ゲストさん ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 4852番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/5/12
マイナスをゼロに戻す教育ではなく、ゼロをプラスにする教育を――AIテクノロジーとITテクノロジーと新しい理念によって、日本の教育と社会は変わる as/4852.html
森川林 2023/11/18 06:51 

ガーデンシクラメン

●動画:https://youtu.be/-06H5XjOzbQ

 生まれたばかりの子供は、足し算も引き算もわかりません。
 成長して自然に覚えるわけでもありません。
 だから、社会の基準をゼロとすれば、マイナスで生まれてきます。

 教育のスタートは、このマイナスをゼロに戻すことから始まります。
 そこまではいいのです。

 しかし、子供が、小学生になり、中学生になり、高校生になっても、このマイナスをゼロに戻す教育が続けられます。

 それは、要求されるゼロの基準が学年に応じて上がってくるからです。
 しかし、そのゼロの基準は、社会人として普通に仕事をしている大人でも、もうすっかり忘れてできなくなっていることがかなり入っています。
 だから、多くの子供たちは、勉強を大変なものと感じているのです。

 その根底にあるのが、教育利権です。

 例えば、国語で言えば、文法や古文や漢文や漢字の書き取りは、概略がざっとわかっていればいいものですが、あえて間違いやすく作られた問題が出されて、生徒に点数の差をつける教育になっています。

 ゼロの基準が、社会人として必要な水準を超えて、子供たちに課せられているのです。

 その仕組みを支えているのは、その仕事で生計を立てている人たちです。
 毎年、誰も求めていない読書感想文の宿題が出るのも、同じ事情からです。

 そして、その人たちを束ねる組織があり、その組織をさらに束ねる大きな組織があり、さらに大きな組織があり、というふうに何重にも組み合わさった利権が、戦後80年近くたった日本に蓄積されているのです。

 これは、教育に限らず、医療にも、農業にも、政治にもある利権構造です。

 この利権構造が、日本の社会の停滞を生み出しています。
 日本の発展が抑制されているのは、さまざまな分野に無数の利権の網の目があるからです。

 その利権を崩すものがあるとすれば、それは政治のリーダーシップです。

 しかし、もうひとつ、利権を崩すことのできるものがあります。
 それは、マイナスをゼロに戻す考え方から、ゼロをプラスにする考え方をすることです。

 マイナスをゼロに戻すことが好きな人は、それをそのまま続けていていいのです。
 その人たちは放っておいて、ゼロをプラスにする仕事をすることです。

 教育で言えば、それが、作文教育であり、創造発表教育であり、新しいプログラミング教育です。
 また、国語、算数数学、英語の教科においても、創造し発表する授業を取り入れていくことです。


 文部科学省の探究学習は、同じような方向を志向しています。
====
  総合的な学習(探究)の時間は、変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にしていることから、これからの時代においてますます重要な役割を果たすものである。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/sougou/main14_a2.htm
====

 しかし、現場の先生や、保護者や、生徒自身が、まだこの新しい教育の方向になじんでいません。
 昔ながらのマイナスをゼロに戻す教育に適応しすぎているからです。

 ゼロをプラスにする新しい教育は、少しずつ広がっていくでしょう。
 それを加速するものが、ITテクノロジーです。

 一方、マイナスをゼロに戻す教育は、少しずつ少なくなっていくでしょう。
 それを加速するものが、AIテクノロジーです。

 世の中を変えるのは、昔も今も、新しいテクノロジーの誕生です。

 例えば、読書感想文の宿題は、ChatGPTの登場によって今後自然に消滅します。
 しかし、そこから、本当の読書感想文の教育が始まります。

 その新しいテクノロジーの誕生を生かすものは、新しい教育の理念なのです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 

記事 4850番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/5/12
学校の成績ではなく、社会に出てからの仕事で評価する文化を取り戻すことが大事――しかし、学校の成績は、オンライン少人数クラスの教育で簡単に改善できる――今日の教育問題を解決する道はオンライン5人クラスの教育 as/4850.html
森川林 2023/11/17 04:13 

ミニホテイアオイ

●動画:https://youtu.be/EJufJGfmmEY

 昔の世代の人たちの中には、学校に行くよりも社会に出て仕事を早く覚えた方がいいと考える人が数多くいました。

 法隆寺の宮大工として知られている西岡常一さんも、大学の工学部に進みたかったそうですが、そんなところに行っても何も身につかないといって止められたそうです。

 確かに、人生で大事なのは、社会に出て仕事をすることです。
 その準備として大学で勉強することはありますが、大学に行くことがゴールなのではありません。
 中には、西岡常一さんのように、大学に行くことがマイナスになるかもしれないという人もいるでしょう。

 しかし、今の社会は、大学がゴールになっている面が強いので、子供たちはそこで優越感を持ったり劣等感を持ったりしてしまいます。
 本来、能力を持った多くの子供たちが、不要な劣等感で勉強を避けるようになるのは、もったいないことです。

 学校の成績というものは、本気でがんばっても数ヶ月かけなければ成果は見えてきません。
 だから、ほとんどの子は、途中であきらめてしまいます。

 これが、今日の教育問題の背景にあります。

====
なぜ「無気力な生徒」が増えたのか…“低偏差値高校”から見える日本の教育の「大きな問題点」
https://gendai.media/articles/-/114206

「取り組まなくてはいけないのは、高校そのものの改革もありますが、まずは小中学校のほうでしょう。小中学校時代の教育を抜本的に変えていき、わからない分野を最低限理解できるまで丁寧に教えるという取り組みが必要です。

