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https://youtu.be/eMFu8MIhWr4
総合学力クラスの勉強を教えていて、気が付いたことがあります。
これは、他の国語読解、算数数学、英語などのクラスでも同様です。
それは、家庭学習を毎日していて、週1回の授業のときは、その延長で参加している子と、家庭学習をほとんどしていずに、週1回の授業に出ることが勉強だと思っている子の違いです。
小学1年生から4年生までの勉強は、難しいところはほとんどありません。
大人が見れば、すぐに答えられるようなことばかりです。
だから、この時期は特に、家庭で毎日勉強する習慣をつけることが大事なのです。
子供が勉強した結果を、親があとで見て、本当に理解できているかどうかを、いくつか質問してあげればいいのです。
もし、子供がうまく答えられないときは、軽く教えてあげます。
決して、その場で理解させようと思って、重く教えないことが大事です。
理解というものは、時間のかかるものです。大人から見てどんなに簡単に見えることであっても、初めてそのことを知る子供にとっては、理解するまでに時間がかかります。
だから、軽く教えて、また別の日にも軽く教えてと、何度も同じことを軽く教えているうちに、理解できるようになります。理解には時間がかかるのです。
そのような家庭学習を、どの教材でやるのかは、迷うところです。
その場合、市販の教材にもいいものはたくさんありますが、塾専用の教材を使った方が安心できます。
学年と難易度に応じて1冊の問題集を決め、それを毎日の家庭学習でやっていけばいいのです。
家庭での学習は、決して長くやらないことが大事です。親がものたりないと思うぐらいの時間がちょうどいいのです。
勉強時間を長くとれば、子供の学習は進みます。
しかし、低学年のときに親のペースで勉強させられた子は、学年が上がり、小学4年生ぐらいになると、親の指示に従わなくなることがあります。
自分の意思で勉強しなければならない時期に、勉強に飽きてしまうことがあるのです。
だから、低学年の勉強は、できるだけ子供の意思を尊重して、子供のペースでやっていく必要があります。
ときどき、子供は、「面白いから、もっとやる」と言うことがあります。
このとき、親は、それを止めさせた方がいいのです。勉強だから、長くやる分にはかまわないと思って、子供の希望のとおりにやらせると、その勉強にやがて飽きてしまうからです。
これは、ペットのしつけをするときと似ています。
犬に面白いおもちゃを与えると、夢中になって遊ぶことがあります。
それをそのままずっと、犬が満足仕切るまで遊ばせておくと、やがてそのおもちゃには興味を示さなくなります。
大事なことは、やりすぎてはいけないということなのです。
こういう家庭学習のコツは、お父さん、お母さんが、自分自身も家庭学習をしていた経験があればわかります。
しかし、今のお父さん、お母さんは、塾に通って勉強していた人が多いので、家庭で自分のペースでやるということが今ひとつよくわからないということがあります。
塾に行くと、宿題を出してくれるところがあります。というか、宿題を出す塾がほとんどです。
すると、その宿題をこなすことが、家庭での勉強になります。
これは、学校の宿題でも同じです。宿題があるから勉強をする、宿題がないから勉強しないという家庭が意外と多いのです。
2014年、千代田区立麹町中の校長になった工藤勇一氏は、着任2年目に夏休みの宿題ゼロを打ち出し、以後は段階的に減らして、4年目に宿題を全廃しました。
宿題は、提出することが目的になってしまうと考えたからです。
そして、定期テストを廃止し、固定担任制を廃止し、行事を生徒主体にすることで、それまで無気力だった子供たちが、主体的に学習や行事に参加するようになりました。(「致知」10月号)
塾の宿題にしても、学校の宿題にしても、出される宿題は全員一律です。
その宿題が必要でない子がほどんどだからです。
そして、その宿題をこなすことが、学習の目的になります。これは勉強というよりも、単なる作業です。
勉強は、自分のペースでやるものであって、学校や塾から言われたことをそのままやるものではありません。
だから、あくまでも家庭学習が基本です。
その家庭学習のきっかけとして、学校や塾があるのです。
それをどう生かしていったらいいかは、次回に。
総合学力クラスの勉強(1)――家庭学習のきっかけとして授業に出る
総合学力クラスの勉強(2)――国語の勉強法
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https://youtu.be/PukRruOGJ6Y
思考語彙とは、考える力を評価するものでした。
森リンは、この思考語彙のほかに、知識語彙、表現語彙という面も評価しています。
知識語彙とは、密度の濃い文章が書かれているかという評価です。
