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外勉から内勉へ as/740.html
森川林 2010/01/16 20:51 


 外食から内食へという流れが起きています。

 私の昼食のおかずは大体、近所のスーパーでキャベツ、セロリ、ホタテガイなどを買って、昆布つゆと酢とコショウをかけたものです。簡単です。あっという間に4、5人分の分量の野菜サラダができます。

 調理されたものは、防腐剤や着色料が入っているでしょうし、外食は雰囲気で行くようなものです。時間と健康と手間とコストを考えると、素材をそのまま生かして食べるというのがいちばんです。

 同様のことが勉強にも言えます。これが外勉から内勉への流れです。

 昔、高校入試のことで中学生の生徒の母親から相談を受けました。その相談は、「同学年の子がみんな塾に行き始めたので子供も不安になって塾に行きたいと言い出した。しかし、どの塾がいいか迷っている」というものでした。

 私の考えは、「塾に行くよりも、親が教えた方がいい」というものでしたから、家庭での勉強の仕方を説明しました。要は、過去問をやること、全国の入試問題を問題集として使うこと、数学は少し難しい問題集1冊を100%できるようにすること、たまに模試を受けることなどが大事で、それ以外の勉強はすべて回り道になるという話をしました。学校や学習塾などで、既にできる問題を解いたり、できなかった問題を90%ぐらい理解して済ませたりするような勉強はほとんど無駄なのです。ただ、みんながみんな自分で勉強できるわけではないので、そういう他からの手助けも必要だということです。

 その子は、その家庭での勉強法で翌年トップ高に合格しましたが、塾に行くよりもはるかに能率のいい勉強をしたと思います。お母さんも、最初はどうなるかと思ったがやってみると意外とできるものだと話していました。

 親が高校入試の勉強を始めると、最初の数ヶ月は中学生の子供よりもできません。昔やった数学や理科などはその後使っていない人がほとんどなので、すっかり忘れているのです。しかし、答えを見ながら子供と一緒に解いていると、どんどん勉強を思い出してきます。そのうちすぐに、自分が中学生や高校生だったときよりもできるようになります。これが年の功というものです。

 大学入試も基本は同じです。これは親が出てくる必要はありませんが、塾や予備校に通うよりも子供が自分のペースでやっていくのが最も能率がいいのです。特に、国立大志望で教科数の多い勉強をする場合は、独学を基本にやっていく必要があります。ただし、私立大で教科数の少ない入試の場合は、その私立大入試だけに特化した塾で勉強する方が能率がよいということもあります。
 自分のペースで行う勉強の仕方は、志望校の過去問をもとに、インターネットで合格体験記や参考書や問題集の情報を手に入れ、自分で勉強の計画を立て、ときどき模試を受けて軌道修正をしていくというものです。最初は試行錯誤でやらなければならないので、塾や予備校に通う方が近道のように思えますが、次第に自分で計画を立てた子の方が力をつけていきます。ただし、自分の力でやるとは言っても、漠然と高校の勉強を熱心に行ってそれがそのまま受験に結びつくというのではありません。大学入試のための勉強は、独自に計画をたてて取り組む必要があります。


 こう考えると、これからの塾の役割は、勉強そのものを教える場ではなく、家庭での勉強の仕方を教える場になっていくと思います。それは、学校についても言えることです。

 私は、小学校のころ学校に行くのが面倒でたまりませんでした。当時は不登校という言葉もなかったので、仕方なく学校に通っていましたが、授業中窓から外の景色を見てつくづく教室というのは牢獄みたいなところだと思っていました。授業が退屈でたまらないので、教科書に落書きばかり書いていました。中学や高校ではさすがに落書きはしなくなりましたが、授業が退屈なのは同じでした。たまに息抜きができるのは自分のペースでできるテストの時間だけで、それ以外は決められた机で授業を聞くということをずっと束縛に感じていました。

 たぶん、今の子供たちも同じような状況で学校や塾に通っているのだと思います。

 人間は、与えられたものを受け入れているときよりも、自分の意志で取り組んでいるときの方がずっとよく物事を吸収します。しかし、他人に教わることに慣れてしまうと、教えてくれないからできないという錯覚に陥ってしまいます。他人が教えてくれるのは、勉強の方向だけで、勉強の中身は自分で手に入れるものです。

 未来の勉強は、出来合いの授業を受けにいくという他人に依存したものではなく、自分でキャベツやセロリやホタテガイなどの材料を買ってきて料理するというもっと主体的なものになるでしょう。そのとき、学校や塾は、勉強を教える場ではなく、勉強の材料や方法を提供する場になっていくと思います。

1月20日追記

 家庭での勉強に関するご相談は、「質問の広場」で受け付けています。
https://www.mori7.com/nohara/situmonn/

 家庭で親が子供に勉強を教える場合、大事なのは「忍耐」と「笑顔」と「やり過ぎないこと」です。
 特に必要なのは忍耐で、一度教えてすぐに理解できる子はまずいません。同じことを何度も説明して初めて身につきます。いつも笑顔で教えてあげることが大事です。

