ゲストさん ログイン ログアウト 登録
 経験と学問と創造を楽しむ――発表学習コースの問題点と今後の対策 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 3370番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/18
経験と学問と創造を楽しむ――発表学習コースの問題点と今後の対策 as/3370.html
森川林 2018/07/13 05:10 

 発表学習コースでの子供たちの発表は、毎回充実しています。
 しかし、同時にいくつかの問題もあるようです。

 第一は、まだ経験した事実の発表で終わっているものが多いことです。
 単に「何かをした」というだけでは、したという経験だけで終わってしまいます。その経験を学問的に発展させることが大事で、それは小学校低中学年の場合は、やはり親の協力がなければできません。

 このときの親の協力が、親子の知的な楽しい対話のきっかけになります。
 勉強の中心は、親子の対話であって、その対話の機会を作るために、発表という場があるというふうに考えていくといいと思います。

 第二は、親の協力がとてもよくできている場合ですが、その際に、親が子供を引っ張りすぎているのではないかと懸念されている方がいることです。
 親の協力と親子の対話は、本来楽しいものですが、それが子供にとって苦しい勉強のように感じられているのであればやはり問題です。

 楽しい勉強に必要なものは、脱線や失敗を許容する文化です。
 いちばん大事なのは、自主性と創意工夫で、この自主性と創意工夫は失敗する可能性も高いものなのです。
 成功を目指せば、無難なものになりがちです。しかし、無難なものは、自主性と創意工夫を必要としないことが多いのです。

 これからの学力として大事なものは、小さくまとまった成功ではなく、大きな挑戦ですから、結果としての成功失敗よりも、過程としての創造性の方が大事なのだと考えておくことです。

 第三は、これも発表が充実している場合ですが、発表学習に力を入れているために、普段の自主的な地道な勉強が後回しになりがちだという声があったことです。
 小学生の勉強は、基本的に学校で間に合うようにできているものですが、今の学校教育の一斉指導のシステムでは、子供たちの学力差が大きい場合、有効な学習ができていない可能性があります。
 また、家庭で毎日一定時間机に向かうという習慣は、短い時間でいいので、小学生のうちに確実につけておく必要があります。

 發表学習と自主学習を両立させるためには、自主学習をパターン化して毎日やる時刻を決めておくことです。
 やる内容としては、長文音読、暗唱検定の暗唱、算数数学問題集、更にできる場合は国語の問題集読書です。そして、それ以外に毎日必ず読書を学年の10倍ページ以上です。
 理科や社会などは、やる必要はありません。ただし子供が好きな勉強を自主的にするのであればそれを止める必要はありません。

 やることをそのつど親が指示するのではなく、何をどうやるかが決まっていて、子供が自分でどんどん進めていくという形にするのが理想です。
 そして、發表学習は、子供の自習学習の勉強が一段落したあと、家族の団らんの時間で楽しくお喋りをする感じでやっていくのです。

 さて、では、どういう感じで發表学習の準備を進めていくか、一つの例を挙げたいと思います。
 私が父親なので、父と子の会話になっていますが、普通は母と子になると思います。

【経験】
父「今日は、何か、おもしろいことあったかい」
子「うん、本を読んでいたら、ポップコーンって自分で作れるらしいよ」
父「へえ、そうかい。じゃあ、作ってみたら」
子「よし、材料買ってくるね」
――材料を買って、家でポップコーンを作り始める。――
子「あ、できてきた。ふたを取って、見てみよう」
 パチパチパチ、バーン、バーン、パーン。
子「あ、大変だ。破裂してきた。助けてえ」
父「おいおい、ふた持ってきたらダメじゃないか」
 パーン、パーン、パーン、パーン、ポーン。
父「ふう、やっと火を止めた。しかし、すごい破裂だね」
子「うん、どきどきした」
【学問】
父「じゃあ、なぜこういう破裂をするのか、調べてみたらいいよ」
子「よし、調べて、レポートに書こう。ついでに、このできたポップコーンを写真に撮っておこう」
――インターネットで調べて、レポートを書く。――
【創造】
子「こんなふうに、書いたよ」
父「どれどれ、うん、いいね。じゃあ、このポップコーンの科学的背景がわかったところで、これをどう生かしたらいいか考えてみよう」
子「生かすって?」
父「この原理を生かして、ほかのものに応用してみるとか、自分で商売をするとか、そういうことだよ」
子「うーん……、いっぺんに破裂するから危ないんで、一粒ずつ方向を決めて破裂させれば面白いんじゃないかなあ」
父「うん、何の役に立つかわからないけど、その仕組みを考えたらいいかもしれないね」
子「あとは、トウモロコシでないもので作ってみるとか」
父「ポップなんとかという新しい食べ物ができるね」
子「みんなでマスクをして、破裂を楽しみながら食べるとか」
父「そういうお店があったら、はやるね」(はやるか)

