「書く」という作業を伴う勉強は、形として残るので、本人も勉強をしたという実感があり、周囲で見ている人も勉強をしているという印象を持ちます。
しかし、「書く」勉強は、「読む」勉強に比べて5倍以上時間がかかります。
それなら、「書く」勉強を1回する代わりに、「読む」勉強を5回した方がいいのです。
勉強の定着は、繰り返しの回数に比例します。
1回書いただけの勉強はあとに残りませんが、5回読んだ勉強はあとに残ります。
小学校低学年のころは時間がたっぷりあるので、書く勉強を中心にしがちですが、本当は、勉強の習慣がつくこの時期から、読む勉強を中心にして、書く勉強は必要に応じてやるようにしていくといいのです。
この場合の「書く」勉強とは、問題集を解いて答えを書くような勉強です。
「読む」勉強とは、いわゆる読書や、教科書や参考書を読むこと、問題集の問題文を読むこと、問題集の問題と答えを読むこと、などです。
例えば、国語の問題集などは、問題を解くよりも、問題文の文章を読書がわりに読む方がずっと力がつくのです。
ただ、この勉強は家庭でひとりでやっていると張り合いがないので、言葉の森は、寺子屋オンエアなどでこの問題集読書をやっているのです。
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「毎日の短文穴埋めドリルのような勉強で作文力がつくか」
https://www.mori7.com/index.php?e=2079
小学校低学年の生徒のお母さんから質問がありました。
「これまで、『毎日少しずつでも書いた方がいい』ということで、簡単な文の穴埋めドリルのようなことをしていましたが、そういうものは、やはりした方がいいのでしょうか」
そういうことは、全く必要ありません(笑)。
毎日文章を書くという勉強は、形が残るので、子供も親も先生も、何かしっかりやっているような印象を受けます。しかし、それはただそういう印象がするだけです。
文章の穴埋めドリルのようなことをいくらしても、まとまった文章を書く力はつきません。
そのかわり、そういう毎日の穴埋めドリルのような勉強には、大きなマイナスがあるのです。
それは、時間がかかることと、面倒なことです。
一般に、書く勉強は、読む勉強の5倍は時間がかかります。
だから、文章を1回書き写すような時間があれば、同じ文章を5回音読できます。又は、5倍の量の読書ができます。
どちらの方が力がつき、どちらの方が楽かというと、もちろん1回書くよりも、5回や5倍読む方です。
ところが、読む勉強は形が残らないので、初心者の先生ほど、つい形の残る書く勉強をさせたくなるのです。
作文の勉強は、まず毎日読むことです。
それは、ひとつには、自分の好きな本の読書です。もうひとつには、ちょっと難しい文章の音読です。
この、多読と精読によって読む力をつけると、自然に書く力の土台ができます。
そして、週に1回のペースで作文を書き、読んだ力を文章に定着させていくのです。
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勉強で大事なのは外見ではなく中身ですが、無理にやらせたり長時間やらせたりすると、子供は外見で勉強するようになります。
そして、小学校低学年でその外見の勉強の癖がつくと、中学生になってもそういう勉強を自然に続けてしまうのです。
そうさせない一つのコツは、勉強を時間を基準にしてやらせないことです。
毎日の読書は、国語力アップの大きな力になりますね。
「読書」は確かに形には残りませんが、心に残る勉強になりますよね。
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受験の合格の連絡が次々に入ってきます。
もちろん、その分、不合格になった子もいるわけです。
しかし、いずれの場合も、それはいい結果になるのです。
合格した子は、その合格を励みにして、更にがんばっていけばいいのです。
不合格になった子は、その不合格をばねにして、新しい道を切り開いていけばいいのです。
合否の結果は、外からやってくるように見えますが、本当は自分の心の内側からやってきます。
本当の結果は、あとからやってくるのです。
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受験というのは、定員があるために、実力があっても不合格になる子がいます。
不合格は、誰でもうれしいものではありません。ただの点数が低かっただけなのに、まるで自分の人格が否定されたような感覚になるからです。
しかし、そこで、すぐに立ち直る子もいます。
それも、これまでよりもずっと元気になって立ち直るのです。
どうしたら、そういうことができるかというと、次のような考え方がすぐできるからです。
「僕が(私が)せっかくがんばってテストを受けたのに、その自分の実力を見られないない学校なんか、もう行ってやらない」
