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暗唱と音読の練習は、早口・棒読みが、作文力、読解力をつける方法 as/1480.html
森川林 2012/03/11 15:59 


 言葉の森で暗唱の練習をしている小学生の子が、学校で音読の宿題があったとき、先生の前で同じように早口で読んで低い点数をつけられたという話を聞きました。それで、お母さんは、言葉の森の暗唱をしばらくやらないことにしたのだそうです。

 ここには、問題が三つあります。



 第一は、先生でも親でも、子供の何かを評価するときは、先に指導の目標を決めてから行う必要があるということです。小学生で作文嫌いになる子のほとんどは、先生や親から予想外の悪い評価を受けたことが原因になっています。例えば、一生懸命長い字数を書いて褒めてもらおうと思って作文を提出したところ、先生から、「字が汚いね」という評価だけされたというようなことです。

 これが、もし最初に、「今日の作文は字をていねいに書くことが目標」ということで指導していれば、低い評価でも子供にはプラスになります。子供が予期していないところで、期待とは逆の低い評価をするからマイナスになるのです。

 早口で読んだ音読に低い点数をつけた先生も同じです。どうしたらよかったのかというと、その早口はいったんそれで認めておき、次回の指導の際に、「今度の音読の宿題は大きい声でゆっくり読むこと」と指導したあとに、改めて次の機会に新しい目標で評価し直せばよかったのです。



 第二は、暗唱と音読を、何を目標にして行うのかということが、教えている人の中ではっきりしていない点です。音読のすすめのような本を書いている人でも、何のために音読をするのかということがよくわかっていません。音読をするのは、繰り返し読むためです。黙読では同じ文章を繰り返し読むことはなかなかできません。試しに100字の文章を30回読むとした場合、黙読でそういう繰り返しのできる人はまずいません。

 では、なぜ繰り返し読むのかというと、繰り返し読むことで理解が深まるからです。文章を理解するという場合、多くの人は、知らない単語を調べて、ひとつひとつの文ごとの意味を把握して、それとをつなげていくことが文章全体を理解することだと思いがちです。文章の理解とは、そのような分析的なものではありません。一読して文章の全体が丸ごと理解できるというのが、文章の理解の仕方です。

 そのように丸ごと理解するためには、読み方は早口で棒読みの方がいいのです。感情を込めたり、句読点で句切ってゆっくり読んだり、いろいろと変化した読み方をすればするほど、全体理解はしにくくなります。

 これは、普通の勉強でも同じです。よく1冊の参考書や問題集を繰り返しやるのがいい勉強法だと言われていますが、それは同じものを同じ順番でやることによって、個々の内容の理解だけでなく、全体の位置も把握できるようになるからです。例えば、「あの話はどこに書いてあったかなあ」と思い出すとき、1冊の参考書だけ読んでいる子は、その話がその参考書のどのあたりのページにあったかということも思い出すことができます。これが丸ごとの理解です。



 第三は、親の対応です。子供にとっていちばん頼りになるのは、父親と母親です。子供が、友達との遊びや学校の勉強の中で心を傷つけられるようなことがあったとき、そのマイナスを大きく上回るプラスに変えることができるのが親です。

 子供が、褒められると思ってしたことが低く評価されて落ち込んでいるとき、親が同じように落ち込んでいては、それは単なる敗北です。よく、子供が学校や塾のテストで悪い点数を取ってきてがっかりしているとき、親までがそれを見て同じようにがっかりしているという人がいます。それでは、長年生きている親としては、やや力不足です。

 親はまず、にっこり笑って、「大丈夫」と言ったあと、そのマイナスと思われていた評価をプラスに変えるひとことを言ってあげればいいのです。例えば、最初の例では、こんなふうに。

 「音読には、もともと早口で読む音読と、ゆっくり読む音読の二種類があるけど、学校の先生は、ゆっくり読む音読の方で音読を考えていたんだね。でも、早口で上手に読める子は、ゆっくりでも上手に読めるから、言葉の森では早口で、学校ではゆっくりでと区別してやっていけばいいんだよ」と、こんな感じです。



 しかし、それにしても、子供に低い評価を与えるときは、先生という役割をしている人はくれぐれも慎重にやってほしいと思います。先生のひとことで、子供は勉強が得意になったり苦手になったりするからです。


