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日本人の学力はなぜ低下したのか as/994.html
森川林 2010/08/17 12:45 


 日本人は、教育熱心だと言われていました。確かに、日本には教育を大切にする文化がありました。しかし、それは歴史的に形成されてきたものです。

 今、日本人の学力は、OECDの調査などにも表れているように次第に低下しています。他国との比較だけでなく、大学や企業でも、「昔の学生の方が優秀だった」という声はよく聞かれます。

 また、教育の熱心さについても、日本は、中国や韓国に追い抜かれているようです。それは、中高生の家庭勉強にかける時間の少なさや、大学で学ぶ日本人の学生の意欲の低下などにも見られます。

 日本の教育文化の多くを担ってきた、会社の仕事における教育機能も、年功序列制の崩壊と派遣労働の普及とともに後退しています。


 日本人の学力低下は、日本の社会の教育力低下によるものです。では、なぜ日本の教育力がこのように低下してきたのでしょうか。原因は、三つ考えられます。

 第一は、家庭教育がうまく機能していないことです。子供たちの一部は、テレビ漬け、ゲーム漬けの生活を送っています。ほかの一部は、塾や習い事漬けの生活を送っています。また、家庭で行われる教育の多くはドリルを中心としたもので、真に意味ある学力の養成ができているとは言えません。

 第二に、その結果、子供たちの勉強力格差が激しくなっています。昔の子供たちは、皆同じように学校が終わると戸外で遊んでいました。そのため、そのような均質な子供たちを教える学校の一斉授業は、学力向上に大きく役立っていました。しかし、現在は、子供たちの勉強力が上にも下にもばらついているので、一斉授業という形式が困難になっています。その結果、私立化に拍車がかかり、早い時期からの受験勉強が広がるようになりました。

 第三に、受験の低年齢化が進み、勉強の目的が受験の合格、つまり勝ち負けになった結果、学力をつけるための教育ではなく点数をよくするための教育が増えてきたことです。例えば、「難しい問題は飛ばして、易しい問題を確実に解く」とか、「うっかりミスをなくすことに力を入れる」とか、「志望校の傾向にあった勉強をする」とか、「したがって、受験に関係のない勉強はしない」というような発想を、先生も親も子供も持つようになってきました。これが、勉強の本来持つ「学ぶ面白さ」を大きく阻害する要因となっています。

 では、これらの問題に対する解決策はあるのでしょうか。

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言葉の森の暗唱用長文を募集―暗唱文の丘 as/993.html
森川林 2010/08/16 14:43 



 言葉の森の感想文課題の長文は、いろいろな本から引用しています。しかし、何年もたつうちに内容が古くなったものも出てきました。そこで、課題の長文を一部差し替える必要が出てきました。

 ところで、数年前、言葉の森では、読解マラソンの長文をオリジナルに作ることにしました。この長文作成には、多くの講師が参加した結果、すぐに100編以上の音読用長文ができました。

 現在、言葉の森の暗唱用長文は、これまでの生徒が書いた作文の中から内容や表現が優れているものを選んで事務局で編集し直しています。


 そこで、これらの課題長文、読解マラソン長文、暗唱長文を同じ一つの長文としてオリジナルに作り直していくことにしました。

 この長文の作り直しは、言葉の森の事務局や講師だけでなく、広く一般の方からも原稿を募集する形で行っていきます。

 長文作成をオープンに行うので、ここで作られた長文はだれでもオープンに利用できるものにしていきたいと思います。

 ただし、オープンに長文作成に参加していただくとしても、約千字もの読み応えのある文章を書くのは大変です。そこで、言葉の森の暗唱長文として採用された長文には、言葉の森から原稿料を支払うようにしました。

 また、長文の作成と並行して、その長文の解説となる四コマ漫画もオープンに募集することにしました。


 本日、この長文作成と四コマ漫画作成の募集のページがほぼできあがりました。

森の暗唱文の丘

 小学生から高校生までの生徒が、楽しく読めていつまでも心に残るような長文をたくさん作っていきたいと思います。

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未来の社会と教育の役割 as/992.html
森川林 2010/08/15 15:04 