「あと何年かしたら、やはりこの学校に受からなくてよかったと言えるように、これからやっていこうっと」
もちろん、こういうことが言えるためには、がんばって受験勉強に取り組んだということが前提になります。
がんばったからこそ、不合格になったことに納得が行かず、そこから、自分で逆転する発想を生み出していくのです。
そういう子は、必ずそのようにがんばっていきます。
だから、何年かのちには、その学校に合格しなくてよかった、と本当に言えるようになります。
だから、受験というのは、合格を目標にしてがんばるからこそ、不合格になっても無駄にはなりません。
そして、強い子にとっては、不合格になった方がずっと大きな実りのあるものになります。
もちろん、合格で力のつく子もいます。
それは、合格によって更にがんばろうという気持ちになるからです。
すると、新しい学校での友達関係も、自然に前向きの子どうしでつながるようになります。
この友達との関係の中で、更に力がついていきます。
いずれの場合も、もとになっているものは、本人の意識です。
だから、本人の気持ちさえしっかりしていれば、あらゆることがよい結果だったということになるのです。
「合格で力のつく子、不合格でもかえって力のつく子」
https://www.mori7.com/index.php?e=2087
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世の中には、いいことも悪いこともあるが、結局最終的にはみんないいことになる、ということが最近よくわかってきました。
だから、何も心配することはないのです。
むしろ、大事なのは、「勝って兜の緒を締めよ」の方です。
人間には、必要なときに、必要な言葉が与えられる、という気がします。
いちばん肝心なときに、ふとその言葉を思い出すのです。
それは、外からやってくるように見えますが、本当は自分の心が作り出すのです。
不合格は、そのときは本当につらいものですが、後で振り返ると、意味のあることだったのだとわかると思います。
受験や就職試験、人生で起こる全てのことに言えますね。自分自身が精一杯努力して出た結果が、その人にとって一番いい方向に進んでいける結果なのだと思います。
一つの経験として受け入れ、次に進んでいきたいですね。
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暗唱検定の3級は、百人一首です。
ルビ振りで一部訂正や追加がありましたので、今3級を練習している人に、訂正の箇所が分かるものをお送りします。
ウェブの長文の方は直っています。
https://www.mori7.com/mine/as2.php
百人一首は、一首ずつ区切られているので、続けて暗唱するのが難しいと思います。
コツとしては、五七五七七の最後の七と、次の歌の最初の五をできるだけ区切らずに読むことです。
例えば、最初の二首では、「……露に濡れつつ、春過ぎて……」のように読むのです。
音読をしていると、その音読が耳に残るので、無意識のうちに、次の歌が出てくるようになります。
また、歌のつながりを、イメージ化できるストーリーにして、「露の玉の中から、春がポコンと飛び出してきた」のようにしてもいいと思います。
歌の頭文字だけを続けて覚えるという方法も、早く覚えるには有効ですが、そういう知的な操作が入ると、思い出しながら読むという読み方になるので、なかなか早くは読めません。
頭文字で覚えたものであっても、できるだけ音読だけで続けて頭に残るように読んでいくようにしてください。
百人一首は、本などでも豊富に出ていますが、暗唱するための教材は1種類に絞ってください。
人間は、その歌が教材のどの辺にあったかということも含めて記憶するので、教材が2種類以上になると、急に覚えにくくなります。
音読の繰り返しで自然に覚えるという方法のコツがわかると、いろいろな勉強に応用できます。
また、毎日暗唱の練習をしていると生活に張りが出てくるので、ほかのことも積極的に取り組めるようになります。
お父さん、お母さんも、子供さんと一緒にぜひ暗唱に取り組んでみてください。
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人間は、物を覚えるときに、音の流れと、平面的な位置関係で覚えます。
だから、覚えるものは声を出して覚えた方がよく、覚える教材は、1枚の大きな紙に全部書いてあるようなものがいいのです。
そして、一度決めたら、その音読の順序を変えないことと、その最初の教材をほかのものに変えないことが大事です。
早速、百人一首の暗唱に合格した人がいました。
これまでの枕草子のようなものと違って、歌と歌の間につながりがないので、みんな苦労しているようです。
しかし、これも結局音読による慣れなのです。
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