい男の子」と 5/8
マスクしない、 森川林
マスクしない、ワクチン打たない、消毒しない。 人類は、何十 5/7
まだ夜なのに、 森川林
まだ夜なのに、小鳥が鳴いている。 元気がよくていいや。 5/7
夜の山道を車で 森川林
夜の山道を車で走っていると、なぜか左側が暗い。 降りてみる 5/7

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習