 言葉の森で暗唱の練習をしている小学生の子が、学校で音読の宿題があったとき、先生の前で同じように早口で読んで低い点数をつけられたという話を聞きました。それで、お母さんは、言葉の森の暗唱をしばらくやらないことにしたのだそうです。

 ここには、問題が三つあります。



 第一は、先生でも親でも、子供の何かを評価するときは、先に指導の目標を決めてから行う必要があるということです。小学生で作文嫌いになる子のほとんどは、先生や親から予想外の悪い評価を受けたことが原因になっています。例えば、一生懸命長い字数を書いて褒めてもらおうと思って作文を提出したところ、先生から、「字が汚いね」という評価だけされたというようなことです。

 これが、もし最初に、「今日の作文は字をていねいに書くことが目標」ということで指導していれば、低い評価でも子供にはプラスになります。子供が予期していないところで、期待とは逆の低い評価をするからマイナスになるのです。

 早口で読んだ音読に低い点数をつけた先生も同じです。どうしたらよかったのかというと、その早口はいったんそれで認めておき、次回の指導の際に、「今度の音読の宿題は大きい声でゆっくり読むこと」と指導したあとに、改めて次の機会に新しい目標で評価し直せばよかったのです。



 第二は、暗唱と音読を、何を目標にして行うのかということが、教えている人の中ではっきりしていない点です。音読のすすめのような本を書いている人でも、何のために音読をするのかということがよくわかっていません。音読をするのは、繰り返し読むためです。黙読では同じ文章を繰り返し読むことはなかなかできません。試しに100字の文章を30回読むとした場合、黙読でそういう繰り返しのできる人はまずいません。

 では、なぜ繰り返し読むのかというと、繰り返し読むことで理解が深まるからです。文章を理解するという場合、多くの人は、知らない単語を調べて、ひとつひとつの文ごとの意味を把握して、それとをつなげていくことが文章全体を理解することだと思いがちです。文章の理解とは、そのような分析的なものではありません。一読して文章の全体が丸ごと理解できるというのが、文章の理解の仕方です。

 そのように丸ごと理解するためには、読み方は早口で棒読みの方がいいのです。感情を込めたり、句読点で句切ってゆっくり読んだり、いろいろと変化した読み方をすればするほど、全体理解はしにくくなります。

 これは、普通の勉強でも同じです。よく1冊の参考書や問題集を繰り返しやるのがいい勉強法だと言われていますが、それは同じものを同じ順番でやることによって、個々の内容の理解だけでなく、全体の位置も把握できるようになるからです。例えば、「あの話はどこに書いてあったかなあ」と思い出すとき、1冊の参考書だけ読んでいる子は、その話がその参考書のどのあたりのページにあったかということも思い出すことができます。これが丸ごとの理解です。



 第三は、親の対応です。子供にとっていちばん頼りになるのは、父親と母親です。子供が、友達との遊びや学校の勉強の中で心を傷つけられるようなことがあったとき、そのマイナスを大きく上回るプラスに変えることができるのが親です。

 子供が、褒められると思ってしたことが低く評価されて落ち込んでいるとき、親が同じように落ち込んでいては、それは単なる敗北です。よく、子供が学校や塾のテストで悪い点数を取ってきてがっかりしているとき、親までがそれを見て同じようにがっかりしているという人がいます。それでは、長年生きている親としては、やや力不足です。

 親はまず、にっこり笑って、「大丈夫」と言ったあと、そのマイナスと思われていた評価をプラスに変えるひとことを言ってあげればいいのです。例えば、最初の例では、こんなふうに。

 「音読には、もともと早口で読む音読と、ゆっくり読む音読の二種類があるけど、学校の先生は、ゆっくり読む音読の方で音読を考えていたんだね。でも、早口で上手に読める子は、ゆっくりでも上手に読めるから、言葉の森では早口で、学校ではゆっくりでと区別してやっていけばいいんだよ」と、こんな感じです。



 しかし、それにしても、子供に低い評価を与えるときは、先生という役割をしている人はくれぐれも慎重にやってほしいと思います。先生のひとことで、子供は勉強が得意になったり苦手になったりするからです。


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