わかりやすく言うと、難しい言葉もある程度使って書いてあるかということです。
ある程度というのは、難しい言葉を使いすぎると文章が重くなり、かえってバランスの面で点数が低くなるからです。
この難しい言葉を書く力というのは、書く人の語彙力とも言えます。
難しい本を読んでいる人は、自然にそういう言葉を使えますが、本をあまり読んでない人は、日常会話的な言葉しか使えません。
小6までは、複数の実例という書き方をしますが、中学生になると、複数の理由とか、複数の方法とかいう構成を重視した書き方になります。
すると、理由や方法のところで抽象的な言葉が出てこないために、そのまま実例を書いてしまう人も多いのです。
例えば、「宿題はよいか悪いか」というテーマで、複数の理由を書くときに、「宿題はよくないと思う。その理由は、この前、出された宿題は、面白くない上にとても時間がかかり……」などと実例をそのまま書いてしまう人が意外に多いということです。
語彙力のある生徒は、「宿題はよくないと思う。その理由は生徒が自主的に勉強する姿勢を持てなくなるからだ。例えば……」と、「自主的」「姿勢」などという抽象的な理由のあとに具体的な実例を書くことができます。
この知識語彙を増やす方法は、根本的には、問題集読書や説明文の読書をすることですが、作文の上だけで工夫することもできます。
それは、調べた実例を引用することです。
見本の作文では、「嬉しかったプレゼント」というテーマで、第二段落に、「賢者の贈り物」を引用しています。
私はオー・ヘンリーの「賢者の贈り物」という物語を読んだ事がある。ある夫婦がクリスマスにプレゼントをしあうお話だ。妻のデラは長くきれいな髪の毛が自慢だが、夫のジムへのプレゼントのために髪の毛を売ってしまう。そのお金で買ったのはジムの金時計によく似合う鎖だった。だが、ジムはデラの髪に似合う宝石の櫛を買うために時計を売ってしまったのだ。すれ違ってしまった2人のプレゼントだが、私はこのお話が大好きだ。このお話では2人とも心のこもったプレゼントをしたからこそ、心温まる結末になったのではないかと思った。相手のことを考えて買ったものだからこそ、特別嬉しい気持ちになるし、相手のことも大好きになる。そんな物語が「プレゼント」という存在でできているのだと感じた。
この引用は、それほど難しい言葉が使われているわけではありませんが、引用する話題によっては、知識語彙が増えるようになります。
また、引用に、データとしての固有名詞や数字が入ると、文章の説得力を増す効果があります。
高学年の生徒は、自分の作文にあった話を、両親などに取材をするとともに、適宜、インターネットで調べた話などを引用して話題を広げて書いていくといいと思います。
ちなみに、この作文で、森リンが評価した知識語彙は次のようなものです。
【知識語彙】()内は語彙のウェイト。
プレゼント
(5.95) | 13 | 存在
(0.38) | 1 | 習慣
(0.65) | 1 | 家族
(0.47) | 1 | 真心
(1.28) | 1 | 金時計
(5.95) | 1 | 感謝
(0.62) | 1 | 裏紙
(5.95) | 1 | 自慢
(0.79) | 1 | 感情
(0.54) | 1 |
旅行
(0.65) | 1 | 立派
(0.65) | 1 | 物語
(0.63) | 1 | 賢者
(1.39) | 1 | 姫差
(5.95) | 1 | 人間
(0.2) | 1 | 成長
(0.47) | 1 | 意見
(0.4) | 1 | 時計
(0.75) | 1 | ・ヘンリー
(5.95) | 1 |
クリスマス
(5.95) | 1 | 宝石
(0.96) | 1 | 結末
(1.01) | 1 | 手段
(0.65) | 1 | 似顔絵
(1.22) | 1 | 意味
(0.33) | 1 | 言葉
(0.24) | 1 | 共感
(0.8) | 1 | 誕生日
(0.8) | 1 | 夫婦
(0.96) | 1 |
正直
(0.68) | 1 | 個人
(0.61) | 1 | 特別
(0.62) | 1 | 相手
(0.38) | 1 | 程度
(0.7) | 1 |
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森リン点の解説(1)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(2)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(3)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(4)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(5)――高得点の作文はどのようにして書くか