 こういう感じで、やっていくのです。
 経験だけでも、それなりに発表して面白いものですが、その経験に学問的な研究を付け加え、更にその学問的な研究を生かして、創造的なことを考えるという流れでやっていけるといいと思います。

 こういう経験の中で、親の実験や研究や創造を楽しむ後ろ姿が、子供の成長につながるのです。


 国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
寺子屋オンライン(101) 家庭学習(92) 

コメント欄

森川林 2018年7月13日 5時18分  
 小学生時代の勉強は、楽しくやるものです。
 苦しい勉強を我慢してやるものではありません。
 そのためには、自分のペースで進める自主学習と、創意工夫を生かした作文学習と發表学習を組み合わせていくことです。
 こういう勉強を通して、親子の知的な対話を進めていいくことが、子供の本当の学力につながるのです。


nane 2018年7月13日 5時25分  
 答えのある勉強は、人工知能がカバーしていきます。
 これからの勉強は、答えのないものを中心にしていく必要があります。
 そのためには、親が答えのない世界を楽しむ後ろ姿を子供に示すことです。
 今の大人のほとんどは、答えのある勉強をする時代に生きてきました。
 大人がまず答えのない世界を創意工夫で楽しむ生き方に切り替えることが大事なのです。


コメントフォーム
経験と学問と創造を楽しむ――発表学習コースの問題点と今後の対策 森川林 20180713 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
つてとな (スパム投稿を防ぐために五十音表の「つてとな」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
寺子屋オンライン(101) 家庭学習(92) 
コメント1~10件
国語読解問題の 森川林
 あるとき、高3の元生徒から、「国語の成績が悪いのでどうした 3/28
今日は読書3冊 森川林
苫米地さんの「日本転生」は必読書。 3/25
共感力とは何か 森川林
言葉の森のライバルというのはない。 森林プロジェクトで 3/23
3月保護者懇談 森川林
 いろいろ盛りだくさんの内容ですが、いちばんのポイントは、中 3/22
中学生、高校生 森川林
 意見文の書き方で、もうひとつあった。  それは、複数の意 3/14
【合格速報】栃 森川林
 おめでとう!  受験勉強中も、硬い説明文の本をばりばり読 3/13
受験作文と入試 森川林
将来の作文入試は、デジタル入力になり、AIで自動採点するよう 3/13
大学入試が終わ 森川林
大学生になっていちばん大事なことは学問に志すこと。 18歳 3/12
【合格速報】東 森川林
 T君、いつも椅子に腹ばいになってずっと本を読んでいたものね 3/11
1月の森リン大 森川林
 小1から高3までの作文が並ぶと、学年に応じて、みんなの考え 3/11
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
日本復活の道筋 森川林
 工業製品を経済発展の原動力をした資本主義は終わりつつある。 4/17
メモ 森川林
https://www.mori7.com/za2024a0 4/16
単なる作業 森川林
勝海舟は、辞書を買うお金がなかったので、ある人から夜中だけ辞 4/8
勉強は、人に教 森川林
勉強は、人に教えてもらうのではなく、 自分で学べばよい。 4/7
タイマー勉強法 森川林
 勉強も、家事も、仕事も、やらなければならない細かいことがた 4/2
人間の役割 森川林
うちの子が1歳か2際のとき、 車で30分ほどの三浦海岸につ 4/2
舞岡のシラサギ 森川林
舞岡八幡宮に行ったら、帰りにシラサギがいた。 3/29
身体や物理的現 森川林
身体や物理的現実は、時間や空間に限定されているが、意識はそれ 3/29
メジロとか、ヒ 森川林
メジロとか、ヒヨドリとか、スズメとか、ヤマバトとかが、毎日わ 3/28
批判と創造 森川林
人を批判することはたやすい。 大事なことは、批判ではなく創 3/27

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習