記事 3673番  最新の記事 <一つ前の記事 一つ後の記事> 2019/8/20 
新しい学力――発表学習の中で育つ思考力、創造力、表現力
森川林 2019/04/07 06:32 

 私が、自分の子供がまだ小学生だったら、絶対にやらせたいと思っているのが発表学習クラスの勉強です。
 勉強というよりも、発表ですから、その勉強をしているのは子供自身で、そこに親の協力や対話があるという形の勉強です。

 何度も同じことを書くようですが、私のうちの子2人がやった習い事は言葉の森だけで、その言葉の森で小1から高3まで毎週作文を書いたことが、今ではとてもよかったことだと思っています。
 ただし、私は、子供には苦しい思いをさせない方針だったので、祝日などで授業が休みになった場合は、休みに徹して、ふりかえの授業などはさせませんでした。
 自分が子供だったら、そういう方がうれしいと思うと思っていたからです。

 だから、我が家は皆勤賞のようなものとは無縁でしたから、今でも、何かに皆勤賞を取ったというような子の話を聞くと、ひそかに尊敬します。
 そういう、何かに一つ筋を通す生き方というのはとても大事です。
 ただ、我が家は、皆勤賞で筋を通すという発想がもとからなく、たぶんほかのところで筋を通すような生活をしていたのだと思います。例えば、朝起きたら挨拶をするとか、靴はそろえて脱いでおくとか、悪い言葉は使わないとか、読書は毎日するとか、そういう程度のことですが。

 さて、最初に書いた発表学習クラスというものですが、この勉強のコンセプト(概念)は、まだ少しわかりにくいところがあると思います。
 発表学習とは、子供たちが、1週間の中で自分なりに興味を持ったものを研究し、それを5、6人の少人数のクラスの中で発表するという勉強です。
 子供が興味を持つ分野は、主に自然科学の世界であることが多いので、理科の実験や観察や研究をする子が多いのですが、社会の出来事に関心を持ったり、国語や算数数学の自分なりの問題を作ったりする子もいます。
 また、もっと気軽に、どこかに出かけてこんな経験をしたという発表をする子もいます。例えば、どこかの山に登ったとか、魚を釣りに行ったとか、おばあちゃんの家に遊びに行ったとか、そういう発表です。

 発表には、写真や絵や文章が動画を使えるので、見ごたえのあるものが多く、どの子も、ほかの生徒の発表を見るのが楽しみで参加している面があります。
 だから、欠席するときは、そのときの授業を録画するという家庭もかなりあります。それぐらい面白い発表が多いのです。

 私も、ときどき発表学習クラスの授業を見学しますが、驚くほどレベルが高く、かつ個性的で面白い発表が多いので、こういう発表を少人数クラスのわずか数人の子が見ているだけではもったいないと思うことがよくあります。

 発表学習クラスの運営の原則は、全員が毎週発表し、その発表に対して全員が質問や感想を言うことですから、人数は5、6人が最適です。
 受け身で、ただ聞くだけの参加というものはありません。これが、学校や学習塾での勉強と大きく違うところです。

 私が目指している発表学習の基本は次のようなものです。

 第一に、子供が自分の関心に基づいて、行動したり経験したり実験したりという手足を動かすことです。
 頭の中だけで考えたことや、本を読んで調べただけのことでは、新しい発見はなかなか生まれません。
 本を読んで調べたことであっても、それを自分なりに現実の生活にあてはめてみるような実践的な姿勢が大事です。

 第二に、経験したことを、学問の世界に結びつけ発展させることです。
 どこかに出かけたとか、新しい経験をしたとかいうことだけでなく、その経験を学問の面から見直してみることが大事です。
 例えば、旅行に出かけたら、その旅行先の地理や人口や特産物や歴史などを調べてみるというようなことです。
 遊園地に行ったら、その遊園地の年間入場者数とか沿革とかイベントの種類とかを調べてみるということもできます。

