子供に勉強をさせる原則は簡単です。無理のない分量を決めて、決めたとおりにやらせて、やったことを認めてあげるだけです。
ところが、この反対のことをしているお父さんやお母さんも意外と多いのです。
【無理のない分量を決める】
まず、学校や塾の宿題だからといって、子供にとって無理な分量をやらせる親が多いことです。親は自分の目で見て判断して、子供が楽に消化できる分量を決めなければなりません。そして、子供にとって負担に思われる場合は、その宿題は親がかわりにやってあげればいいのです。
特に小学校低中学年の勉強の基本は、読書と対話です。読書と対話の時間を確保することが最優先で、宿題は残りの時間でできる範囲でやっていくものだと考えるべきです。ところが、ときどき、宿題が忙しくて本を読む時間がないなどという子がいます。宿題を真面目にする子よりも、読書を毎日する子の方が、学力は必ず伸びていきます。
【決めたとおりにやらせる】
次に多いのが、決めたとおりにやらせないことです。例えば、親が子供に、「○○をしなさい」と言ったとします。子供がそれを何らかの理由でやらなかったときに、そのままうやむやにしてしまう親がとても多いのです。言われたとおりにやらないことを黙認する、ということは、親の言ったことはやらなくてもいいと子供に教育していることと同じです。小学校低学年のうちにそういう習慣はほぼ完成しますから、小学校低学年の子で、親の言ったとおりにできない子は、その後もずっとできません。
決めたことをどうしても守れない理由があったときは、親がひとこと、「今日は、こういう理由があったからやらなくてもいいことにしようね」と言うだけでいいのです。言葉としてそういうことを伝えておけば、うやむやにしたことにはなりません。何も言わずにうやむやにすると、子供が言うことを聞かなくなるのです。
また、分量や時間を決めておきながら、子供が予想以上に早く終わったときに、追加するのも、決めたとおりにやらせていないことになります。こういう追加をすると、子供はその後、だらだらとした勉強をする習慣を身につけます。予想以上に早く終わったときは、「早くできてよかったね。じゃあ、たっぷり遊ぼう」と、手放しで褒めてあげるだけでいいのです。
【やったことを認めてあげる】
最後は、やったことを認めてあげるということです。
作文の勉強は、特に子供の国語力の欠点がたくさん出てきます。作文は国語力の集大成なので、漢字を使う、ていねいに書く、句読点や段落を正しくつける、語彙を豊富にする、いい表現を使うなど、国語のあらゆる能力が一つの作品の中に集中して表れます。
そして、欠点や弱点のない子はいませんから、子供の書いた作文を大人が見ると、何かしら注文したくなることが出てきます。そこで、忍耐力のない大人は、自分が感じた欠点をすぐに指摘してしまうのです。
子供の身になればわかることですが、1時間かけて一生懸命書いた作文を親や先生に見せたとたんに、「ここがだめだね」と言われたら、どういう気がするでしょうか。「今度は注意されないようにがんばろう」と思う子はひとりもいません。
勉強を始める前の注意はいくらしてもいいのです。しかし、勉強の終わったあとは終えたことを認めてあげるだけにとどめておくことです。注意したいことは、その場で言わずに、次回の勉強の前に言うようにすることです。
このように考えると、子育てがうまくできるかどうかは、子供の問題ではなく親の問題であることがわかります。
だから、大事なことは、親がまずすべては自分の責任だと思うことです。学校や塾や社会や子供のせいだと思うのではなく、すべて親である自分のせいだと思うことによって、明るく考えることができるようになり、その結果いい知恵がわいてくるのです。
明るく考えるというのは、実はかなり大事です。相談してくる人には、暗い人が多いのですが、暗く生真面目に考えると、本来出てくる知恵がわいてきません。また、子供にも同じような暗い雰囲気で接すると、子供はそれだけでやる気を失います。
どんなことがあっても、「10年もたてば、こんなことも笑い話になるだろうけど」と考えれば、明るく考え直すことができます。明るく考えることによって、ものごとも明るく変わっていくのです。
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国語の読解力をつけるための基礎は、小学校中学年までの読書量です。しかし、ただ物語的な読書だけの量が多くても、それがそのまま国語力に結びつくわけではありません。入試に出てくる問題文は、子供が通常読むような本のレベルよりも高いので、そういう難しい文章に慣れておく必要があります。
入試問題の文章に慣れるためにいちばんいいのは、やはり昨年の入試問題です。天声人語のような新聞のコラムの文章は易しすぎます。塾のテキストや市販の問題集などの問題文でもいいのですが、入試問題にはその時代の特徴が反映されます。古い問題集では、たとえその文章自体の質がよくても時代的に合わない面も出てきます。例えば、二酸化炭素と地球温暖化は、科学的な裏づけに疑問が持たれるようになってきました。一昔前なら必ずどこかで出た文章ですが、これからはもう出ないと思います。
