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これからの教育に必要なもの―学力向上の先にあるもの 6 as/1525.html
森川林 2012/04/19 20:26 


 教育は、人間の幸福、向上、創造、貢献と結びついているという話の続きです。

 第二は、向上のための教育です。

 今の教育は、向上のために行われているように見えますが、しかし、その目的が受験に合格することに絞られすぎているところに問題があります。その結果、試験でいい点数を取ることが勉強の目的のようになっています。

 例えば、一夜漬けや山をかけるような勉強でも、点数がよければそれでよいという発想を子供は持ちがちです。試験の前に集中力を育てるのはいいことですが、試験でがんばりすぎると、試験が終わったら何もしないということになりかねません。

 人間が向上心に目覚めるのは、中学3年生ごろからです。だから、高校生になると、勉強はだれに言われなくてもやるようになります。しかし、それまでの小学校時代と中学校時代の大部分は、子供は親や先生の価値観で勉強しています。だから、周囲の大人が、勉強はテストでいい点数を取るためにあるのではなく、自分自身を向上させるためにあるのだと教えていくことが必要なのです。

 例えば、テストでわからない問題が出た場合、あてずっぽうで答えを書き、それがたまたま○になっても何のプラスにもなりません。そういうときは、その答えを空欄にして×にしてもらった方がずっといいのです。大人は、そういうことをわかっていますが、子供にはそのことをはっきりと言葉に出して伝える必要があります。

 また、今の入学試験は点数で差をつけるために難問を一部に入れることがありますす。総合点でいい点数を取るためには、難問はほどほどに切り上げて、易しい問題や普通の問題で得点を上げていくことが必要になります。しかし、そういう試験勉強に慣れてしまうと、仕事や人生でも難問を避けて易しい問題だけに取り組むようになります。これも、向上とは正反対の考え方です。

 向上とは、人間の能力全体の向上です。受験する科目だけに絞った点数の向上ではありません。高校生になると、理系だから国語はやらないとか、文系だから数学はやらないとかいうことが、ごく普通に受け入れられるようになります。しかし、それでは、当面の大学入試には役立っても、世界に通用する学力はつきません。

 確かに、日本の社会は、組織力で持っています。個々の人が自分の得意分野を生かし、苦手分野を支え合うことで、組織全体の力で業績を上げることができます。しかし、これからの高度な知的社会では、理系と文系の分離は個人の能力向上という点でも問題がありますが、組織全体のチームプレイにおいても意思疎通の妨げになってきます。

 勉強の目的は、ガラパゴス化した日本の大学入試に合格することではなく、自分自身を向上させるためにあるのだということを、親も子も含めて社会全体が認識していく必要があるのです。(つづく)

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4月20日(金)13:00-15:00電話工事のため電話に出られません as/1524.html
森川林 2012/04/19 14:07 
 明日、4月20日(金)13:00-15:00、電話回線の工事をするため電話に出られません。
 お急ぎの方は、下記の携帯にお願いします。
▼携帯電話
080-6523-5004

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これからの教育に必要なもの―学力向上の先にあるもの 5 as/1523.html
森川林 2012/04/18 19:51 


 教育の目的は、人間の生きる目的である幸福、向上、創造、貢献と結びついています。

 第一は、幸福に生きるための教育です。

 この前提として、幸福とは外的な環境によってもたらされるものでなく、内的な決心によって得られるものだという考える必要があります。

 もちろん、これは、自分の置かれた状況に対する変革を否定するものではありません。しかし、変革は自分の幸福のために行うのではなく、社会に対する貢献のために行うものだと区別して考える必要があるのです。


 幸福とは、いつも自然に元気で明るくいることです。単純ですが。

 これを、各人が試行錯誤の中で獲得するものだと考える人もいるでしょう。しかし、同じように、数学の公式(例えば三角形の面積の求め方など)を試行錯誤の中で獲得するべきだと考える人はいません。過去の人類の知識や経験の蓄積を生かして、その蓄積を土台にしてより進んだ試行錯誤をするというのが人間らしい試行錯誤です。


 また、幸福は主観的なものだと考える人もいるでしょう。しかし、教育における幸福とは、人間に幸福を押しつけるものではありません。幸福の理論と方法を伝え、その理論と方法を選択できるようにすることです。

 人間は、幸福が選択できる状況であっても、あえて不幸を選ぶ場合があります。芸術の場合は更に不幸の昇華がその芸術の価値になっている場合もあります。だから、大事なことは、幸福になることではなく、幸福を自由に選択できるようになることです。


 この幸福のための教育が、未来の教育のひとつの分野になります。

 現代では、幸福のような主観的な価値観に左右されるものは教育が取り上げるべきではないという考えがあります。しかし、人類の長い歴史の中で、幸福に生きることはだれにとっても大きな関心事でした。そして、その関心に応えていたものが宗教でした。

 宗教の問題点は、論証できない架空の前提も含めてすべてを丸ごと信仰することが要求されることです。教育が宗教と異なる点は、選択の自由があることです。


 幸福に生きるための教育の教材は、プラスのシミュレーションとマイナスのシミュレーションになるでしょう。小説や実話の例をもとに、いかに人間が幸福に生きたか、あるいは不幸を克服したかを追体験する練習です。

 そして、幸福に生きる方法の基本は、感謝の反復と、幸福であることを決心する勇気だと思います。


 幸福とは、弱々しい生き方ではありません。どんな場面でも幸福に生きるというたくましい生き方です。


 幸福の教育は、まだ研究途上です。これから、さまざまな理論や方法が生まれていくでしょう。そして、やがて幸福の教育が広がるにつれて、世の中は次第に明るくなり、その社会を土台にして更に進んだ幸福の教育が発展していくのだと思います。(つづく)

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