 自分が楽しい経験をしたものであれば、それにまつわる調査や研究は、それなりに興味のあるものになります。
 自分にとって興味のないものを、カリキュラムに沿って調べさせられるのとは違います。
 カリキュラムに沿って調べたことは、学校のテストには役立ちます。
 自分の経験や興味をもとに調べたことは、学校のテストには役立ちません。ディズニーランドの年間入場者数など、どこのテストにも出ないからです。

 しかし、自分の関心や経験をもとに調べたことは、その子供の中に生きた知識として残ります。
 そしてまた、一般のテストには出ないようなその子独自の知識だからこそ、みんなの前で発表する意義があり、その発表を聞く子も興味を持って聞くことができるのです。

 発表学習クラスの基本の第三は、経験し、学問的に発展させたことを、更に創造的に発展させることです。
 それは、単に調べたり実験したり観察したりして終わりにするのではなく、自分なりに工夫したことを付け加えるということです。
 そこには、自分だったらこういうことをしたいとか、未来の予測としてどう変わるかということや、それをほかの分野にあてはめてみるとどうなるかということや、自分なりに考えた別の原因や理由があるかというようなことも含みます。
 つまり、ただ、今わかっているや今あることで終わりにするのではなく、その先のまだないものを自分なりに創造してみることです。
 これは、もちろん簡単なことではないし、それほどうまくできることでもありません。
 しかし、そういう自分なりの創造の気持ちを持って取り組むという姿勢が大事なのです。


 この発表学習クラスの勉強の中で、何が育つかと言えば、主なものは題名にも書いたように、思考力、創造力、表現力ですが、それ以外に、自分から進んで学問に取り組む姿勢、他の生徒とのやりとりの中で育つコミュニケーション力、研究の準備の段階で交わされる親子の対話、他の生徒の発表を見て刺激を受けることによる新しい分野に対する関心、自分の研究を図や文章や話し方によってわかりやすく説明する力など、多様なものがあります。

 それらの学力や関心が育つのは、この発表学習クラスが少人数で構成され、毎回全員が発表する機会を持つ形で運営されているからです。

 人間は、受け身のときは、いくら時間をかけてもあまり成長しません。
 ただおとなしく聞くだけの勉強では、知識は入ってきても、すぐに出ていってしまいます。
 だから、そういう知識は、苦労して何度も反復して頭に入れて、テストに間に合わせなければならないのですが、しかし、テストが終わると、またすぐに忘れてしまうのです。

 これに対して、自分が主体的に参加したときに生まれた知識や経験は、忘れようとしても忘れるものにはなりません。
 自分の生きた経験として残るからです。
 そして、その子が将来何か新しいことを研究したり実践したりしようとしたときに思い出すのは、自分の主体的に参加した経験や知識なのです。

 こういう知識や経験が、これも同じことを何度も書きますが、東大の推薦入試や京大の特色入試で求められているものと同じものです。
 現在、世の中の先端で活躍している人は、誰も、今の詰め込み勉強の知識でいくら高得点を取っても、それが役に立つ社会はもう過去のものになったと思っています。
 それを端的に表す言葉が、「辞書のような人間になるのではなく、辞書を使う人間になれ」です。
 しかし、今の世の中は更に進歩しているので、「辞書のような人間になるのではなく、新しい分野の辞書を作る人間になれ」というところまで行っていると思います。

 こういう世の中の情勢に最も遅れているのが、誰もが想像するように学校と学習塾です。
 だから、子供の将来を真剣に考える親は、今の教育で求められていることに適応するだけでなく、その先にある新しい教育に着手しておく必要があります。
 新しい教育とは、プログラミング教育や、英語教育ではありません。
 もちろん、それらの教育も、また今すでに行われている従来の教育もいいのですが、大事なことは子供が自主的、主体的、創造的に学ぶ教育と姿勢です。

 その教育を実現するプラットフォーム(基盤)が、ウェブ会議システムを利用し、少人数の創造的な学習を目的とした発表学習クラスです(寺子屋オンライン作文も同じコンセプトです)。

 発表学習クラスは、現在、平日の夕方の6時と7時ごろを中心に、小学2年生から小学6年生の生徒の参加で行われています。
 時間帯は、希望者があれば、平日の別の時間や土日にも増やせます。
 また、学年は、中学生や高校生でも参加できますが、今はまだ中高生のクラスはありません。
 小学1年生は、作文クラスの親子作文のように、将来は発表学習クラスの親子発表もできるようにする予定ですが、まだ新小1で参加している子はいません。

