幼児のころから、勉強も、スポーツも、音楽もといろいろなことをやって、どれも優秀な成績を収めている子がいました。
 しかし、その子が、高学年になったころ、どれもほどほどにやるようになっていたのです。
 どれも、一応合格点ぎりぎりのところまでやるが、決してそれ以上はやろうとしない、つまり熱中するような取り組みなどはなく、言われたことを言われた範囲できちんとこなすというやり方になっていたのです。
 こういう子と反対の子もいました
 大人が見て、いかにも無駄で無意味だと思われるようなことに熱中する子です。
 しかし、その子が学年が上がり、入試に取り組むようになると、その集中力であっという間に実力をつけていきました。
 小学校時代の子供の生活で大事なことは、今の成績を上げることではありません。
 能率は悪くてもいいから、自分の意志でやることと、何かに熱中できる生活をすることです。
 親は、子供の生活をコントロールする前に、まず自分が子供のころ、どういうことがうれしかったかを考えてみることです。
 そして、自分にないものを子供に求めるのではなく、自分の今につなかっていることと同じことを子供にも認めてあげることです。
 今の自分を形成しているものの中には、当時は無駄だと思われていたようなこともたくさんあったはずです。
 そうすれば、さまざまな勉強や習い事で子供の時間を埋めるのではなく、もっと役に立たないように見える時間を大切にすることができるのではないかと思います。
▽昔の関連記事
「勉強をコントールする力をつける――そのための親の勉強観」
https://www.mori7.com/as/2921.html
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 今、子供たちの身の回りには、さまざまなやらなければならないことが押し寄せています。 
 それは、大人も同様です。 
 最近、時間が不足するという人が増えているのは、生活の本質に関係のないような雑事があまりにも増えてきたためです。
 大人の場合は、それでも自分で計画を立てて自分の生活をコントロールすることができます。 
 しかし、子供はこれからそういうことを学ぶ時期にいるのですから、自分で生活をコントロールすることはまだできません。 
 だから、親が子供に、大事なことで継続することと、大事でないことで適度に抑制することを教えてあげる必要があります。 
 それは食べ物の好みのコントロールと同じで、子供が好きな甘いものばかり食べさせるのではなく、野菜などもきちんととることをすすめることと共通しています。 
 子供の時間のコントールを考えるときに、大事になってくるのが、親の勉強観です。 
 学校や塾で言われたとおりにやっていると、子供の勉強時間はどんどん長くなります。 
 どの先生も、自分の教えていることが大事だと思っているからです。 
 その結果、誰からも何も言われない読書の時間が削られてしまう子も多いのです。 
 小学生のころは、長い目で見れば、勉強よりも読書の方が大事です。 
 今の成績をよくすることに追われて、読書を後回しにしている子は、かえってあとで伸びなくなります。 
 例えば、漢字の書き取りテストなどをすれば、出来不出来の結果がすぐに出ます。 
 結果が出るものは、誰でもつい優先してしまいます。 
 しかし、読書はしてもしなくても、結果として出てくるものはありません。 
 だから、読書は置いておいて、まず漢字の勉強をということになってしまいがちなのです。 
 両方できるのがもちろんいいのですが、どちらが大事かと言えば、明日の漢字のテストより今日の読書の方です。 
 これは、異論のある方も多いと思いますが、これまでいろいろな子供たちを見ているとそういうことがわかるのです。 
 だから、親は、できるだけ長期的な視野で子供の成長を考え、子供の生活時間を考えていく必要があります。 
 思考発表クラブでは、毎週、子供たちに今読んでいる本を紹介してもらいます。 
 互いの本の紹介が刺激になるのか、どの子もいい本を選んできます。 
 こういう読書を柱とする勉強をしていくことが、将来の子供たちの大きな力になっていくと思います。 
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 うちの子供がまだ小学校低学年だったころ、子供たちがほしいとも何とも言っていないのに、私は子供たちを連れて近所のゲームショップに行き、端末とソフトを買ってきました。それから、みんなで熱中してやりました。「ゼルダの伝説」と「ファイナルファンタジー4」でした。自分が子供だったら、そういうことをしたいだろうと思ったからです。
 それから、いかにも面倒で退屈そうな学校の宿題が出たときは、代わりにやってやるからやらなくていいよと言いました。自分が子供だったらやりたくないだろうと思ったからです。小1で、足し算の同じ答えのところに同じ色を塗るという宿題でした。面倒でした(笑)。
 そういう育て方をして、好きなことしかやらない怠け者になったかというとそんなことはありませんでした。
 子供は子供らしく成長するのがいちばんいいのだと思います。