作文の苦手な子を上達させる最も大事なコツは、作文の勉強を長く続けることです。
当たり前のように思うかもしれませんが、作文の勉強というものはあらゆる教科の中で最も成績が上がりにくいものです。
上手に書ける子と上手に書けない子の差は、かなりはっきりしていて、2、3年でそれが逆転するようなことはまずありません。
もちろん、苦手だった子が、作文の書き方を教わり、短期間で見違えるほど上達することがあります。
しかし、それはもともとよく本を読んでいるなど、書く力が潜在的にあった子が、言葉の森の項目指導と褒める指導で書く力を開花させたということで、読む力のない子の場合は、作文の勉強をして長い期間が経つのに一向に上手になったように見えないということは当然あるのです。
しかし、人間はどんなことでも続けていれば上達します。
小学校の間、苦手であっても、中学生、高校生と作文の練習を続けていれば必ず上達していきます。
しかし、その上達をもっと早める方法はあるのです。
ここで、勘違いしてはいけないのは、欠点を直せば短期間で上達するはずだという考えです。
欠点を直して改善されるのは、その欠点の部分だけで、作文全体のレベルが上がるわけではありません。
作文全体を最も早く上達させる方法は、長文の音読と読書なのです。
読書だけでは不十分なのは、子供が普通に読む本は軽い物語文の本が多いので、子供の書く説明文意見文の語彙を身につけることができないからです。
問題集読書や課題集の長文を中心とした音読を毎日欠かさず行っていくという方法が、最も作文を上達させる近道です。
この長文の音読を毎日欠かさず続けて半年ほど経つと、子供の書く文章の語彙や表現の仕方が少し変わってきます。
そのためには、音読をいつも褒め、書いた作文をいつも褒めていくことが大切です。
この方法でどの子も必ず上達します。
上達の早い遅いの違いはあっても、長文の音読を毎日続け、課題の作文を毎週書き続ける以外に作文を上達させる方法はないと言ってもいいのです。
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
子供の作文には、急に書けなくなるという時期があります。
それが、小3、小5、中1です。
書けなくなるのは、課題が難しくなるからです。
もちろん、そういう時期がなくスムーズに上達する子もいます。
一方、作文が急に上手になる時期があります。
それが、中3、高3です。
これは、その子の内面が発達する時期だからだと思います。
子供の作文がなかなか上達しないと焦るお母さんは多いと思いますが、作文力はほかの勉強のように短期間で変わるものではありません。
森リンという自動採点ソフトの成績を見ると、どの子も平均して1年間で2ポイントの上昇があるぐらいです。
それぐらいゆっくりした進歩なのですが、それを早める方法もあります。
それは、長文の音読をもとにした事前の準備です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。作文の書き方(108)
今年のサマーキャンプは、読書感想文を書く練習も取り入れました(ただし小3以上)。
そのときに、結構上手に書いているなあ、と感心する作品がかなりあり、この中から、学年代表作品に選ばれる作品がいくつか出るのではないかと思っていました。
すると、早速今日、小6の生徒から、学年の代表作品に選ばれたという話を聞きました。
感想文は、3日間ぐらいに分けて書くと、かなり楽に内容の充実したものが書けるのです。
たぶん、ほかにもそういう生徒がいると思いますから、もしそういうことがあったら、言葉の森まで連絡してくださるようお願いします。
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
感想文指導とは言っても、基本的には、本人が考えた実例をもとにして書きます。
こちらで教えたことを書かせるのでは、たとえ上手に書けたとしても嬉しくはないと思うからです。
しかし、多くの子は、ちゃんと予習シートのようなものを書いて準備してきました。
感想文も、やはり準備が大事なのです。
今回の感想文に選んだ3冊の本の中には、比較的書きやすいものもありましたが、かなり書きにくいと思われるものもありました。
しかし、その書きにくい本を選んでいる子が、意外に多かったです。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。読書感想文(19)
獲物のウサギを捕まえるために、日々爪を研ぐ練習をしているオオカミはいません。
同じように、オオカミから逃がれるために、日々ランニングの練習をしているウサギもいません。
どの生き物も、自然のままに生きて必要な能力を育てています。
人間も本来はそういう生き物で、何も無理をしなくても十分に充実した人生を生きる能力をもともと持っているのです。
大事なことは子供のそういう能力を育てることで、大人が先回りして将来必要となる能力をつけることではありません。
本人が自分で力をつけていくことが大事で、他人が本人の外側から力をつけさせようとするのではないのです。
最も大切なのは、子供時代に自分の好きなことをたっぷりやっていくことです。
しかし、子供に好きなことをやらせようとすると、今の社会ではゲームをし続けるとかYouTubeを見続けるとか、非生産的なただ受け身で娯楽に没頭するような、工夫の必要のない創造性にかけた好きなことに熱中する面があります。
そこで、教育という工夫があるのです。
子供時代は好きなことをすることが最も大切ですが、その好きなことを、好きな勉強をするというふうに置き換えて方向を変えていくとよいのです。
よくないのは、嫌いな勉強を必要だからという理由でさせることです。
最もよいのは好きな勉強を好きなだけさせることです。
勉強は物事の全体的な体系ですから、好きな勉強を好きなだけしていると、必ずそこから嫌いな勉強も好きな勉強の一部としてする形になってきます。
本人が好きなことを好きなだけやらせておくことが、子供時代の教育の基本です。
好きな勉強を好きなだけするということにいちばん近いのが、発表学習という勉強です。
子供たちが自分の学校生活や家庭生活の中で不思議に思ったり興味を持ったりしたことを、自分なりに研究したり調査をしたり実験したりして、みんなの前で発表するというのが発表学習クラスの勉強です。
今の子供たちは、興味も何もない勉強を、ただ必要だからという理由で、国語、算数、理科、社会、英語というように区分して学ばされています。
本当は、自分の興味のある発表学習が勉強の最も重要な核であり、この周囲にさまざまな教科の学習があると考えることが大事です。
これが、これからの教育観の大きな転換になります。
教育の大きな目標が、教科に分割された学習内容を学ぶことではなく、まず自分の好きなことを好きなだけ学ぶというところに置かれるようになるという発想の転換が必要になっているのです。
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
発表学習で大事なことは、子供たち一人ひとりの取り組みです。
個性的創造的な発表をする子が多くなれば、どの子もそれに影響されて個性的創造的な発表をするようになります。
ただし、これは点数のつかない勉強なので、子供たちと親の勉強観の転換が必要になります。
そのためには、先生が、発表学習の意義と方法を理解しておくことも必要になるのです。
発表学習の内容が充実してくるのは、小学4年生ぐらいからですが、小学校低学年でも工夫をすればその学年なりの面白い発表ができます。
それを、「せいかつ文化コース」という名称でこれから始めていく予定です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。中高一貫校(11) 発表学習クラス(0)