 発表学習クラスの受講料は、週1回45分の授業で、月額2,160円です(今後、3,240円に改定する予定です)。
 ただし、発表学習クラスは、言葉の森の作文の勉強をしている生徒が対象です。
 将来は、発表学習クラスだけを単独で受講できる仕組みにする予定です。

 なぜ発表学習クラスのような密度の濃い勉強が、上記のような低料金の受講料で行われているかというと、言葉の森では発表学習クラスをある程度採算を度外視して考えているからです。
 つまり、こういう価値ある未来の勉強をより多くの子供たちが経験する必要があると思っているからです。

 そのため、今後、発表学習クラスの生徒がいくら増えてもいいように、森林プロジェクトの寺オン講師が、寺子屋オンラインの作文クラスや発表学習クラスを担当できるようにしています。

 今はまだ発表学習クラスに参加している生徒は30名ほどですが、今後このクラスはもっと増え、新しい勉強を世の中に提供していくようになると思います。


▽発表学習クラス無料体験フォーム
https://www.mori7.net/teraon/teraform_hg.php


■言葉の森の教室紹介
面白い勉強で実力がつくオンラインの学習【動画】

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
発表学習クラス(0) 未来の教育(31) 

コメント欄

森川林 2019年4月7日 7時4分  
 小学生のころにおすすめの習い事は何かと聞かれたら、私は迷わず、寺オン作文と発表学習をすすめます。
 自主学習も重要ですが、それは家庭で本人と親が工夫すればできることですから、ここでは省略します。
 なぜ、寺オン作文と発表学習が大事かというと、この二つは人に教わる勉強ではなく自分が主体的に取り組む勉強で、しかもその勉強の中で友達との知的な交流があるからです。


nane 2019年4月7日 7時17分  
 主体的な勉強の唯一の弱点は、手を抜こうと思えばいくらでも手を抜けることです。
 それぐらいなら、詰め込みの教わる勉強で、同じぐらいの時間を費やした方がいいと思う人もいるかもしれません。
 しかし、長い目で見れば、詰め込みの勉強はしばらくは役に立つように見えても、あとにはほとんど何も残りません。
 主体的な勉強は、手を抜いたときも含めて、必ずその子の知的な財産として残ります。
(今のところ、手を抜いてやっている子はひとりもいませんが、時間的に忙しいときには簡単な発表になることはもちろんあります。それはそれでいいのです。)


コメントフォーム
新しい学力――発表学習の中で育つ思考力、創造力、表現力 森川林 20190407 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
いうえお (スパム投稿を防ぐために五十音表の「いうえお」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

(za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
メルマガの配信
▼バックナンバー
○一般用 ダイジェスト版
○生徒用 完全版

Facebookページ
言葉の森作文ネットワーク
いいね! 17,226件
新着コメント1~3件
コメントは24時間以内に表示
作文の書き方— ヒカトラ
中1です。家庭の日の作文で質問です。僕は 8/19
作文の書き方— 森川林
 このページを参考に。 8/19
作文の書き方—
小6なのですが、作文で映画を見た感想?を 8/19
……次のコメント