小学校中学年までに本をよく読んでいた子は、入試問題集のような難しい文章を読み始めると、すぐに、そういう文章を読む力も身につけます。本をよく読んでいる子は、難しい文章も読み慣れるのが早いのです。読書が大切だというのは、読書がそのまますぐに国語の学力に結びつくからではありません。読書力がある子は、難しい文章を読む力もつけやすいからです。
小6になって国語の成績が伸び悩む子によくあるのが、問題を解くスピードが遅いというケースです。テストの問題で、前半はよくできているのに後半は×が多いというのは、読むのに時間がかかっているからです。こういう子は、できなかった問題を家でもう一度やってみると正解になるということがあります。読むスピードは、国語力の重要な要素です。これも、入試問題集のような文章を読み慣れることでついてきます。
読解問題を解くとき、ほとんどの子は、感覚で答えを選んでいます。言葉の森の教室で読解問題を解く子の、問題用紙と解答用紙をときどき見ると、最初はほとんどの子が傍線などを引かずに、きれいなまま読んでいます。
こういう読み方では、答えが合っていても間違っていても、あとから反省に生かすことができません。その問題のどこをどう考えたのかということがわかるように、線を引いたり印をつけたりしておくことが大事です。
問題文をきれいに読み、傍線を引かないというのは、小中学生ばかりでなく、高校生でもかなりあります。問題文を読むときに傍線を引くようにさせ、国語を感覚ではなく理詰めで解かせるようにすると、どの子も成績が急上昇します。
国語の記述力をつけるための基礎も、小学校中学年までの読書量です。ただ、これも通常の読書のレベルでは、入試問題に対応した語彙がないので、入試問題集のような文章を読む練習をしていく必要があります。これも、新聞のコラムや塾や市販の問題集よりも、実際の昨年の入試問題集の方がいいことは言うまでもありません。
国語というのは、他の教科と違い、学年に関係がないので、中学入試問題集の問題文であっても、小6になってすぐに読むことができます。同様に、高校入試の問題集は中1になってすぐに読むことができ、大学入試の問題集は、高1になってすぐに読むことができます。しかし、中学入試の問題集を小5で読むのはかなり苦しいようです。
入試問題集を読むことによって、記述に必要な語彙が身についてきます。しかし、理解するための語彙と表現するための語彙は違います。読めるからと言ってその語彙がすぐに使えるわけではありません。そこで、問題集の文章の内容を、身近なお父さんやお母さんに説明する練習をします。記述で実際に書く練習は時間がかかりますが、口頭で説明する練習は短い時間でかなりの量をこなせます。
記述力で大事なことは、迷わずに一挙に必要な字数まで書く力をつけることです。書いている途中で考えたり、消しゴムで消して書き直したりすると時間が大幅にかかり、ほかの問題を解く時間に影響します。そのためには、志望校の入試の記述問題で出る字数に合わせて、実際に書く練習をすることです。
例えば、150字の記述問題があったら、大体3文か4文でまとめると見当をつけ、頭の中で文章を考え、書き出したら迷わずに指定の字数ぴったりまで書くようにします。実力のある子は、2、3文字の差で字数ぎりぎりにまとめることができます。
記述問題でよくあるまとめ方は、ただ「Aがよいと思う」という書き方ではなく、「BではなくAがよいと思う」「確かにBもよいがAがよいと思う」などと、説明や感想の輪郭がわかるように対比をはっきりさせて書くことです。
しかし、国語の力でいちばん大事なのは、こういうテストに対応した読解力や記述力ではありません。国語の成績をよくすることは、ある意味で表面的な学力です。
将来も役立つ国語力とは、さまざまな問題を自分なりに考えそれを表現する力です。考える力と書く力があるというのは、評価として測定しにくいものですが、それが大人になってからも役立つ本当の学力なのです。
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あなた、教育者としては勉強が足りないのではないですか?
これに全部書いてあるでしょう
http://www.ir3s.u-tokyo.ac.jp/pages/236/all.pdf
海外の報道でも共和党のペリーが「進化論はウソ、温暖化もウソ」とデタラメを吹聴しているので、民主支持者からはもちろん、共和党でも極右以外は「ペリーじゃオバマに勝てない。ロムニーしかない」(ロムニーは温暖化を認めている)ことが常識でしょう。
「もう出ない」なんてとんでもないです。教育者なら、ちゃんと調べて、間違ったところはきちんと訂正するべき(間違いは誰にもありあす。潔く訂正さえできれば立派な方です。)
というか、あなたCOPのこと知らないのですか?
ウソなら、各国から首脳が集まって議論するわけないでしょうに。
あと、「気候研究ユニットメール流出事件」を調べてみてもいいでしょう。
さて、貴殿は潔く間違いを認められる方でしょうか?
二酸化炭素と温暖化の問題は、大きくは石油利権のキャンペーンに、みんなが乗せられていたのです。
はっきり言えるのは環境破壊が進行しているという事実までであって、それを地球温暖化と結びつける議論を今さらしている人は、これからは笑われると思います。
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