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日本語脳を勉強に生かす as/1025.html
森川林 2010/09/26 12:46 


 日本人以外のすべての民族が、子音を含む言語だけを左脳の言語脳で処理し、ほかの音は全部右脳で処理するのに対して、日本人だけは、子音の言語だけでなく、母音だけの音、自然の音、邦楽の音、感情の動きなど、楽器音や雑音以外のほとんどの音を左の言語脳で処理しています。この日本人の脳の仕組みを日本語脳と言います。
 では、その日本語脳を勉強を生かすためには、どうしたらよいでしょうか。


 まず最初に考えられるのは、勉強の邪魔にならないような脳の使い方です。

 日本人は、言語だけでなく、自然の音や、琴・尺八などの邦楽の音も、左脳の言語脳で処理します。したがって、考える勉強をしているときに、波の音や鳥の声又は琴の音色などが聞こえると、それらの音が言語処理の左脳に入ってくるので、勉強が進まなくなります。

 ある会社で、正月に邦楽を流して仕事をしたところ、社員から仕事ができないという苦情が多く出て取りやめになったことがあるそうです。

 作文を書いているときは、脳をかなり酷使しているときなので、このような音が流れない環境で書く作業を行うことが大切です。

 また、人の話し声は、小さな声でも左の言語脳を刺激します。したがって、勉強をしているときにはテレビなどは消すか、あるいは各人それぞれのヘッドホンで聞くというやり方をする必要があります。

 よく音楽を聴いて、ながら勉強をする人がいますが、思考作業と両立する音は、雑音か楽器のみの西洋音楽です。しかし、不快な音は感情を刺激し、日本人の場合は感情も左脳で処理するので、不愉快な雑音では勉強の邪魔になります。

 すると、ながら勉強にいい音は、聴きなれた西洋音楽になるので、クラシックなどが静かに流れている中で勉強するのがいいということになります。しかし、もちろん、だれにとってもいちばんいいのは、音のない静かな環境で勉強をすることです。


 次に、日本語脳を、勉強を進めるのに生かすということで考えてみます。

 頭をよくすることにも、日本語脳を活用することができます。

 その前に、「頭をよくする」といった場合の「頭のよさ」とは何かということを考えてみます。

 私は、頭のよさというのは、(1)物事を理解する力、そして、(2)物事を創造する力、更にもう一つ付け加えるならば、(3)物事を表現する力、の三つになると思います。理解力、創造力、表現力の三つです。

 理解力というのは、主に、知識を吸収する力です。創造力というのは、吸収した知識を組み立て直す力です。表現力というのは、その組み立て方をわかりやすく美しく表現する力です。

 知識の吸収は、左脳の言語脳で処理されますが、これを左脳で処理するだけでなく、右脳のイメージ脳や音楽脳に結びつけていくことが、これらの力を発達させる要因になっていると思います。つまり、頭をよくするということは、左の言語脳と右のイメージ音楽脳との連携をよくすることなのです。

 こう考えると、暗唱というのは、言語を一種の音楽として右脳に結びつける働きがあります。また、言葉の森で作文の前に書いている構成図は、言語を右脳のイメージ脳に結びつける働きがあります。つまり、暗唱練習や構成図の練習が、頭をよくすることに結びついているのです。暗唱は主に理解力育成の面で、構成図は主に創造力育成の面で役に立ちます。

 ただし、創造力という能力が現実的な力として発現するまでには時間がかかるので、構成図が創造力に役立つというのは、ある程度の年齢になって知識の蓄積が進んでからになると思います。

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touko 20170217 77 
なるほど!おもしろいですね。勉強の方法も、科学的にとらえて理論的に考えると、とても説得力があります。作文といっしょですね(笑)

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 日本は、敗戦後の復興を、国内産業の保護、輸出産業の育成という方向で行ってきました。それが、やがて日本と欧米との貿易摩擦を生み出すまでに成功を収めてきました。

 この成功体験に目をくらまされているのが、現在の日本の姿です。

 アメリカが金融資本主義の行き過ぎで失速し、日本からの輸出を受け入れられなくなってきたとき、日本の輸出産業は、アメリカ以外の新たな輸出先を探しました。

 ただし、アメリカの輸入代金は、日本が米国債という形でアメリカに貸したお金でしたから、本当は日本は輸出に力を入れるよりも、もっと国内を豊かにすることに力を入れていけばよかったのです。

 さて、日本が輸出先を新たに見つけようとしたときに、最初に目についたのが、発展途上の中国の14億の人口でした。

 しかし、これが実は、日本にとって成功体験の罠になろうとしているのです。

 アメリカでの消費は、その先進国という性格上、自動車にしても家電製品にしても、比較的新しいものや高級なものに重点が置かれてきました。

 中国での消費は、その発展途上国という性格から、既にある古い製品で安いものを中心に需要される傾向があります。

 ここで、日本の企業が何しろ売れればいいと考えて生産をすると、日本の産業が、中国の消費の性格から変質する可能性があります。

 顧客が高度な審美眼を持ち、製品に高性能を要求するものであれば、生産者は、そういう生産に適応しようとします。顧客が、多少粗悪品でも安ければいいと考えるならば、生産者はやはりそういう生産になじんでいきます。

 例えば、観光客用の料理店を考えてみると、その店に来る人が味と雰囲気にうるさければ、洗練された料理を作るために、人にも材料にも配慮しなければなりません。しかし、店に来る客の多くが、味や雰囲気よりも安さやボリュームを要求するならば、その店は、腕のいい料理人よりも安いアルバイトを使い、いい材料の調達よりも何しろ安いものを使うという体制になります。

 そして、いったんそういう生産体制になると、ほかにも同じような安さとボリュームの店が次々とできるようになったときに、元の洗練された料理店に戻ろうとしても戻れなくなります。

 中国での需要は、そういう性格を持っています。需要に合わせて最初は売れても、やがてそういう製品は中国でも同じように生産できるようになります。そのときに、元の高度な製品作りに戻ろうと思っても、そのための人材やノウハウがなくなっている可能性があるのです。

 大きなマーケットに目を奪われて、どこでも作れるものをより安く作る方向に向かうならば、日本の持ち味はなくなります。だから、中国のマーケットに進出することや、中国の観光客を受け入れることは、一考を要することなのです。

 もちろん、中国が日本の製品を輸入するとか、日本に観光に来るとかいうことは、拒むことではなく歓迎することです。しかし、それは、日本が日本独自の持ち味を保っていることが前提になります。中国に合わせて、製品を買ってもらうとか、観光に来てもらうとかいう態度で対応するものではありません。

 今の日本で、中国に輸出しなければやっていけないという産業は、大きな目で見ると過去の産業です。大きな企業は急には方向転換ができませんから、しばらくは中国のマーケットをあてにしてやっていくことはやむをえません。しかし、長期の戦略は、中国から離れてやっていく力をつけることです。

 そして、今の中国から離れる力をつけることは、実は、未来の世界のマーケットを先取りする力をつけていることになるのです。

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