過去の記事

過去の1~30件目を表示
■記述力よりも現実的な作文力 4月6日
■今後予測される経済危機にどう対処するか――新しく来る未来の社会を展望する 4月6日
■寺オン作文クラス・発表学習クラスの見学受付中――自分から進んで取り組むときに、子供は最も成長する 4月5日
■ゴールデンウィークの那須家族キャンプ 4月4日
■3月の読解検定の結果――4月の読解検定は4月21日(日)10:00~10:45 4月4日
■読書読解作文キャンプ4月のお知らせ――4月20日(土)~21日(日) 4月3日
■受験作文を考える小学5、6年生の保護者向けの記事――合格力をつける作文の方法 4月3日
■小学1、2年生の保護者向けのおすすめの記事から――これからの日本語力は作文で 4月3日
■読書作文キャンプで、よく学び、よく遊び、自然と人間の触れ合いのある教育を 4月2日
■令和元年に期す 4月1日
■プログラミング教育の未来と新しい作文教育 4月1日
■春の読書作文キャンプ無事終了 3月31日
■今日から春の読書作文キャンプ 3月30日
■4月からの寺子屋オンラインの勉強の進め方 3月29日
■【合格速報】宮城県古川高校 3月28日
■保江邦夫さんの聞いた未来の教育、アップルのデジタル教育、木内鶴彦さんの見た循環型社会 3月28日
■春の読書作文キャンプで行く瀬上の池 3月27日
■【合格速報】東北大学大学院理学研究科 3月26日
■【合格速報】京都大学文学部 3月26日
■小学1年生から始める新しい作文の勉強 3月26日
■お母さんとの対話が子供を賢くする――作文発表交流会の作文から 3月25日
■記憶の勉強と創造の勉強――創造は信頼できる他人との関わりの中で育つ 3月24日
■読解検定試験で国語力、読解力をつけ、学力をつける 3月23日
■勉強の追加をさせない――理想の子育て 3月22日
■「春の読書作文キャンプのしおり」3/30更新 3月21日
■新中学1年生におすすめの勉強法 3月21日
■言葉の森は、なぜまだプログラミング講座を始めないのか 3月20日
■県立甲府西高校 3月19日
■「小学生のための読解・作文力がしっかり身につく本」のレビューありがとうございました――小冊子とシャーペンを昨日発送 3月19日
■文鳥のサクとブン――生き物との触れ合いのある子育て 3月18日
……前の30件
HPの記事検索
ホームページの全記事

 言葉の森新聞

Twitter
言葉の森@kotomori

RSS
RSSフィード

代表プロフィール
森川林(本名中根克明)

講師ブログ
言葉の森の講師のブログ

算数の通信教育
できた君の算数クラブ

カテゴリー
全カテゴリー
ICT教育(1)
遊び(6)
新しい産業(23)
暗唱(121)
生き方(41)
息抜き(19)
いじめ(1)
インターネット(25)
英語教育(10)
オープン教育(24)
親子作文コース(9)
オンエア講座(41)
音声入力(10)
音読(22)
外国人と日本語(4)
科学(5)
学問コース(1)
学力テスト(2)
合宿(14)
家庭学習(92)
家庭で教える作文(55)
漢字(17)
帰国子女(12)
教育技術(5)
教育論文化論(255)
教室の話題(26)
行事と文化(1)
ゲーム的教育(4)
合格情報(27)
高校入試作文小論文(10)
構成図(25)
公立中高一貫校(63)
国語問題(15)
国語力読解力(155)
子育て(117)
言の葉クラブ(2)
言葉の森サイト(41)
言葉の森の特徴(83)
言葉の森のビジョン(51)
子供たちの作文(59)
作文教育(134)
作文検定試験(4)
作文の書き方(108)
算数・数学(22)
自習検定試験(10)
自習表(5)
自然災害(1)
実行課題(9)
質問と意見(39)
受験作文小論文(89)
小学校低学年(79)
森林プロジェクト(50)
政治経済(63)
生徒父母向け記事(61)
生徒父母連絡(78)
全教科指導(2)
センター試験(7)
創造力(9)
大学入試(14)
対話(45)
他の教室との違い(22)
知のパラダイム(15)
中学生の勉强(21)
中高一貫校(11)
寺オン作文クラス(2)
寺子屋オンライン(101)
読書(95)
読書感想文(19)
読書実験クラブ(9)
友達サイト(7)
日本(39)
日本語脳(15)
発達障害(1)
発表交流会(20)
東日本大震災(15)
facebook(29)
facebookの記事(165)
プログラミング教育(5)
勉強の仕方(119)
未来の教育(31)
MOOC(2)
無の文化(9)
メディア(8)
森の学校オンライン(2)
森リン(103)
問題集読書(33)
読み物(1)
四行詩(13)
未分類(378)

QRコード






 
小学生、中学生、高校生の作文(2007年4月まで)
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。