 これまでの社会は、分業による生産、金銭による評価、生活の目標の中心としての消費、という仕組みの中で営まれてきました。これから来る未来の社会は、自給自足的で協業的な生産、生きがいによる評価、生活の中心としての生産という仕組みで営まれるようになるでしょう。

 そういう未来の社会を可能にするのは、一つには、これまでの分業生産によってもたらされた巨大な生産力です。したがって、個人や地域のレベルにおける自給自足的な生産は、機械化された工業製品やインフラのグローバルな生産と並行して成り立ちます。

 もう一つには、公開された情報によってもはや不自然な支配や統制を行うことができなくなったことによる民主主義の広がりです。未来の社会では、好むと好まざるに関わらず、純粋に技術的な理由から隠し事ができなくなります。隠し事ができないということは、裏取引や陰謀もできなくなるということです。そのような社会では、人間は互いに家族の一員として暮らすような生き方を選択せざるを得なくなります。

 今、世界はまだ生みの苦しみの中にいます。貧富の差は拡大し、民族や宗教の違いによる戦争が企てられ、争いを作り出すための無知が再生産されています。

 そして、経済の世界でも、アメリカのドル崩壊は時間の問題と言われています。日本の財政危機は、改善される展望がないどころか破綻に向かって一直線に進んでいるかのようです。中国の情報のカーテンの向こう側では、独裁政権の持つ矛盾がいつ濁流となって噴出するかわからない状態が続いています。

 しかし、このようにすべてが否定的に見える状況があるにも関わらず、人間の社会は大きく明るい方向に舵を切ったという気がしてなりません。今すべきことは、既に退場しつつある悪を排除することでも、収束に向かいつつある危機に備えることでもなく、これから来る新しい未来の展望を具体的に提案していくことのように思えます。


 これまでの教育は、分業生産の社会の中で性能のいい部品とするための教育でした。そして、人間の生きがいは、豊かな消費の中にあると教えられてきました。しかし、未来の教育は、消費する個人でなく、生産をする個人に焦点を当てたものになります。そして、その生産は、人間が部品となって行う生産ではなく、人間の全面的な自己実現として行う生産になるのです。

 これまでは、18歳での高校卒業や大学受験を目標にした教育が行われてきました。しかし、これからは、20代から80代までの人生を生きがいのある生産者として過ごすための教育が行われるようになります。人生の本番である20代以降を、幸福、向上、創造、貢献の人生として送るための教育が行われるようになるのです。

 このように大きな枠組みの変化があるにもかかわらず、小学校や中学校では、勉強の内容は今とそれほど変わらないように見えるでしょう。基礎的な教育の部分は、社会の仕組みが変わっても大きくは変わりません。

 しかし、小中学校の教育でも、次のような変化があるはずです。一つは、どの教科も満遍なく勉強するとともに、これまでの勉強の枠には入らなかった社会生活を送る上での教育も行われるようになります。どの教科も満遍なくということは、国語・数学・英語だけではなく、音楽や美術や体育や技術家庭などの技能教科も同じように主要な教科になるということです。

 また、点数の差をつけることを目的とするような不必要な難問はなくなり、将来の知的な生活に必要な知識や技能を誰もが確実に身につけられるような仕組みになります。その結果、勉強は、将来の自分の人生の創造に結びついているという実感から、遊び以上に楽しいものになるでしょう。

 中学生の後半から高校生、大学生にかけては、本人の個性、希望、得技を生かして、その長所を更に伸ばしつつ、短所となりうる部分を能率よく補強するプログラムが組まれ、個人が社会に出て価値ある生産者となるための方針が作られるでしょう。

 すべての個人が、その個性を生かした生産活動で、社会に貢献するとともに、自身も幸福を感じられるような能力を育てることが教育の目的になるのです。それは、教育というよりも文化に近いものになるでしょう。

 このようにして、地球全体が多様性に富んだ大きな学校になるような未来が、人間の社会の展望です。なぜなら、人間は限られた身体を持ち、特定の過去に制約され、不完全な言語と感情を持って生きている存在であり、人間の持つこの不完全性こそ、もしそれが教育によって本来の姿を発揮できるならば、人間の持つ最も大きな特徴である創造性を開花させる土台となるからなのです。

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