そのためには、1クラスあたりの人数を40人から半分の20人にする少人数クラス制を実施したり、教員の数を増やしたりすることが急務となります。もちろん、それでもすぐに解決できる問題ではないので、長期的な視座が必要となるでしょう。」
(児美川 孝一郎)
====

 「40人学級を20人学級にする」とか、「教育の数を増やす」とかいうことは、解決の方向のひとつですが、「すぐに解決できる問題ではない」ことは誰にでもわかります。

 この考え方の根底にある考えが、リアルな通学式の学校教育だからです。

 40人学級を20人学級にしても、それでは、全然少人数ではありません。
 1人の先生が、20人の生徒を個別に指導することはまずできません。

 トルストイは、「アンナ・カレーニナ」の中で、「幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである」と書きました。

 成績のいい子はどれも似たものですから、集団一斉指導ができます。
 成績の悪い子はそれぞれに悪いのですから、個別指導でしか対応できません。

 リアルの通学式の教室で、成績が同じ分野で同じように悪い生徒を20人集めて一斉指導をするということは、理屈の上ではできますが、現実にはそういうことはありえません。

 しかし、オンライン教育であれば、全国から、同じ分野で同じように成績が悪い子を集めることはすぐにできます。

 逆に、成績のよい子に関しても、全国から、同じ分野で同じように成績がよい子を集めることもすぐにできます。

 だから、オンライン教育が、教育の根本的な改善の鍵なのです。
 これが、今、言葉の森が実践していることです。

 オンライン教育であっても、先生が一方的に講義をするような教え方ではなく、生徒一人ひとりが主体的に参加する教育にするためには、人数は5人以内に絞ることが必要です。

 では、そのための先生の数は多くなるかというと、そういうことはありません。
 オンライン教育であれば、先生は、数多くの5人クラスを持つことができるからです。

 言葉の森では、今、数百人の5人クラスの生徒を、数十人の講師がそれぞれに教えています。
 しかも、オンライン教育なので、生徒は自宅から受講し、講師は自宅から指導をしています。
 だから、生徒も講師も、日本全国(海外も含めて)から参加できます。

 しかも、5人以内のクラスですから、生徒どうしの交流があります。
 これが、未来の教育の方向です。


 現在、世の中にあるオンライン教育の多くは、リアルな通学式教育をただコピーしただけのものです。
 リアル教育の劣化コピーであるオンライン教育では、今日の教育問題は解決しません。

 教育関係者の多くが、このオンライン教育の可能性に気づいていないことが、今日の教育問題のひとつの大きな原因です。


 もちろん、言葉の森のオンライン教育は、まだ完成したものではありません。
 その理由は、同じレベルの生徒が5人集まるクラスを作るためには、母集団の数がまだ少ないからです。

 しかし、すでに、同じ学年で同じように優秀な生徒が5人集まるクラスもできています。
 このオンライン少人数クラスが広がれば、生徒たちの勉強は楽しくなり、先生の仕事も楽しくなり、今の日本にある教育問題のほとんどは解決すると思います。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) オンライン教育(0) 
コメント11~20件
……前のコメント
【合格速報】栃 森川林
 おめでとう!  受験勉強中も、硬い説明文の本をばりばり読 3/13
受験作文と入試 森川林
将来の作文入試は、デジタル入力になり、AIで自動採点するよう 3/13
大学入試が終わ 森川林
大学生になっていちばん大事なことは学問に志すこと。 18歳 3/12
【合格速報】東 森川林
 T君、いつも椅子に腹ばいになってずっと本を読んでいたものね 3/11
1月の森リン大 森川林
 小1から高3までの作文が並ぶと、学年に応じて、みんなの考え 3/11
未来の子育て、 森川林
 「今は、勉強が大事なのだから、自分のしたいことは大学に入っ 3/8
未来の子育て、 森川林
 かつて、三井三池炭鉱は、日本のエネルギー産業の花形で、安定 3/7
未来の子育て、 森川林
幼児期や小学校低学年のころは、何でも吸収できます。 しかし 3/6
未来の子育て、 森川林
 今の日本の受験勉強は、清朝末期の中国の科挙に似てきています 3/5
朝の10分間読 森川林
 読書は、読む力と理解する力です。  草野球とプロ野球では 3/4
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
Re: 読解検 森川林
 ご質問ありがとうございます。  こういう質問ができる 5/10
男は、というか 森川林
男は、というか、自分は、あれこれ説明はしない。 聞かれれば 5/10
大事なのは理念 森川林
大事なのは理念だ。 損得や利害ではない。 遠くの星を目指 5/10
読解検定4月中 あうせれ
問3のAが×だと思いました。←「小学校低学年らしい男の子」と 5/8
マスクしない、 森川林
マスクしない、ワクチン打たない、消毒しない。 人類は、何十 5/7
まだ夜なのに、 森川林
まだ夜なのに、小鳥が鳴いている。 元気がよくていいや。 5/7
夜の山道を車で 森川林
夜の山道を車で走っていると、なぜか左側が暗い。 降りてみる 5/7
競争から創造へ 森川林
競争で勝つということは、負ける相手がいるということだ。 大 5/6
人はみな、未来 森川林
人は皆、未来に生きている。 親がレールを敷こうとしている未 5/4
Re: 読会検 森川林
 千個というのは、立方体のことなので、例えば、1辺が1ミクロ 5/3

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習