この話は、タイトルのとおりの話です。
お母さん方の中に、子供といつも楽しく過ごしているのに、子供はしっかりしているという人がいます。
その反対に、子供をいつも叱っているのに、子供が言うことを聞かないという人もいます。
優しく褒めて育てるのと、厳しく叱って育てるのとどちらがいいかという話ではありません。
どんなにいい子でも、叱る場面はありますし、どんなに言うことを聞かない子でも、褒めたくなる場面はあります。
褒めるにしても、叱るにしても、そのこと自体はそのときの状況に応じてですから、いいことでも悪いことでもありません。
大事なことは、それ以前の生活の仕組みの中で、子供がうまくできるように準備してあげているかどうかということなのです。
暗唱の例は、わかりやすい例です。
暗唱は毎日やっていれば、必ず誰でもできるようになります。
毎日やると言っても、時間はわずか10分程度です。
これは、能力や努力の問題ではなく、やれば自然にできるようになることです。
だから、毎日やる習慣さえつければ、「よくできたね」と、いつも褒めることができます。
しかし、1日おきにやったり、週に5回やってあとの2回は休みというようなやり方をしていると、スムーズにやることは難しくなり、途中でつっかえたり間違って言ったりするようになります。
その結果、子供を叱るとまではいかなくても、注意をしたり小言を言ったりしてしまうお母さんが多いのです。
「もっとちゃんとやらなきゃね」などという言葉です。
このときのお母さんの注意は全く正しいように思えるので、子供はしゅんとなります。
悪いのは子供で、それを注意しているお母さんは正しい、というような関係になります。
しかし、本当は、子供をできるようにさせて、それを褒めるというのがお母さんの役割だったのです。
では、暗唱を毎日欠かさずにやる時間が取れないという場合は、どうしたらいいのでしょうか。
そうしたら、それはやらないと決めるのです。
中途半端にやってあとから小言を言うのではなく、しっかりやって褒めるか、全くやらないでおくかのどちらかです。
そして、そのかわり、子供を褒めてあげることができるようなことを見つけて、それをやるようにするのです。
もし、毎日はできないが、暗唱は続けさせたいとしたら、先に進むことは遅くなってもいいので、確実にできるところを何度も繰り返して少しずつやっていくことです。
そのやり方であれば、無理がないので、どの子も褒めながら続けさせることができます。
しかし本当は、暗唱はやれば誰でもできることなので、小2までの生徒は特に、毎日やることを習慣にしていくといいのです。
小3以降になると、暗唱するときに、覚えようという意識が出てくるので、かえって暗唱が難しくなります。
暗唱は、覚えようという気持ちでやるのではなく、回数を決めて繰り返し音読しているうちに、いつの間にか覚えていたというやり方でやるものです。
ところで、齋藤孝さんが最近、暗唱に似ているもので、速音読ということを言っています。
この速音読の方が簡単に取り組みやすいように見えるせいか、暗唱のかわりに速音読をやらせようという人もいると思います。
しかし、これは暗唱とは、効果が全く違います。
そして、まず長続きしません(笑)。
たぶん1回やったら終わりですから、結局何も残りません。
子供の力を育てるものは、ずっと続けられるものなのです。
暗唱は、次の動画のような感じで楽しくやっている子もいます。
https://youtu.be/ea0TKJSULIg
(読んでいるのは、言葉の森の読解マラソンの長文です。)
※暗唱の練習を自宅でひとりでは続けにくいという人は、寺子屋オンラインの発表学習クラスや自主学習クラスに参加して、毎週暗唱の発表をしていくといいと思います。
□寺子屋オンライン案内
https://www.mori7.com/teraon/
発表学習クラス、自主学習クラスの体験学習を希望される方は、お電話でお問い合わせください。
□電話 0120-22-3987(平日9:00~20:00)
読解検定に取り組んだ生徒が、自分の答えたところが間違っていた場合、納得できずに質問してくることがあります。
読解問題は、非常に厳密に作ってあるので、微妙なところで正解と不正解が分かれてきます。
問題を作成したこちらの方も、何度も読み返して誤解なく正解が一義的に決められるように作っていますが、文章全体が関連してくるので、たまにその厳密性からもれるところが出てきます。
だから、生徒から質問があると、こちらも何かおかしいところがあったかなと心配する面があるのです。
もちろん、ほとんどの場合、正しい答えのままで正しいのですが、中には生徒の考え方も合っているという場合があります。
だから、問題を作成する人は、問題を解く人よりもずっと長い時間をかけて問題を作っているのです。
ところで、そのように毎回よく質問してくる生徒は、みんな優秀です。
昔、読解問題の週に、毎月のように質問してくる生徒が2人いました。
一人は慶應高校に入り、一人は東大に入りました。
百点を取って当然という考えで読解問題に取り組んでいますから、8割や9割できたからいいということではなく、できなかったところは納得できるまで聞いてくるのです。
このように厳密にものを考える習慣のついた生徒は、勉強のすべての分野にわたって学力がつきます。
だから、読解検定では、いい点数を取ることは目標ですが、目的ではありません。
目的は、×だったところの理由を考えて、自分なりに厳密に文章を読む習慣をつけることです。
厳密に読む読み方の例は、「読解・作文力が身につく本」に書いてあります。
しかし、子供がひとりで読むには、内容はかなり難しいので、お父さんお母さんがまず読んで、子供に説明するときに使うようにするといいと思います。
読解検定試験は、毎月やっていますが、7月はサマーキャンプと重なるので、現在日程を調整しているところです。
サマーキャンプの参加者も取り組むようにすれば、ちょうといいと思うので、7月4週あたりの参加者は全員読解検定をやるかもしれません(笑)。