 なお、高校生の小論文に関しては、第三者の目による客観的な評価が必要なので、自分だけで勉強することには限界があります。
 また、小中学生の作文について親が教える場合、長期間の指導はカリキュラムや教材がないと難しいと思います。

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懐かしい1996年の言葉の森新聞 as/739.html
森川林 2010/01/15 21:42 


 ホームページの編集をするときに、昔の言葉の森新聞のページを見てみました。
 すると、1996年に最初に作った新聞のページがありました。

▽1996年1月2週号
https://www.mori7.com/mori/komori1996/m960102.htm
▽1996年の言葉の森新聞
https://www.mori7.com/mori/komori1996/indexmori1996.html

 当時、学習塾でホームページを作っているところはほんの数えるほどでした。ヤフーで「学習塾」というカテゴリーに入っているページには、すべて挨拶に行けるぐらいの数でした。しかし、当時、メールで挨拶に行ったページは、今はもうどこにもありません。(T_T)

 最初の記事を読んで感心したのは、1996年のころから、パソコンの本質をネットワークだと見ていたことです。
 私はずっと、パソコンには、ブラウザとエディタだけあれば十分だと考えていましたが、今それがネットブックとクラウドコンピューティングという形で実現しています。


 ついでにいろいろ見ていると、当時のページを保存しているサイトがありました。

 1996年から1999年のころのホームページ。
http://web.archive.org/web/19970502140902/http://www.mmjp.or.jp/shine/


 1999年から表紙がビジュアルになりました。。
http://web.archive.org/web/19991023042158/https://www.mori7.com/


 2003年ごろから今のページに近くなりました。
http://web.archive.org/web/20030207222754/https://www.mori7.com/index.html



 しかし、こういうのを見て昔を懐かしむようになったら人間は終わりです。

 1996年の当時は、パソコンとネットワークを主要な手段と考えていましたが、今考えているのは、手書きの作文とリアルな触れ合いです。
 それを単に昔に戻るようなやり方ではなく、パソコンとネットワークを止揚した方法で実現することが現代の課題だと考えています。

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作文小論文入試のコツその2(言葉の森新聞の記事より) as/738.html
森川林 2010/01/15 05:14 


 これは、言葉の森新聞に掲載した記事を編集したものです。


 作文のコツの第三は、難語を自然に書くことです。(「その1」に書いたコツの第一は字数の枠内で書く、第二は誤字をなくす、でした)

 「でも、公園にゴミ箱があると、ゴミを減らすという気持ちがなくなる」という文と、「しかし、公園にゴミ箱が設置してあると、ゴミを減らすという自覚が生まれにくくなる」という文では、どちらが知的に感じるかというと、やはり「設置」や「自覚」などの難しい言葉を使ってある文の方です。中学生で、これらの言葉を読めない人はまずいません。しかし、文章の中に自然に使える人は少ないのです。なぜ読めるのに使えないかというと、こういう言葉の入った文章を読む量が不足しているからです。

 文章に使う言葉には、自分がふだん読んでいる文章の質が自ずから出てきます。中学生や高校生の文章で、話し言葉とあまり変わらない文章を書いている場合は、その人がふだんあまり本を読んでいないことを示しています。

 未消化の難語を使うのはかえってマイナスですが、少し背伸びをした文章語を使うのは、いい文章を書くためのコツです。

 第四は、光る表現を入れることです。

 文章の結びの5行は、文章全体の印象を左右する部分です。ここに光る表現があると、全体の印象がよくなります。書くことが好きな生徒は、自然にこういうことを知っているのでしょう。結びに一工夫してまとめてある文章をときどき見ますが、例外なく上手な文章です。


 光る表現となる要素は二つあります。一つは、「○○はAでなくBである」のような形で、逆説的な真理を述べていることです。もう一つは、結びの意見を書き出しのキーワードと結びつけてまとめていることです。いずれも、考える力がないとなかなか書けません。

 第五は、感動のある体験実例を書くことです。

 意見は、だれが書いてもほとんど差がありません。人間が考えることにそれほど大きな差はないからです。差があるのは、前に書いた表現の部分とこの実例の部分です。

 体験実例に、「友達がこんなことをした」と他人の体験を書いても、印象は強くなりません。また、自分の体験であっても、平凡な体験では印象に残る実例にはなりません。自分の体験であって、しかも、挑戦、感動、個性、共感などの感じられる実例がよい実例です。

 文章を読むのは人間ですから、体験実例の印象がよければ、それによって文章全体の印象が上がるのです。例えば、「私は、三年間ひとりで公園のゴミ拾いをしていたが」などという体験がさらりと書いてあれば、読み手はそれだけで文章以前に書いている人間に好印象を持つのです。

 しかし、もちろんウソを書いてはいけません。本当のことを書くというのは、文章を書く上での当然の前提だからです。たまに、文章指導と称して、うまく見せるためにウソでも何でも書けという人もいるようですが、こういう発想をすると、目に見える小さな利益のために、目に見えない大きな利益を失うことになります。

 いい文章を書くためには、日常生活で挑戦や感動や個性や共感のあるいい行動をすることです。

(つづく)

 次回の予定は、第六に知性を感じさせる社会実例を書くこと、第七に構成がわかるように書くこと、です。

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